FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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魚心あれば水心
前書き
ブレサガで水着ウェンディが欲しくて今まで貯めてきた星霊石全部使っちゃったよ。
今度水着で何かするストーリーをやってみたいな。できれば複数話でできる奴を。
「早くギルドに向かわないとね」
「あぁ」
崩壊した冥界島のある場所、そこでは妖精の尻尾のマスターマカロフに呼ばれた面々が、アクノロギアとイグニールの姿が見えなくなったのを見て、動こうとしていた。
「ルーメン・イストワール・・・ね」
「それでフェイスを止めるって、どうするのか?」
「でも、マスターがああいうんだから、きっとすごい兵器なんだよ」
いまだに半信半疑のカミューニとリサーナ。それに対し、ルーシィはマカロフを信じているようで、そう強く言った。
『しかしなんだなぁ、やっぱエロい格好だぁ!!』
「だから、心の声漏れてんだよ!!」
「そもそも今そういうこと言ってる状況じゃねぇだろ!!」
「わかってるけどよぉ・・・」
ルーシィの格好を見て鼻の下を伸ばしていたウォーレン。しかし、彼のその考えは周りのものにすべて聞こえており、ジェットとドロイに注意され、しょんぼりと落ち込んでいた。
「では、皆さん行きましょう」
ショートヘアへとなったウェンディが、全員の顔を見ながらそう言う。
「ウェンディって、こんなにしっかりしてたっけ~?」
「髪を切ってから、さらに逞しくなったわね」
キリッとしている天竜を見て少々戸惑っているセシリーと、目に見えて成長していく彼女を誇らしげに見ているシャルルがそう言う。
その場にいる者たちは、ドランバルトとウェンディを先頭に、マグノリアにある妖精の尻尾の地下を目指して歩き出した。
ドゴォン
シリル、ナツ、グレイ、三人の拳を受けたマルド・ギールは地面へと叩き付けられる。その威力は絶大で、悪魔が叩き込まれたその場所を中心に、周囲に爆風が起きた。
ギョロッ
「「「!!」」」
地面に打ち付けられたマルド・ギール。しかし、彼はほとんどダメージを受けておらず、自身の背中を取った三人を睨み付けると、腕を振るって彼らを凪ぎ払う。
「「「うあっ!!」」」
地面に叩きつけられた三人。マルド・ギールはそれにより動けるようになると、翼を広げ上空に飛び上がる。
「「「なっ・・・」」」
空に舞う敵を見上げる妖精たち。その三人に悪魔は手を向けると、呪力の渦をそちらに放つ。
「「「うわああああああ!!」」」
あまりの速さに回避行動にすら移ることができず、方々へと吹き飛ばされるシリルたち。しかし、彼らは空中で体勢を整えると、上空にいるマルド・ギールを見据える。
「火竜の・・・咆哮!!」
素早く魔力を溜め、ブレスを放つ火竜。だが、マルド・ギールはそれをあっさりと回避してしまう。
「竜魔の・・・咆哮!!」
炎の咆哮を避けたマルド・ギール。しかし、彼の向かった先を見切り、シリルが水と風のブレスを放出する。
ヒョイッ
完全に裏をかいたはずの攻撃。それなのに、マルド・ギールは急ブレーキをかけ、寸前で軌道を修正してその魔法から逃れる。
「氷魔の・・・激昂!!」
先のシリルを見習い、同様の攻めを見せるグレイ。それでも、その魔法は敵を捉えることはできなかった。
「冥界樹!!」
グレイの氷のブレスの周囲を飛び回った後、左腕に呪力を溜め、地上にいる三人を押し潰すべく、巨大な樹木を打ち出す。
「うおおおおおおお!!」
「らあああああああ!!」
「はあああああああ!!」
向かってくる大樹。しかし、三人はそれから避けることなどしない。拳に魔力を纏わせていき、敵の攻撃に果敢に挑む。
「「「あああああああああ!!」」」
次から次へと繰り出されるパンチの応酬。やがてそれに耐えきれなくなった冥府の樹は、粉々に砕け散った。
「アイスメイク・・・戦神槍!!」
砕けた大樹の破片を凍り付かせるほどの魔力を溜め、巨大な槍で上空の悪魔を突き刺そうとするグレイ。マルド・ギールはそれを難なく回避したが、地上にいたはずの三人の人間のうち、二人がいなくなっていることに気付く。
「冷てぇ!!」
「寒かった!!」
「氷の中に!?」
割れた氷の槍の中から姿を現したのは、炎と水のドラゴンの子。二人は視線を交わすと、自身の両手を握り合わせ、大きく振り上げる。
「火竜の・・・」
「竜魔の・・・」
「煌炎!!」
「顎!!」
二頭の技がマルド・ギールの顔面を捉える。予想外の攻撃を繰り出された絶対の悪魔は、地上へと叩き付けられ、黒煙の中に埋もれる。
グレイの両脇に着地するシリルとナツ。三人は手応えを感じたらしく、煙の中にいる敵の姿を見ようとそちらに視線を向ける。
バサッ
突如聞こえてくる翼を広げる音。それとともに、立ち込めていた煙は晴れていき、その中から無傷の冥王が現れたのであった。
「まだ立ってられるのか・・・」
「こいつ・・・不死身かよ」
「俺の魔法が当たれば必ず・・・」
三人を相手に戦っているのにいまだに衰えを知らないマルド・ギール。しかし、グレイとシリルの持つ魔法を考えると、分があるのはこちらだと三人は考えていた。
「楽しませてもらった、人間の魔導士」
それなのに、マルド・ギールはあくまで平静さを見失っている様子はない。彼のその余裕な姿に、シリルたちはムッときている。
「その昔、一なる魔法により、魔法は誕生した」
「あ?」
突然語り出したマルド・ギール。それに対し、ナツを始めとした妖精たちは、不思議そうな顔をしている。
「やがて魔法は多種多様な系統へと発展していった。その歴史の中で、ENDは魔法の新たな可能性を見出だした。
呪法・・・その力の源は“呪い”、恨み・・・妬み・・・憎しみ・・・その全ての負の感情が、力となる!!
生命の本質に基づいた力」
掲げていた手のひらを強く握り締めるマルド・ギール。その言葉を受け、彼らは反論を述べる。
「くだらねぇな。だったら魔法は未来を作る」
ナツのその言葉に、シリルとグレイも賛同し、大きく一度うなずいた。
すると、マルド・ギールが何やら動く。シリルたちは攻撃してくると思い構えると、周囲から暗黒の煙が迫っていることに気付いた。
「な・・・なんだこれは?」
「霧?いや・・・」
「相手の魔法?」
どんどん近づいてくる謎の煙の正体がわからず、動揺している三人。
「逃げた方が・・・あれ?」
「体が・・・」
「動かねぇ・・・」
正体はわからないが、危険を感じ逃げようとする。しかし、その煙に体を拘束されているのか、彼らはその場から一歩たりとも動くことができない。
「魔法に未来はない。呪法こそが全てにおいて上位の力」
徐々に暗黒の煙は妖精たちの体を飲み込んでいく。三人はなんとか逃げ出そうともがくが、全く動けるようにならない。
「落ちよ、煉獄へ。これぞゼレフを滅するために編み出した究極の呪法!!」
それと同時に、辺り一面に男たちの絶叫が響き渡る。
「死の記憶」
目を光らせたマルド・ギール。彼のその光から現れた負の感情を持った人型の影が、少年たちの体へとまとわりついていく。
やがて彼らを完全に飲み込んだそれは、色を濁った緑色へと変化させ、天高く伸びていく。
「メメント・モリ!!」
そして、最強の呪法が発動された。
「不死なるゼレフを殺すには、生と死という概念ごと破壊する。この呪法を受けたものには、生も死もない。ただ、消滅する」
「未来を・・・」
「守らな・・・」
悲鳴をあげることすらできず、次第に明るくなっていく光に消えていくシリル、ナツ、グレイの三人。その中で、グレイとシリルは何かを呟いていたが、ナツはそれを聞き取ることができなかった。
「永遠に・・・無となれ」
周りを認識できないほどのとてつもない輝きが起こる。空を貫くほどの勢いで上空に伸びていたそれが収まってくると、最強の呪法が放たれたその場所は、人の一部すら残っておらず、大きなクレーターがただ存在するだけだった。
「完成したぞ。究極の呪法、メメント・モリ。後は、ENDが復活すれば、あなたを・・・ゼレフを破壊できる」
元の人間のような姿へと戻り、誇らしげにマルド・ギールは言葉を漏らす。
「これぞ究極の呪法、メメント・モリ」
余韻に浸りたいのか、跡形もなくなった敵が元いた場所を見下ろすマルド・ギール。しかしその時、そのクレーターの中央の地面が大きく盛り上がった。
「!!」
下から何かが地面を突き破ったことで、周囲に砂煙が立ち込める。それが晴れると、大地を突き破ったものの正体が明らかになる。
「あ・・・あ・・・」
信じられない光景に口を開き、呆然と立ち尽くすマルド・ギール。その場に現れたのは、半身が黒い模様に包まれ、後方にいる火のドラゴンを守っているグレイとシリルだった。
「グレイ・・・シリル・・・」
「バカ・・・な・・・」
粗い呼吸でなんとかその場に踏み止まっている様子のグレイとシリル。ナツとマルド・ギールはその姿に、言葉を失っていた。
「半身が悪魔化している?滅悪魔法の力か!?我が究極の呪法を防いだというのか!?」
全てを無に返すはずだった攻撃。それなのに、目の前の男たちは習得したばかりの魔法を使いこなし、それを無効化したのであった。
「未来を・・・作るために・・・」
「俺たちに・・・できることは・・・」
よほどダメージが大きかったのであろう。フラフラとしながら地面に崩れ落ちていくグレイとシリル。
「ナツ(さん)を信じることだ(です)」
二人の少年は、仲間に想いを託すと、その場に伏したのであった。
「グレイ・・・シリル・・・」
そして、倒れた二人の仲間を見て、全てを託された青年は、目を見開いていた。
「人間ごときにぃ!!」
「バカヤロウ!!」
最強の技を封じられた悪魔と、自分を守ろうと己の身を犠牲にしようとした仲間に叫ぶ火竜。
「クソがぁ!!」
自身の不甲斐なさのせいで仲間が倒れたと責任を感じたナツは、怒りに声を張り上げる。その間に、再び絶対の悪魔へと変貌したマルド・ギール・タルタロスは、翼を広げ、ナツへと迫ってきていた。
「ふんっ!!」
「ぐあっ!!」
気付けば目と鼻の先にいた敵。ナツはその悪魔に、怒りの鉄拳を叩き込む。
「らぁ!!」
腕を振り切り敵をぶっ飛ばす。マルド・ギールはその威力に押され、壁を突き破りながらナツの視界よりいなくなる。
「なんだ・・・この力は・・・」
破壊された冥界島からすら弾き出されたマルド・ギール。そんな彼の顔面に、空中に浮かぶ壁の残骸を足場にやって来たナツの膝が入る。
「オラァッ!!」
「がっ!!」
膝蹴りが入ったことで上体が大きく反れる。反れた上体を元に戻した時、彼の視界に輝く炎を身に纏った竜の子の姿があった。
「ドラゴンフォースか!?」
竜の力を怒りの力により解放したナツ。彼は浮かぶ足場に着地すると、自身の魔力をさらに高めていく。
「イグニール直伝!!滅竜奥義!!不知火型!!紅蓮鳳凰劍!!」
「がああああああ!!」
全身全霊を賭けた一撃。それはマルド・ギールの腹部を見事に捉え、上空にいくつもある残骸のうち、もっとも大きな岩へと激突した。
「くっ・・・」
衝突した衝撃でバラバラに落下するナツとマルド・ギール。最後の力を込めていたこともあり、ナツのドラゴンフォースは解除され、元の姿へと戻っていた。
「まだだぁ!!」
力尽きたナツ。しかし、マルド・ギールはまだギリギリのところで堪えていた。
「貴様の肉体ごと破壊してやる!!」
頭から地上へと落ちていく火竜を掴み、彼を破壊しようと試みる。
「すげぇなお前・・・俺はもう・・・魔力・・・0だ・・・」
滅竜奥義を受けたにも関わらず、なおも戦いを挑んでくる相手に思わずナツは感嘆の声をかける。
「消えろぉ!!」
上空から地上に向かって加速していくマルド・ギール。彼はナツの体を地面に衝突させ、破壊しようと考えた。
「けど・・・俺も信じてる・・・」
二人が迫っている地上。そこでは、ユラユラと二つの人影が立ち上がっていた。
「頼むぜ!!お前らぁ!!」
託された想いをもう一度彼らへと引き継ぐ。ナツに声で動いたのは、グレイとシリルだった。
「あぁ!!」
「任せてください!!」
二人は声を大にして彼に答えると、魔力を高めていく。さらに、水色の髪をした少年は、さらなる変化を見せていた。
「バカな・・・あのガキもドラゴンフォースが・・・」
上空からでも見てとれる少年の変化にそう呟くは冥府の王。シリルは、半身を悪魔化させたまま、顔に鱗を出現させ、髪の毛を大好きな少女と同じ色にし、全身を水で包み込む。
「いくぜ!!シリル!!」
「もちろん!!」
そう言うと、グレイは氷の弓と矢を作り、シリルは水と風を片腕へと集中させていく。
魔法の体勢に入ってからは互いに一切視線を交わすことはしない。そうしなくても、相手がどのタイミングで打とうとしているのか、彼らにはわかっていたからだ。
「氷魔・零ノ破弓!!」
「滅悪竜奥義!!水中天嵐舞・改!!」
全く同じタイミングで放たれた二人の魔法。それは、ナツの頭を掴んでいたマルド・ギールの体を貫いた。
「うああああああああ!!」
悪魔を滅する魔を保有している少年たちの全力を喰らった絶対の悪魔は、言葉にできないほどの激痛に絶叫する。
そんな中、三人の妖精は、全員の力でもぎ取った勝利に、笑みを浮かべていた。
『キョウカ』
『ご安心を』
シリルたちがマルド・ギールを破ったちょうどその頃、フェイス発動の魔水晶と生体リンクしていたキョウカも、エルザの圧倒的な力と執念、さらにはミネルバの機転により撃破されていた。だが・・・
00:00
FACE
ON
無情にも、フェイス発動のカウントダウンは終わりを告げていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
次はアニメであった他のギルドの頑張りとドラゴンたちの登場です。
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