「………っ。うっ…眩しい…」
俺は意識を取り戻し、自分の状況を把握しようとするがわからない。
「あれ…俺なんでベットで寝てんだ…?」
俺が目覚めた場所は、部屋全体が白く静まり返ったベットだった。
「俺はエイリア学園と戦っていて…それからどうなった?」
俺は目覚めたばかりの頭をフル回転させ、意識を失う前の状況を思い出す。
「そうだ…。俺は緑川のシュートを止めに入って意識を失ったんだ…。でも何でベットに俺は居るんだ…?」
俺が必死に考えていると僅かに足音が聞こえた。
「誰か居るのか…?」
コツ コツ コツ コツ
革靴だろうか。乾いた音がやけに大きく静かな部屋に残響を残し響く。
その足音は段々と近くなって来て、遂に止まった。
止まった場所はあろうことかこの部屋の入り口だ。
俺が身構えると入り口のドアがキィィ…と音を立て開いていく。
俺は警戒しつつ入り口を確認すると、そこに居た人物は意外な人だった。
間違えるはずもない…。
あの優しそうな顔に、特徴的な耳…。俺は思わず叫んでしまった。
「と…父さん!!」
その人は吉良 星二郎。
俺の育った場所お日さま園の創設者であり、お日さま園でお世話になった人たちのお父さんだ。
父さんは俺を見て優しく微笑むと、俺に語り掛ける。
「やっぱり真紅だったか!久し振りに会ったら身長も伸びて、大人になったなぁ…」
「そうかな…?まあそうだね、父さんと会うのも約2年ぶりくらいだし」
「私も驚いたよ…。なんせ真紅が私の庭で倒れていたものだから…」
「俺が庭に…?俺はエイリア学園のシュートを受けて、ここに飛ばされたのか…?いや…待てよ。緑川が言ってたな…父さんの為と。あれはどういう意味なんだ…?」
「どうしたんだい真紅。1人でブツブツ喋って」
「あのさ父さん…。父さんはエイリア学園って知ってる?」
「勿論さ!エイリア学園はお日さま園の子ども達だからね!」
俺はその言葉に息を飲んだ。
言われてみれば…緑川だけじゃない。他にも見たことのある顔ぶれがいると思ったら、彼奴らもお日さま園の子ども達だったのか…。
「でも父さん、なんでお日さま園の子ども達が学校を破壊しなきゃならないんだ?おかしいだろ…」
「真紅。耳を貸しなさい、教えてあげよう」
「……………………………………っ!!そんなことの為に!?父さん、止めるんだ!」
「これは新しい日本を作るために必要なことなのです。お前も大人になりなさい」
「父さん…、何があったんだ、あんたは俺の知っている父さんじゃない!」
「真紅…残念です。お前には私の理想を理解出来ないようですね…。使いたくはありませんでしたが仕方ありません」
父さんはポケットから怪しく紫色に輝いた石を取り出すと、俺に語りかけた。
「真紅、お前には協力してして貰いますよ…。例え強制でも…」
父さんは俺にその石を付けたネックレスを掛けると、途端に俺の視界が眩んだ。
「うっ…!と、父さん…何をしたの…!」
「お前が悪いのです。私の理想の世界を理解出来ないお前が…。だからお前を操らせて貰いますよ…」
「なんなんだ…この石は…」
「この石はエイリア石…私の理想を実現させる道具だよ!!」
俺は激しい頭痛に襲われそのまま、意識を失った。
「さあこちらへ来なさい…」
俺は言われるがまま案内され違う部屋に入った。
俺の視界には見たことのある顔ぶれが揃っていた。
「さあ自己紹介をしなさい」
俺は一歩踏み出すと口を開き話す。
「俺はエイリア学園マスターランク。チーム【ガイア】所属、名はエクレールだ…!」