普通だった少年の憑依&転移転生物語
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【ハリー・ポッター】編
155 ホグワーツでの生活
前書き
あけましておめでとうございます。
……とはいっても、内容はいつもの通りなんですがねー
SIDE アニー・リリー・ポッター
ホグワーツでの慌ただしい生活も一段落した頃、ボクとロンは──ロン曰く〝あったりなかったり部屋〟に居た。
……それはホグワーツ生活二日目の夜にロンからもたらされた提案に起因している。
―なぁ、アニー──どうやら〝アニー・ポッター〟はこの世界では一番のキーパーソンらしいんだ。……それも〝主人公〟って云われるくらいにはな。……〝円〟なら知ってると思うが、〝主人公〟と云えば〝騒動〟が憑き物と言い換えられる。だからさ──ちょっくら俺と一緒に魔法の練習をしないか?―
〝主人公〟なんてあまり嬉しくない言い種だったが、ロン──〝真人君〟とは一緒に居たかったので、ボクはロンの提案を承諾した。
……もちろん他にもメリットはある。〝“逆転時計”がある、魔法の練習が出来る程度の広さの〝あったりなかったり部屋〟を設定していて、そこで魔法の訓練をしているのでボクとロンは他の一年生よりはずっと上達も早いだろう。
ちなみに〝平行世界云々~〟は、ロン曰く〝行動を固定化して、時間の調整さえ出来てれば大丈夫〟──らしい。
実際、ロンに言われた通りにしていたら〝過去のボクとロン〟は見たことがあるが、〝未来のボクとロン〟に見つかったことは無い。……〝目くらましの呪文〟にはお世話になっている。
……しかしロンは〝居ないはずのところ〟から〝自身〟の気配を感じているらしいが、敢えて気にしない様にしているのだとか。
ロンの語り振りから類推するに“逆転時計”での時間跳躍中に起こした事象改変の全ての因果は〝過去に跳躍した時点〟に集約されるので、改変出来るのは〝暫定された過去〟だけで──〝確定された未来〟の改変は、逆説的に不可能な様だ。
……つまり、極論から云えば〝過去の自分達に見つからなければどうと云う事はない〟〝未来の自分達を見つけても見なかった振りをして時間跳躍すればどうと云う事はない〟──らしい。
閑話休題。
話を戻し、訓練の風景はと云うと…
「“麻痺せよ(ステューピファイ)”」
「っ“護れ(プロテゴ)”!」
ロンの杖先から出た赤い閃光──〝失神呪文〟を咄嗟の〝盾〟で防御する。……20回は〝失神呪文〟のその名の通りに気絶してしまっているので、最早反射の域で〝盾の呪文〟が出せる様になった。
「“蛇出でよ(サーペンソーティア)”…“肥大せよ(エンゴージオ)”──“襲え(オパグノ)”」
<嬢ちゃんには悪いが、やらせてもらうぜ! 蛇ぁぁっ!!>
「〝そうはイカの金時計だよ〟──“蛇消えよ(ヴィペラ・エバネスコ)”」
ロンはボクの〝盾の呪文〟を見て一つだけ嬉しそうに頷き、50センチくらいの蛇を生み出しては約4倍の2メートルくらいに肥大化させては襲わせてくる。……蛇が何やら話しかけてくるが直ぐに〝消失呪文〟で消す。
「……? “武器よ去れ(エクスペリアームス)”──どうしたの?」
「……“護れ(プロテゴ)”──ちょっとうっかりしていたんだよ。……アニーが〝蛇語使い(パーセルタング)〟だったって事を忘れてた」
「……〝蛇語使い(パーセルタング)〟…? それって?」
ボクが蛇を消した途端、ロンは急に黙りこみ──〝スキあり〟とばかりに〝武装解除呪文〟を撃ち込むが、何とも無いかの様に対処される。
「〝蛇語使い〟の事だよ。……さっき俺が出した蛇を見たとき何て言った?」
「〝そうはイカの金時計だよ〟──って言ったけど。……もしかしなくても違った?」
「ああ。俺の耳には〝しゅーしゅー〟とかすれた音だけだった。……さていきなりだが問題。スリザリンのエンブレムに居る──〝スリザリンのシンボルの生物〟と云えば?」
そこまでロンに言われて、スリザリンのエンブレムに〝蛇〟が含まれていたのを思い出す。
「……っ、まさかサラザール・スリザリンは…」
「そう。サラザール・スリザリンは〝蛇語使い(パーセルタング)〟だったと云われている。……まぁ、だからどうしたと云う話なんだけどな──“武器よ去れ(エクスペリアームス)”」
「あ」
ボクの杖は宙を舞い、ロンの左手に収まる。……どうにも、話に聞き入り過ぎていたらしい。ロンはこちらに杖を返してきて、腕時計を見る。
「……魔法力をかなり消耗しただろうし、そろそろ一旦休憩にして、次は〝守護霊〟の練習に移行しようか」
ロンは杖を一振りしてテーブルとマグカップを出し、徐に虚空──ロンの曰くの〝倉庫〟へと手を突っ込み、スニッ□ーズを取り出す。……魔法の訓練の後にはココアタイムがあったりするのはいつもの事である。
……その後はロンが組んでくれている計画通り、〝守護霊〟の練習をしていると、〝時間〟がきたので、その日はしめやかに解散となった。
SIDE END
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー
今日も今日とて〝変身術〟の授業でマクゴナガル先生からの授業毎での課題を完璧に熟しては俺、アニー、ハーマイオニーは加点されたりして、またいつもの様に〝あったりなかったり部屋〟でのアニーとの魔法の訓練──なのだが、今日は少しその様相を異にしていた。
……具体的に云えば俺、アニーの他にもう一人の人物が居るのだ。
「へぇ…。ここが〝あったりなかったり部屋〟…」
「ああ、〝欲しいもの〟を思い浮かべれば大体のものは手に入る夢の様な部屋だよな」
もう一人──ハーマイオニーは〝あったりなかったり部屋〟をまじまじ検分している。……俺は悪い事はしていないのだが、閻魔大王から裁判を受ける罪人の様な気分になる。
俺とアニーはスキル──潜在能力を引き出すスキル…“勿体ない資質”でアニーと一緒に魔法に関する能力を引き出して、〝時間〟を効率的に使いながら魔法の訓練をしている。
……なので、着々と──それでもその才能は凄いが、一歩ずつ魔法の研鑽をしているハーマイオニーに対してある種後ろ昏い気持ちが有るのは確かではある。
(まさかアニーがハーマイオニーに泣き落としされるとは…)
―お願い、貴女とロンが急に魔法が上達した理由を教えて。……私、貴女とロンの事はその──親友だと思ってるの。……私どうしても頭でっかちでガリ勉で──それで男子からも悪口を言われてて、男子の中で普通に話せるのはロンだけなの。……私、貴女達に置いていかれたくない―
……と、実際にハーマイオニーに泣かれた訳ではないらしいが、ほぼ泣き落とし同然に連れて来てしまったらしい。アニーがハーマイオニーの言葉を語った時、〝普通に話せるのはロンだけなの〟と云う部分をいやにニヨニヨしながら強調していたがスルー。
「……よくこんなところ知ってたわね」
「……まぁ色々あるんだよ」
云うまでもなく、俺がこの〝あったりなかったり部屋〟を知っていたのは〝知識〟の流用なので、詳しい話を語るまでもないだろう。……幸いハーマイオニーは頷くだけで「そう」と一つ頷くだけで深くは聞いて来なかった。
……ちなみに、詳しい場所や入り方はホグワーツに詳しいであろうゴーストのビンズ先生──毎回壁をすり抜けて来るところだけが見所の〝魔法史〟の教師に聞いた。
閑話休題。
ハーマイオニーも俺達の訓練に参加する事となった一幕だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ハロウィーンを目前とした今日この頃。玄関ホールの脇で〝検知不可能拡大呪文〟を掛けたテントの中で露店を開いていた。……特に店名とかは無い。
「これ──“守りの指輪N”を1つ頂戴」
「“守りの指輪N”を1つね──1ガリオンだよ」
「はいどうぞ」
「毎度」
「ありがとう。……これ凄いわね。これからこの店を見かけたら顔を出してみようかしら。……じゃ私はもう行くわね」
「今後とも当店をご贔屓に」
レイブンクロー生をそう見送る。やって来たレイブンクローの客は俺が“道具作成:A”のスキルで“護れ(プロテゴ)”を付与した指輪を買っていった。
〝護りの指輪〟は当店の目玉商品で──〝杖腕〟に装着しておくだけで、装着者魔法力こそ消費するが──自動的に大体の魔法を弾いてくれる、さっきのレイブンクロー生も飛び付いてくれる程度には優れモノある。
商品の在庫は“私のかわりはいくらでも(マイオルタナティヴ)”…バックアップを取るスキルで用意出来るので、売れば売るほど儲かる。
……ちなみに“守りの指輪N”の〝N〟とはランクであり、下から〝N〟〝A〟〝S〟となる。……決してネオアームストロングサイクロンジェットアームストロングの略称ではない。上から並べての〝S〟〝A〟〝N〟──〝正気度〟でもない。
閑話休題。
〝守りの指輪シリーズ〟の概要は、以下の通りである。
――――――――――――――
・“守りの指輪N”
掛かっている魔法:“護れ(プロテゴ)”/価格:1ガリオン
・“守りの指輪A”
掛かっている魔法:“万全の護り(プロテゴ・トタラム)”/価格:10ガリオン
・“守りの指輪S”
掛かっている魔法:“恐ろしきものから守れ(プロテゴ・ホリビリス)”/価格:20ガリオン
――――――――――――――
〝守りの指輪シリーズ〟は一貫して同型の何の変哲もない──宝石すらもついていない指輪だが、その指輪の内側をよくよく見るとルーンが彫ってある。……それは俺の手作業なので一番下のランクの“守りの指輪N”でさえ1ガリオンもするのはそこに起因している。
〝N〟から〝A〟へかけて一気に高くなるのは、〝A〟からは闇の魔法をも防げる様になるからだ。……しかしそれにつれ、消費する魔法力が大きくなる。
……つまり、この価格設定は下級生への安全装置と云うわけだ。
「儲かってるか、兄弟」
「やぁ、ロン」
また客が入ってくる。今度はフレッドとジョージだ。
「ぼちぼちでんがな──なんてな。……さぁ好きなだけ見ていってくれ」
フレッドとジョージは“バブリモシャス”──噛んでいる間、思い浮かべている人物に変身出来るガムを、1セット──〝コーラ味〟〝ソーダ味〟〝グレープ味〟の3個入りで10シックルを1セットだけ買っていった。
……何はともあれ、今日も絶好の商い日和だった。
SIDE END
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