暗闇を照らす白き日差し【影に身を委ねた一夏】
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クラス対抗戦
第10話 転校生はセカンド幼馴染 Ⅱ
前書き
放課後の特訓と……
白夜SIDE
最悪だ……学食での騒ぎのせいで反省文を書かされて更に織斑先生から酷く罵声を浴びせられるなんて、この上無いくらいの理不尽で頭が痛くなる。オマケにあの凰のせいで身体の痛みに悩まされるとなると本当に最悪へのフルコースで困る。
なんでもいいから早く終わってくれよこの地獄……
早くこの地獄から解放されたいと願うけど、そんな事が出来たらとうにやってるし、元よりあの人を越えない以上は地獄が続くに続くからもう嫌だ……
白夜「もうなんでもいい。特訓でこの鬱憤、存分に晴らしてやる」
今の俺にはISでの特訓か、雇い主の織斑先生から頼まれての訓練以外に晴らす機会が無い。他にあるとすればマドカ辺りの笑顔を見ればストレスも抱き合わせでどっかに消えるから良いけど、本人は滅多に笑顔を見せないから最近、ノイローゼになりかけてる。
白夜「ああもう……サッサとアリーナに行って特訓しよう。このまんまボヤいたってしゃあない……」
溜まりに溜まった鬱憤晴らそうと足早にアリーナへと急いだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
アリーナの更衣室でISスーツに着替えて、鬱憤溜めながらフィールドに出たは良いけど……
箒「遅いぞ白夜!私をどれだけ待たせたら気がすむんだお前は‼︎」
そこに居たのは何故か訓練機の“打鉄”を纏った篠ノ之だった。
てかなんでお前が居んだよ、呼んでねぇし!あといつ訓練機の使用許可申請したんだよ⁉︎
白夜「何の用だ?簪の特訓に付き合ってくれるならまだしも、それ以外の理由で来たって言うなら容赦しないぞ」
箒「何を言う!お前が近接格闘戦が足りてなさそうだから私が特別に訓練してやるだけだ、有難く思え馬鹿者‼︎」
何で織斑先生が言いそうなこと言ってまで俺に指図しようってんだ?てか近接戦なら我流剣技で充分足りてるっつうの!
白夜「悪いがそれは簪にでもやっとけ。俺はこれでも充分足りてるんだ」
箒「ええい!お前がどうこう言う権利など無いわ!解ったらサッサと__!」
白夜「ほ~う、俺の腕を疑うとは良い度胸だな?まあ良い、最近織斑先生の訓練に協力してるくらいじゃ退屈だからもう少しマトモな手慣れと一戦交えたかったとこなんでな。織斑先生よりマシにやってくれるなら相手してやってもいいぜ」
箒「……」
言っておくがこれは事実だ。織斑先生は日増しに強くなって来ているけど、あの人を越えるための布石にはまだ物足りない。出来ればもっと強い相手と合間見えたいがそうもいかないから頭にきて仕方ない。
箒「スマン、今の話は取り消す。やはり簪を鍛えてやるとしよう……」
白夜「その方が身の為だぞ。今の俺はイライラが溜まりに溜まってるんだからな」
箒「解った……」
まあ脅しって結果になったけど、幾ら頑固なあいつでもこれくらい言えば納得するだろう。
セシリア「白夜さん、簪が来ましたから始めますわよ…って……」
マドカ「篠ノ之、何故貴様がここに居る?お前は不要だぞ」
箒「最初は白夜と近接戦の特訓を持ち掛けたのだが、言い返されて簪の特訓に付き合うことにしたんだ。
何か力になってやろうとな」
簪「本当?丁度近接戦のデータが欲しかったんだけど、それで良いかな?」
箒「別に構わんぞ、これでも剣道全国大会に優勝したんだからな。腕は保障するぞ」
簪「ありがとう」≪ニコッ≫
ハア……まあなんだかんだあったが、簪にまた新しい友達が出来たのは良かったな……
ーーーー
マドカ「アリーナが使える時間はそう長くないから、早速始めようか」
確かにな……
白夜「暗闇に差し込む光!消えることなき輝き纏いて闇を照らせ‼︎
来い!宵闇‼︎」
≪カッ!シュウウ……≫
「「「「……」」」」
他の3人はいいけど、こっちは口上を言ってから展開。直後に冷たい視線を感じたけど無視する。
箒「まあともかく、参る!」
セシリア「お待ちになって!白夜さんと簪さんをご指導するのはこのわたくし、セシリア・オルコットですわよ‼︎」
おいソコ、誰が指導するかで喧嘩すんな!
箒「ええい邪魔臭い!ならば斬るまで‼︎」≪ブンッ!≫
セシリア「たかが訓練機風情にやられる程甘くはなくてよ!」≪ガチャッ!≫
≪ドコーンッ!≫
って本当に喧嘩すんな!特訓どころでなくなるだろうが‼︎
簪「白夜、どうするの?」
白夜「向こうは向こうで盛り上がってるみたいだが、このままじゃ訓練にならん。
マドカ、早速始めてくれ」
マドカ「任せてくれ」
訓練無視して勝手に戦闘するオマケお二方はホッといて早速訓練に掛かる。
が……
ーーーー
箒「っておい白夜!」
セシリア「何故無視していますの⁉︎」
白夜「訓練差し置いて戦闘やる奴らに言われたくないな、ってかどっちかに味方するか戦闘止めるかすりゃ怒るだろオタクら」
さっきまで戦闘やってた2人が無視するこっちに気付いて……
箒「当たり前だ!」≪ブオッ!≫
セシリア「当然ですわ!」≪シュウウウウ……!≫
襲い掛かって来る。
おいこら!相手されないからって攻撃してくんじゃねぇ‼︎
それから……
箒「逃げるな!正々堂々私と戦え愚か者!」≪ドガーンッ!≫
セシリア「そうですわ!前と同じ手なんて卑怯ですわよ‼︎」≪ドーンッ!≫
簪の訓練が終わるまでの間、箒とセシリアという2人の暴走暴力女の相手をする羽目となった。
いちいちグダグダとウザってぇ〜〜〜〜〜!!!!
ーーーー
セシリア「不本意ですが、今回はここまでにしましょう」
箒「そうだな、だが次はこうは行かんぞ」
結局時間内ギリギリまで付き合わされる事になったが、まあストレス発散には丁度良かった。
たくこいつら、今に見てろよ!
箒「何をしているんだ白夜!サッサとピットに戻るぞ‼︎」
白夜「煩いな、織斑先生なら間だしもお前如きに指図される筋合いは無い」
箒「煩いのはお前の方だ!サッサと行くぞ‼︎」
全くコイツめ!顔を見るだけなら良いがこの上から目線は最も気に入らん‼︎
ーーーーーーーーーーーーーーー
イライラしながらピットへと戻ったが……
白夜「何でお前が俺と同じピットに戻るんだたく、ピットぐらいセシリア達と同んなじとこ行けよ」
箒「ピットなどどっちでも構わんだろうが馬鹿者が!」
白夜「コッチはお前のせいでまたストレスが溜まって来てるんだ!お前の顔見るだけでもムカムカすんだよ‼︎
解ったら向こうのピットに行け!チョットは一人にさせろ‼︎」
箒「何だと、昔を捨てた愚か者の分際で!」
白夜「何だと貴様!死にたいのか⁉︎」
一人になりたいのに同んなじピットに入るから怒りが頂点に達してしまった。
もう勘弁出来ずに拳銃に手を掛けたその瞬間……
楯無「はーいはい、そこまでそこまで!」
「「!」」
楯無「こんな所で喧嘩しないの。それと白夜くん、女の子の好きにさせるのもあなたのすべき事だと思うわよ」
突然出て来た会長に手を引っ込めてしまった。
白夜「けどコッチは__!」
楯無「別にあなたの気持ちは解らなくも無いわ。けれど、あまり怒り過ぎると後に響くわよ。
それに、下手に問題を起こして織斑先生に知られたらどうするの?」
くっ!幾らなんでもそれを引き合いに出されたら言い返せん‼︎
白夜「勝手にしろ!」
込み上げる怒りを抑えながら着替えに向かった。
_______________
ANOTHERSIDE
白夜がその場を後にしてから……
箒「あいつめ!幼馴染みをなんだと思ってるんだ!私はお前と一緒に居たいだけなのに‼︎」
白夜の対応に憤りを憶えた箒だったものの……
楯無「箒ちゃん、そんな事を言ったら白夜くんはより苦しむだけよ。あなたには聞こえなかったの?彼が“織斑 一夏”だった頃の過去に触れたらどんな代償を払うことになるのかを」
箒「ですが!」
会長の楯無の言うことは最もだが、頑固な箒は尚も食い下がる。
楯無「今回はとにかく控えなさい。彼のことだから、今晩はかなり荒れるかもしれないわ」
箒「そんなのあなたの幻想に過ぎません!白夜は__!」
楯無「いいから今後は控えなさい。これはあなた達生徒を思う会長としての命令よ」
箒「……解り…ました……」
考えを変えない箒だったが、生徒会長からの命令となっては流石に逆らうワケにもいかず言う通りせざるを得なくなった。
だが一方で、楯無本人の言ってたことがある意味的中していた。
それは……
ーーーーーーーーーーーーーーー
白夜「ぐっ、ううっ!うがぁああああ〜〜〜〜!!!!」≪ズキズキ……!≫
学生寮の1025室では特訓から帰った白夜が、契約による反動(主に織斑 一夏であった時の記憶に触れた事)で身体全身の激痛によって悲鳴をあげながら悶え苦しんでいた。この激痛は本人にとってすれば今回が初めてではない。ドイツで織斑 千冬、そしてアメリカでのマドカの再会。それに加えて入学初日での眠りについた後でも経験してる。
普通なら何度も受ければ慣れるモノだろうがこれはあまりにも特殊過ぎるが為いやでも慣れるような代物ではない。
とはいえ、それだけで済むならまだいいが……
「ねぇ、あの声って白夜くんじゃない?」
「うん、1025室だから間違いないよ。だってここ(IS学園)は男は白夜くんだけだし」
「でもどうしたのかな、あんな声をあげて?」
「もしかして、昼間言ってたあれじゃない?」
「あり得る、だって結構痛いらしいからね。仕方なかったとはいえ、不憫にも程があるわね……」
その悲鳴は学生寮全体に聞こえる程で、既に部屋の前には多くの女子が取り巻いていて問題になっていた。
マドカ「兄さん大丈夫、何か薬持ってこようか⁉︎」
白夜「う…ぐぐ……!じ…陣痛剤と…胃腸薬と…頭痛薬を…頼む……あがぁああああ〜〜〜〜!!!!」≪ズキズキ……!≫
あまりの事態にいつも落ち着いてる筈のマドカまでアタフタする状態で……
千冬「どうした白夜!大声出して大丈夫か⁉︎」
事態を聞きつけて千h…いや織斑先生までやって来て最早収拾のつかないところにまで達していた。
ーーーー
白夜「わ…悪い……少し…一人に…させて…くれ……」≪ズキズキ……!≫
突然……織斑先生の登場で虫の居所が悪くなったのか、一人にして欲しいと言い出した。
マドカ「何言ってるんだ兄さん!そんな事出来る筈無いよ‼︎」
千冬「そうだ白夜、お前が全て抱え込んで良いものじゃない!何かあれば私に__!」
当然……そんな頼みなぞ聞けるようなものではなかったが……
白夜「いいから一人にしてくれ‼︎」
「「……」」
千冬「解った、お前の言う通りにしよう……
だが何かあれば文句は受け付けないからな。
行くぞ、織斑」
マドカ「はい……」
結局は要求をのむこととなり、事態は終息。その晩マドカは織斑先生の部屋で一晩過ごしたが、片付いていない部屋で寝るのは彼女にとっては耐え難いモノであった……
その後白夜はなんとか眠りについたものの、再び身体の痛みに悩まされて2~3日気を失ったのは嘘偽りの無い事実であった……
後書き
“織斑 一夏”だった時の己を思い出す度に身体の痛みに悩まされる主人公。
力を得るということはその代償にリスクを背負うことになるのが世の摂理たるもの……(これまた個人的な見解)
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