非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
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第23話『正々堂々』
前書き
体育祭とかもう二ヶ月前の話です。
時が過ぎるのは早いですね~。
このまま受験が終わってくれないでしょうか。勿論、受かったことにして。
いよいよ体育祭が開幕した。
いつの間にか俺の家族も応援に来ていたが、今のところは気づいていないフリをしておくことにする。
最初のプログラムは、俺たち1年生の『100m走』である。ルールは単純で、100mを走り切るだけである。
しかし人類はこの距離に真剣に立ち向かい、そして勝利を取ろうとしてきた。
昔の俺には、そんな情熱はなかっただろう。
だが、今の俺には“勝利”という二文字が目前に見えている。この秘策なら絶対勝てる…!
「三浦、ホントにやんのか?」
「部長だって言ってただろ? 別に卑怯なことじゃないよ」
入場直前の整列中、暁君が俺に声を掛けてきた。内容は俺の秘策についてである。
それに俺は、あの時に部長から言われた事をそのまま返答に使った。
「でもよ…」
イマイチ“卑怯”という言葉が引っ掛かる様子の暁君。
首をかしげながら、俺の秘策について考え込んでいた。
「暁君が心配することはないよ。それより自分の事を心配したら? 走るの苦手なんでしょ?」
「うっ…」
俺は「心配」というワードを器用に使い、話を変えた。
実際、暁君の走りについては心配なのだ。
でもその言葉は地雷だったらしく、一瞬で暁君の目からは光が消えてしまった。
「どうせ俺は負けるんだ……無様に最下位で…」
「…は、走り切ることに意味があるんだ! ほら、最下位でも拍手が貰えたりするじゃん!」
「アレは哀れみの拍手だよ…」
急に随分とネガティブな思考へ移り変わった暁君。
俺が何を言っても、全て後ろ向きな意味になってしまう。俺の言葉が悪いのか?
「えっと…」
「…よしわかった。俺にとって体育祭は恥晒しの場だ。だから俺は、お前と同じ方法を取ることにした」
何かを決意したというような様子でそう言う暁君。
そして“俺と同じ方法”というのはアレしかない。
「てことは『魔術』?」
「おう」
そう、俺は今日の競技で魔術を使うことにしていたのだ。部室での会話に影響されて。
暁君は話を続けた。
「俺の属性なら多分、偶然を装って最下位が目立たなくなるすることができるはずだ」
「え、何でそこ1位じゃないの?!」
俺は真面目にツッコむ。
そりゃそうだよ。俺の魔術の使い方は1位を取るためのもので、決して最下位を目立たなくする訳じゃないよ!
「暁君は、自分は最下位確定と思ってるの…?」
「今までの体育祭の徒競走で最下位以外を取ったことは無い。だが今回はそれを目立たなくすることができる!」
今の衝撃告白から察せたが、きっと暁君は今までの徒競走は極端にビリだったのだろう。そして今回は、魔術を駆使して敵を遅らせる方法を取るという訳か。
それでも、1位を狙う方がずっと良いと思うのだが…。
「まぁ好きなようにすれば良いよ…」
結局俺は返す言葉が見つからず、会話を諦める。
暁君はなぜか満足そうな表情を浮かべながら、定位置に戻っていった。
「よし、やっか!」
俺は気持ちを引き締め、入場の合図と共にグラウンドへ一歩を踏み出した。
*
『よーい、ドン!』
ダッ!!
第一走者らが走り始めた。
皆が皆、真剣な表情で走っている。
負けるものかと気迫が伝わってきた。
『1位は赤団です』
「「よっし!」」
俺と大地は顔を見合わせ喜ぶ。
いつの間にか俺は競技に対して真剣になっていたのだ。
やっぱり自分の団が勝つのを見ると嬉しくなる。
「にしても速いな柊君。よくあの格好のまま走り切れるね」
「本人は隠すことに必死なだけだと思うけどな」
俺と大地は、赤団の第一走者である柊君を見ながら言った。
彼は帽子を顔が隠れるほど深々と被って耳を隠し、ズボンで何とか尻尾を隠している。
本人は人前に出ることは拒否し続けていたが、俺らの必死な説得により、何とかこれらの条件で参加を認めてくれた。
顔が隠れているため、女子が気づいてキャーキャー言うことはないが、もし顔が見えて、なおかつあの足の速さを知られたならば、きっと女子たちは黙っていないだろう。
「次は俺だな。行ってくるぜ、晴登」
そう言って大地は立ち上がった。第二走でもう大地の出番のようだ。
意気揚々といったその様子は、勝つのを予言しているようにも見えた。無論、学年でもトップクラスの足の速さを持つ大地に勝てる・・・いや張り合える人ですら、指で数えれる位しか居ないんだけど。
『位置について』
スタートの係員が言った。
大地を含めた各団の4名はスタート位置につく。
見た感じ、大地より速い人はいないようだった。
『よーい…』
係員はピストルを自身の真上に掲げる。
その動作と声に合わせ、四人は腰を浮かせクラウチング・スタートの姿勢をとる。
『ドン!』
「よーい」と言われてから不規則に放たれるその合図は、4人のスタートダッシュを誘発する。
だがその中でも一際目立つ者がいた。
「良いぞ、大地!」
大地はスタート直後から他の3人と圧倒的な差をつけた。
距離はたったの100m。彼のスピードであればすぐにたどり着くのではなかろうか。
全くブレないフォームと足の回転。もはや機械ではないかというほど洗練されたその走りは、俺だけでなく様々な人の目を釘付けにした。
速い。そう思った矢先に、大地はもうゴールテープを切っていた。
『1位は赤団です』
そうアナウンスが流れた。
よし、二連続の1位だ!これは良い出だし!
次は誰だ?!
「じゃあな三浦」
そう儚げに声を掛けてきたのは暁君だった。
見ると、顔を青ざめさせて今にも帰りたいオーラを出す暁君が居た。
「何でそんなに悲しそうなのさ。さっき自分で何とかするって言ってたじゃん?」
「言ってねぇよ。つかそうじゃなくてだな、さっき隣のレーンの奴から『正々堂々頑張ろうな!』って言われちまったんだよ。これってもうオチはアレしかないよな?」
暁君の言っていることはつまり、「予想外のハプニングが起きた」ということみたいだ。
そりゃ、魔術を使うのは卑怯なのではないかとほんの少しだけ思っているが隠している俺らにとって、『正々堂々』というのは非常に危険な言葉だ。
場合によっては作戦を実行できなくなる。
しかしそれは暁君の良心次第なのだ。
「やるのは暁君なんだから、どうするかは自分で決めないと」
自分でも少々無責任なことを言ったと思う。
ただ、これは事実なのだ。暁君がどうしたいか、が重要なのだ。要するに「自分のことは自分で何とかしろ」だ。
「ったく、わかったよ…」
暁君もその意図を汲み取れたらしく、諦めたようにスタート位置へ向かった。
そしてそこに屈み、クラウチング・スタートの姿勢ををとる。
そして今まで通り「用意」の一声が掛けられ、スタートラインにいる4人は腰を浮かせた。
『よーい・・・ドン!』
その瞬間、一斉に走り出した4人の中で差が──
・・・つくことはなかった。
何と暁君が懸命に前の人に喰らいつくような勢いで走っているのだ。魔術を使っている様子はない。
最下位ではあるが、決して諦めずに接戦を続けていた。
決して周りが遅いという訳ではなさそうだ。とすると、これは本当に暁君の実力なのだろう。
俺は感動した。
“やればできる”ということを、彼はその身をもって教えてくれたのだ。
残り20m。未だに差はほとんどない。
もしかすると暁君が勝てるのではないか?!
俺はそんな期待を胸に抱いた。
しかし、どうしたことだろうか。
走っている人たちが急に腕で目を覆い始めた。
別に風が強いだとか、砂煙が立っているとか、そういうことは一切ない。それなのに、彼らは何から目を守っているのだろうか。
「まさか、逆光?」
これは体感だが、太陽の光が眩しくなった気がする。もうそんな時間だっただろうか。
目が眩み、足がふらつき始める走者。
ただその中で1名だけが一直線に走り続けた。
「暁君!」
汗を垂れ流し、ゴールへと向かう暁君。いつの間にか3人を抜き、トップに立っていた。
「「「いけー!!」」」
1組…いや、赤団全員の応援が重なった。
その声に背中を押されたのか、暁君は流れるようにゴールした。
俺たちだけが知っている暁君の運動能力。
それを乗り越えた彼を見て、驚くしかなかった。
『1位は赤団です』
「「っしゃぁー!!」」
もはやお祭り騒ぎと言えるほどの喜びが、1組に生まれた。
他から見れば「喜び過ぎではないか?」と思われるだろうが、そんなのお構いなしに俺らは喜ぶ。
だが暁君が俺らの所に戻ってくることはなく、彼はゴールしてから数歩歩いた所で倒れていた。
「暁君!」
その容態にいち早く気付いた俺は、すぐさま彼に駆け寄る。
彼は異常なほどの汗を垂れ流し、苦しそうにしている。
その後の俺の問いかけにも反応せず、ただ荒い呼吸を続けるだけだった。
あまりの非常事態に、騒がしかった人たちはピタリと静まる。誰もが担架で運ばれていく彼を見ていた。
今日は暑いから、それで熱中症になったのかもしれない。俺はそう考えることにした。
ひどい病気だとか、そんなのではないはずだ。
きっと・・・大丈夫・・・。
『競技を再開します』
暁君を運び終えたのか、アナウンスはそう言った。
仕方ない。心配だが、暁君のことは一旦頭から離そう。彼はただの熱中症、休めば治る。
クヨクヨ考えるより、彼が勝ち取った1位を大事にしなければならない。
でも・・・男子の最終走者ってのは緊張するな…。
*
でもその時はすぐに訪れた。
『次は、男子最後の組です』
それを聞いて、俺の心臓は拍数を上げていく。
やべぇよ、遂に来ちまったよ。
今までの男子だけの成績であれば、今のところは赤団が1位。つまり、それを俺は守り抜かねばならない。
だが今、俺の中である決意が揺らいでいた。
俺が考えていた秘策のことだ。
最初は使う気満々だった。しかし、先程の暁君の話を聞いて考え直したのだ。
“魔術を使うこと”は正々堂々と戦っていることになるのか、と。
部長の言うことは確かに一理ある。でも卑怯ではないかという考え方もまた1つだ。
『位置について』
考えのまとまらぬまま、スタートラインに立った俺。
振り向かずとも1組の盛大な応援が俺にきているというのが分かった。
『よーい』
人生の内でここまで緊張した徒競走はあっただろうか。
暁君の意思を背負って走るという責任感を感じられた。
構えをとり、最終決断を迫られる俺。
だが、スタート直前の今の一瞬でようやく割り切った。
──風と、走る。
『ドン!』
その合図と共に、俺は一歩を踏み出した。
迷いなんてない、無我夢中の一歩を。
「うぉぉぉ!!」
俺は全速力で駆け出した。
そして魔術を使った。追い風になるように。
俺だけでなく、周りのレーンも含め。
「うわっ!?」
「ちょ、やべぇ!」
隣からは焦ったのか、慌てた声が聞こえた。
ルールは“追い風の中、100mを走り切る”。
ハンデなんか一切無く、全員が同じルールで戦う。
ただ、俺が風に慣れてるってだけで。
「良いぞ、晴登!」
大地の声が聞こえた。
走る4人の中で、唯一風に乗って走っている俺。
ゴールまではもう少しだった。
最初は俺のレーンだけに魔術を使って、俺だけが速くなるようにしようと考えていた。
でもそれは正々堂々では無いのではないか。
そして最終的に俺の中で導かれた答えは『全員同じ条件下で戦う』ということだった。
「あと少し…」
とはいえ、一応全力では走っている。
そのため、魔術の使用を合わせると体力の浪費が激しい。
あれ、じゃあ暁君ってまさか・・・?
あの不自然な太陽の輝き。暁君の魔術の属性は光を持つ。そして走りながら魔術を使ったとしたら・・・体力が・・・。
「なんだ…」
物事を大きく考え過ぎていたようだ。
彼はきっと疲れただけなのだ。熱中症ですらもなかった。
多分、休めば治る。良かった…。
「晴登、気ぃ抜くなよ!!」
その大地の声が俺を現実に引き戻した。
危ない危ない、俺はまだ競技の途中だったんだ。
よそ見してちゃダメだよな!
「よっしゃ!」
ラストスパートを始める俺。
風に乗り、比較的楽に走ってきたので、体力はまだ有るには有る。あと少し!!
「うぉぉぉぉ!!」
叫びといえるほどの大声を上げながら駆ける俺。
そしてそのままの勢いでゴールテープを切った。
「どうだ…」
後ろを振り向くと、残りの3人がゴールするところだった。
その様子を眺めていると、横から声が掛かった。
「やったな晴登!!」
「あぁ!」
満面の笑みを浮かべ、右手を上げた大地。
その意図を察した俺は、返事をしつつ右手を上げ・・・
パシッ!
周りに響き渡るほどの、大きいハイタッチをした。
*
「暁君!」
保健室の扉を開け、中に駆け込む俺。
なぜここまで急いでいるかと言うと、今さっき保健室に搬送された暁君の容態が気になったからだ。
「よ、三浦。徒競走どうだった?」
「ずこーっ!」
何事も無かったかのような口調で話しかけてきた暁君。
それでも、体はベッドの上だった。
「もう起きたの!?」
「あぁ心配かけたみたいだな、悪い。先生からは『ただの疲労だ』って言われたから、たぶん大丈夫だろ」
「もしかして、途中で魔術使った?」
「う…」
やっぱ俺の予想通りだった。
暁君の反応を見る限り、あの逆光は暁君の仕業だったようだ。
元々体力のない暁君が全速力で走って、その途中で魔術を使って魔力を消費したら、そりゃぶっ倒れるぐらい疲れるわな。
「はは、バレたみたいだな。あんだけ“正々堂々”言っといて…な」
「違うよ暁君」
後ろ向きな発言を始める暁君に、俺は言葉を掛ける。
「暁君は自分だけが有利にならないようにしたでしょ? それだけで十分じゃないか」
「三浦…」
暁君が俺を見つめ、しばし考える様子を見せた。
そして開かれた口からは・・・
「つまりお前も俺と同じことしたんだろ」
「ぶっ!」
睨み付けるように暁君は俺に言った。
でも、ちょっと待って暁君。今そういうのを言う場面じゃないでしょ!? てか何でわかったの!?
いやいや確かに真似したよ! したけどそんな睨まなくていいじゃん!
アレなの?! 天才って自分の考えを人と共有したがらない的な!?
「まぁ冗談だ。結果はどうだったんだ?」
「冗談きついよ…」
暁君はそっぽを向き直し、そう言った。
冗談で良かった…。
「俺が1位を取って、しかも今のところ赤団も1位だ。好調の出だしだよ」
「そうか」
暁君は素っ気ないが安堵したようだった。
そしてもう一度俺を向いて言った。
「次の競技には間に合う。だからもう少し休ませてくれねぇか?」
「もちろん」
俺は笑顔でそう言い、保健室を出た。
*
「大地、今どんな状況だ?」
俺は待機テントに戻り、大地に聞いた。
「あぁ晴登。今三年生の『背渡り』って競技なんだけどよ、見ろよ俺らの赤団。上で走ってる団長めっちゃ速いんだよ」
俺は納得し、実際の様子を見ようと前を向いた。
すると驚きの光景があった。
「おらおらおらぁぁ!!」
「へ?」
何か…副部長のキャラが変わってた。
背中の上であそこまで全力で走って良いのかってほど、副部長は勢いよく走っていた。
ちなみに背渡りという競技は、名前の通り、列を成している人々の背中の上を走ってゴールを目指すというものだ。だが、ゴールまでの距離は長く、1クラス分の人数だとどうしても長さが足りない。だから馬跳びの要領で、上を走られた後ろの人の方からドンドン前に並び直すのだ。
よって、連携が大事になる競技なのだが・・・
「アンタたち遅いわよ!」
あまりの副部長の速さに列を作るのがギリギリのようだった。それでも、明らかに他クラスを圧倒した速さを誇っている。
背渡りはその性質上、上を走る人はできるだけ軽い方がいい。その点、小柄で身体能力の高い副部長はうってつけな訳だ。
「なぁ、うちの団長ってホント小さいよな?」
「うんうん。まるで小学生みたいな…」
「子供っぽくて可愛いな~」
「でも結構気が強そうだぞ?」
「それがまた良いってもんだろ」
「あぁ…俺も背中踏まれてぇな…」
「うわ、お前そんな趣味が?!」
「良いんじゃねぇか? どうせ軽くて踏まれてることにも気づかねぇよ」
「そういう問題か?」
「おうよ」
「でもやっぱ・・・
「「「可愛いなぁ♪♪」」」
何か怪しい会話が後ろから聞こえた。
どうやら俺のクラスメートのようだ。
副部長って・・・モテるのか?
『ゴーール!!』
…なんやかんやで1位でゴールしたのは赤団だった。小さいって強いな。
*
「赤団はまだ1位か。順調順調」
「晴登、そんな呑気な事言ってられないよ。次は全学年参加の団対抗綱引き。点数大きいから、負けたらすぐに追いつかれるよ?」
俺が1位の余韻に浸っていると、莉奈が呆れたように言ってきた。わざわざそんな急かす言い方しなくていいのに。
にしても綱引きか。しかも全員参加となると魔術も影響が小さいだろうから使ったところでって感じだ。これは完全実力勝負になりそう。
「できれば使いたかったな…」
「何を使うの?」
「へ!?」
やべ、考えてることが口に出てしまったようだ。
早く弁解しないと、いくら馬鹿な・・・もとい、頭の回転が遅い莉奈でも怪しまれる!
「あ、いや~その・・・秘密兵器?」
「何それ?」
あー俺の馬鹿!!
そんな意味深なこと言ったら、逆に気になるだろうが!
「そ、それは秘密かな…」
マズい、怪しい冷や汗が出てきた。
くそぅ、『魔術』というワードを守るだけでここまで気が滅入るのか…。ま、どうせ部活戦争の時バレるだろうけど。
「秘密ねぇ…。晴登のことだから、どうせ普通のこと考えていただけでしょ? 隠すこともないのに…」
どうやら危機を免れる方向に莉奈は解釈してくれたようだ。
危ない危ない…。友達が魔法使いとかなんて知れたら、いくら莉奈だろうと引く気がする。それで離れられるっていうのはホントに勘弁だ。
てか、『どうせ普通のこと』とは失敬な。
「悪い悪い。あ、もう皆が並んでるから、行くぞ莉奈」
「はいはい」
俺が白々しく話を逸らすと、莉奈は乗ってくれた。
その切ない優しさはありがたく受け取っておこう。
「晴登」
「ん?」
莉奈から呼び止められ、振り向く俺。
そして彼女は元気に言った。
「頑張ろ!」
その一言に、俺はたまらず笑みが溢れる。
コイツの明るさには、昔から癒されたり、元気にされたりした。
意外と俺は助けてもらってたのかな。
「ああ!!」
それに報いるべく、俺は莉奈よりも大きい声で返事をした。
後書き
100m走がここまで長引くとは・・・(唖然)。
お陰で他の競技が全然できなかったやんけ! 誰だよ、こんな文章書いたの!!←
・・・なので、部活戦争は次回の後半にちょびっとやることにせざるを得なくなりました。申し訳ありません。
はぁぁ…何か良い展開無いかな~。
読者様の想像の北北東を行くような・・・って無理だよそれ。
次回も読んで下さい!!
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