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提督がワンピースの世界に着任しました

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第18話 オハラの異変

 
前書き
更新遅くなって、すみませんでした。 

 
「早く着かないかなぁ。今日は、何が学べるか楽しみっぽい!」
「お前は、見た目とか言動の割に学習意欲が高いよな」
「天龍は失礼っぽい。夕立は、いっぱい勉強して提督さんのお役に立ちたいの! 天龍は違うの?」
「え!? う、オレは、その。戦闘で活躍するからな」
「天龍さん、勉強苦手ですもんね」
「オイ、コラ舞風。オレは、戦闘特化だからソレで良いんだよッ!」

 今日は、月に2日ほど通っているオハラに行く日。駆逐艦である吹雪に乗って、夕立に舞風、そして天龍の計4人の艦娘が同行して、目的地へと向かっている途中であった。
 3人が楽しそうに会話をしているのを横で聞きながら、俺は考え事に没頭していた。

 食料の供給ルートは一応確保できたけれど、他の資材、鋼材に弾薬と燃料は大量に仕入れるとなると外のルートを探す必要が出てくる。食料ならば、大量に入荷した時に万が一に目をつけられた時の言い訳や誤魔化しを利かせる事ができるだろう。しかし、他の資材に関して言えば、集めれば集めるだけ誤魔化しが利きにくくなりそうで、そうすると海軍に目をつけられる可能性が出てきそうだったから、慎重に事を進める必要がある。

 可能ならば鉱山や油田を見つけて、その土地を確保できれば最高なんだけれど。最悪は、裏の密輸ルートを見つけ繋がりを持って仕入れるしかない。さて、どうやってそんなルートを見つけていけばいいか……。

「司令官、もうそろそろオハラに到着しますよ」
「そうか、報告ありがとう吹雪」

 オハラへ着くまであと僅かとなったらしいので、思考を中断して3人に声を掛ける。

「もうそろそろ到着するらしいから、上陸の準備を始めてくれ3人とも」
「オウ」「了解しました!」「っぽい!」

 俺が声を掛けると、艦娘達3人の元気良い声が返ってきた。


***

 オハラが目視できるまでの距離に近づいていくと、その異様な光景に天龍と吹雪が気づいた。

「島の周りに、見慣れない船が有るな?」
「司令官、あれって前に見た海軍を示すカモメじゃありませんか?」
「そうみたいだ。何でこんな所に、あんな数の海軍の船が?」

 吹雪の言う通り島の周りには、海軍の物と思われるカモメのマークが帆に書かれた船が二十数隻程も停泊ているのが見える。どの船も、停泊しいるだけで何か作業をしているようには見えないし、その船の数は異常に多かった。

 オハラの港にも時々だが、海軍の船が一隻、多い時で三隻が停泊しているのを見たことがあったけれど、あんなに集まっていて、しかも島を囲むように停まっているのを見るのは初めてで、何か異常事態が発生しているのだろうと容易に想像ができた。

「急いで上陸しよう。吹雪、あそこにいる海軍達に気づかれず、上陸することは可能か?」
「少し島を回ってみましょう。何処かに視線の穴が有るかもしれません」
 吹雪の提案を受けて、とりあえず島を一周することに。

「司令官、オレたちなら先に彼処を通って上陸できそうだ。許可をくれ」
 俺の横に立って天龍が指し示す先を見る。確かに船の大きさに比べて、人型程の小ささで海上を進める艦娘なら、気づかれずに通り抜けられそうだ。
 辺りを少し観察して危険が少ないことを確認してから、天龍達に指示を出す。

「天龍と夕立は、彼処を通って先に上陸してから島で何が起こっているのか様子を確認してくれ。図書館の人達の安否確認を優先して、極力戦闘は避けること。そして無理はせず、自分の身を一番に考えること。危なかったら逃げるんだ、良いね?」
「了解、司令官。行くぞ、夕立!」
「提督も気をつけてね! お先っぽい!」

 天龍と夕立を先に行かせて、残った吹雪と舞風と一緒に島を一周して海軍の船を確認していく。

「向こうは、仕掛けては来ないか」
「こちらに興味を示しませんね」

 一度海軍の船に接近してみて挑発して見せたけど、吹雪の言う通り海軍達は興味を示さず動く気配が無かった。仕掛けてきたら一度離脱してみるか、と考えていたけれど……。

 どうやら、彼等の目的はオハラに完全に固定されているらしい。


「俺達も、海軍の目を避けて隠れて島に上陸しよう」
 彼等の視線の穴を見つけて、こっそりとオハラ上陸を完了する。そして、俺と吹雪に舞風の3人で急いで島の中央にある図書館へと向かった。


***


「オイオイ、こいつは、どうなってやがるんだ!?」
 天龍の視線の先には、炎に纏わりつかれた大樹があった。オハラにある世界一とも言われる図書館が、燃えていたのだ。

「天龍! あそこに人が居るっぽい!」
 夕立の視線の先には、確かに数人の男たちが何かをしているのが見えた。二人は急いでその男たちに近づいて、何があったのか事情を聞く。

「おい、おまえら。一体何が起こったんだ?」
「天龍ちゃんに夕立ちゃん! コレは、海軍の奴らの仕業なんだ!」
 島の周りに居た多くの海軍船を見ていた二人は、その答えをある程度予想していた。

「何故? 奴らは何故この場所を襲撃してきたんだ」
 天龍の疑問に、答えを言いよどむ男達。だが、意を決して一人の男が海軍の襲ってきた原因となるであろう事情を説明した。

「クローバー博士や俺達は、求めては成らない禁断の智慧、”歴史の本文(ポーネグリフ)”についての研究を進めていたんだ。それが、海軍の奴らにバレてッ!」
「ポーネグリフ?」
「ああ、そうだ。ソレを知れば、空白の100年の歴史が紐解かれると言われている知識。しかし、政府の人間や海軍達は、その100年の歴史を隠したがっているらしい。知られるのを恐れていて、知ろうとしている奴らを法で縛って取り締まっている」
「何なんだソレは? しかし、いきなり、この図書館を燃やすなんて」
「図書館だけじゃない。奴らは、島ごと証拠と成る物を消し去ろうととしているみたいなんだ! 奴ら、バスターコールを発動させやがったんだ!」

 天龍と夕立の二人は、無差別攻撃を示す海軍の指令であるバスターコールの意味を知らないで居たけれど、男たちの尋常ではない様子と、その語感から大波乱が起きるであろう空気を感じ取っていた。 
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