英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~新教授の依頼~後篇
~ウルスラ病院~
「……あら、ロイドたち。セイランド教授のお仕事は終わったのかしら?」
寮の自室にいてある写真を見つめていたセシルは自分の部屋に入って来たロイド達に気付いて振り返って尋ねた。
「ああ、ついさっきね。」
「セシルさんは休憩中ッスか?」
「ふふ、今日は宿直があるから色々と準備に戻っていた所なの。眠気覚ましのためにもお気に入りの紅茶を持っていっておこうと思って。」
「相変わらず忙しそうですね……」
「本当、体には気を付けてくれよな。」
「ふふ、大丈夫よ。こう見えても私はタフなんだから。……そういうところはガイさんに影響された部分もあるかしら。」
真剣な表情で心配するロイドに微笑んだセシルは静かな笑みを浮かべた。
「そういえば、さっき写真を見ていたみたいでしたけど……」
「もしかして、その写真の人がそうなのかい?」
「ふふ、見てみる?」
ノエルとワジに尋ねられたセシルは写真をロイド達に見せた。
「この写真は3年前のものになるかな。右側に写っているのが俺の兄貴、ガイ・バニングスだ。」
「へえ、この人が……ふふ、ロイドさんのお兄さんだけあってとってもまっすぐそうな方ですね。」
「それに兄弟だけあって、雰囲気とかも似ているな……」
(懐かしい写真ね……)
(ほう~?これが昔のロイドか……)
「セシルさんとルファディエル姐さんも相当にお美しいッス!!くっ、俺もセシルさんの幼馴染になりたかったなあ……」
ロイドの説明を聞いたノエルとリィンは興味深そうな表情でガイが写っている部分を見つめ、ルファディエルは静かな笑みを浮かべ、ギレゼルは興味深そうな表情をし、ランディは嬉しそう表情で言った後溜息を吐いた。
「ふう、ランディったら。でも、こうしてみると………本当にセシルさんとお似合いの方だったんだなって思います。」
「ふふ、ありがとう。そう言ってくれるとうれしいわ。」
溜息吐いた後微笑みながら言ったエリィの言葉にセシルは笑顔で言った、
「フフ、それに幼いロイドもなかなかカワイイ顔してるじゃない。この写真を見ただけでも、純粋な婦女子を惑わす君の魔性、その片鱗が見て取れる気がするよ。」
一方ワジは静かな笑みを浮かべて呟き
「はあっ……!?」
(た、確かに……)
(当時から今のノリだったとしたら、かなりの危険人物に違いないわね……)
(まあそういう事に関してヴァイスハイトと似た男だからね……リセルの話だとロイドくらいの年齢で既に娼館に通ったり何人もの女性とデートした事があるっていう話だしね……)
ワジの言葉を聞いたロイドは驚いて声を上げ、ノエルは納得した様子で頷き、エリィはジト目でロイドを見つめ、エルファティシアは小悪魔な笑みを浮かべてロイドを見つめた。
「……なんだかまた妙なレッテルを貼られてる気がするんだけど。」
「ふふっ……」
そして疲れた表情で言ったロイドの言葉を聞いたセシルは微笑んだ後話を再び始めた。
「……思えばこの写真を撮った時から色々なものが変わってしまったわね。ガイさんが亡くなった日からリウイさんに出会う前までは私だけは変われなかったし…………リウイさんと結ばれた今でも、まだガイさんの事には心残りがあるのよね……」
「セシル姉……少し時間はかかるかもしれないけど……待っていてくれ。兄貴の事件の真相は、いつか必ず俺が掴んでみせるからさ。」
複雑そうな表情で語ったセシルの話を聞いたロイドは驚いた後静かな笑みを浮かべて言い
「ええ、私達もその手伝いをさせてもらうつもりです。」
ロイドの言葉にエリィが続けた。
「……ふふ、ありがとうみんな。だけど、無理はしないでね。あなたたちが何事もなく暮らせるのが私の何よりの願いなんだから。もし病院に運び込まれたりしたら、セイランド教授にお願いしてニガ~いお薬を処方してもらうからね?」
「あの女医センセイの作る薬だったらものすごく効き目はありそうッスけど……」
「フフ、本気を出したらニガさすらも自在にコントロールしてきそうだね。」
「き、気をつけさせてもらうよ。」
そして笑顔で言ったセシルの言葉を聞いたランディは疲れた表情で答え、ワジは静かな笑みを浮かべ、ロイドは苦笑しながら頷いた。その後ロイド達は病院から去る為に車を置いている駐車場の近くまで行くとロイドのエニグマが鳴りはじめた。
「おっと……」
「他の部署からの連絡かしら?」
エニグマを見つめているロイドを見たエリィが呟いたその時、ロイドは通信を始めた。
「はい、特務支援課、ロイド・バニングスです。」
「ウフフッ……アタシよ、アタシ。誰だかわかるかしら?」
「ミシェルさん………えっと、どうしたんですか?」
「ウフフ、一発でわかるなんてなかなか冴えてるじゃない。それとも愛のなせる業かしら?」
「いえ、ミシェルさん以外に該当者が思いつかなかっただけで。ひょっとして、そちらに伺ってるキーアの事ですか?」
「あ、それなんだけど。あの子、シズクちゃんを連れて港湾区に遊びに行っちゃったわ。ツァイトだったかしら?あの警察犬が一緒だったから大丈夫だとは思うんだけど。」
「ああ、ツァイトが一緒なら何の心配もいらないと思います。」
「あら、やっぱり?話は聞いていたけど、カレ、すっごく貫禄があるわね。さすが伝説の”神狼”と言われてるだけはあるじゃない?」
「ハハ……さすがに伝説の狼とは別物だとは思いますけど。あ、わざわざその事を知らせてくれたんですか?」
「ううん、こちらが本題なんだけど。実は、アリオスがアナタたちと情報交換がしたいらしいのよ。夕方くらいに戻ってくるんだけど何とか時間が取れないかしら?」
「夕方ですか……それだったら大丈夫かと。情報交換ということは、やはり通商会議についてですか?」
「それもあるけど……”黒月”と”赤い星座”に関してね。」
「……わかりました。一通り用事を済ませたらそちらに伺います。」
「ええ、待ってるわ。」
「遊撃士協会のミシェルさんからみたいね。」
「何かあったのかよ?」
ミシェルとの通信を終えたロイドにランディは尋ねた。
「いや、情報交換の申し出さ。」
ロイドはミシェルの用件について他のメンバーに説明した。
「”黒月”と”赤い星座”か……確かにアリオスのオッサンなら自治州外の情報にも詳しそうだな。」
「フフ、渡りに舟かもしれないね。それじゃあ今から、クロスベル市に戻るのかい?」
「いや、アリオスさんが戻ってくるのは夕方らしい。それまでは、こちらの用事を済ませていても大丈夫だろう。」
「”赤い星座”の情報は一通り集められたけど……せっかく車があるからまだ色々回っても良さそうね。」
「それでは用事を済ませたら東通りのギルドに行きましょう。」
その後他の支援要請や用事を済ませたロイド達は遊撃士協会の支部に向かった…………
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