μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜
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第36話 serment
「あのね大地さん、聞いてほしいことがあるんです」
「あぁ...多分君が話したいことは俺に関することだろ?」
「......はい」
大地はさっきの真姫と花陽の会話を思い出しながら的確な質問をする。
その少女はロビーから大地を見下ろした感じで小さく答える。
放課後とはいえ既に部活に参加する生徒もいれば、帰宅してそれぞれの生活を楽しむ生徒もいる。
それ故に、彼らたちのいる三階階段のロビーには生徒の気配がどこにも感じられなかった。
夕陽の暖かい光を微かに感じながら、大地はゆっくり階段を上る。
彼が一歩足を進めるごとに一歩、また一歩と花陽は後ずさりをする。
花陽が何を思ってここにいて、何を思ってそんな顔をしているのか、それは彼女自身にしか分からなかった。
だけど、そんな決意めいた表情をして大地に話があると言った以上、ここで引き下がるわけにはいかなかった。
再度、大地は真姫のセリフを思い出す。
────だったら行動を起こしなさいよ!損得なんて関係ないわ!思ったことに素直に.......なりなさい?
恐らく、これが花陽のターニングポイント。
ここで胸に秘めた事を打ち明けられれば、花陽はきっと......
元はと言えば大地があの時すぐに電話を切れば、ここまで彼女を苦しめることなんてなかった。
だから彼は話がしたい。今ある花陽の思いをすべて聞きたい。
そう思っていた。
ここで彼はどう出ようかなんて決まっていた。
自分のケツは...自分で拭く。
「花陽、聞かせてくれ。君は一体何を見たんだ?」
───第36話 serment───
笹倉大地の問いに花陽は数秒時間を要した。ようやく彼女は口を開く。
「どうして......」
「え?」
「どうして...大地さんは、黙ってたんですか?」
少年の質問に質問で返す花陽。
ーーー黙っていた...つまり、きっとそういうことを言いたいのだろう...。
ゴクリと大地の喉を鳴らす音が異様に大きく聞こえる。
「...何をだ?」
「大地さんも、わかってるはずです。私たちに何を隠しているのかなんて。どうしてですか?私たちに気を遣って、優しくしてくれて...お人よしの大地さんが、記憶喪失だなんて...」
「......やっぱり、あの会話は聞いてたんだな。」
こくりと無言で頷く。
正直、大地の記憶喪失を黙っていたことでここまで誰かを苦しめることになるとは想像できていなかった。
あくまでこれは彼自身の問題であり、彼女たちには関係ない、踏み入れさせてはならない領域だと思い込んでいた。
だけどその結果、コーティングしていたところから徐々に綻びが生じ、脆い部分が剥がれ落ち、誰かを傷付ける結果を生み出してしまった。
───浅はかだった。
もっとよく物事を考えておくべきだった。そうすれば花陽は普通の日常を送ることができたはずなのに.....
花陽が涙を目尻に溜めてこくりと頷く頃にはもう既に階段を上りきり、彼女と対等の位置に立つ。
「大地さん。大地さんは何をしているのですか?」
「なんだって?」
彼は慌てて聞き返す。普段の彼女とは思えない”強い”感情が見えた。彼女は日常的に”アイドル”や”お米”の時にテンションが上がることを笹倉やμ‘sのみんなは知っているし、彼にとってもみんなにとっても見慣れたものだ。
ツッコミや笑うことはあっても”焦燥”のような気持ちを感じることは珍しい。いや、初めてだ。
だが、今の彼は、いつもの感情パターンから外れざるを得ない状況に直面していた。
彼女の目が、表情が明らかに変わったように思えたからだ。
”怒り”とはちがう.....心配してるけど、その中に複雑な想いがあるように思える。
すると突然彼女は言い出した。
「なんで私たちに話してくれなかったんですか?そんなに私たちが頼りないんですか?確かに昔の大地さんの出来事なんてわかりませんし、話したところで私にどうこうできるなんて思えません。でも、そんなに大切なことを知って.....大地さんが一人で苦しんでいるのを知って...黙って見ぬ振りするなんて私にはできません!」
「花陽....」
笹倉大地はこれまでの人生で何度も大変なことを経験していることを小泉花陽はなんとなく予想していた。ただしそれは、例えて言うなら”町中のケンカの延長線上にある”ようなものだと、思っている。
過去に一度だけ、同じメンバーの希が不良たちに襲われかけたことを、花陽と凛がそのメンバーに襲われたことを知っていたが、あれはまさに人生一度の出来事だと思いっていた。
まさかこんな.....”記憶を失うほど”の大きな問題を抱えた人生を送ってきただなんて、誰に想像できただろう。
(記憶...喪失)
こんな風に精神を削っていくような毎日を過ごしていればいつ壊れてもおかしくない。
記憶喪失の原因が精神的なショックなのか、それとも脳の構造的な問題なのかは花陽にはわからない。だが、そのどちらの原因であっても『壊れる』と、思えてしまう。
それぐらいに、きっと笹倉大地は追い詰められていたんだと花陽は思う。
しかもそれを誰かに語ることなく一人でだんまりを決め込んでもがき苦しむ彼はあまりにも目も当てられない情を感じさせた。
”未遥”という少女が何故彼の”記憶喪失”を知っていたかなんてこの際置いといて、花陽の耳には”未遥”がソレを本人の前で告げた時の彼の悲痛な呻き声のみがずっとリピートしている。
───大地くんが記憶を無くしてるってこと、知ってるの?
助けるべきだ、と花陽は思う。
今にも心が引き裂かれそうな大地の、頭の中の記憶を失うほどの経験をして、それでも誰にも告げずにみんなに悟られまいと、至って普通の高校生活を送ろうとする先輩のことを。
「.....?」
大地は言葉を発さない花陽を、不思議そうな目で見ていた。
花陽が一体何を考えているのか、全く理解していない顔。
他人に心配かけさせるような事は全部内緒にしているから、誰かに声をかけてもらうようなことは絶対にありえないと誰かに悩み事を相談して一緒に解決しようなんて都合のいいことなんて許されるわけないと、心底そう思っている顔。
そんな彼を見ていると心配で、それでもって相談してくれないことに対して僅かながら苛立ちを彼女は感じていた。あの花陽が...いつもオドオドしていて後ろからついてくる彼女が。
大地に怒りを覚えている。
「言って...欲しいです」
気が付けば花陽はポツリとつぶやいていた。
ここから先の言葉を紡いだら、もう後戻りはできない。そうとわかっていながらも彼女は言葉を止めることはできなかった。
「な、なにをだよ」
「助けて欲しいって...相談に乗って欲しいって。ううん、そんな具体的な言葉じゃなくてもいいんです。もっと単純でいいんです。怖いとか不安だとか、そういうことを一言でも言って欲しいんです!」
「花陽?な、なにを言って───」
この期に及んでまだ誤魔化そうとする...違う。花陽を巻き込まないようにシラを切り続ける大地に花陽は切り捨てるようにこう言った。
「私は知ってます......大地くんが記憶喪失だってことを私は知っているんです!」
さっきよりも大きな声で、花陽ははっきりと断言する。
誤魔化しきれないと理解した大地は肩をビクンと大きく動かす。
────大きく。それこそ、隠すことを続けてきた大地の決心を”大きく”揺るがすような反応だった。
すっと、彼は視線を逸らす。
戸惑っている大地を見て、花陽も少し罪悪感に苛まれる。
でも、それがどうしたんだ。
花陽はかつて、大地に救われたことがある。『スクールアイドル』になりたいという想いと、どうせ私にはできっこないと悩んでいた彼女に手を差し伸べてこの道を歩む決意の場を与えてくれたことがある。
彼の優しさと気遣いのおかげで...。
本当は自分自身がなることを諦めて”μ‘s”の活躍を応援しようと一瞬考えていた花陽の前に、笹倉大地は現れた。そして、こう誓ってくれた。
────花陽の笑顔も............俺が守ってやる!
全てを押し殺して一人で解決しようとしていた花陽の前に、大地は現れた。
彼女の心の奥底へ、土足で遠慮なしにズカズカと踏み込んでく様なやり方で。
確かにそれはデリカシーの欠片も無い、プライバシーを侵すような、普通なら許されないやり方だっただろう......
しかし、小泉花陽という夢見る女の子は、そうして彼に救われたのだ。
...だとしたら、彼も...笹倉大地もそんな方法で救われたっていいじゃないか?
だからこそ、花陽は言う。
「大地さんのこれまでの人生で、とても私じゃ考えられない大変な日々を送ってきたことはわかっています。でも、それは全部大地さんが一人で抱え込まなくてはならないものなんですか?そんなに...そんなに苦しそうな表情になって、記憶までも失ってまでして...それでも、大地さん一人で抱え込まなきゃいけない理由ってなんですか?」
大地は、花陽の本気の気持ちを聞いていた。
彼が脳内で考えているのを理解しておきながら、花陽はそれでも言葉をぶつける。
「わ、私だって...できます!」
正面から挑むように。
ただ真っ直ぐに意志をぶつけるために。
今まで喉の奥でつっかえていたものをすべて吐き出すように、ただ自然と花陽のくちから言葉が飛び出す。
「私だって、大地くんの力になれます!!!!」
小泉花陽は初めて、大地の事を”くん”で呼んだ。
彼女の吐き出した本音は”嘘”なんかではない。
それは花陽がスクールアイドル”μ‘s”の一員だからではない。そんなどうでもいい肩書の話ではない。
もし仮にスクールアイドルを辞めてただの女子高校生になったとしても、彼女は同じセリフを言えると絶対に誓える。
こうして自信を持ってそう思えるのは”μ‘s”と出会ったから、真姫に教えてもらったから、そして...大地が支えてくれたから。
だから今の花陽はどうしたいのか、どうありたいのか勇気をもって言えることができる。
「大地くん一人で抱えて傷つき続ける理由なんてどこにもないのです!だから......私を頼って欲しいのです」
「......」
花陽の気持ちを、大地は黙って聞き続ける。
「どうして...どうして自分の理論を自分にだけはあてはめないのですか?どうして大地くんは人に助けを求めないんですか!」
花陽は大地の顔を見据えた。
そこにあるのは『愕然』のような感情。
だけどそれは『隠していた事』が明るみに出た驚きではない。花陽がこうして、彼に対して真っ向から立ち向かって『気持ち』を伝えることに対する驚きだ。
「そう、か......」
大地はしばらく呆然としていたが、やがて唇を動かす。
笑みを漏らしながら...
「俺の”秘密”を知った上に...そんなに俺の事を心配してくれてたんだな」
何かを悟ったように、大地の腕に力が妙に籠る。
その姿があまりにも不憫で、可哀想で。思わず花陽はその力の入った手をギュッと握る。
「...ありがとうな花陽。でも、さ。違うんだよ」
何か言おうとした花陽を遮るように、大地は言った。
「俺は小学生の時の大半の記憶が無いから詳しいことは全然わかんねぇんだけどさ」
なにか...大切なことを言いそうな気がする。花陽はそう感じながら彼の言葉に耳を傾ける。
「以前の俺のことなんて思い出せないけど、どんな気持ちで最期を迎えたのか、全く想像できないけどさ。でも、心がボロボロになるまでとか、記憶を失うまで過酷な日々を送っていたとか、自分一人が傷つき続ける理由はどこにもないとかさ」
記憶喪失であることが彼の言葉によって露見にされた。それ自体が彼にとってとてつもなく大きな出来事なずだ。だが、大地が抱えている”芯”はそこではない。
「多分さ、俺はそういうことを言うために、記憶が無くなるまで地獄の日々を送ったとか、体を張ったんじゃあないんだと思うんだよ」
花陽の表情が止まった。今話したこと事が、笹倉大地の”芯”であり、根っこの部分。
だからこそ、彼は記憶を失ってしまった事実を隠す。誰かのせいだと、動かなければこんな結末を迎えることは無かったと、くだらないセリフを口に出してその誰かを傷付けなさせいために。
それはもう、決して思い出すことができない、笹倉大地を形成する、一つの過去。
だけど、それでも大地は何かを成すために傷つく覚悟を決めて、実際にそれを一つの結果として成し遂げた。
美化された自殺願望でもなく、やるべき行動の先にある”結末”という終わりが待ち構えていて、それでも揺らぐことなく前へ進んだ、という一つの結果を。
「もうあの時の事は...思い出せるかわかんねえけど。でも、仮に思い出せなくても、その失った”カタチ”のおかげで”今”の俺がここにいる。俺が生きている。いなくなった頃の俺が、”今”の俺の原動力になって、動かしている。残っているんだよ花陽...”頭”じゃなくて”胸”に」
そう言って大地は自分の頭を指さしたあと、胸に移動する。
恐らく大地は、曖昧で、自分自身すら確証を持つことができない『何か』に誇りを持っている。信念があるからこそ、μ‘sに愛情を持っているからこそ、大地は後悔しない。もしも、過去の自分に会えるとしたら、彼は間違いなく『ありがとう』を笑顔で言うことができる。
大地は絶対にそう信じてる。
「結局、何も変わんねぇんだよ。もしも俺の記憶が失われなかったとしたって、俺のやるべきことは同じなんだ。君たちのサポート役でもあり、μ‘sの十人目のメンバーでもある笹倉大地っていう人間は、記憶の有無で行動理由が揺らぐような甘い人間じゃねぇんだよ」
花陽は言葉を失ってしまった。
笹倉大地という男の子は...彼女たちを支える男子高校生は、強い人間だった。
花陽が知っていた彼よりもずっと、ずっと...
────お節介だった
自分のやったことが彼の地雷を掘り返しただけだけたったことに今更気が付いた。
おそらく、彼の言ったことに嘘偽りは無い。彼はただ、自分の本心を明かし、それでも自分にはやりたいことがあるからやろうと決意している。
理屈で言えば、これ以上は深みにハマってはいけない。
見守るべきだ。
でも、彼女にはどうしてもできない。納得できない。
今日、この日、この時、この瞬間。
小泉花陽は知る。
自分の内側には、こんなにも軽々と体裁を打ち破るほどの、莫大な感情が眠っていることを。
「でも花陽には、言わなきゃならないことがあるんだ」
「え?それは?」
大地は花陽に近づいて肩をそっと抱き寄せる。
自分が今、意中の男の子に何されたのか理解すると、途端に顔を真っ赤にさせてもがこうとする。
「ふぇ!?だ、大地くんなにを────」
「ありがとう」
笹倉大地はそう言った。
花陽のやったことは確かにお節介ではあった。にも拘わらずに少年は、大地は『ありがとう』と感謝の気持ちを伝えた。
「本当は誰にも俺の”秘密”を知って欲しくなかったんだ。知ったことできっとその子が迷惑がかかると思ったから、知ったことで花陽みたいに悲しむと思ったから。ずっと”秘密”を隠し通してやっていくつもりだった。でも無理...だったな。今こうして花陽に知られてお説教くらってるもんよ」
「お、お説教だなんてそんな...」
「でも俺さ、間違ってた。μ‘sのこと...花陽の事をよくわかっていなかったよ。花陽がこんなにも、俺の事を想ってくれていたんだから」
大地にとっては、それがとても嬉しかった。
あの花陽が、引っ込み思案で自分の気持ちを素直に話せない花陽が彼の為に、自分の気持ちを吐露したことが。
『私だって、大地くんの力になれます』と、大地の為にああ言ってくれたことが嬉しくて、胸にしみてきて。
さらに大地は花陽を強く抱きしめる。
「俺さ...怖かったんだ」
「...”秘密”がバレることが、ですか?」
「それもそうだけどさ、バレたことでみんなと距離を置かれてしまうんじゃないかって。みんなに限ってそんなことないってわかってたけど、それが何よりも怖かったんだ。だからこうして花陽に受け入れてもらえて、俺の力になれると言ってくれた事が嬉しかったんだ」
大地の目から僅かに光るものが見える。
「俺は弱虫で、泣き虫だ。たったそれだけのことでこうして花陽に崩れている。君の優しさが嬉しくて...今までやって来たことが無駄じゃなかったんだって思えてきて」
「無駄なんかじゃないです。でも大地くんは今日までずっと一人で戦ってきたんです。だから今度は私を...”私たち”を頼って欲しいんです」
恥ずかしがりながらも、花陽は大地と同じように抱きしめ返す。
「大地くんは私にこう言ってくれました。『花陽の笑顔も............俺が守ってやる!』って。だから今度は、私にも同じセリフを言わせてください」
その言葉に大地は一旦離れて、花陽の口もとに注視する。
そして、動く口はとてもゆっくりに見えていた。
でも彼ははっきりと聞くことができた。
それは大地自身がかつて、目の前の少女に向けて放った言葉。
スクールアイドルになるか否か、葛藤していた彼女に背中を押した一言。
それを今度は放った本人に向けて、彼女の想いを載せて放たれた。
「......あぁ、そう...だよな」
光がポタリポタリと薄汚れた床に落ちる。
今まで守り続けてきたものが、氷が解けているのを表していた。
花陽の優しさと真っ直ぐな気持ちに助けられた大地はもう一度顔をあげる。
そこには笑みがふくまれていた。
「俺は...もう抱え込まなくていいんだな」
その姿に花陽は安堵した。彼女の瞳からも僅かに光が零れ落ちるのがわかる。
花陽の悩みを聞くはずが、大地の悩みを見透かされ...助けられた。
ミイラ取りがミイラになるとはまさにこのこと。
でもそれでよかった。
───大地くんの笑顔も...私に守らせてください!
彼女のそのセリフが心の中で反芻され、それが原動力となってどんどん溢れてくるものがある。
大地は力強く頷く。
乗り越えた。
変わった。
前に進む事ができた。
笹倉大地も...小泉花陽も変わることができた。
今まで嘘を付き続けてきたこと、一歩が踏み出せなかった世界にようやくたどり着くことができた。
「約束だ、花陽」
「はい♪約束です、大地くん♪」
それはっと少年と少女の誓い。
隠し続けた少年と、前に踏み出せなかった少女の大切な”約束”
「さぁ、もう戻ろうか。アイツら心配してるだろうし。」
「そうですね、”ラブライブ!”に向けてこれから猛特訓です!」
「あ!つか花陽がみんなに言ってなかったから俺が問い詰められる羽目になったんだけど!!」
「ふぇぇ!?それって私のせいなんですかぁ!?」
「ああ君のせいだね。俺のことで悩んでくれてたのかもしれないけど、それとこれとは話が別だよ」
「それは酷いです大地くん...」
大地の理不尽ないいようにぶうっと頬を膨らませて大地を軽く睨む。
そんな姿が愛おしくて思わず大地は頭を撫でまくる。
「ひやぁ!やめてよぉ~髪がぐしゃぐしゃになる~!」
「おらおらーーー!!」
そこにはもう、いつもの2人がいた。
お互いの想いをぶつけて、納得した結果。
お互い和解し合うことで生まれた絆
これが、大地の決定的な物事の解決になるわけではない。だけど、今こうして笑えるのは彼女が......小泉花陽が意を決して大地のプライバシーに踏み込み、彼の心を救ったからだ。
だから彼は笑える。明日を見ていける
音ノ木坂の放課後。
とある階段の片隅で2人の学生のそんなやり取りが繰り広げられていた。
「花陽......」
「うん?なぁに?」
大地は自身を救ってくれた年下の女の子に向けて、笑顔でこう言った。
────ありがとうな
と。
後書き
ここまでが書き溜めていた話になります。
誤字脱字が激しく、読みづらさ満点だったかと思います。が、ここまで読んでくださった方に感謝の言葉を申し上げます。
この話以降、新たに書き上げる話となりますのでお楽しみに!!
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