おぢばにおかえり
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第三十二話 あちこち回ってその十二
「響鬼ではそうじゃなかったの」
「最初は仮面ライダーに出られるって大喜びだったんですけれどね」
私だってそうです。仮面ライダーって言えばもう。
「それでも。前半のファンに叩かれまくって」
「ノイローゼになったの?」
「はい。イベント出るのが怖くなる程に」
「可哀想ね、それって」
「中村さんがですか?」
「中村さんもだけれど叩いた人達がよ」
むしろ私はその人達の方が可哀想だと思いました。
「はらだちのほこりをそこまで積むなんて。可哀想よ」
「はらだちですか」
「他にも色々とありそうだけれど」
「凄い有様でして」
阿波野君もその時のことはあまりいい思い出ではないみたいです。
「御本人物凄いショックだったんですよ」
「中村さんに罪はないじゃない」
「騒ぎに巻き込まれたんです」
本当に被害者としか思えません。
「で、そういうことね」
「無茶苦茶ね。役が気に入らなかったとかでしょ?どうせ」
「はい、その通りです」
やっぱりそうでした。
「それでもうネット中で前半のファンが大暴れしまして」
「番組終了まで続いたので」
「終わった時ほっとしましたよ」
阿波野君はこうも言いました。
「やっと・・・・・・って感じで」
「響鬼はそういえば」
私は阿波野君と話してるうちに気付きました。
「仮面ライダーの中ではあまり観てないわね」
「そうなんですか」
「他は全部観たのよ」
家に帰った時にです。もうクウガから今のまで。
「それでも響鬼はね」
「作品としてはいいですよ」
「そうなの」
「騒ぎは酷かったですけれど」
阿波野君もどうしてもここから離れません。
「まあそれでも」
「何か観るのが怖いわね」
「僕はどっちかっていうと剣が好きなんで」
阿波野君は剣派みたいです。
「それにアギトですね」
「結構渋い?」
「そんなつもりはないですけれど」
「私はカブトかしら」
水嶋ヒロさんが物凄く格好いいからです。
「あれが一番よかったわ」
「僕あの中じゃ神代剣が一番好きなんですよね」
「山本裕典さんね」
「はい、あの人です」
山本さんも凄く格好いいから好きです。それにしてもあるドラマで観たら背もかなりありました。あのお顔であそこまで大きいんだってびっくりした位です。
「背も高いんですよね」
「そうそう」
阿波野君もこのことに気付いていました。
「一八〇。あるわよね」
「僕より高いんですよね」
「私と比べたら三十センチよ」
この差がもう。お話にならない位です。
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