| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Blue Rose

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十九話 療養所その四

「もうね、本当に酷いことになってるよ」
「北朝鮮の教育が、ですか」
「そうだよ」
「それは酷いですね」
「北朝鮮については言うまでもないね」
「はい」
 優花もこの国のことは知っている、この国が共産主義国家だの民主主義人民共和国であるだのいう言葉を信じている者は普通の人間なら世界の何処にもいない。
「階級社会ですよね」
「しかも世襲の独裁国家だよ」
「そうした国の教育は」
「色々言われてるね」
「はい、特撮の悪の組織みたいな」
「そんなのが理想っていうからね」
「酷い状況になるのも当然なんですね」
 理想が腐っていればそれを信じている者も組織も腐っていく、そういうことだ。
「それでマスコミも」
「マスコミも組合も同じでね」
「北朝鮮が理想ですか」
「かなり信者もいたし元々情報を集めて独占してね」
「隠蔽してですね」
「それで意図的な行為を繰り返す体質だったから」
 組合にしてもというのだ。
「腐敗するのもね」
「道理なんですね」
「しかも自浄能力がないから」
 マスコミ、組合、そして日教組にだ。
「それぞれの組織の体質でね」
「それでマスコミは腐敗してるんですね」
「とんでもない奴が入ってそうした連中が残って幅を利かせる」
「それでなんですね」
「腐った奴もいて」
「僕はそうした人に気をつけないといけないんですね」
「そうだよ」
 こう優花に言った。
「本当にお願いするわね」
「わかりました」
「その声を聞いたら」
 優花のその声を自分の耳で聞いてだ、岡島は言った。
「気付く人がいるかも知れないしね」
「それで気付いた人がマスコミの人だったら」
「若しくはその人からマスコミの耳に入るとね」
「大変なことになるんですね」
「だから今はここにいて」
「女の子になってからもですね」
「真実は確かな人以外には言わないことだよ」
 療養所の中を案内しつつだ、岡島は優花に話した。療養所の中には食堂もあれ広い風呂場もある。トイレも奇麗で全体的に充実していて清潔で明るい感じだ。
「それが君の為だよ」
「信頼出来る人にだけですね」
「そう、言うんだよ」
「それがいいことですね」
「真実は明らかにされるべき場合とそうでない場合があってね」
「僕のことはですね」
「そうでない場合だよ」 
 そちらになるというのだ。
「まさにね」
「そういうことですね」
「だから言わないことだよ」
「わかりました」
「報道の自由は暴力の源でもあるから」
 苦い顔に戻ってだ、岡島は言った。
「それを盾に酷い報道をする奴も多いから」
「マスコミが」
「あの連中は餓鬼、特権を持った餓鬼だからね」
 これ以上はないまでの軽蔑を込めた言葉だった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧