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とある科学の観測者

作者:kyua
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発現

俺は相変わらず学校への通学路というものをトボトボ歩いている。
俺の住んでいるこの場所「学園都市」。
科学の大きな発展を遂げた場所。
この学園都市では「超能力」の解発を行っている。

超能力。パーソナルリアリティー(個人の現実)から外部に
影響を与える力。
この能力の強さによってレベル0 ~ レベル5までに
ランクを分類される。

「はぁ・・・。なぜ俺はこの学校に通ったのだろう。」
威張れることではないが、俺はいわゆるレベル0だ。
レベル0でも弱い超能力を使える人間もいる。
しかし、俺は全くの「0」。何の力も使えない。

「おう、瞬。おはよう」
自分を下げずんでいると後ろから声をかけられる。

「あぁ、連徒か。おはよう」
「なんだ?今日も学校登校中のうつタイムか?」
「レベル3のあなた様には分からんさ~」
「俺からすればレベル0でもお前の気持ちは分からないと思うぞ」
連徒は苦笑いを浮かべる。

片賀屋 連徒。
俺のアパートの近くに住んでいる同じ年の学生だ。
学校は別だがアパートが近くという事でいろいろと
遊んだりすることが多い。

「瞬の現状は普通のレベル0よりある意味個人的に辛いと思うぞ」
「なんで?」
「だってお前、学園都市からの直接連絡で入学を推薦されたんだろ。
つまりすげーできる事を前提に入学して、前半は優等生の学校に通って
追い出されたんだろ」
かなり爆笑しながら俺の直近の過去を、ダイジェスト形式で話す連徒。

それだけ言って連徒と通学路の途中で別れる。
改めて1人で学校への通学路を歩いていると、同じ学校で有名な人物。
良い意味ではないが、俺と同じく落ちこぼれで有名な生徒
上条当麻が前を歩いていた。
色々大変そうだ。話しで聞く限りでは「修道服の女の子に噛みつかれていたり」
「優等生学校『常盤台中学』の女性徒に電撃で襲われていたり」するらしい。
俺がそんな彼の情報を頭の中でまとめていると、突然何も無いところで・・・こけた。

「大丈夫か?」
俺は少し駆け足で近づき、体を起こす手伝いをできるように手を差し出す。

「あぁ、ありがとう」
お礼を言い、上条は俺の手をつかむ。

パァーン!

何かがはじけるような音と感覚が体をはしる。
「「え?」」
ふたりして間の抜けた声を出す。

「ご、ごめん。なにかやってたのか!?」突然謝りあせりだす上条。
「え?いや特になにもしてないが?」俺も釣られてあせって返答する。
「あれ、おっかしーな。なにかに反応したように感じたんだけど」
「反応?でも俺もなにか変な感じはしたな」
そこまで会話をしたところで俺たちは周りの視線に気づく。

「なにあれ・・・、もしかして・・・」
(コソコソ・・・ざわ・・・)

手を繋ぎながら固まっている俺たちをみて、周りはいらぬ妄想を
膨らませているようだ。
あせって手を離す。
そして何事もなかったように俺たちは歩き出す。

「それにしても、なんだったんだ?あんた何か能力を使ってたのか?」
会話を戻し質問を俺に投げる上条。

「いや、俺レベル0もレベル0。なんにも能力は使えないぞ。」
「そうか。じゃあ気のせい――」
「止まれ、上条!!」

俺が叫んですぐ、眼の前をかなりの勢いで俺たちの前を横切っていった。

「あ、ありがとう・・・。でもなんで分かったんだ?」
「いや、なんだろうか・・・。なんだかその情報が文字列で頭の中に浮かんだ」
「え?それって能力か?」
「いや、俺は能力を使えないはずなんだが・・・。でも今のは確かに何かの情報を
なんとなく演算処理したな・・・」
「演算て、『なんとなく』で可能なのか・・・?」
「いや、昔からある一定の演算式はもってたんだ。それを使ったらなんとなく文字に
なった感じかな」
「じゃあやっぱり能力なんじゃねぇのか?」
「え、俺能力発現した?」
「いや、俺に聞かれてわからねぇよ。そういえばアンタ名前は」
「あぁ、桐原 瞬だ」
「桐原か。うちの高校の生徒だよな。俺の担任の小萌先生に相談してやるよ」
「あのちっこい先生か。じゃあ頼むよ」
「わかった。じゃあ連絡教えてくれよ。また連絡するから」

俺は上条と連絡先を交換した。

同日18時――

あの後普通に学校に着き、授業を受けている途中に上条からメールがあった。
「18時に職員室に来るように」と。

俺は職員室のドアをノックし、そのままドアを開ける。
「失礼しまーす。」

「あぁ、桐原ちゃん。どうぞー」
ドアを開けると、幼稚園児にも見えるちっこい女性が俺においでおいでをする。

この女性が上条のクラスの担任の先生「小萌先生」だ。

「能力を知りたいのですよね?」
「そうです。ところで上条は?」
「あぁ、先に自宅でご飯を作るために帰ったのですよ。」
「そうですか。(そんなに余裕を持って仕込むものを作ってるのか。見た目によらないな。)」
「上条ちゃんからお話しを聞く限り、もしかしたら予知系の能力ではないかと
先生は思うわけです。」
「予知・・・。というと未来予知っていうあれです?」
「そうなのですよ。」
そういうと、コインを机の引き出しから取り出す。
それを手のひらの上に乗せ俺に見せてくる。

「これから先生がこのコインを左右どちらかの手に隠します。それを予め
紙に書いておいてもらって当たっているか確かめてみましょう。」
「わかりました。」

俺は集中する。
すると今朝と同じように『どこからか』情報が頭に入ってくる。
それを演算処理する。

『現在コインは左手にある。その上に右の手のひらをかぶせ上下にシェイクする。
その後同時にグーを作るように見えるが少し左手が遅れる。右手が先に閉じるため
コインは右手で握られ、桐原 瞬の前に両手の甲を上にし差し出される。』

演算処理の結果を紙に記載する。
その後小萌先生は紙に書いたとおりの行動をとった。

「当たった!先生、やっぱりこれって俺の能力ですかね!?」
俺は嬉しさのあまり少し声の音量が上がる。
しかし先生はそんな俺とは反対に考え込んでいた。

「どうしました?先生。」
「桐原ちゃん。予知系の能力は実際は色々な情報から予知するという能力。
つまり全てが完璧にヒットする事はないんです。」
「え?でも俺の全部当たって――」
「そこです。桐原ちゃんの能力は何か特殊なのかもしれません。一度大きな施設で
正確に検査したほうが良いと思います。」


翌日 11時――

俺は小萌先生に紹介状を書いてもらい、能力の研究を行っている大きな施設に
訪れていた。

「では、次の桐原さん。桐原 瞬さん」
「はい!」

俺は施設の女性に促されるままに検査室に入り、色々な調査機器を取り付けられる。
目の前には案内を行った女性が腰掛けた。

「じゃあ、これから目の前の女性が2つの文字を書きます。それを予め当ててください。」
そういうと検査員の男性は俺に紙とペンを差し出した。
それを受け取り能力を使うため集中する。
『どこからか』情報が頭に流れ込み演算処理を行う。
女性がどう動くか。どのように文字を書くか。色々な情報が結果として得られた。
それをできる限り紙に記載していく。
コインのときも実は抜粋して記載していた。
なぜなら演算の結果得られる無いような細かすぎて、記載するにはとてつもなく時間が
かかるし、もちろん紙に収まりきらないからだ。

その後、女性の書いた文字と。俺の結果として記載した文字は一致した。
抜粋し記載した行動等も全て一致。
結果は追ってメールするという事だったので、施設を後にした。

「なんだか、大きくてかっちりした施設って緊張するな・・・。疲れた・・・
それにしても検査員の人も俺の予知した内容と、実際の動作と結果を見て驚いてたな。
ひょっとしてとてつもない能力なのか?」
俺はなんだか気分が良くなり、今日の夕飯は『焼肉ランチ』を食べに行くと決めて家路に
ついた・・・。


同日 23時――

「ふむ。この検査結果だと彼が再度力に目覚めたか。」
「そう断言できます。」
「なぜ力を失っていたのか気になるが、とりあえず彼を回収する必要がありそうだな。」
「動きますか?」
「一度彼の最近の行動を全てまとめなさい。能力の再発現の理由を調査してからでも
遅くはないでしょう。」
「わかりました。調査をおこないます」
「さて、神のみが知る世界の流れを改変する時が来たようだ・・・」
 
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