真田十勇士

「立花殿、無論お父上にもです」
「伝えて下さいますか」
「お役立て下さい」　
　幸村は宗茂に真摯な声で答えた。
「それがし達が「調べてきたことを」
「そうして頂けるのですか」
「拙者、立花殿のお心を知りました」
　それ故にというのだ。
「ですから」
「そうですか、では」
「それまでお待ち下さいませ」
「まずは敵を知ることです」
　宗茂はこうも言った。
「それから戦となります」
「はい、それでは」
「こう言うのは図々しいですが」
　それでもと言った宗茂だった。
「当家も島津家について調べていますが」
「それがしの調べたこともですな」
「お聞きしたいです」
「耳は多い方がよいですな」
「目もです」
　だからこそというのだ。
「それ故にです」
「では」
「はい、お礼は致します」
「いえ、お礼はいりませぬ」
　幸村はこのことは微笑んでだ、宗茂に返した。
「そうしたものは欲しくありませぬ」
「そこでもそう言われますか」
「はい、それがしそうした欲はありませぬ故」
「しかしそうもいきませぬ故」
「お礼はですか」
「それは返すもの」
　絶対にという言葉だった。
「ですから」
「ではそれは」
「刀なり何なりをお贈りしましょう」　
　こう幸村に申し出るのだった。
「それなら宜しいでしょうか」
「武具をですか」
「はい、若しくは書を」
「銭や宝ではなく」
「そうです」
「ですか」
「武士としてです」
　まさにというのだ。
「お願いしたいですが」
「そこまで言われるのなら、そして」
「武具ならば」
「武具を授けられるのは武家の誉れ」
　それならばだった。
「それがしもです」
「そうですな」
「はい、では」
「その時は」
「お願いします」
「わかりました」
　幸村も遂に約束をした。
「その様に」
「さすれば」
「はい、ではこの店を出たならば」
「すぐにですね」
「この国を調べさせて頂きます」
「これまで通り」
「大友家を救う為に」
　宗茂に言うのだった。
「そうさせて頂きます」
「ではその様に」
「そしてその後で」
　さらに言った幸村だった。
「お話した通りです」
「お気をつけて」
「はい、それでは」
　二人で話をした、そして。