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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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first contact
  ep.007 コーヒーと彼女!?

 
前書き
今回は珍しいコメディーな部分を含んだ内容です。
remember memoryで登場した箱部さんは実は完璧主義な子なんです。
そんな彼女の以外な部分を楽しんでください。 

 
風紀委員での活動を終えると、野口が的場に声をかけた。

「仕事は終わったみたいだね。
どうだい、コーヒーでも飲みに行かないかい?
もちろん、僕の奢りでね。」

的場は野口のお誘いに笑顔を返した。
”程よく休む”というのが的場は苦手だった。
そのため、こうして野口にカフェに誘ってもらうのを生かして、程よく休んでいた。
カフェのドアを開けると、野口が"いつものやつで"とマスターに注文をした。
野口はこのカフェの常連の中の常連なのでマスターも野口の注文を聞くと、一礼して作業を始めた。
同時に、カフェの一角に置かれているジュークボックスをつけてクラシックジャズを流し出した。

「野口さんて顔が広いと言うか、不思議な人脈がありますよね。ここのマスターもそうだし。」

的場が興味深く聞いてきた。
確かに野口の顔は異常なレベルで広い。
普段はどこにでも居る少し有能な先輩だが、彼が携帯で電話を掛けるだけで武器商人や、やばい連中がウヨウヨ出てくる。
それも、年上の人が敬語で応答するくらいだから間違いなく普通ではない。

「そんなことはないさ。ここのマスターだって常連だから知ってくれているだけだよ。」

そう返して野口はマスターが持ってきたエスプレッソを口元に運ぶ。
すると今度は野口が的場に質問をした。

「そう言えば、今日は5分前行動ギリギリで間に合ったんだってね。君にしては珍しいんじゃないかい?」

野口の質問に的場はありのままを話す。

「最近、オブジェクトって組織を独自で調べてるんですよ。少し前にあった"駅の爆破事件"にそのオブジェクトが関連してるんじゃないかって情報を聞いたんで、それで夢中になっちゃって。」

「何事も程よくが大事だよ。君が襲われでもしたら僕は正気じゃなくなるかもしれないし、コーヒーを飲む相手がいなくなってしまうからね。」

この時、的場は普段通りの調子で話していたが野口は緩んだ表情がガラリと変わっていた。
しかし、的場はそれを見逃していた。

しばらくコーヒーの飲みながら雑談をしていると、既に外が茜色に染まっていた。
2人は休憩を終えて、カフェ前で別れた。

その日の夜、野口はstudentに連絡を取っていた。

「で、僕が単独で潜入して的場君のPCに入っている第0学区の情報を抹消すれば良いんだね。」

「あぁ、君なら問題ないからね。それじゃ。」

野口は電話を切ったが、それから数秒後に携帯が鳴り出した。
今度は的場からだった。
内容は、『風紀委員のメンバーで遊びに行こう』というもので予定の日時もちゃんと伝えられた。

「悪いんだけど、その日はデートなんだよ。」

野口は言ったあとに自分を疑った。
思い切って完全にやってしまった。
彼女なんて野口にはいない。
となると、studentから呼ぶしかない。
七草は、気弱な性格の影響で間違いなく泣き出してしまうだろうと考えると、必然的に箱部に頼むしかない。
画面の向こうで申し訳なさそうにしている的場との電話を切ったあと、野口は再びstudentに連絡を掛けた。

「何してんだお前。変なところで思春期の強がり見せてんじゃねぇよ。」

神薙が電話の向こうで怒りながら呆れている。
野口も珍しく赤面だ。
神薙は仕方なく野口の要望を聞き入れ、当日に箱部を同行させるように手配した。

ー当日
いつものカフェで池野と箱部と野口は合流した。
池野は、箱部の役目を聞いて思わず吹き出しそうになり、それを必死に堪えた。

「そ、それじゃ僕は行くね.......ww」

そう言って池野は任務に向かった。
それから数十分経過すると、的場がやってきた。

「あなたが野口さんの彼女さんなんですね。俺は的場聖持って言います。あなたのお名前は?」

「箱部鈴菜と言います。勝哉くんがいつもお世話になっています。」

箱部の演技は迫真そのもので、初対面の相手すらそれが嘘だとは分からないくらい自然だ。

「じゃあ、コーヒーでも飲もうか。的場くんのも僕が奢ってあげるからさ。」

的場は誘いを受けて、カフェに入った。
野口は安定の"いつもの2つ"と言った。
一方の箱部はと言うと、カフェのNo.1のサイズを誇る巨大なパフェを注文した。

注文した品が来る間、3人の会話が始まった。

「野口さんと箱部さんはこの後何処に行くんですか?」

興味深そうに的場が質問してくる。

「一応、ショッピングなんかでもって考えてるんだ。」

「そうなんですか。」

「え、そうなんですか!?」

的場と箱部の言葉が被った。
途端に箱部は顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
的場も今の現象を見逃さなかった。

「え、教えてもらってないんですか?」

的場は箱部に対して質問する。
箱部は今のミスで完全に頭が真っ白になってしまう。
心配になって野口が箱部の顔を見ると、箱部はどんどん涙目になっていった。

『マズイな。箱部さんはこういうのは苦手なのか。』

「え......あの.......えっ.....とぉ........(泣)。」

完全に気まずい空気になる直前、マスターがテーブルにエスプレッソ2つと巨大パフェを持ってきた。
箱部はそれから黙ってモキュモキュとパフェを頬張っていき、主な会話は的場と野口で進んでいった。

「そろそろ待ち合わせ場所に行きますね。コーヒーご馳走様でした。」

的場が店を出ると箱部と野口は深呼吸をした。
すると、野口の携帯が鳴った。

「池野くんのほうも成功したみたいだね。」

「.......すみません。でも、頑張った甲斐がありました。」

『そうだね。今日は本当に疲れた。』

そして、この日を境に野口は風紀委員に顔を出さなくなった。 
 

 
後書き
今回はかなり雑な内容になってしまった気がして申し訳ないです。
ですが、この章はここからが本番ですからお楽しみに。 
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