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オズのボタン=ブライト

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第五幕その三

「まず見たことがないよ」
「王様の冒険も凄かったんだよね」
 神宝は王様がはじめてドロシー達と知り合うことになった海の冒険について言いました。
「海に出て」
「そうだったんだ」
 ボタンもそうだと答えます。
「あの時は凄かったんだよ」
「海の方に悪い人達がいてね」
 ジョージも言います、皆今は同じ湯舟の中にいます。
「その人達から困っている人達を助けていたね」
「あの頃は王子もね」
 カルロスはその時の王子について言いました。
「驢馬だったんだよね」
「凄く口の悪いね」
「そうだったね」
「あの頃の王子と今の王子は違うよ」
 それこそというのです。
「本当にね」
「そうだったね」
「本来のお姿に戻ってね」
「ああした性格になったんだね」
「そうなんだ」
「確かにね、あの時の王子様を見ると」
「どうにもね」
 ジョージと神宝も言います。
「お世辞にも性格がいいとは言えないね」
「あんまりにも口が悪かったし」
「あの頃の王子と今の王子はね」 
 それこそとです、カルロスも言います。
「別人みたいだよ」
「そうだよね」
「僕から見てもね」
「今の王子はとても付き合いやすい人だよ」
 ボタンから見てもです。
「とても優しいし気さくだしね」
「そうだよね」
「けれどその驢馬だった頃の王子とも王様は普通にね」
「お付き合いしていたね」
「王様は凄い人だよ」
「心が広いんだね」
「かなりね」
 王様がどういった方かもお話されるのでした。
「僕もあの人の心の広さにはびっくりしてるよ」
「あまりにも凄いからだね」
「僕なんかよりよっぽど心が広いよ」
「あれっ、けれどボタンも」
 カルロスはこれまでのボタンとのお付き合いから言います。
「怒ったりしないしケチでもないしね」
「心が広いね、確かに」
「ボタンもね」
 ジョージと神宝も言います。
「いつも穏やかな顔でいて」
「誰が何をしても態度変えないからね」
「僕もそう思うよ」
 カルロスは二人の言葉に頷きました。
「ボタンも心が広いよ」
「そうなのかな」
「うん、本当にね」
「僕が心が広くても」
 それでもというのです。
「別にね」
「別に?」
「誰かに迷惑かけてないのよ」
「かけている筈がないよ」
 すぐに答えたカルロスでした。
「ボタンの心が広くてね」
「むしろそんなボタンだからね」
「皆好きなんだよ」
 ジョージと神宝がまた言います。
「そうした性格だから」
「愛嬌もあってね」
「確かに寝ている間に急に何処かに行くけれど」
「それもご愛嬌ってことでね」
「だからボタンも心が広くて」
 それで、と言うカルロスでした。 
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