転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1409話
会議室に入ってきた俺達を迎えたのは、アカツキとプロスペクター、ユリカ、そして……
「待て! 待ってくれ! 幾ら何でも、俺の魂のコレクションを使う事はないだろう!」
叫ぶのは、ヤマダ。
そのヤマダの側にはテンカワの姿もあり、どこか悲痛な視線をヤマダに向け、次にアカツキへと責めるような視線を向けている。
……そんなテンカワも、俺達が入って来たのを見て一瞬ではあるが嬉しそうな表情を浮かべたのは、やはりエリナの姿があったからだろう。
ユリカに押されまくっているテンカワだが、それでもやはりエリナに対する慕情を消す事は出来ないらしい。
まぁ、恋ってのはやろうと思って出来る事じゃないし、止めようと思って止められるものじゃないしな。
そんなテンカワの様子を少し不機嫌そうにユリカが見ているのは、乙女の勘か。
アカツキも俺達が入って来たのに気が付いたのだろう。地獄に仏といった様子で口を開く。
「やぁ、アクセル。よく来てくれたね。ナデシコ級はどうだったかな?」
「ああ、十分に見せて貰ったよ。あの艦をナデシコ級って呼んでもいいのかどうかは迷うが、それでも敵の新型艦に対抗出来るだけの性能は持っていると思う。……スペック上は、だけどな」
幾ら性能のいい戦艦であっても、それを操るクルーが二流、三流であれば意味はない。
ナデシコは性格に問題はあっても腕は一流という人物を集めたのだが、そんな人物がそう多い訳でもない。
残り3隻のナデシコ級のクルーをどうするのかは、ネルガルにとって……そして討伐軍にとって難題となるのは間違いなかった。
「おいおいおいおい、アクセルよう! そこで下らない話をしてないで、俺の話を聞いてくれよ!」
アカツキと話していると、涙を流しながらヤマダが俺の方へと擦り寄ってくる。
……あ、円と美砂にブロックされた。
「アクセル君にこれ以上変な事を教えないでくれる?」
冷たい一言だったが、それは間違いなく円の口から出ていた。
最初ヤマダは自分が何を言われたのか分からなかったのだろう。だが、次の瞬間には顔を赤くしながら口を開く。
「おうおうおう、変な事って何だよ。俺はアクセルの親友だぞ!」
……いつから親友になったんだ? 最初は俺を嫌いまくって、一方的に敵視しまくっていたのに、いつの間にかヤマダの中で俺は親友まで超進化していたらしい。
俺とヤマダだとこれ以上性格が合わないってのも珍しいと思うんだけどな。
実際円や美砂も俺と同じ思いだったのだろう。何故か……そう、何故か俺の方へとジト目を向けてくる。
おい、お前達がジト目を向けるとしたら、俺じゃなくてヤマダだろ?
「取りあえず、お前が何を言いたいのかは分かってる」
このままだと藪蛇になりそうなので、取りあえず話を進める事にする。
「本当か! なら、なぁ、頼むから……」
そう。実際に俺はヤマダが何でこんなに騒いでいるのかの理由を知っていた。
それは、ヤマダの性格や趣味を考えれば、間違いなく理解出来る事なのだから。即ち……
「悪いがお前のゲキガングッズは今回の内乱を収める為に必要なんだ。お前も知ってるだろ? 木連がゲキガンガーを聖典としている事を」
「そりゃあ……」
木連がゲキガンガー好きだというのに、まだ公にされてはいない。だが、知る人ぞ知るといった情報ではある。
それこそ、木連と組んでいるクリムゾングループ辺りにとっては常識に近いだろう。
それを広めるかどうかというのは分からないが、それでもゲキガンガーに強い執着を持っている……それこそ趣味、ゲキガンガーではなく、生き方がゲキガンガーだと言ってもいいようなヤマダであれば、どこからともなくその情報を入手していてもおかしくはない。
そもそも、この手のマイノリティな趣味の持ち主は仲間を探し出す嗅覚のようなものを持っている。
そんなヤマダにとって、木連というのは色々な意味で羨ましい場所だろう。
……まぁ、ゲキガンガーが聖典扱いになってるんだからな。
実は一時期ネルガルでは……いや、正確にはナデシコ上層部でと言うべきか、ヤマダが木連に亡命するんじゃないかって話が本気で検討されたらしい。
最終的に木連に亡命するという事はネルガルやナデシコを裏切るので、ゲキガンガー好きのヤマダはそんな真似をしないだろうという結論になったが。
それでも完全に安心出来るという訳ではない以上、恐らく知らないうちに監視の類が付いていてもおかしくはない。
ともあれ、そんな風にゲキガンガー好きなヤマダなので、以前俺が考えたように木連を味方に付ける……とまではいかないが、それでも木連の中の何人かをこっちに引き寄せる事は出来るかもしれない存在ではある。
その取っ掛かりに必要なのが、ヤマダの持っているコレクション。いわゆるゲキガングッズと呼ばれているものだ。
以前一時期木連に滞在していた時に白鳥や秋山、月臣、高杉といった面々から聞いた限りだと、火星から脱出する際に持ち出せたゲキガンガーのアニメには欠落した話数があったらしい。
つまり、あれだけゲキガンガー好きの木連の住人が、見た事のないゲキガンガーの話があるという事になる。
基本的に1話完結型のアニメではあっても、後々の話で何かの伏線になっているという事もあるし、回想として出てくる事やその時の話が劇中で出て来てもおかしくはない。
そんな話を見られる機会を木連の人間が我慢出来るのか。その辺を考えると、勝算はある。
ただまぁ、クリムゾングループと手を組んでいるという事は、ゲキガンガーの未放送回の話を既に入手している可能性もあるのだが。
けど……ゲキガンガーの未放送回以外にも、こちらには幾つか切り札がある。
例えば、ヤマダの持っている各種ゲキガングッズ。
ゲキガンガーの未放送回なら映像データとして残っているし、クリムゾングループでも手に入れやすいだろう。
けど、ゲキガングッズ……いわゆるファングッズとなると、話は違ってくる。
元々が100年以上前に放映されていたアニメだけに、その映像データならまだしも、ファングッズの類は入手するのが非常に難しいだろう。
当時は大量にあった物であっても、現存するのがどれくらいかとなれば……果たしてどうだろうな。
特にヤマダが持っているような状態のいい物なれば、どれだけ入手出来るのやら。
……この類のファングッズはクリムゾングループが幾ら金を持っていてもそう簡単に入手出来るものではない。
最後の手段として新たにクリムゾングループとしてゲキガングッズを作るという選択肢もあるが、木連がそれを認めるかどうかは微妙だろう。
そして何より、俺達の最終兵器はヤマダ自身だ。
ゲキガンガーの未放送回やファングッズはクリムゾングループでも入手可能かもしれないが、ゲキガンガーの純粋なファンとなれば話は変わってくる。
元々が100年以上前のアニメなのだから、その純粋なファンというのは非常に稀少だ。
それこそ、砂漠で1粒の砂金を探すかの如く。
こういうファンは、相手が本当に自分の同類なのか……この場合ではゲキガンガーを好きなのかどうか、見分ける能力がある。
その能力がある以上、実は何も興味を持っていない奴にゲキガンガーのファンの振りをしろと言っても、それを見分けるだろう。
そうなれば、クリムゾングループに対して木連は疑惑を持つ事になってもおかしくはない。
だが、こちらには生粋のゲキガン好きのヤマダがいる。
また、ヤマダには及ばなくてもテンカワもゲキガン好きの一員ではある。
この2人がいれば、木連の連中と心を通わせるのは難しい話ではない。
「ゲキガン魂って言ったか? それがどんなものかは俺には分からないが、木連が持っているそのゲキガン魂というのが本物かどうか……それを生粋のゲキガン好きのヤマダ、お前が確かめてみるってのはどうだ? そして木連がゲキガンガーの名前に相応しくないような奴なら、真のゲキガン魂を教えてやる。その為にお前のコレクションを使うというのは、ゲキガンガーにその身を染めたお前にとっては、喜ぶべきことじゃないか?」
「そ、それは……」
俺の言葉に衝撃を受けたように数歩後退るヤマダ。
……何故かそれを見ていた円と美砂、それどころかアカツキまでもがどこか白い視線を俺へと向けているが、何でだ? 唯一プロスペクターのみは何かを納得するように何度も頷いているが。
「お前がゲキガンガーを愛しているのは分かるが、そのゲキガン愛をもっと広める為に協力してもいいんじゃないか? これは真にゲキガンガーを愛する者であれば、当然の義務……いや、権利だろ?」
「ゲキガン愛を広める権利!? そうだ、確かにゲキガンガーのような素晴らしい作品を広めるのは、俺の権利だ!」
「それに……」
そこでわざとらしく言葉を句切る。
そうなると、当然ヤマダは俺の言葉が気になるのか言葉の続きを促す。
「それに、何だよ?」
「……これは可能性。あくまでも可能性だが、もし木連をゲキガンガーでどうにか出来たとする。そうすれば、当然ゲキガンガーも注目される事になる。そうなると、どうなると思う?」
「どうって……どうなるんだ?」
俺の言ってる意味が分かってない様子のヤマダだったが、それも次の瞬間に俺の口から出た言葉に驚愕の表情を浮かべる。
「ゲキガンガーの続編が作られる事になるかもしれない。……いや、間違いなく作られるだろうな。それがどんな形になるのかは分からないが」
「なぁっ!?」
強力な一撃を食らったかのように、大袈裟な程に上半身を反らすヤマダ。
そして恐る恐るといった風に口を開く。
「ほ、本当か? それは……」
「ほぼ間違いなくな。ゲキガンガーによって木連との間の戦いを終わらせる事が出来れば、その注目度は高い。そうなれば、ほぼ確実にゲキガンガーの続編は作られるだろう。違うか?」
俺が視線を向けたのは、ネルガルの会長としてこの場でもっともナデシコ世界の経済に詳しいアカツキ。
そのアカツキは、笑みを浮かべて頷く。
「そうだね。もし本当にゲキガンガーで木連をどうにか出来たんだとすれば、ゲキガンガーによって繋がった和平という形になる。そうなれば間違いなくゲキガンガーの続編を作ろうと思う者はいるだろうね。ネルガルも出資すると思うよ?」
「そうだな、シャドウミラーも可能なら出資してもいいかもな」
……まぁ、個人的には続編では傑作というより、続編で駄作という方が多いのを考えると、ヤマダが満足するような作品が出来るかどうかは分からないが。
また、TVで放映されるんじゃなくて、劇場版やOVAという形で世に出る可能性もある。
うん? ああ、そうか。ならこれも餌に使えるな。
「ヤマダ」
「ダイゴウジ・ガイだ!」
「いいから、聞けヤマダ。もしお前がゲキガン魂で木連の連中と分かり合う事が出来たら、シャドウミラーの立場としてお前にゲキガンガーの新作、または続編について監修という立場を用意するように働き掛ける用意がある」
「え?」
一瞬何を言われたのか理解出来ないといった表情で、ヤマダ呼ばわりされたのも訂正せずに呆然としている。
実際、これは決して悪い手段という訳ではないと思う。
続編とかで、いわゆる超展開とかそんな感じになって失敗するのは、大抵が映画を作る立場の人間が原作の方に詳しくなかったり、理解が足りなかったりするが故だ。
特にゲキガンガーは100年以上前のアニメなのだから、当然十分に理解している者はそれ程多くはないだろう。
冗談でもなんでもなく、ヤマダが現在地球で最もゲキガンガーに詳しい人物だという可能性は十分にある。
そのヤマダが満足するような作品になるのであれば、ゲキガンガーの数少ないファンも十分に満足する作品になる……と思う。
「なるほど。彼程にゲキガンガーに詳しい人はそう見つける事は出来ない。そう考えると、アクセルの考えは決して間違っているって訳じゃないかも」
アカツキも俺の考えを悟ったのか、納得するように頷く。
実際問題、ゲキガンガーを理解するという意味ではヤマダ以上の人材を見つけるのが難しいのは事実だ。
……もっとも、逆に拘りが強くなり過ぎてしまうという可能性もあるが……まぁ、その辺に関しては色々と考える必要があるだろうが。
「さて、どうだ? お前のゲキガンガーに関する愛が試されているが、それを引き受けるかどうか……お前の判断を聞こうか」
そう告げると、ヤマダは難しい顔で悩む。
実際問題、俺であっても迷うかもしれないが……ヤマダがどう判断するのかは、今の時点で何となく予想出来ていた。
それはアカツキも同じだったのだろう。
特にヤマダを急かすような真似をせず、そして……数分後、ヤマダは口を開く。
「すぐには決められない。少し時間をくれないか?」
そう、告げるのだった。
勿論結果は分かっている以上、俺とアカツキはそんなヤマダに頷きを返す。
そして……この数日後、ヤマダは今回の件引き受けると連絡をしてくる事になる。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1208
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