暗闇を照らす白き日差し【影に身を委ねた一夏】
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プロローグ
プロローグ Ⅰ
前書き
誘拐事件、そして黒ウサギとのファーストコンタクト
一夏SIDE
とある都会の路地。
辺り一面に広がる夥しい血。それは俺が斬った人間から流れた血だった。
別に好きで人殺しをしてる訳じゃない。ソイツは裏で詐欺を人を騙し、更には自分の不正の他人になすり付けてた忌々しい奴だ。俺が殺してるのは、全員そんな奴だ。一般人は1人たりとも殺していない。ただ俺の正体を知ろうとする奴なら一般人でも容赦はしない。
だって俺は……あの時から……人間であることを…織斑 一夏だった過去を…全て捨てたのだから……
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あれはもう何年も前だろう。俺は実の姉の千冬姉の試合を観戦する為にドイツの地へ降り立った。
今世界は束博士が発表したIS(インフィニット・ストラトス)によって世界のパワーバランスは崩れ、世間では女尊男卑といって女性が強くて男性が弱いとされている。
そして俺の実の姉の千冬姉はその象徴。数年に一度開催されてるモンド・グロッソの第1回優勝者で、俺の自慢の姉さんだった。
けど俺は第2回のモンド・グロッソの大会の決勝前で誘拐されて、水知らない所に監禁された。
俺を誘拐した奴らの目的は、千冬姉を決勝戦に出場させないためだった。何の為かは解らない。けれど、千冬姉は決勝戦に出場したらしい。そして俺は、そんな奴らから人質として役に立たなくなったといって殺されそうになった。
もっと生きたい…もっと生きたいと思った矢先……
『生きたいか?』
どこからかそんな声が聞こえた、何故かは解らない。けど確かに聞こえた、その声が……
『生きたければ、僕の力の一片をくれてやろう。だがその代償に、お前は大事なものを手離さなければならん。
己の魂ではもの足りぬ何かを……』
その時俺は力を欲する代償に、俺自身の…俺の過去を代償に払った。唯一の家族の千冬姉と、初めての幼馴染の箒と、中学で出会った鈴や弾やその妹の蘭といった全ての俺の過去を捨てるという大きな代償を払って力を手に入れた。
その力の証は、俺の心臓と代償でもって生み出された刃で今も右腰から下げてる《神刀 摩利支天》。それはあまねく全てを司る創造の刃にして、最凶の刃に唯一対抗できる刀だ。
俺は手に入れた力を使って奴らを排除。更に襲い掛かって来たISも返り討ちにしてそこから離れた。
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それから数日して、俺が監禁されてた場所に千冬姉が乗り込んだらしいけど、そこには無数の死体とISの破片が発見されただけで俺の手掛かりは残ってなかったそうだ。残ってなくて当然だ、何せ証拠は全部俺が消去したんだから……
それに今更戻ったって仕方ない、この力は人の人知を超えた力だ。戻ったところで人体実験を受けるだけだ。ならば一生戻らなければいい。この力を手にした以上、もう後戻りは出来ないのだから……
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話を戻して……俺は過去を捨てたと同時に名前も捨てた。以来ずっとその状態で生きて来たけど、ある時俺を“夜のように暗闇に閉ざされた空間を白夜の如く照らす薄明の斬撃。”って誰かが言うようになってからは“白夜”と名乗るようにして、犯罪者や詐欺師にテロリストに,更に武装集団や悪徳企業に法で裁けない政治家共を人からの依頼で殺し、その依頼で受け取った報酬で生計を立てながら生きるような暮らしをしながら世界各地を転々としている。
全てはこの世から闇を消す為に……そして俺を救ったあの人を越える為に……
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一夏改め白夜SIDE
そんな生活を始めてから一年ぐらい経ってある日。俺はある大臣の暗殺の依頼を受けてドイツに足を運んで街中を歩いてた。
俺は名を捨てた身である以上は国の出入りは簡単なモノじゃない。けれど俺は偽装パスポートに偽装ビザを持ってるからそんなのは容易い事だ。加えて言うならクレジットカードも偽装だし携帯も偽名登録されてるから素性を知られる危険性はそう無い。
けど……
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≪カッカッカッ……≫
明らかに誰かに尾けられてるな。しかも一人じゃない、少なくとも10人は居る。もう俺の事を嗅ぎつけたのかと思ったけど何処か気配が違う。一体何だろうか?
けれどこのまま尾行されるのは流石に厄介だ。第一として、仕事現場を見られたら面倒な事になる。
白夜「おい、俺を尾けてる奴ら……出て来いよ…ハッキリ言うと、このまま尾行されるのは面白くないからな……」
「ほ~う、我々に気付くとはな。流石は世界を股に掛ける殺し屋だな」
後ろを向いてそう言うと、大きな剣を手に取るドイツ軍の軍服の来た女性と複数のISが空に現れた。
白夜「ドイツの第3世代IS……って事はドイツ軍特殊部隊の〈シュヴァルツェ・ハーゼ〉の連中か。んでそっちは__」
千冬「一夏…一夏なのか⁉︎私だ、織斑 千冬だ!何故お前がここに居るんだ⁉︎」
チッ……黒ウサギ部隊はともかく何で織斑 千冬が居んだよ?また面倒な奴らに鉢合っちまったな。けれど、事はなってからじゃしゃあないけどな……
千冬「白夜と名乗る輩がドイツの国防大臣を殺すそうだから気を付けるよう言われてたが、なんで…なんでお前がここに……?」
ヤレヤレ……おおかた予想はついてたが、よりによってこんな面倒な奴らが用心棒とはついてねぇな……
千冬「どうしてお前がここに居るんだ?答えろ一夏!」
ウゼェな……俺をそんな名で呼ぶなんてな……聞いててむしゃくしゃするぜ……
白夜「一夏、誰だソイツは?俺の名は白夜だ、記憶したか?」
千冬「違う!お前は一夏だ!そうだろ⁉︎」
白夜「何度も言わせんなブリュンヒルデ、俺は白夜だっつってるだろ?テメェの知ってる輩と一緒にすんな。
それとも何だ、そんな事も聴き取れんとはテメェの耳は節穴か?耳ん中綺麗にしてんのか戯け」
千冬「何だと……?」
フンッ……俺をそんな名前で呼ぶとは、随分とクソッタレにまで落ちぶれたモンだな、ブリュンヒルデ。まあ良しとすっか、邪魔すんならどの道叩き潰すまでだ……
「貴様!教官を侮辱するな‼︎そんなに蹂躙されたいのか⁉︎」
ほう……そっちのISを纏った銀髪は……
白夜「確か国家代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒだな?」
ラウラ「私を知ってるのか貴様?」
白夜「知らんほうが不思議だろ?」
ラウラ「まっ、確かにな」
コイツ……織斑 千冬を教官呼ばわりする以上、ヤツの教え子か。
まっ、そんで代表候補生なら倒しがいがあるな……
ラウラ「貴様が白夜なら調度良い…教官を侮辱した事を後悔させてやろう!」
フンッ……いいだろう…相手をしてくれる……
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≪ガキンッ!≫
白夜「どうした、ブリュンヒルデの教え子の実力はそんな程度か?」
ラウラ「くっ!」
ヤッパ強くないな。力に任せた遅い攻撃、しかも雑過ぎる。そんなのがブリュンヒルデの教え子とはよく笑い者にされんモンだな……
ラウラ「馬鹿にするな〜〜!!!」
白夜「フンッ」
俺を相手に正攻法で攻めて来るなんて随分と命知らずな野郎だ。まあいいだろう、何れにしても充分な苦痛と絶望を味合わせるまでだ!
≪ズガーンッ!≫
ラウラ「ぐわ〜〜〜〜!!!??」
両手に持った長剣と短刀を振りかざして突撃斬り、躱す余地もあったってのに間抜けな奴だ。
こんな奴は準備運動にもなりゃしない。
ーーーーーーーーーー
千冬「ボーデヴィッヒ!」
≪カチンッ≫
今のうちに離れるか……って思って俺は暗闇に紛れてその場から離脱。紛れてと言っても姿や気配も闇に溶け込むから滅多な理由で見つかることはそう無いから、俺は安心して目的地へと急ぐ。
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千冬SIDE
ラウラ「教官…私は__」
千冬「言い訳はいい!早く手当てを受けろ‼︎」
「教官!只今国防大臣が白夜の手で殺されたとの報告が入りました‼︎」
千冬「何だと、奴はどうした⁉︎」
「それが……レーダーにも反応が無く、逃げられたと__」
千冬「チッ!なんて足が早い奴だ‼︎」
あいつめ……ボーデヴィッヒを倒したのは解るが、いつの間にか大臣暗殺に成功するとは……一体何があったんだ?
千冬「やも得ん、作戦は中止だ。帰投する」
『ヤー‼︎』
とはいえ考えても仕方ないか……一旦戻って調べる必要があるな……
後書き
次回は白夜の人物像
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