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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)

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第43話 アイディア

 
前書き
すみません
リアルが忙しくて、なかなか書けませんでした
文字数も少なめです 

 
木山の生徒が昏睡している研究所には、侵入者を排除、抹殺の任務を受けた暗部組織「アイテム」のメンバーが各所に散らばり、戦闘待機をしていた。

メンバーの一員であるフレンダは、排気管が密集する通路に一杯のぬいぐるみを敷き詰めて、退屈そうにウサギのぬいぐるみを持ち上げて脚をバタバタさせる。
「勝手なことばかり言いやがって。本当に侵入してくるのかしらねぇ」
腰元に捻れて転がっている蛇のぬいぐるみを手にとっては引き延ばしたり、舌を弄ったりして退屈な時間を少しでも消化しようとしている。
「直接眼をみたらダメだって、精神攻撃系ってことかしら。それだけ分かっていれば遠距離攻撃をしていれば良いってことだから楽そうだけどね......でも、もし一対一で殺し合って勝っちゃったら、もしかして」
フレンダは、帽子を取ってトリケラトプスのぬいぐるみの背中に頭を乗せた。
「報酬のほとんどが私にくるって訳にならない?何かモチベーション上がってきたわ!」
バフバフと頭と背中でぬいぐるみを潰しながら、明るい未来に想いを馳せる。
「何買おっかなぁ~」

しかし、フレンダの周囲を囲んでいる配管の中には既にサソリが仕掛けた砂がジワリジワリと流れ込んでいた。
時折、ザラザラとした湿り気のある砂が零れ落ちているがフレンダは気付かずに呑気に鼻歌をかましている。
零れ落ちた砂は徐々にフレンダの周囲に集まり出して、フレンダの目に入り視界を塞いだ。
「な、何よ!急に目に砂みたいなのが入ったわ!」
ゴシゴシと擦るが中々、目の中の砂はしぶとく残り続けている。
視界が塞がれたフレンダを横目に砂は球体を形造り始めて、ギョロッとした目玉になると、目を掻いているフレンダをジッと見つめると、辺りを窺うように瞳を並行移動させた。
ひとしきり眺め終わると、配管に亀裂が入り、土砂がフレンダに降り掛かった。
「ぺっぺっ!な、何よ?何なのよ!?」

埃が目に入るは、急に土が掛かるわで気分は最悪だった。

手足をバタバタさせて、服のシワに入った砂を掻き出していると、ギョロッとした砂の球体が目の前に浮かんでいるのに気がつく。
「何よこれ?」
ツンと指で弾くと、サラサラと湿り気のある砂粒に変化して崩れ落ちた。
「!?」
崩れた球体に注意が向いてしまい、フレンダは後方へと退がる。

すると、背後から砂の塊がゆっくりと近づいてフレンダを包み出して、拘束した。
「ちょっ!?これって」
うつ伏せに倒れた状態で、砂が覆い被さって、がっちりと固定している。
身動きが出来なくなった。フレンダの目の前に何やら人の脚が見えて、顔を上げてしまった。
「あっ......」

真っ赤に染まった宝石のような眼がぼんやりと光っており、フレンダを目に捉える。
フレンダの身体から力が抜けて、頭を伏せて倒れ込んだ。時折、空気が声帯を通過して小さな呻き声を発生させた。

フレンダの目の前に立っているの赤い髪の少年「サソリ」の砂分身体であった。

「んー、知らん奴だな。こんな小娘を守りに付けるなんて舐められたものだ」
サソリの分身体は、壁に手を当てながら残りのチャクラ反応を探る。
「何人かいるな」
サソリの分身体は、突っ伏しているフレンダの金髪ロングを掴むとチャクラを流し込んで、可能な限り記憶を探る。

「フレンダ、滝壺、絹旗......麦野」

サソリの分身体は、印を結ぶとフレンダそっくりの外見となり、床を踏みならすように自分の身体を見回した。
「こんな感じだったか......」
サソリフレンダは、静かに笑みを浮かべると倒れている本物を一瞥すると、配管の奥へと向かいだした。

******

長点上機学園の寮のとある一室にギョロッとした眼をした女性「布束砥信」がシャワーを浴び終えて、ベッドに腰掛けた。
クセの強い黒髪は、水分を含んだ重みでややストレート気味になっている。
じんわりと滴る汗を肩に掛けたタオルで拭いている。

「ゼツ......いないみたいね。外出かしら」

四方を見渡してみるが、ゼツ特有のすり抜けがなく部屋はガランとしている。
汗で失った水分を補給するためにスポーツ飲料をコップに移して飲んでいく。

ゼツという人物とあったのは研究室にいた頃だ。実験の協力者として紹介された。
見た目は完全にオセロを連想させてしまう容姿や、二人分喋ることには驚いたが、研究の世界に身を置けば、天才ゆえの変人を数多く見てきたので「そんなものか」と流していた。
自分の正体について詳しく話さないが、博識で様々な事を知っていた。

「私の護衛を務めると言っていた、however どこか別の世界を見ているような部分があるわね」

護衛として寝食を共にしている布束とゼツ。あまり寝ている所を見たことがない。
生物学を研究している布束にとって、謎に包まれているゼツの存在は、興味対象として申し分なかった。
エアコンから流れてくる風に当たりながら、本でも読もうと本棚へと手を伸ばす。
『生命とは何か?』
という書物を取り出した時に、書類がバサバサと落ちてきた。
「?」
布束は、バラバラになっている書類を拾い集めて目を通し始めた。

書類は、絶対能力者進化(レベル6シフト)計画についての概要と手紙のような形式に分かれていた。
概要は大体知っているが、ゼツと共に止めたい計画として前々から話しをしていたことを思い出す。
手紙は、ゼツから布束へ向けられたものだった。

レールガンのクローンを使って非人道的な実験が現在進行中だ。
これは断固として許されるべきことではない。
しかし、僕の力ではどうすることも出来ない。
計画は、既に引き返せない領域にまで来ていて、クローンは未だに造り出されている。
もしも、もしもだよ
クローンに人間的な「痛み」や「苦しみ」があったならば、誰かの心を動かして計画が止められるかもしれない
学習装置を開発した君にしか、出来ないことだと思う。
僕は、何か別の方法がないか探してみるつもりだ。
ゼツ

手紙を読んで布束は震えた。確かに、感情があれば人形から人間へと変わり、「彼女達の叫び」を疑似的にでも伝えることができるかもしれない。

「ゼツ。wellあなたは素晴らしいアイディアの持ち主だわ」
布束はさっそくパソコンを起動させて生み出されたクローンに入力する感情データの蓄積を始めていく。
どのように集めれば良いのか?
いや、どのように作れば良いのか?
生物学の観点から布束は考察を進めていった。

寮の外に白ゼツが立っていた。
煌々と点いている布束の部屋を眺めながら、満足そうに耳まで裂けた口で笑みを浮かべている。

「クローン計画なら効率が良いと思ったんだけどね。クローンに感情がほぼ無いとは予想外だった」

なかなか上手くいかないね
十尾を復活させるには、更に負の感情を集めなければ......
クローンに感情が入り、惨殺されていけば......ククク
約2万の負の感情が蓄積できそうだ
 
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