オズのボタン=ブライト
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第九幕その九
「あるから」
「ちょっと森とかに行けばあるから」
「沢山の人が畑を耕して森とかに行ってね」
「暮らしてるね」
「そうだね」
「そう、普通にね」
そうなるからです。
「別にね」
「自転車を使ってまでして遠くに行くこともないよね」
「そうした世界だからかな」
「だからな」
ここでまた言った王様でした、皆の先頭を進みながら。
「オズの国の自転車は遊びの為じゃ」
「今みたいにですね」
「ツーリングやスポーツに使うものじゃ」
「それで、ですね」
「うむ、日常生活では使わぬ」
「使えてもですね」
「皆そういう目的に使うのじゃ」
ツーリングやスポーツにというのです。
「そうしてな」
「そうなんですね」
「うむ、その通りじゃ」
「しかし遊ぶ為に使ってもな」
「それでもですね」
「よいじゃろ」
「はい、オズの国の自転車は」
カルロスは王様のすぐ後ろに来て応えました。
「実際にこけないですしね」
「しかもわしのこの服を着ていてもじゃ」
王様が着る立派な服です、厚い生地のマントにゆったりとした服で頭にはいつも被っている王冠もあります。
「それでもな」
「普通に動けていますね」
「この通りな」
「そういうことですね」
「そうじゃ、ではな楽しく行くぞ」
「わかりました」
カルロスは王様にも応えてす、楽しく進むのでした。そして十時になってティータイムで休憩してまた出発しました。
道は左右に森がある場所に入りました、その森を観てです。
カルロスはその赤い葉を観てです、こんなことを言いました。
「紅葉みたいだね」
「紅葉って?」
「外の世界だと葉の色が季節によって変わるんだ」
「あっ、そうなんだ」
「うん、春は緑でね」
こうボタンにお話します。
「夏はそれが深くなって」
「その緑が」
「秋には赤くなったり黄色くなるんだ」
「ふうん、そうなんだね」
「そうなんだ、特に日本ではね」
「恵梨香のお国だと」
「そうなるんだ」
まさにというのです。
「季節によって色が変わるんだ」
「不思議だね」
「オズの国ではそういうことはないよね」
「うん、ないよ」
ボタンはカルロスに答えました。
「そうしたことはね」
「国によって色は違うけれどね」
「うん、季節はいつも一緒だしね」
まさに常春です、オズの国は。だから冒険の時も実はお外で寝ても別に風邪をひくこともないのです。暖かいので。
「そうしたことはね」
「ないね」
「うん、季節によって葉の色が変わるんだね」
「そうなんだよ」
「面白いね」
ボタンは目を輝かせて言いました。
「オズの国は国で変わるのにね」
「外の世界だとそうなんだよ」
「成程ね」
「その秋のことを思い出したんだ」
またこうお話したカルロスでした。
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