英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第16話
~カジノハウス”バルカ”~
「な、何だったんだ……?」
「つ、つい見逃しちゃいましたけど………」
「手加減していたとはいえ”大天使”の奇襲に気付いた上回避するなんて……」
「……あの人間、何者だ……?」
2人が去った後ロイドは戸惑い、ノエルは溜息を吐き、エルファティシアは目を細め、メヒーシャは真剣な表情で考え込んだ。
「フフ、強烈な子だったね。15,6歳くらいかな?なかなか良い仕事するじゃない。」
「お、おい、ワジ。」
そして笑顔で言うワジをリィンが焦ったその時
「良い仕事じゃありません!ううっ……どうして私がこんな目に……」
エリィは怒鳴った後疲れた表情で溜息を吐いた。
「えっと……災難だったな。」
「ま、まあ女の子同士だしそこまで深刻にならなくても……」
エリィの怒鳴りを聞いたロイドとノエルは苦笑しながら慰めの言葉をかけ
「それに君、マリアベル嬢に揉まれ慣れてるんじゃないの?」
ワジは意外そうな表情で尋ね
「も、揉まれ慣れてません!」
尋ねられたエリィは顔を赤らめて怒鳴った!
「あら♪その様子だと”まだ”ロイドには揉まれ慣れていないのね♪」
エリィの怒鳴りを聞いたエルファティシアはからかいの表情でエリィを見つめ
「なっ!?」
「な、何でそこでロイドが出てくるんですかっ!?」
エルファティシアの言葉を聞いたロイドは顔を真っ赤にして驚き、エリィは顔を真っ赤にしてエルファティシアを見つめ
「うふっ♪貴方達は互いを思い合っている相思相愛の恋人同士なんだから、私やヴァイスハイトのように肉体関係の間柄まで進んでいると思っていたんだけどな~?貴方達が恋人同士になって結構経っているし。」
見つめられたエルファティシアは小悪魔な笑みを浮かべて言い
「エ、エルファティシアさん!」
「ハハ、ストレートだなぁ。」
「え、えーと…………」
「………………私の知る限りでは”そういった事”はしていないようだが……まさか既にしているのか?」
ノエルは顔を真っ赤にして声を上げ、ワジは笑顔で言い、リィンは頬を赤らめて苦笑しながらロイドとエリィを見つめ、メヒーシャは頬を僅かに赤らめて静かな表情で呟いた後、ロイドを睨み
「な、な、な…………」
「し、してませんっ!!」
ロイドは口をパクパクし、エリィは怒鳴った!
「うふっ♪それにしてもロイド、よかったわね~?貴方、あの胸をいつか好きにできるのよ?私より大きいあの胸……さぞ揉みがいがあるでしょうね♪」
そしてエルファティシアは小悪魔な笑みを浮かべてエリィの胸に視線を向けた後ロイドを見つめて言い
「~~~~~~!!!」
(くかかかっ!まあ、間違ってはいないわなっ!!女の胸を好きにする……ほとんどの男なら誰でも抱く思いだっ!)
(…………まあ、男の子なんだから仕方ないわよね……)
エルファティシアの言葉を聞いたロイドはエリィの胸に一瞬視線を向けた後顔を真っ赤にし、その様子を見たギレゼルは笑い、ルファディエルは苦笑し
「エルファティシアさん!ロイドに余計な事を教えないで下さいっ!!」
エリィは怒りの表情でエルファティシアを睨んで怒鳴ったが
「あら♪”余計な事を教える”という事はいずれ”そういう時”が来れば、させてあげるのね♪」
「~~~~~~!!!」
からかいの表情のエルファティシアに見つめられ、顔を真っ赤にして黙り込んだ。その後、ロイド達は警察本部に戻って一課を呼び出し……黒月とラギール商会の動向と合わせてレクターに関する報告を行った。
~警察本部~
「―――ご苦労でした。色々と掴めたようですね。」
「ええ、まさかあっさりと情報局の人間であることまで認めるとは思いませんでしたが……」
「……こちらに知られた所で、諜報活動を制限されないという自信があるのでしょう。しかしこれで、滞在期間も大まかに把握できましたし……予想以上の成果を上げてくれたようですね。」
「はは……そう言っていただけると。」
「フフ、誰かさんが身体を張った甲斐があるってもんだよね。」
「は、張ってません!」
エマの言葉を聞いたロイドは口元に笑みを浮かべ、口元に笑みを浮かべて言ったワジの言葉にエリィは頬を赤らめて反論した。
「しかしその、同行していた少女というのも気になりますね。レクター大尉の諜報関係の部下といった感じでしたか?」
一方エマは表情を厳しくてロイド達に尋ね
「……いえ、違うと思います。諜報関係者にしては若すぎるし、あまりにも無邪気すぎる。もっとも、普通の民間人にも見えませんでした。」
「……そうですね。身のこなしも素早かったですし。」
「―――わかりました。その娘については一課の方でも動向を把握しておきましょう。では、私はこれで。今回はお世話になりました。」
ロイドとノエルの話を聞いて頷いた後ロイド達に言った。
「いえ、また何かあったら遠慮なく連絡してください。」
「ええ。」
そしてエマはロイド達から去って行った。
「ふう……何とか期待に応えられたか。」
エマが去った後ロイドは安堵の溜息を吐いた。
「……はあ、そうね……それにしてもあの子……本当に何者なのかしら?メヒーシャの奇襲を回避するなんて只者じゃないわよ。」
「そうですね……ノリで誤魔化されましたけど普通の旅行者とは思えませんし。」
「一体何者だろうな……?」
「恐らく戦闘能力はかなり高いでしょうね。」
「大国の情報将校に同行する無邪気で奔放な少女か……フフ、なかなか興味深いね。」
エリィが呟いた言葉を聞いたノエルは頷いた後リィンと共に考え込み、エルファティシアは真剣な表情で言い、ワジは静かな笑みを浮かべて言った。
その後ロイド達が警察本部を出るとエニグマが鳴る音が聞こえてきた。
~行政区~
「あっと、課長かな?」
「そろそろかかって来てもおかしくない時間ね。」
そしてロイドは通信を始めた。
「はい、特務支援課、ロイド・バニングスです。」
「おう、ご苦労。朝言った通り、そろそろ警察学校に来てもらうぞ。場所はわかるな?」
「ええ、もちろん。西クロスベル街道の途中からゲートに入ったところですね。」
「ああ、ゲートは開けておく。ところで……一通り街を回ったはずだな。素直に言ってどうだった?」
「あ…………そうですね。色々とキナ臭い状況になり始めている気がします。」
「その嗅覚、今まで以上に研ぎ澄ませておくといい。それじゃあ待ってるぞ。」
「了解しました。」
セルゲイとの通信を終えたロイドはエニグマを元の位置に戻し
「やっぱり課長だったみたいね。」
「何か気になることを言ってたみたいですけど……?」
エリィとノエルがロイドに通話内容について話しかけた。
「ああ、課長も色々と状況の変化を感じているらしい。黒月やラギール商会、レクター大尉のことも報告した方が良さそうだな。」
「そうね…………」
「それでそろそろ警察学校に行くのか?」
ロイドの話にエリィは頷き、リィンはロイドに尋ね
「ああ、西口から街道に出よう。」
尋ねられたロイドは頷いて提案した。その後ロイド達は西口を出て街道に出た。
~西クロスベル街道~
「さてと……みんな、どうする?警察学校まで行くとしたら徒歩かバスになるけど。」
街道に出たロイドは仲間達を見回して尋ね
「そうね……私はどちらでもいいわ。最近、歩いてなかったからちょっと身体を動かしたいし。」
「私は乗り物に乗るより自分の足で歩く方が好きね。その方が自然の声が聞こえるし、心地よい風をその身に受けれるしね。」
「俺はできれば歩きたいな。実際に歩いて街道の地形が実際どうなっているか把握しておきたいし。」
「それに確か、西クロスベル街道に手配魔獣が出ていましたよね。だったらついでですし、歩いた方がいいかもしれません。」
エリィ、エルファティシア、リィンは答え、ノエルは提案し
「おいおい、マジかい?さすがに徒歩なんてダルすぎる気がするけど……」
エリィ達の話を聞いたワジは疲れた表情をした後不満げな表情で言った。
「もう、いい若者がそんなことじゃ情けないよ?普段、夜遊びばかりしてるんだからこういう時に身体を動かさないと!」
ワジの言葉を聞いたノエルは溜息を吐いた後真剣な表情でワジを見つめて言い
「体育会系のノリはあまり趣味じゃないんだけどな。ま、いっか。疲れたら優しいリーダーに負ぶってもらえばいいんだし♪」
ノエルの言葉を聞いたワジは溜息を吐いた後笑顔でロイドを見つめ
「負ぶらないから。」
見つめられたロイドは指摘した。
「ふふ、それじゃあ徒歩で出発する事にしましょうか。手配魔獣が出るかもしれないから気をつけないとね。」
「了解しました!」
その後ロイド達は街道を徒歩で進み、しばらく進むと策がある崖の傍にいる一人の赤毛の大男を見つけた。
「あれ…………」
大男を見つけたロイドは不思議そうな表情をし
「…………………………」
大男は黙って線路を見つめていた。
「こんにちは。もしかしてあなたも街道を歩いてきたんですか?」
「―――来るぞ。」
ロイドが大男に尋ねたその時、大男は呟き
「え…………」
「帝国からの列車だ。ちゃんと見ておけ。」
自分の言葉に呆けているロイドに大男は言った。すると帝国方面から列車がやって来て通り過ぎた。
「エレボニアからの大陸横断鉄道の列車ですね。」
「あの、何かおかしな事でも?」
「いや?おかしな事は何もないさ。ところで、そこの小僧。今の列車―――乗客は何人乗っていた?」
「へっ…………」
エリィの疑問に答えた後唐突に尋ねてきた大男の質問を聞いたロイドは呆け
「一応、車両の中まで目を配っていただろうが。何人だ、答えろ。」
「そ、それは…………(何でそんな事がわかるんだ……?)……………52人です。」
大男に尋ねられて内心驚き、考え込んだ後答えた。
「ほう、当たりだ。マグレかどうか知らんが良い目ををしてるようだな?」
ロイドの答えを聞いた大男は感心した様子で呟き
「た、たまたまですよ。(まさか当たるなんて……)」
ロイドは内心驚きながら答えた。
「フフ……せいぜい目は鍛えておけ。漫然と眺めるな。状況そのものをふひんしろ。その上で、そこにある要素を瞬間的に掴み取っておく……」
「え…………」
大男が呟いた言葉を聞いたロイドが呆けたその時大男は―――片目に眼帯を付けた大男は振り向いてロイドに言った。
「―――それが戦場で生き残るコツってやつだ。まあ、覚えておくといい。」
そして大男はロイド達から去って行った。
「ぷはあ~~っ!」
「い、いったい何者……?」
「体格といい、隙の無さといい只者じゃありませんね…………」
「ああ……それに威圧感もリウイ陛下ほどではないけど凄かった………」
「恐らくかなりの数の戦場を潜り抜けているわね……」
大男が去った後ロイドは溜息を吐き、エリィは真剣な表情で呟き、ノエルは考え込み、リィンはノエルの言葉に頷き、エルファティシアは真剣な表情で呟き
「いや…………そんな程度じゃ済まないかもしれないよ?」
何かに気付いたワジがある方向を見つめて言った。
「え……」
ワジの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情をしてワジが見つめている方向を見るとそこには大型の魔獣の死体がいくつもあった。
「なっ……!」
「あれは……!?」
死体を見たロイドとエリィは厳しい表情をした後魔獣の死体に近づいた。
「ひ、酷い………」
「まさかこいつら……今朝、確認した手配魔獣か!?」
「ま、間違いありません!手配された特徴と一致します。報告されたものより数は多いみたいですけど……」
「3、4、5体……どれも斬撃で倒されている。さっきの男の仕業かな?」
「ああ、間違いないだろう……鋭利な刃というより、巨大なナタみたいなもので切り裂かれたみたいだけど……」
ワジの言葉に頷いたロイドは考え込み
「大剣を使うヴァイスハイトやギュランドロスなら可能だけど……状況を考えるとどう考えても今の男の仕業でしょうね。」
「ええ……それにしても鮮やかと言っていいほど真っ二つにされているな……」
真剣な表情で呟いたエルファティシアの言葉に頷いたリィンは魔獣の死体を見て考え込んでいた。
「み、みんな……よく冷静に観察できるわね。」
「すみません、あたしもこれはちょっとキツイです……」
ロイド達の様子を見たエリィとノエルは溜息を吐いて言った。
「わかった。いったんここから離れよう。……あの男は……もう行ってしまったみたいだな。」
「ああ、クロスベル市に歩いて行ったみたいだね。……今から追いかけても捕まえるのは難しそうだな。」
その後ロイド達は街道を進み、さらにその先にあるゲートをくぐって森を抜け、警察学校に到着した…………
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