FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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アクノロギア襲来
前書き
あかん!!
シリル「どうしたの?」
昨日のソフトボールで親指突き指したわ(笑)
シリル「えぇ!?踏んであげよっか?」
そこは普通治してあげよっかじゃないの!?
シリル「踏んだらどんな反応するか気になって・・・」
・・・後で覚えてろよ?
シリル「目!!目が怖い!!」((゚□゚;))
シリルside
「んん・・・」
ノーランとの戦いを終えた俺はどうやら眠っていたらしく、辺りが暗くなり始めた頃にようやく目を覚ました。
「やべっ!?今何時だ!?」
バッと体を起こし周囲を見回すと、辺りは森のように木が生い茂っている場所もあるのだが、なぜかその反対側・・・街に近い方には冥府の門の本部だったと思われる四角い物体が、粉々になり地上に落ちているのが目に入る。
「一体何があったんだ?」
かなり長い時間眠っていたらしく、何がどうなっているのかイマイチ把握ができていない。後で知ったことだけど、冥府の門の本部をこのような姿にしたのはルーシィさんに召喚された星霊王だったらしい。星霊王はロキさんやアクエリアスさんたちの頂点に立つだけあり、かなり強いと言うのがこの状況から見てとれる。
「シリル~!!気が付いたんだね~!!」
そんな俺に真っ先に駆け寄ってきたのは相棒であるセシリー。彼女はチョコチョコとこちらに走ってくると、地面を蹴り俺の胸へと飛び込んでくる。
「セシリー、起きてたんだ」
「うん!!カミューニくんもラクサスくんも寝ちゃったから、僕一人でみんなを守ってたんだよ~」
「そっか、ありがとう」
そう言って彼女の頭を撫でると、セシリーは嬉しそうに頬を緩ませされるがままに撫でられている。彼女で癒された後、いまだに地面に伏しているカミューニさんとラクサスさんが目に入ったので、彼らの方に近付いていく。
「起きてください、カミューニさん、ラクサスさん」
順番に彼らの体を揺すって起こそうとするが、よほど疲労が蓄積しているのか、全く目覚める気配がない。仕方ないので、諦めずに眠っている二人を起こそうとセシリーと共に奮闘していると、すぐそばが一瞬光ったかと思ったら、その場に二人の人間と一匹の猫が現れる。
「大丈夫ですか?ドランバルトさん」
「ああ」
そこに現れたのは、呼吸を大きく乱してうずくまっているドランバルトさんと、服も髪もボロボロな姿になっているウェンディがいた。
「ん?髪?」
そこまで分析してから、あることに気付いた。心配そうに自分たちをここまで連れてきてくれたであろう男性に顔を近付けているウェンディ。彼女のある部分が、一番新しい記憶のそれよりと、明らかに変わってしまっているのだ。
「う・・・ウェンディ?」
「??」
念のため・・・間違いないとは思うがその少女と思われる人物の名前を呼んでみる。すると、その声に気付いた藍髪の少女はこちらを振り向く。
「シリル!!無事だったんだね!!」
俺の顔を見るやすぐに嬉しそうに明るい笑顔を見せるウェンディ。その愛くるしい表情はまさしくウェンディそのものだ。だけど・・・
「どうしたんだその髪!!!??」
初めから感じていた疑問を声を大にしてぶつける。俺が叫んだ理由は簡単だ。腰元まである長くて綺麗だった少女の髪が、肩にかからないくらいのショートボブのようになっているのである。あまりの変貌ぶりに、俺は絶叫することしかできなかった。
「変・・・かな?」
「いやいや可愛いけども!!」
短くなった髪をいじりながら不安げな表情を浮かべる彼女。なんだか小さい頃のウェンディを見ているようで懐かしい気もするけど、一体何がどうしてこうなったんだ!?
「うっせぇぞシリル。少し黙ってろ」
俺が一人大騒ぎしていると、その音で眠っていたカミューニさんが頭をかきながら目を覚ます。
「カミューニさん!!これ!!これ見てください!!」
「あぁ?」
彼もウェンディのイメチェンの姿を見たら絶対に驚くはず。そう考えて彼にウェンディを見るように言うと、青年は呆然としたまま何の反応も取らないでいる。
「え?そんなに驚きませんか?これ」
てっきりカミューニさんも大声を出して叫ぶと思っていたのに、意外にも何も反応がないことに驚きを隠せない。俺が疑問を投げ掛けると、カミューニさんは頭をかくと、ある一言を放つ。
「いや、俺目が見えないんだって」
「あ・・・」
言われてみて思い出す。カミューニさんはノーランに目を潰されたせいで前が見えないんだった。そう考えると、彼が無反応なのもうなずける。
「目、どうかしたんですか?」
「ちょっと色々あってな」
彼の言葉を聞いて心配そうに顔を覗き込むウェンディ。その姿を見て、嫉妬しそうになったが、なんとかその気持ちを抑えて彼女と共にカミューニさんの治療を行う。
「お、見えるようになってきたぜ」
徐々に視界が回復してきたカミューニさんは、ゆっくりと目を慣らすように何度も瞬きをする。彼が治ったのを確信した俺とウェンディは治癒をやめ、彼の顔をじっと見つめています。
「サンキューなシリル、ウェン・・・」
どうやら完全に視力を回復させることができたらしく、ホッと一安心。カミューニさんは治してくれた俺とウェンディに礼を言おうとしたところ、藍髪の天竜を見て思わず固まっていた。
「どうしたんだその髪!!!??」
「「「「デジャヴ!!」」」」
先程の俺と寸分違わぬリアクションをするカミューニさんを見て、俺とシャルル、セシリー、ドランバルトさんは思わずそう言っていた。
「あの・・・やっぱり変ですか?」
カミューニさんの方を見ながらどこか悲しげに髪をいじっているウェンディ。でも、その仕草も十分可愛いよ。ロングヘアももちろん可愛いけど、ウェンディなら何でも似合うから俺は大好きだ。
「あぁ、変だ」
「うおっ!!カミューニさんちょっと!!」
一人誰かに賛同しているわけでもないのにうなずいていると、カミューニさんがズバッと己の意見を述べてくる。この人口も悪いけど性格も悪いよな?濁そうとか優しさを感じさせるようなことを言わないのかこの人は。
「そ・・・そうですか・・・変・・・ですか・・・?」
彼のドストレートすぎる感想に涙を浮かべるウェンディ。ヤバイ!!これは非常にまずい!!
「大丈夫ウェンディ!!似合ってる!!超可愛いから大丈夫だよ!!」
「シリルぅ!!」
大慌てで言ってるからウソっぽく聞こえるけど、これは本当に俺の本心なんだ。泣きそうになっているウェンディを慰めるように抱き締めながら、彼女をこんな風にした深紅の男を睨み付ける。
ただ、カミューニさんはそれに気付いていないのか、はたまた気にするだけ無駄だと思っているのか、特にこれといったリアクションをせず、ドランバルトさんと何かを話していた。
「お前、もう少し言い方を考えろよ」
「うるせぇな、ロリコンは黙ってろ」
「ロリ!?」
小声で何かを言い合っていたドランバルトさんとカミューニさんだったが、カミューニさんが何か言った途端、ドランバルトさんはショックを受け頭を抱えてしまう。何言ったんだよあの人。
「シャルル~、ウェンディどうしちゃったの」
「まぁ、ちょっとした決意の表れよ」
ウェンディの髪のことをずっと気になっていたセシリーが一緒にいたシャルルに問い掛ける。シャルルはなぜか胸を張りながらそう答えるので、俺とセシリーはわけがわからず頭を抱えるばかりだ。
「ねぇ、あの残骸って、もしかして・・・」
すると、シャルルが俺たちの周囲に散らばっている冥府の門の本部だったものを指さす。彼女のその言葉を聞いた途端、セシリーのテンションがはね上がった。
「星霊王が来てね!!スバッとあの四角いの一太刀でバラバラにしてね!!よくわかんない人と戦ってね!!ピカッて周りが光ってね!!それでそれで・・・わかんない~」
「「「「「わかんないの!?」」」」」
興奮しすぎてて何を言ってるのかもイマイチだったけど、彼女もあまり事態を把握できていなかったことだけはわかった。セシリーのそれに突っ込んだ後、ウェンディが俺の腰に回していた手を移動させ、思いきり肩を掴む。
「シリル!!ウォーレンさんは!?」
「へ?」
「ウォーレンさんはどこにいるの!?」
さっきまでの表情から一転し、真剣な表情そのものに顔つきを変えた天竜。ウォーレンさんがどうかしたのかな?
「たぶん、あの中にいると思うけど」
少なくとも俺があの四角い島から飛び降りた時は、まだ中に他の皆さんは残っていたはず。そうなると、ウォーレンさんもきっとあの中にいると思うんだけど・・・
「やっぱりそうなんだね。急いで・・・ウォーレンさんを・・・」
そこまで言うと、ウェンディが突然倒れ地面に伏す。そして、彼女と同調するように、俺も体に違和感を覚え、その場に倒れてしまった。
カミューニside
「ウェンディ!?」
「シリル~!?」
突然目を開いたままその場に倒れたシリルとウェンディ。彼らの相棒であるエクシード二匹は、血相を変えて二人の元に駆け寄る。
「ウェンディ!!しっかり!!どうしたのよ!?」
「シリル~!!起きてよ~!!」
ウェンディの体を揺するシャルルとシリルの顔をペチペチ叩いているセシリー。だが、彼女たちは意識があるのかどうかもわからないような状態で、激しく心臓を鼓動させているだけで、動けずにただ倒れているのである。
「ウェンディ!!」
「シリル!!」
ドランバルトと俺も声をかけてはみるが、やはり反応がない。それに、あることが気になって仕方ない。
オオオオオオオオオッ
「この音は・・・一体・・・」
二人が倒れた直後から響き渡る何かが風を切るような音。いや、猛獣の鳴き声・・・といった方が近いかぁ?
ゴゴゴゴゴゴゴ
その声が次第に大きくなっていくと、俺たちのいる場所が地震でもきたかのように大きく揺れ始める。それはもう、立っているのも難しくなるほどの大きな揺れが。
「なんだこの震動は!?」
「地震・・・じゃねぇよな?」
揺れてはいるが、地面から震動が伝わってくるというよりかは、巨大な何かが迫って来ており、周りの大気から何から何まで揺らしているような感じがする。
「待てよ・・・この声・・・」
激しく揺れるマグノリアの街。その中で聞こえてくる声に聞き覚えがある。それはおそらく、ここにいる全員が聞いたことがあるものだと思う。
「ウェンディ!!しっかりして!!どうしちゃったの!?ウェンディ!!」
「シリル!!起きて~!!なんで倒れちゃったの~!?」
先程からピクリともしないウェンディとシリルに声をかけ続けるシャルルとセシリー。その時、遠くから爆発音が聞こえた俺とドランバルトは、そちらに視線を向けた。
「ウソだろ・・・!?」
「マジかよ・・・おい」
「「??」」
視界に入ってきた黒いドラゴンを見て、思わず顔が強張ってしまった。なぜならそれは、絶望を告げる翼が向かってきているからだ。
「奴が・・・来る!!」
「「え?」」
俺たちが異変を感じ取ったのに気が付いた二匹のエクシードは、その姿を見て何がなんだかわからないといった表情を浮かべる。
「この声・・・間違いねぇ!!」
遠くて正確な視認はまだできない。しかし、ドラゴンの口から放たれたブレスは大地に突き刺さると、その場所にクレーターを作り、煙の中を突っ切ってこちらへと迫ってくる。
「アクノロギアだ!!」
「「えぇ!?」」
七年前に天狼島を襲い、シリルたちを凍結封印で助けざるを得なくなる状況を作り出した、黙示録にその名を刻まれた黒き翼。
強大な魔力に引かれてやってきたのか、はたまたかつての俺らのような邪心が呼び寄せてしまったのか・・・とにかく奴が俺たちの方へと猛スピードで向かってきている。
ドクンッ
すると、アクノロギアという単語を聞いた途端、シリルとウェンディの体が大きく揺れたのがその場にいる全員の目から見て取れた。
「まさか・・・」
「滅竜魔導士が、アクノロギアに反応しているのか?」
シリルとウェンディの共通点・・・それは、滅竜魔導士であること。ただ、いまだに意識を取り戻していないラクサスだけは何事もなく眠っているのを見ると、同じ滅竜魔導士でも反応しているものと反応していないものがいるということか?
オオオオオオオオオッ
咆哮を上げながらブレスを放つアクノロギア。その破壊力は他と比べ物にならないほどの威力で、彼のブレスが落ちた場所は炎に包まれている。
「とんでもねぇな、ありゃあ」
「天狼島を一瞬で消し去ってしまうほどだもの」
「まずいよ~!!どうすればいいの~!?」
見たこともないほどの威力を見せつけるアクノロギア。彼が旋回している場所は、瞬く間に壁や地面が崩壊していき、見るも無惨な光景が広がっている。
「クソッ・・・」
「こりゃあ今から逃げてもすぐ巻き込まれんなぁ」
おそらく俺たちはアクノロギアの射程圏内に入っている。そうなると、動けないこいつらを連れて逃げるなんか無理だし、そもそも他の妖精の尻尾のメンバーがいる中で、そんなことできないか。
「ここまで・・・か」
絶望的な現実に諦めかけていると、アクノロギアが口元を光らせているのが目に入る。それと同時に、彼の真下・・・残骸の中からオレンジ色の光が輝き始める。
「なんだありゃ?」
「光・・・?」
「炎の光~?」
すぐ近くにいるシャルルやセシリー、そして口を閉ざしてはいるが、ドランバルトにもこの光景が見えているのだろう。
次第に光が輝きを増し、周囲を照らしていく。そして・・・その光が収まった時、信じられないものが姿を現した。
赤い大きな体に巨大な羽。人間のそれとは全く違う形をした手。そして、顔には戦いを生き抜いてきた証なのか、×の傷が付いている。
「シャルル~!!あれって~・・・」
「ドラゴン・・・」
オレンジの光と共に現れたのは、赤い体に包まれたドラゴン。アクノロギアだけに留まらず、もう一頭現れたかつてのこの世界の支配者に、顔を強張らせている。
だが、そのドラゴンの取った行動は俺たちの予想とは違うものだった。
ドゴオオオオオン
ブレスを放とうとしているアクノロギアに体当たりを仕掛ける赤い竜。攻撃を邪魔されたアクノロギアは一度体勢を立て直すと、目の前の赤いドラゴンに体当たりをし、彼もまたそれを受け止める。
ドラゴンvs.ドラゴン。人智を越えた戦いが始まる。
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルとカミューニの反応が全く一緒という謎の展開。
次はアクノロギアvs.イグニールが多くなりますかね?
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