とある科学の観測者
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デート?
おかしな事件に巻き込まれ、白井や御坂。結標と出会があってから
1週間。俺は自分の能力の詳細が結局分からず、テンションの高揚も
収まっていた。
「放課後って言っても、結局やることがないんだよな・・・」
俺は放課後という学生の本領が発揮される時間の中にいた。
とりあえず夕飯としてファーストフードを購入するため、
ファーストフードチェーン店に向かうことにした。
「はぁ、女の子の料理でも食べながらリア充気分を感じてみたいもんだ。」
「女の子の手料理が食べたいんですの?」
「そりゃ男の夢だからな~」
「ふーん。殿方の夢というのは小さいものですのね」
「女の子が絡んでいれば、大抵のことは幸せに感じるのが男ってもんだよ」
「単純ですのね」
「そう、単純なん――」
知らぬ間に返答を返していた、後ろからの声に視線を向ける。
そこにたっていたのは、学園都市お嬢様学校の制服を着た、
ツインテールの少女。そう・・・
「し、白井!?」
「たまたま見かけたので、以前のお礼をお伝えしようと思いましたのに、
このような殿方ですとその気が薄れますわね」
「いや、えーっと・・・、はは・・・。し、白井はこんなところで何を
やってるんだ!?」
「分かりやすい話題のすり替えですわね」
「はっはっはー」
俺は笑い声を棒読みしたように笑う。
「でもま、良いですわ。私は少しショッピングをしようと思っていた
ところですの」
「はぁ、ショッピングですか?」
「ちょうどいいですわ。少し付き合っていただけます?」
「え?」
1時間後――
「やはり荷物をもっていただける方がいらっしゃると、買い物が楽ですわね」
「(予想はしていた。予想はしていたさ・・・)」
「そういえば、あなたはあそこで何をしていらしたの?」
「俺は夕飯にハンバーガーでも食べようかと」
「そうでしたの。でしたらこれから私とお食事をしませんこと?」
「え?あぁいいけど。でもお前大丈夫なのか?」
「なにがですの?」
「いや、常盤台はお嬢様学校だけあって門限が厳しいって聞いたことあるから」
「連絡を入れておきますわ。」
そう言うと白井は制服のポケットから携帯を取り出し電話をかけた。
「あ!もしもしお姉さま?黒子ですの!」
白井のテンションは異様に高揚しているようだ。
「えぇ、門限がすぎることを寮監に伝えていただけますか?・・・うぇ!?
違いますわよお姉さま!!そんなことでは――。お、おねぇさま!?」
「どうした?」
「い、いえ問題ありませんわ」
「そうか。じゃあハンバーガーでも食べにいくか!」
「何をおっしゃっていますの?今日は洋食の気分ですのよ!」
問答無用でハンバーガーは却下され、白井の知っているという洋食の
お店に入店した。
「いらっしゃいませ。2名様ですね?あちらの席へお座りください」
店員に促され4人がけ用のテーブル席に腰を下ろした。
「ここ、結構お値段がお高いのでは?」
俺は自分の懐を心配する。
「本日は私のおごりですのよ」
「え、良いのか?」
「えぇ、言いましたでしょ?この前のお礼を伝えに来たと。」
「いや、たまたま歩いてたら見かけて、ついでにお礼をって聞いて――」
「そ、そんな細かいことはいいんですの!ほら、早くメニューをお決めなさい!」
「あ、あぁ。うーむ洋食なんて普段高くて食べないから、何を頼んで良いか・・・
白井はもう決まってるのか?」
「えぇ、私はお気に入りがありますの」
「へー、じゃあ俺この『抹茶とあさりのふんわり風味スパゲッティ』とか
いうのにするかな」
俺のメニューが決まった頃、店員さんがテーブルに訪れ注文をとった。
「俺、この『抹茶とあさりのふんわり風味スパッゲティ』で」
「私は『蟹とオリーブオイルのカルボナーラ』を」
「注文承りました。お待ちくださいませ」
そう言うと店員さんはテーブルを去っていった。
「ふぅ、なんだかこういう店っているだけで疲れるな・・・」
「女性はムードを大切にしますの。殿方であればこのくらいは堂々としていた
いただきたいものですわ」
「へいへい、どうせ貧乏人ですよ~」
軽い沈黙がながれ、白井が口をひらく。
「瞬さん、この前はありがとうございました」
「なんだよ改まって、たまたま逃げ遅れただけだし」
俺は軽く笑いながら返答する。
「あなたがいなければ、どうなっていたかわかりませんわ。ありがとう」
「お、おう・・・」
「そういえば、あなたはどんな能力をお持ちですの?」
「え?俺のは・・・予知・・・能力・・・?」
「なんで疑問文ですの」
「いや。実は最近能力が発現して、検査してもらったんだけど・・・。
結果が『詳細不明なため要調査』っていう状態なんだ」
「じゃあ、ついこの間まで『レベル0』でしたの!?」
「お、お恥ずかしながら・・・」
「それで、3人の男を相手にできるなんて順応率が高いんですわね」
「え?あ、はは・・・。まぁな」
「よろしければ連絡先を交換いたしません?」
「え、いいけど」
そして俺と白井は連絡先を交換し、とても美味しいはずのスパゲッティを食べ始める。
しかし俺は1口で口に運ぶ動作を止める・・・
「どうしましたの?」
「いや・・・、実は俺・・・まっ・・・」
「『ま』・・・?」
「抹茶が飲めないし、食べられないんだ・・・」
「え?じゃあなんで抹茶を使った料理にしましたの・・・?」
「いや、安いものしか飲んでなかったし、食べていなかったから・・・。
高いものならきっと、とりあえず美味しいかと・・・」
白井は目を点にして俺を見ている。
そして少し右の口角が上がったかと思うと。
「ふふ・・・、あははは。くくくくっ」
一瞬笑いが漏れるが頑張って店内の雰囲気を崩さないよう閉じ込めている。
「わ、笑うな!人間なんだから好き嫌いくらいあるだろう!!」
「ふー・・・、で残しますの?」
「いや、せっかく注文したんだ。全部食べる!」
俺がそう宣言し再度フォークを進めようとすると、白井は少し悪戯な
笑みを浮かべ、フォークでスパッゲティを巻きこちらに差し出してくる。
「ふふふ、私の『あーん』でこっちのスパゲッティを食べるのであれば、
私がそちらを食べて上げてもよろしくってよ?」
変わらず悪戯な笑みを浮かべている。
「ばっ、何言ってんだ!そんな恥ずかしいこと――」
「じゃあ、せっかく私がご馳走しておりますのに不味く、苦しい気持ちで
そちらの料理をお食べになりますので?それは失礼なことではございませんこと?」
「うっ・・・、それは・・・」
「さぁ、どうなさいますの?」
俺は意を決して食べようとすると白井はさらに言葉をつけたす。
「あと、このフォークは私がさっきまで口していました物ですのよ」
「いっ――」
俺は体制を戻す。
「さ、どうされますの?」
「くっ・・・、ままよ!!」
俺はフォークにかぶりつく!
そしてそのままスパゲッティを食す。
「う、うまい・・・」
「良かったですわね」
「うまい!これすごいうまいぞ!!」
「そ、そうですの・・・。では続きをどうぞ?」
白井は再び同じフォークで、スパゲッティをまとめ差し出してくる。
「え、これ・・・、最後まで・・・?」
「当然ですわよ」
「・・・・・・」
そしてスパゲッティを二人共食し終わる・・・
「ありがとうござましたー」
店員に見送られ店の外に出た頃には、既に日は沈み夜になっていた。
「楽しかったですわね」
「そ、そうだな・・・(お店の雰囲気と恥ずかしさで疲れが・・・)」
「では、今日はこれで」
「あ、あぁ。スパゲッティご馳走様」
「いえ、お礼ですので。またショッピングをする時はお声かけして
差し上げますわ」
「はいはい。その時はお荷物持ちを務めさせていただきますですよー」
白井は軽く笑って、少し手を振り帰っていった。
「さて、俺も帰るか・・・」
俺も家路につこうとした時、後ろから声をかけられた。
「あなた、桐原 瞬?」
声のする方へ振り返る。
そこには長髪の個人的には美人な女性が立っていた。
「そうだけど。あなたは?」
「私は『ITEM』。あなたを消しにきたの」
「え・・・?」
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