Three Roses
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第四話 新王の即位その七
「そうなっています」
「第一が叔父上でしたね」
「僭越ながら」
「いえ、僭越ではありません」
王は大公の謙遜をよしとした。
「ではです」
「王位はですか」
「そのままでいいですね」
「そうされますか」
「はい」
こう大公に答えたのだった。
「叔父上が第一であり」
「そしてですね」
「マリー姉様、マリア姉様」
「マイラ様ですね」
「そうしましょう」
「わかりました、ただ」
ここでだ、大公はこれまで以上に真剣な顔になりだ。そのうえで王に言った。
「王よ、何とぞです」
「世継ぎをですね」
「もうけて下さい」
「子をもうけることもですね」
「王の務めです」
「私はまだ若いですか」
「若いからこそです」
それ故にというのだ。
「お身体が元気なので」
「それで、ですか」
「若いうちにこそです」
「子をもうけるべきなのですね」
「それは早いに越したことはありません」
まさにというのだ、大公は王に対してそのことを他の政治のこと以上に真剣にいい頼みさえするのだった。
「王は今は十五ですが」
「十五であってもですか」
「この国でも十五でお子をもうけられた王がいました」
「そういえばそうでしたね」
「はい、女官との間に」
そうした王もいたというのだ。
「ですから」
「私もですか」
「はい、お妃を迎えられて」
「側室も」
「どちらももうけられ」
そしてというのだ。
「是非共です」
「わかりました」
王は大公のその言葉に頷いた。だが。
すぐにだ、大公に彼も深刻な顔になり言葉を返した。その言葉はというと。
「その后ですが」
「はい、今婚姻の話を進めていますが」
「やはり帝国の」
「ロートリンゲン家です」
この家のというのだ。
「姫君を」
「確か帝国の太子の妹君ですね」
「左様です」
「ではマイラ姉様の」
「そうです、義理の妹君になられます」
そうした人物だというのだ。
「その方とです」
「余は婚姻を結ぶのですね」
「あちらの家から強い要望がありまして」
「ロートリンゲン家から」
「そうなのです」
「だからですか」
「ロートリンゲン家の婚姻政策の特徴です」
相手の家と一組だけでなく二組の縁組を結ぶことはというのだ。
「そのことを考えますと」
「最初からですか」
「このことは予想出来ていました」
「では」
「はい、それで宜しいですね」
「帝国、ロートリンゲン家は強いです」
王もこのことを把握していて言う。
「大陸で群を抜いて」
「はい、我等は帝国と比べれば吹けば飛ぶ様なものです」
「まさにそうですね」
「あの国は大国です」
まさにというのだ。
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