英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)
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第46話
~星見の塔~
星見の塔付近まで来たロイド達だったが、近くに警備隊の車両が止まっている事に気付き、車両の近くにいる警備隊員に事情を聞く為に近づいた。
「う~ん…………一体、誰の仕業なのかな……?こんな場所に入る物好きなんていると思えないんだけど……」
警備隊員――ノエルは扉の前にある壊されたバリケードを見て考え込んでいた。するとその時
「おーい!」
ロイド達がノエルに近づいてきた。
「……あなたたちは……」
「やっぱり君だったか。」
「はは、妙な所で会うもんだな。」
「ロイドさん、ランディ先輩?エリィさんにティオちゃん、セティさん達まで………」
「ご無沙汰しています、ノエル曹長。」
「その節はどうも……」
「こんにちはー!」
「フフ、おかしな所で会いましたね。」
「……お久しぶりです。」
驚きの表情で自分達を見つめるノエルにエリィ達はそれぞれ会釈をした。
「ふふっ、お久しぶりです。ところで……どうしてこんな所へ?あまり人が立ち寄る場所じゃないと思うんですけど……」
「ああ、少し事情があってね。それより、そこのフェンスはどうしたんだい?」
「その、どうやら何者かによって破壊されたみたいなんです。元々、この塔は危ないから警備隊が封鎖してたんですけど……あたしも定期巡回していてちょうど発見したばかりで。」
「そうだったのか……」
「このタイミングで破壊されたフェンスか……十中八九、犯人は見えたな。」
「そうね……」
「???」
「えっと、実は……」
ロイドは仲間達の会話で首を傾げているノエルに仲間達と共にこれまでの経緯をかいつまんで説明した。
「カルバードの東方人街からやって来た暗殺者……!?」
説明を聞いたノエルは表情を厳しくして声を上げた。
「ええ……そうなんです。その人物から、この塔で待っていると伝言を受け取って……」
「これでダメ元で調べに来たんだけど……どうやら本当に待ち受けているみたいだな。」
「は~、街ではそんなことが………それで、どうするんですか?」
「まさか本当に誘いに乗るんじゃないですよね?」
「いや……あえて乗ってみるつもりだよ。」
「え、で、でも………相手は危険な犯罪者なんでしょう?どんな罠があるかもしれないし……何だったら副司令に頼んで警備隊から応援を……」
ロイドの言葉を聞いたノエルは驚いた後提案しようとしたが
「いや、相手は相当なプロだ。下手に大部隊を動かしたら感づいて逃げられるだろう。ここは少人数で行くのが正解だぜ。」
「そ、それは……そうかもしれないですけど。」
ランディの説明を聞いて、考え込んだ。
「……わかりました。だったら止めません。その代わり……あたしも助太刀します!」
「ええっ!?」
「で、でも……いいんですか?」
そして考え込んだ後提案したノエルの言葉にロイドは驚き、エリィは戸惑った様子で尋ねた。
「一応、この塔の管理はクロスベル警備隊の仕事ですし。皆さんだけを危険な目にあわせるわけには行きません。それに、いつもフランがお世話になっているみたいですし……ノエル・シーカー曹長、全力で皆さんをサポートします!」
「う、うーん……妹さんの事は、むしろ俺達が世話になってるくらいなんだけど。」
「ま、いいんじゃないか?腕は立ちそうだし、ここは手を借りておこうぜ。」
「そうですね。バックアップがいればわたしたちも助かりますし。」
「問題は”銀”が警備隊員を警戒しないかぐらいだけど………一人なら大丈夫じゃないかしら?」
「……そうだな。ノエル曹長―――よろしくお願いするよ。」
「ええ、こちらこそ!」
ロイドの言葉にノエルは力強く頷いた。するとその時
「フフ……面白そうね……私も混ぜてもらってもいいかしら?」
女性の声が聞こえた後、肌を大胆に見せ、まるで水着のような大胆な衣装を着ている夕焼けのような色の赤髪の女性がロイド達に近づいてきた。
「「え………」」
女性を見たエリィとティオは驚きの表情で女性を見つめ
「うっ………」
「す、凄いですね……よくあんな格好ができますね………」
「おおおおっ!?な、なんて大胆な女性だ……!それに……顔やスタイルも良い!!」
ロイドとノエルは肌をふんだんに見せている女性を見て顔を赤らめたり驚いたりし、ランディは声を上げた後興奮した様子で女性を見つめ
「貴女は……!」
「……どうして貴女のような方がここに……」
「うわ~!久しぶりです!」
セティとエリナは驚きの表情で女性を見つめ、シャマーラは嬉しそうな表情で女性に話しかけた。
「あら?貴女達、どっかで見たような……?」
一方話しかけられた女性は首を傾げてセティ達を見つめ
「―――ウィルフレド・ディオンとセラヴァルウィ・ディオンの娘、セルヴァンティティ・ディオンです。皆さんからは愛称でセティと呼ばれているので、以後私の事はそうお呼び下さい。………あの時はユイドラに加勢していただきありがとうございました。」
「同じくウィルフレド・ディオンと睡魔のシャルティ母さんの娘のシャマーラ・ディオンです!」
「……ウィルフレド・ディオンとウィルフレド・ディオンの”使徒”の一人、”権天使”メロディアーナの娘、エリナ・ディオンです。―――お久しぶりです、カーリアン様。」
見つめられたセティ達はそれぞれ自己紹介をして、女性―――カーリアンを見つめた。
「ああ~、ウィル達の子供達か!道理で見た事あると思ったわ。」
セティ達の名前を聞いたカーリアンは納得した様子で頷き
「えええええええっ!?あ、貴女があの………!」
(あら……噂に聞く”戦妃”とまさかこんな所で出会うなんて……)
カーリアンの名前を聞いたロイドは大声で驚いた後、信じられない表情でカーリアンを見つめ、ルファディエルは意外そうな表情をしてカーリアンを見つめ
「なんだ、知っているのか?」
「……どこかで聞いた事があるような気がするんですけど………」
ロイドの様子を見たランディは尋ね、ノエルは考え込んでいた。
「………ああ。―――メンフィル帝国、前皇帝にして現メンフィル大使、”英雄王”リウイ・マーシルンの側室の一人―――”戦妃”カーリアン……!」
「なっ!?あ、あの精鋭揃いのメンフィル帝国の中でも1,2を争う実力を持つとも言われる武将ですか!?」
「ハアッ!?なんでそんな大物がこんな所にいるんだよ!?」
そして真剣な表情でカーリアンを見つめながら言ったロイドの話を聞いたノエルとランディは驚いた後、カーリアンを見つめた。
「フフ、自己紹介は必要ないようね♪……それにしても……懐かしい顔がいるじゃない♪」
一方見つめられたカーリアンはウインクをした後、ティオに視線を向け
「……どうも。……というか何故、こんな所に貴女がいるんですか?」
ティオは軽く頭を下げた後、静かな表情で尋ねた。
「ええっ!?」
「ティ、ティオちゃん……まさか、カーリアン様とお知り合いなの!?」
その様子を見ていたロイドは驚き、エリィは信じられない表情で尋ねた。
「……ええ。ある”特殊な事情”でしばらく共に行動した事があるんです。」
(ま、また……)
(い、一体どんな事情なのか、本気で気になるんだけど……)
(マジで知りて~!)
そしてティオの説明を聞いたロイドは苦笑し、エリィは表情を引き攣らせ、ランディは真剣な表情でティオを見つめた。
「フフ……ティナが生まれ変わったとかいう人間がウルスラ病院で働いているって聞いてね、その娘に会いにいってたのよ♪」
(ティナ……?生まれ変わり……?一体何の話だ……?)
カーリアンの説明を聞いたロイドは不思議そうな表情でカーリアンを見つめていた。
「―――なるほど、”あの人”ですか。……ですが、何故ここに?ここは街道から外れた場所ですが………」
「ただの暇つぶしよ♪この辺の魔獣達は弱すぎて話にならないし、たまたま目に入ったその塔にもちょっと興味が出てきてね。こうして来たって訳♪それで貴方達がカルバードの伝説の暗殺者とやらに会いに行くって話が聞こえてきてね。面白そうだからお仲間に入れて貰おうと思って、声をかけたのよ♪」
「ええええええっ!?」
「ほ、本気なんですか………?」
カーリアンの話を聞いたロイドは声を上げて驚き、エリィは信じられない表情で尋ねた。
「勿論よ♪……ん?貴女の顔………どっかで見た事があるような……?」
尋ねられたカーリアンはウインクをした後、エリィの顔をじっと見つめて考え込み
「……き、気のせいではないでしょうか………?」
見つめられたエリィは冷や汗をかいて苦笑しながら言った。
「ん~……ま、いっか。それで?仲間に入れてくれるのかしら?」
「え、えっと………」
そしてエリィの言葉を聞き、頷いたカーリアンはロイドに尋ね、尋ねられたロイドは戸惑った後仲間達を見回し
(……どうする?俺は銀と戦う事も考えれば、あの”戦妃”が共に戦ってくれたら心強いし、賛成だけど……)
小声で仲間達にカーリアンを加えるか尋ねた。
(あたしは皆さんの判断に任せます。)
(俺は勿論、賛成だ!逆に聞くがあのお姉さんのどこに不満要素がある!?)
(……私も賛成。”銀”が警戒しないか心配だけど……まさかあの”戦妃”がこんな所に来るとは思わないでしょうし。)
(わたしも賛成です。あの人がいれば、冗談抜きで百人力ですし。というか断った所で、絶対に付いてきますよ、あの人の場合。)
(私達も賛成です。あの人の力があればどれだけ心強いかユイドラを守った時に知りました。)
(うんうん!銀が襲い掛かってきてもへっちゃらだよ!)
(ええ。これほど心強い助っ人はいないと思います。)
ロイドに小声で尋ねられた仲間達はそれぞれ賛成の意を示した。
「……え、えっと……それじゃあ、お言葉に甘えてお願いします……」
仲間達の意思を確認したロイドは苦笑しながらカーリアンを見つめて言った。
「ええ。よろしくね♪後、私に対しては気軽な態度でいいわよ♪」
そしてカーリアンと初対面の者達は自己紹介をした。
「……ロイドにエリィ、ランディにノエルね。………ん?ランディだっけ?貴方のフルネーム、もう一度教えてもらえないかしら?」
ロイド達の名前を確認したカーリアンはある事に気付いてランディに尋ねた。
「俺ッスか?フルネームはランディ・オルランドッスが………」
「フーン……”オルランド”ねぇ………」
ランディのフルネームを聞いたカーリアンは考え込んだ後、興味深そうな様子でランディを見つめた。
「貴方………バルデルって名前の男、知らない?」
「!!!………何で………あの野郎の事を………」
カーリアンに尋ねられたランディは目を見開いて驚いた後、目を細めてカーリアンを見つめて小声で呟いた。
「ランディ、どうしたんだ?」
その様子に気付いたロイドはランディに尋ねたが
「いや……なんでもねえ。………いや~、生憎ながら知らないッスね~。だから、わからないッスね~。」
ランディは誤魔化し、そしてふざけた様子でカーリアンを見つめて言った。
「フフ、そう……………それじゃ、行きましょうか♪」
ランディの答えを聞いたカーリアンは興味ありげな様子でランディを見つめて言った後、ロイド達に促し
「え、ええ。」
促されたロイドは戸惑いながら頷いた。
こうしてノエルとカーリアンを加えたロイド達は”星見の塔”の中へと入って行った。
「これは……」
「……すごいわね……中世の建造物だそうだけど。あの光っているのは蛍か何かかしら……?」
塔内に入ったロイドとエリィは塔内の景色に驚き
「うーん、そうみたいですね。どうもこの塔、封鎖されてから十年近く放置されてるみたいで。本当は、ちゃんと調査をした方がいいとは思うんですけど……」
ノエルはエリィの言葉に頷いた後、溜息を吐いた。
「ま、あの事なかれ主義の司令のことだ。提案しても予算の無駄だって却下するのは目に見えてそうだな。」
「はあ、そうなんですよね……先輩、よくあんな司令の下で働いていましたよね?あたしにはとても無理ですよ。」
「ハハ、だから俺も警察なんかにいるんじゃねえか。」
「あ、なるほど。」
「あら……でも。あなたが警備隊を辞めたのは女性関係が原因じゃなかったの?」
「そういや、そんな話をしてたな。」
ランディとノエルが会話をしていると、エリィとロイドが割り込んだ。
「おっと……まあ、それもあるけどよ。」
「んー、おかしいなぁ。ベルガード門にいる友達からはランディ先輩の浮いた話しってあんまり聞きませんでしたけど……」
「あー、色々あんだよ。男と女の関係ってのはな。」
考え込みながら呟いたノエルの言葉を聞いたランディは苦笑しながら答えた。
「「………………………………」」
一方、ティオとセティは呆けた様子で黙り込んでいた。
「どうした、ティオ、セティ?何か気になるのか?」
「いえ……どうやらこの場所は、少々、変わっているようです。」
「ええ。それは私も感じました。」
「変わっている……?」
「どういう事だ?」
2人の答えを聞いたロイドとランディは首を傾げ
「………なるほど。なんとなく感じていたけど”影の国”と似たような感じね?」
カーリアンは納得した様子でティオに尋ね
「ええ、そんな感じです。」
尋ねられたティオは頷いた。
「”影の国”?」
「前にもティオが口にした事がある言葉だけど………どこの事なんですか?」
一方2人の会話を聞いていたノエルは首を傾げ、ロイドはカーリアンに尋ねたが
「あ~………ま、貴方達が気にする事じゃあないわ。」
「ハ、ハア……?」
カーリアンは答えを濁し、ロイドは戸惑いながら頷いた。
「地・水・火・風………4属性以外の上位属性が働いている気配を感じます。」
「えっと、それって……」
「導力魔法の属性のこと?」
一方ティオの説明を聞いたロイド達はそれぞれ首を傾げ、ノエルが尋ねた。
「……はい。地・水・火・風のアーツが弱点という魔獣はいますよね……?ですが、上位属性である時・空・幻のアーツに関しては強力ですが弱点の魔獣はいない……その法則が歪んでいる感じです。」
「うーん……よくわからないけれど。要するに、アーツの効き方が他の場所とは違っているんだな?」
「はい。アーツと同じ属性を持つ魔術も同じだと考えて下さい。」
ティオの説明を聞いて考え込んだ後、答えたロイドの言葉にセティは頷いた。するとその時、何かの足音が聞こえて来た。
「この音は……」
「魔獣か………?」
足音に気付いたロイド達が振り向くと、なんとロイド達の身体と比べて倍以上の大きさを持つ機械人形達が近づいてきた。
「な……!?」
「こ、これは……!?」
「おいおい……こいつは何の冗談だ!?」
機械人形達を見たロイドやノエルは驚き、ランディは目を細めて声を上げ
「魔導人形の類……?」
「―――来ます!」
セティは眉を顰めて呟き、エリナは警告した。そしてロイド達は戦闘を開始した!
「分析を開始します………4属性に対して耐性を持ち、弱点は時属性です!!」
戦闘開始早々ティオはクラフト―――アナライザーで敵を分析して、ロイド達に助言した。
「わかった!なら……こいつを喰らえ!!」
「行くぜ……喰らいなっ!!」
助言を聞いたロイドは時属性を込めたクラフト―――ダークブレイクを、ランディは暗黒属性を込めたスタンハルバードで跳躍して思い切り叩き付けるクラフト―――闇切断を放って、それぞれ一体ずつダメージを与え
「行っくよ~……それっ!!」
シャマーラも続くように時属性を込めたクラフト―――暗黒スマッシュを放って、もう一体の敵にダメージを与えた。
「えいっ!!」
「そこっ!!」
一方ノエルはサブマシンガンで、エリィは導力銃で敵を撃った。しかし敵は頑丈なのか、あまり効いている様子はなくそれぞれ、腕を振るってロイド達を攻撃した!
「クッ!?」
「っと!?」
「わわっ!?」
攻撃に気付いた3人はそれぞれ武器で防御したが、敵の攻撃の威力はすざましく、攻撃を武器で受けた3人は吹っ飛ばされた!
「出でよ、鋼輝の陣!イオ=ルーン!!」
「光の精霊よ、力を!槌の光霞!!」
そして魔術の詠唱をしていたエリナとセティはそれぞれ耐性の属性ではない魔術を放って、敵達を攻撃し
「―――闇に呑まれなさい!ティルワンの闇界!!」
ティオが弱点属性の高位魔術を放って、止めを刺し、消滅させた!
「な、何だ今のは………!?」
「明らかに普通の魔獣とは違いましたね……かといって、人間が入ったわけでもないし。」
戦闘を終えたロイドは声を上げ、ノエルは溜息を吐いた後表情を厳しくし
「ま、ま、まさか………亡霊とか?」
エリィは身体を震わせながら呟いた。
「よくわかりませんが………導力仕掛けのカラクリでは無さそうですね。中世の魔導師が造ったというゴーレムみたいなものでしょうか?」
「おいおい……何でそんなものが動いてんだよ。ひょっとしてこれも”銀”の罠なんじゃねえのか?」
ティオの推測を聞いたランディは溜息を吐いた後、目を細めて呟き
「……わからない。ただ、さっきティオとセティが言った事は正しかったみたいだな。」
「そうね……戦っている時、今までにない感じがしたわ。時・空・幻―――上位三属性か。」
ロイドとエリィはそれぞれ頷いた。
「どっちかっていうと、あたし達の世界で戦っている感覚だよね~?」
「………そうですね。私達の世界は空―――神聖属性や時―――暗黒属性を耐性や弱点とする魔獣がいるのですから。」
そしてシャマーラが呟いた言葉に、エリナは頷いた。
「おそらく霊的な乱れが発生しているのではないかと。それ以上の事はちょっとわかりませんが………」
「………どうやら放置していたのは完全に間違いだったみたいですね………―――行きましょう、皆さん。あたしとしても、この塔の中をちゃんと調べたくなってきました。」
一方ロイド達の話を聞いていたノエルは真剣な表情でロイド達を見回して言った。
「ああ……慎重に探索を開始しよう。」
ノエルの言葉にロイドは頷いたその時
「その前に疑問があるのですが………」
ティオはある人物に視線を向け
「……なんでさっきの戦いに手を貸してくれず、一人だけサボっていたんですか?」
ある人物―――カーリアンをジト目で見つめて言った。
「ティ、ティオちゃん。」
「うは~……度胸あるな、ティオすけ……」
ティオの言葉を聞いたエリィは慌て、ランディは感心していた。
「フフ……貴方達がどのくらいできるのか、ちょっと見させてもらったのよ。予想以上に連携もできているようだし………フフ、何だか貴方達を見ているとエステル達を思い出すわね♪」
一方カーリアンは口元に笑みを浮かべて答えた。
「へ………」
「カーリアン様はエステルさん達ともお知り合いなのですか?」
カーリアンの言葉を聞いたロイドは呆け、エリィは驚きの表情で尋ねた。
「ええ。というかティオや私、リウイ達が一緒にエステル達と共に戦った事もあるわよ♪」
「えええええっ!?」
「ティ、ティオちゃんが………エステルさん達やリウイ陛下達と……!?」
「おいおいおいおい………!ティオすけ、お前一体どんな体験をしたんだよ!?」
そして笑顔で言ったカーリアンの話を聞いたロイドは驚きの表情で声を上げ、エリィとランディは信じられない表情でティオを見つめた。
「カーリアンさん………あんまりその話を持ち出さないでくれます?説明を誤魔化すのもめんどくさいんですから……」
一方ティオは溜息を吐いた後、ジト目でカーリアンを見つめて言った。
「あら。”影の国”の件、話していなかったの?」
「あのですね……わたしはエステルさんや貴女達と違って、ただの一般人ですよ?第一あの後七耀教会の封聖省から来た人に絶対に口外しないように注意されているんですから、言えませんよ…………もし誰かに話したのがバレた時、面倒な事が起こるのはわかりきっていますし。」
意外そうな表情をしているカーリアンにティオは呆れた表情で溜息を吐いた後、ジト目でカーリアンを見つめて言った。
「別にそんなのどうでもいいじゃない~。いざとなったらリウイ達が庇ってくれるわよ♪」
「………あんまり親しくなかったわたしをリウイ陛下達がかばうなんて、普通に考えてありえないんですけど………」
そして口元に笑みを浮かべながら言ったカーリアンを見たティオは溜息を吐いて呟いた。
「ティ、ティオ……本当に何があったんだ??」
「今、七耀教会や封聖省って聞こえたけど……まさか古代遺物関係?」
その時ロイドが戸惑いながら声をかけ、エリィは真剣な表情で尋ねた。
「―――はい。ですから、わたしからは詳しい説明はできないんです。わたしが体験した”特殊な事情”の詳しい話を口にすることは七耀教会や財団からも禁止されていますので。」
「だったら、もう一人の事情を知るお姉さん!俺達にティオすけの”特殊な事情”を教えて欲しいッス!」
ティオの説明を聞いたランディはカーリアンに視線を向けて尋ねたが
「めんどくさいからパスよ。」
「ガクッ……」
あっさりカーリアンに断られ、肩を落とした。
(フフ……まあ、あまり人に話せる事ではありませんものね。)
(そうだよね~。というかまず、話を聞いて信じるかどうか妖しいよね?)
(ええ……あの時は本当に驚きましたよ……いつの間にか父様が”神格者”になっていたんですから……)
その様子を見ていたセティ達は苦笑していた。
「ま、まさかティオがエステル達と一緒に戦った事があるなんてな……」
「………あの、カーリアン様。先程リウイ陛下”達”とおっしゃっていましたが、他にもティオちゃんと一緒に戦った方がいるんですか?」
一方ロイドは驚きの表情でティオを見つめ、エリィは考え込んだ後カーリアンに尋ねた。
「ええ。フフ……その”特殊な事情”によって、ティオはさまざまな有名人と出会ったわよ~?多分、あんた達でも知っている人達もいると思うわ。」
「……ティ、ティオちゃん。その事情で他に誰と出会ったの?そのぐらいなら、いいでしょう?(まさかお姉様とも会っているの……?)」
カーリアンの話を聞いたエリィは興味津々な様子でティオを見つめて尋ねた。
「……そうですね、そのぐらいでしたら。ただし、他言無用でお願いしますよ?――――クローディア姫。ユリア准佐。オリヴァルト皇子。リウイ陛下。イリーナ皇妃。カーリアンさん。ペテレーネさん。ファーミシルス大将軍。リフィア殿下。プリネ姫。エヴリーヌさん。ツーヤさん。ウィルフレドさん。セラヴァルウィさん。エリザスレインさん。……この中の最低でも2,3人くらいは皆さんも知っていると思いますが。」
「「「「………………………」」」」
ティオの説明を聞いたロイド、エリィ、ランディ、ノエルはそれぞれ固まり
「「「「えええええええええっ!?」」」」
それぞれ大声で驚いた!
「ティ、ティオちゃんがあのクローディア姫やユリア准佐どころか、”姫君の中の姫君”や”蒼黒の薔薇”にまで会った事があるなんて……!いいな~!」
「それどころか、エレボニアの皇族やあの”聖皇妃”を含めたメンフィル皇室関係者や武将達にも会った事があるなんて……!」
「なんか……急にティオすけが違う世界の人間に見えてきたな……」
(まさかティオちゃんがお姉様達に会った事があるなんて………あら?もしかして……ティオちゃん、私の事も知っているのかしら……?)
そしてノエルは驚いた後羨ましそうな様子でティオを見つめ、ロイドは驚きの表情で呟き、ランディは苦笑しながら呟き、エリィは疲れた表情で考え込んだ後、ある事に気付いた。
「フフ……気になるのはわかるけど、あんまりジッとしていたら、今みたいに新手がまたくるわよ?」
「へ……?」
カーリアンの言葉を聞いたロイドが驚いたその時、先程戦った機械人形が宙に浮く斧のような存在と共にロイド達に近づいてきた。
「く………」
「さっきの倍はいます……!」
それを見たロイドは表情を歪め、警戒した表情のノエルと共に武器を構えたが
「さ~てと。貴方達にも見せてあげるわ♪……”戦妃”の力を。」
「え……」
双剣を構えたカーリアンの言葉を聞いて呆けた。するとカーリアンが敵達に一瞬で詰め寄り
「それぇっ!!」
クラフト―――乱舞を放った!すると斧のような姿をした存在達は一瞬で真っ二つにされて、消滅し、機械人形達は装甲のところどころへこまされて怯んだ。
「まずは1体!」
カーリアンは続けてクラフト―――北斗斬りで装甲が厚いはずの機械人形を真っ二つに斬って、消滅させ
「…………」
「2体目!」
反撃して来た敵の腕を軽やかに回避した後跳躍して、双剣で反撃して来た敵の頭を斬り裂いて消滅させ
「ラスト!!」
最後の一体に詰め寄ってクラフト―――五段斬りを放って、敵を五分割にして消滅させた!
「…………………………」
カーリアンの疾風迅雷かつ圧倒的な戦闘にロイドは口をパクパクさせ
「す、凄い………!」
「圧倒的………としか言いようがないわね……」
「ああ………技のキレもそうだが力やスピードも尋常じゃねえ………これが”大陸最強”の力か………」
ノエルは驚き、エリィは疲れた表情で溜息を吐き、エリィの言葉にランディは頷いた後目を細めてカーリアンを見つめ
「フフ、相変わらず凄いですね。」
「うんうん!カーリアンさんと一緒だなんて、本当に心強いね!」
「ええ……」
セティ達はそれぞれ微笑みながらカーリアンを見つめた。
「じゃ、行きましょうか♪”銀”とかいう奴の元へ。」
そしてカーリアンは不敵な笑みを浮かべてロイド達に言った。その後ロイド達は”星見の塔”の探索を開始した………
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