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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第39話

ロイド達がビルに戻ると既にルファディエル達も戻って来ていた。



~夜・特務支援課~



「えへへ、ティオだー!ねえねえ、ツァイト!ティオが戻ってきたよー!」

嬉しそうな表情で抱きついているキーアはツァイトに言い

「ウォン。」

キーアの言葉に答えるかのようにツァイトは吠えた。

「ただいまです。キーア、ツァイト。セルゲイ課長。ただいま戻りました。」

「ああ、よく戻った。フッ、いきなり仲間のピンチを救ったみたいだな?」

「ええ、本当に助かりました。」

「あそこでティオちゃんが来てくれなかったらどうなっていたことか……」

「うんうん、ゾッとしますね!」

「……今回ばかりは礼を言わざるを得ないようだな。」

「その、別に大した事は。」

セルゲイやロイド達から感心や感謝の言葉をかけられたティオは戸惑った。

「はは、照れるなって。」

「まあ実際。いいタイミングで戻ってきてくれたと思うよ。あんなハッカーが絡んできたら僕達だけじゃお手上げだしね。」

「ああ。この中でハッカーと対抗できるのは君しかいないしね。」

ティオの様子を見たランディは笑いながら言い、ワジとリィンはそれぞれ声をかけた。

「そうだな……―――課長、ダドリーさん、それと局長。明日の通商会議ですが……俺達もオルキスタワーの警備に参加させてもらえませんか?」

「ほう……?」

「あら……」

ロイドの提案を聞いたヴァイスは興味深そうな表情をし、ルファディエルは意外そうな表情でロイドを見つめ

「ロイド、それは……」

「おいおい。いきなりどうしたんだ?」

エリィは驚き、ランディは戸惑った表情で尋ねた。



「ふむ……」

「……会場の警備体制は万全だと言ったはずだが?」

「何か不安材料が出てきたのですか?」

一方セルゲイは考え込み、ダドリーとアルは尋ねた。

「はい。アル警視の仰る通り、今日のハッカーはタワーの図面らしきものを何処かから入手していました。”銀”の言葉ではありませんが何か仕掛けてくる可能性がある―――いえ、むしろその情報を”誰か”に渡した可能性が高いと思います。」

「誰か……」

「一体誰なのかしら?」

ロイドの推測を聞いたノエルは考え込み、エルファティシアは尋ねた。

「”赤い星座”か”黒月”、またはエレボニア政府かカルバード政府……どれもありえそうだけど、より現実味のありそうな連中がいる。2大国のテロリストたちさ。」

「クローディア殿下とオリヴァルト皇子から聞いた……」

「それぞれの国のトップを狙う2グループのテロリストどもか。」

ロイドの説明を聞いたエリィとランディは表情を厳しくし

「確かにビルの構成図があれば死角を狙えるかもしれませんね……」

ノエルは考え込んでいた。

「もちろん、偽装情報の可能性もあるでしょうが……やはり明日、オルキスタワーで何かが起きる可能性は高くなったと言えると思います。タワー周辺の警備でもいいので参加させてもらえないでしょうか?」

「クク、なるほどな。ダドリー、どうだ?」

「俺はいいと思うぞ?」

「ふう……まあ、いいでしょう。―――明日の正午ちょうどにオルキスタワー1Fに来るがいい。予備の警備要員として通商会議の現場に入れてやる。」

セルゲイとヴァイスに言われたダドリーは溜息を吐いた後ロイド達に言った。



「え……」

「おっと、会場の方かよ。」

「へえ……気前がいいね?」

「フフ、昔の貴方とは大違いね。」

ダドリーの話を聞いたロイドとランディは驚き、ワジとルファディエルは静かな笑みを浮かべた。

「カン違いするな。あくまで予備の要員としてだ。市長暗殺未遂事件でも偶然とはいえ役には立ったし、導力ネットに詳しい人間もいる。万が一の保険程度だからせいぜい弁えておくがいい。」

「りょ、了解しました!」

「謹んで拝命します!」

「フフ、みんな頑張りなさいね。」

「え………」

「エルファティシアさん達は参加しないのですか?」

エルファティシアの言葉を聞いたエリィは驚き、リィンは尋ねた。

「ええ。私やヴァイスハイト達は貴方達とは別行動よ。」

「……………一体何をするつもりですか、局長。バニングスからルファディエルの策の話の件を聞きましたが、まさか本当に実行するおつもりなのですか?」

エルファティシアの答えを聞いたダドリーは真剣な表情でヴァイスを見つめて尋ね

「ああ。―――既にギュランドロス達やセリカ達にも話を通し、それぞれから了解の意を取れてる。これで明日は完璧な布陣で挑める。―――ロイド、感謝するぞ。これほどまでの策略家と共にいる事に。」

「は、はあ……?」

「ええっ!?」

「や、やっぱり局長の話に乗ったんですか、司令~………」

ダドリーの言葉に頷いた後自分を見つめて言ったヴァイスの言葉にロイドは戸惑い、エリィは驚き、ノエルは表情を引き攣らせた後溜息を吐き

「え……?セリカさん達……?あの、一体どういう話になっているんですか??」

ティオは不思議そうな表情をした。すると

「フフ、後でロイド達に説明してもらいなさい。……そうそう、ティオ。せっかく帰ってきたのなら、ちょうどいいわ。明日、私や局長は別行動をするから、その時に将軍とラテンニールの力を貸してもらってもいいかしら?後、エリィはメヒーシャを、ランディはエルンストの力を貸してもらっていいかしら?それとロイドはギレゼルを。」

口元に笑みを浮かべたルファディエルがティオを見つめて言った後エリィやランディ、ロイドに視線を向けた。

「は、はあ……?別に構いませんが……」

「……わかった。」

「……わかりました。」

「俺はルファディエル姐さんを信じていますので存分に使ってやってください!」

ルファディエルの言葉を聞いたティオは戸惑いながら頷き、ロイドとエリィは静かな表情で頷き、ランディは真剣な表情で言った。

「――――ルファディエル。貴様が考えたとかいう策で本当にあの”赤い星座”と”黒月”をこのクロスベルから叩き出せるのか?」

一方ダドリーは真剣な表情でルファディエルを見つめて尋ね

「ええ。後は彼らが罠にかかるのを待つだけよ。」

尋ねられたルファディエルは微笑みながら頷いた。

「え………一体何がどうなっているんですか……!?」

話を聞いていたティオは驚き

「ハハ……後で説明するよ、ティオ。」

ティオの様子を見たロイドは苦笑しながら言った。



「フウ……………局長。当日、私達に出来る事は何かありませんか?」

そしてダドリーは溜息を吐いた後ヴァイスを見つめて尋ね

「ん?」

「私達がどんな行動をするのか尋ねなくていいのですか?」

尋ねられたヴァイスは目を丸くし、アルは意外そうな表情で尋ねた。

「……尋ねた所で誤魔化される事はわかっていますし、止めた所で貴方達は行動を止めないのは今までの経験でわかりきっていますので。それに”赤い星座”と”黒月”を纏めて叩き出せる事はこちらとしても本望です。」

「フッ……わかってきたじゃないか。――――当日、お前達にしてほしい事は”赤い星座”、”黒月”の拠点をそれぞれ見張る事だ。」

疲れた表情で答えたダドリーの話を聞いたヴァイスは口元に笑みを浮かべた後指示をし

「……?元々連中の動きは常に見張っていますが……」

指示を聞いたダドリーは不思議そうな表情をした。

「その見張りの数を大幅に増やしておけ。……明日、ルファディエルの策を完璧に実行するには迅速な行動が求められる。その行動の内の一つにそれぞれの拠点の強制捜査があるからな。その時に大人数の見張りの刑事達が必要だ。」

「なっ!?」

「ええっ!?」

ヴァイスの話を聞いたロイドとエリィは驚き

「なっ!?正気ですか!?両政府と繋がりのある組織を強制捜査等どう考えても不可能ですよっ!?」

ダドリーは驚きの表情で叫び

「フッ……その政府の繋がりの根本から破壊する”切り札”となる策があるからな。………とにかく明日に備えて全員身体を休めておけ。」

ヴァイスは不敵な笑みを浮かべてダドリーを見つめて言った。そしてロイド達は明日に備えて身体を休めた。



翌日、8:00――――



~朝・特務支援課~



翌日、ティオが端末を操作して支援要請を確認した。

「……やっぱり幾つか新しいのが来ているか。うーん、どれも結構気にはなるけど……」

「時間に余裕があれば立ち寄ってみましょう。午前中だったら自由に動けそうだし。」

「車を使えば郊外にも移動できそうですね。」

「車ですか……ちょっと楽しみですね。何でもZCFが開発した導力車だとか?」

ノエルの言葉を聞いたティオは静かな笑みを浮かべて尋ねた。

「おお、一課の連中も見返せそうな新型だぜ。」

「しかも一台は局長がラッセル博士のお孫さんと交流があって、その縁を使ってラッセル博士と交渉して手に入れたらしい。」

ティオに尋ねられたランディは笑顔で答え、リィンは口元に笑みを浮かべて答えた。

「ラッセル博士のお孫さん…………ああ、ティータさんですか。なるほど……”影の国”でできた縁を存分に活用しているのですね、ヴァイスさんは。フフ、さすがは元・皇帝と言った所ですか……」

リィンの話を聞いたティオは目を丸くして呟いた後、静かな笑みを浮かべて言った。

「え……」

「もしかしてティオちゃんはそのラッセル博士のお孫さんという方を知っているの?」

ティオの言葉を聞いたエリィは呆け、ノエルは驚きの表情で尋ねた。

「はい。ティータさんとも”影の国”で出会い、共に戦った仲間です。……私やレンさんと年齢が近く、今でも文通や導力通信で連絡を取り合って、交流があるんです。」

「ハハ、またもや”影の国”とやらの縁か。」

そしてティオの答えを聞いたランディは苦笑していた。

「ティオ、昨日着いたばかりなのに朝早くから動いて大丈夫か?何だったら午前中はゆっくりしててくれても―――」

一方ロイドはある事を提案しかけたが

「ジロッ………」

「スミマセン、つい。」

ジト目のティオに睨まれ、謝罪した。

「……まったく。」

「はは、何だかティオすけが戻ってきたって感じだな。」

「ふふ……そうね。やっぱり端末前にはティオちゃんがいる方がしっくりくる感じだし。」

ロイドの様子を見て溜息を吐いたティオを見たランディとエリィは口元に笑みを浮かべたり、微笑んでいたりした。

「ふふっ、やっぱり皆さん、息が合ってますよね。とりあえず………これで後はセティちゃん達が帰ってくれば、新生・特務支援課のフルメンバーになりますね。」

「フフ、リーダーとしてなかなか感慨深いんじゃない?」

「ああ……そうだな。―――とにかくティオ。改めてよろしく頼むよ。それと大変な時にわざわざ戻ってきてくれてありがとう。」

「はい、こちらこそ改めてよろしくお願いします。」

「はは、何だかテンション、上がってきちまったな。」

「クク……調子が出て何よりだ。ま、その元気がありゃあ通商会議の空気にも呑まれることはねぇだろ。お前達のやり方で警備の役に立ってくるといい。」

「了解です。」

「課長の方はこれから警察本部で待機でしたか?」

セルゲイの言葉にロイドは頷き、エリィは尋ねた。

「ああ、各方面との折衝を押し付けられちまったからな。バックアップには回るがオルキスタワーの警備には直接参加はしないだろう。ただ、何かあったらお前達にも必ず連絡する。」

「……助かります。」

「よろしくお願いします!」

「おお、それじゃあ先に行くぞ。」

そしてセルゲイはロイド達から去って行った。

「それにしてもルファ姉や局長達……一体何をするつもりなんだろう?」

セルゲイが去った後ロイドは真剣な表情で考え込み

「私達がそれぞれ契約している異種族―――メヒーシャ達と共に朝早くにビルを出て行ったけど………一体何をするのか全然想像が付かないわ……」

エリィは考え込んだ後溜息を吐いた。

「……まあ、”(イン)”をも嵌めたという”あの”ルファディエルさんの事ですからね。多分、黒月や赤い星座をまんまと罠に嵌めて、ラグタス達で袋叩きしようとしているんじゃないですか?」

「ハハ、確かにありえそうだな。……さてと!俺達も行くとするか!」

静かな笑みを浮かべて呟いたティオの言葉に笑いながら頷いたランディは提案した。



その後ロイド達は外に出てさまざまな支援要請を終わらせた後オルキスタワーに向かい、タワー内に入った……………… 
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