| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Blue Rose

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十七話 旅立ちその三

「過ぎたらな」
「毒だよ」
「肝臓とかあちこち壊してな」
「よくないよ」
「だから優子さんも気をつけてるんだな」
「本当にお酒で死んだ人多いからね」 
 現実問題としてこのことがあってだ、優子も実際にそうしているのだ。
「アルコール中毒になるまで飲んでないよ」
「それは何よりだな」
「本当にそうなったらまずいから」
 命に関わるからである。
「姉さんもね」
「それでも昨日はか」
「飲んだみたいだね」
「特別な日だからな」
「そうだね、だからだね」
「あの人も飲んだんだよ」
 二日酔いするまでにというのだ。
「そういうことだな」
「そうだね」
「ああ、それでな」
「それで?」
「いや、御前これから新幹線で行くんだよな」
 長崎までとだ、龍馬は優花に尋ねた。
「そうだよな」
「そのつもりだよ」
「八条鉄道じゃないんだな」
「どうしようかって考えたけれど」
 長崎までの移動にだ、どの鉄道を使うかでだ。
「やっぱりね、速いからね」
「新幹線はな」
「八条鉄道にも特急があるけれど」
「新幹線は別格だな」
「あれはね」
「だからそっちにしたんだな」
「うん、新幹線にね」
 そちらにしたというのだ。
「そうだったんだ、それにね」
「それに?」
「僕新幹線好きだしね」
 くすりとした微笑みでだ、優花は龍馬にこうも言った。
「そのこともあってね」
「新幹線好きか」
「うん、他には飛行機でも行けたけれど」
「飛行機は高いしな」
「それでなんだ」
「新幹線にしたんだな」
「そうだったんだ」
 龍馬にだ、優花はこのことも話した。
「あっちにね」
「そうだったんだな」
「うん、新幹線っていいよね」
「何か特別な電車だな」
「他の電車とは違うよね」
「線路も違うしな」
 新幹線と他の電車とはだ、新幹線には新幹線専用の駅と線路がある。そこに他の鉄道が入ることは出来ないのだ。
「特別な電車だな」
「そうなんだよね」
「じゃあ新幹線の旅か」
「そっちも楽しんでくるよ」
「そうしろよ」
「そうしてくるよ」
 笑顔で話す二人だった、長崎までのことも。
 そうした話をしているうちに優子が風呂から出て来た、二日酔いは完全に治っていてすっきりとした顔になっている。髪はしっとりと濡れていて石鹸やシャンプーの香りもする。服はもう仕事に行く時のそれになっている。
 その優子がだ、二人を見て言った言葉は。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧