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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
   ひぐらしのなく頃に ~事話し編~



蒔風が降り立ったのはどこかの神社の裏の展望台みたいな場所だ。

眼下には村が広がっている。

「雛見沢村。人口2000人の小さな村、か」

蒔風が展望台を離れ、神社の方に向かい、正面の長い階段を下りていく。


階段を下りていると、子供達の集団が走ってきていた。

とても元気だ。
下は小学生低学年、上は中学生ぐらいかの少年少女たち。
とはいっても男子は一人。他はみんな女の子だ。

この暑い中、長い階段を一気に駆け上がっていく。

子供達とすれ違い、蒔風がなにかを感じた。
そして振り返る。

他のみんなは一番上まで駆け上がっていた。

しかし、薄紫色の髪をした女の子がこちらを見下ろしていた。

それより少し上の方で、同い年かの濃い紫色の髪の少女が心配そうに少女を見ていた。


しばらくお互いに視線を向け合っていると、上から声が聞こえた。

「羽入ーーー!どったの?・・・誰?この人。雛見沢の人じゃないね」


碧色の髪をポニーテールにしている年長者らしい少女が階段を降りてきた。

この雛見沢、人との関わりがものすごく濃いのだ。
だから外から来た人は一発で分かる。

「あぅ。魅音、ボクは少しこの人に用事があるのですよ。梨花、来て下さい」

「え?なによ羽入?そんなに引っ張らないでよ」

「あなたも、いいですね?」

「・・・ありがたい限りだ」

そうして、羽入、梨花と呼ばれた少女と一緒に蒔風が神社裏の倉庫周辺に向かった。

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「あなたはこの世界の人間ではないですね?」

「お前も、神がヒトの世界になにか用か?」

「え?え?ど、どういうことなのよ羽入!他の世界って?なんであんたの正体が」

「で、この子が最主要人物か」

「どういうことなのですか?」

「流石に知らないか。実は」

「あんたたち!私を無視するなー!!」

梨花が両手を振り上げ叫んだ。
黙り込む二人。

「・・・でだ、この梨花ちゃんの命がかくかくしかじか」

「それは本当なのですか!?」

「聞けぇ!!」

何事もなかったかのように再び話しはじめた二人に梨花が本気でキレたため、まず羽入が蒔風にこの世界のことを話し、それから蒔風が説明することにした。


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この少女、古手梨花は普通の少女ではない。
これまで『様々な雛見沢』、つまりはパラレルワールドで幾度も幾度も殺されてきた少女で、殺されるたびに時間を巻き戻り、その死に抗ってきた。
昭和58年6月に殺される運命に抗い続けて時間を幾度も巻き戻り百年の時を過ごしたのだ。
それをついに今回打ち破り、運命の6月を越え、今にいたっている。

そして時間を巻き戻し続けたこの地の神、「オヤシロさま」こと古手羽入。
今は人としての人生を楽しんでいる。


その説明を聞いてから蒔風が口を開く。

「ふ~む。多重世界ではないようだな」

「多重世界ってなんなのですか?」

いつもの調子に戻って話した梨花が蒔風に聞く。

「一つの世界がいくつもの世界を内包してるのを「多重世界」ってんだが、ここは違うみたいなんだよ」

「あぅ?ボク達は確かに多くの世界を・・・」

「それは可能性の世界だろ?そうだなぁ・・・多重世界ってのは、一つの世界の中にAとBって別の世界がある場合だ」

「みー」「あぅあぅ」

「君達の場合、AとA'の・・・ようは別の可能性の世界との行き来に近い。だからここは多重世界ではないんだよ」

「なるほどなのです」

「あぅ。それで、舜がこの世界に来た理由はなんなのですか?」


それに蒔風が答え――――


「っとま、こんなとこかな」

「梨花の命を・・・なんでまたそんなことに」

「「奴」に聞いてくれ。あと、あれはいいのか?」

「あれ?とはなんなのですか?」

そう言って蒔風があごをクイッと後ろの方に向けるするとそちらからこそこそと声が聞こえた。

(ばれちゃった?)

(もう!!圭ちゃんのバカ!)

(オレじゃねえ!沙都子押すな!!)

(見えないんですのよ!!)

(わっわっ、お、押さないで~~)

ドダッ!!!


先ほどの少女+少年が物陰から転がってきた。
こういうとき男子が一番下につぶされるのはもはやデフォなのだろうか。


「いたた・・・あんた!!梨花ちゃんが殺されるってどういうこと!?」

「また「東京」とかいう連中ですの!?」

「東京」
かつて梨花の命を狙った組織の名だ。
この組織は戦後日本政治界重鎮たちの作った組織。

しかしその重鎮たちが邪魔になった若い世代が、重鎮たちを追いやろうとし、彼らの着手している計画を潰すことを考えた。
その計画とはここ雛見沢における「雛見沢症候群」と呼ばれる病気の解明だ。

この症候群は雛見沢から離れると果てしない低確率で発症するもので、異常な疑心暗鬼や被害妄想、さらには幻覚を見るなどの症状を起こす。
近年では全くと言っていいほど収まっているようだが、過度なストレスを受けることで高いレベルでの発症をしてしまうのだ。

古手梨花は「女王感染者」と言われる存在で、彼女が死ぬと全村民が一斉発症し、この世の地獄絵図となるらしい。
そんなことが起きれば重鎮たちは責任を取って消える、という計画で梨花を殺そうとしたのだ。



「あーーー!!!まてまてまて!!さっきの話聞いてたんか?」

「は、はい・・・あの、私たちやっぱり梨花ちゃんたちが心配で、途中から聞いてしまって」

「どっから?」

「えっと、あなたが説明を始めたあたりからです」

「さいで。ま、そういうことだ。聞いてたんなら話が早い。オレ、蒔風舜な」

「オレは前原圭一と言います。それで・・」

「敬語禁止。普通に話してくれ。むずかゆくなる」

「えっと・・・じゃあ、私は竜宮レナです!!これくらいならいいですよね?」

「ま、そんくらい砕けてくれりゃあ」

「私は園崎魅音。この部活の部長だよ」

「わたくしは北条沙都子ですわ。それで、本当に梨花が?」

「マジマジ。ちょっと厄介な奴がねーー」

そう手をヒラヒラと振りながらなんでもないように言う蒔風。

(なんだ?このメンバー、すげぇぞ?最主要人物候補が沢山いやがる?あれ?魅音だけ違う?)


そんなことを考えていてもしょうがないと。
蒔風が口を開く。

「で?みんなは何をしようとしてたんだい?」

「裏山でサバイバル鬼ごっこですわ!!」

「サバイバル鬼ごっこ?」

「沙都子ちゃんの仕掛けたトラップがこの裏山にたっくさんあるんです」

「そこで鬼ごっこをするんだ。トラップにかかったり、鬼に捕まったりしたら鬼の仲間になって追いかけるんだ」

「なるほど・・・ようは「全滅鬼」ってやつか」

「え?私たちは「ゾンビ鬼」って言ってますけど」

「そんなことより!舜さん、その「奴」ってのはいつ来るんだい?」

魅音が一切ふざけのない、本気の視線で蒔風を見る。

「さすがのリーダーだな・・・その目つきお兄さん怖いわ!!」

蒔風がふざけたように言う。
それにちょっとした驚きを感じながら、魅音が先を言おうとする。

「いいから・・・」

「ごめんごめん。ま、それに関しては大丈夫だ。まだ「奴」は動かないさ。そんなことより!!!」

蒔風がうきうきしたような眼をして叫んだ。

「遊ぶんだろ?オレも入れてくれ!!そういうの大好きなんだ!!」

『・・・・はぁ?』

その場の全員が一斉に声をあげた。
これまでの流れから想像もできないような明るい口調で言い出したのだから。

その視線にさらされ、蒔風が焦る。

「な、なんだよう。その眼は・・・いいだろぉ!オレはいつまでも少年ハートなんだ!!遊ぶの大好きでもいいじゃないか!!」

「いや・・なんか今までのふいんきと違って」

「おっといけねぇな圭一。「ふいんき」じゃねぇ「ふんいき」だ」

「そうなの?」

「そうだよ。これ、テストにでるからね!!(ズビシ!)」

蒔風が意味のわからないテンションになってきた。
夏か。夏のせいなのか。


「どうする?魅音」

「う~~ん。我が部に入るには雛見沢在住じゃないといけないんだけどなぁ~~」

「え~~~?そんなこと言わないでよ~~~~」

蒔風が子供のように駄々をこねるときの声を出す。

「あんたホントに大人か!?」

「童心を忘れないだけさ!!!」

「・・・ほら魅音。勉強しないで遊んでるとこういう大人になるんだ。受験がんばれよ?」

「説得力あるね・・・」

圭一が蒔風の方を見ながら魅音に言った。
なぜか蒔風は誇らしげだ。



結局蒔風はこの部活に参加させてもらえることになった。


そして場所は移り裏山
ここでサバイバル鬼ごっこが始まる

『ジャンケン、ポン!!!!』

最初にジャンケンをして鬼を決める。
負けたのは・・・

「沙都子か・・・こりゃ恐ろしくなったね」

「そんなに凄いのか?トラップ」

「ま、まあね」


「を~~ほっほっほっほ!!ま、鬼になっても皆さんを捕まえられれば私の一人勝ち!!ヨッユ~~ですわぁ!!!」


「確かにすごそうだ(汗)・・・・」

「じゃあ百を「待て沙都子」なんですの圭一さん」

「今度もまた問題にしよう。いいか?」

「むっ、もう騙されませんのよ!!」

「よし!!じゃあ!!「山田さんちにリンゴを23個持っていき、山田さんはお返しに22個の梨をお返ししました」ええ!?舜さん!?」

圭一が問題を出そうとしたら蒔風が横からいきなり問題を言い出した。
地面に数字を書きながら沙都子が耳を傾ける。

「いいの?魅ぃちゃん」

「ここは彼が我が部に対抗しうるかどうかを見てみようじゃないか」

レナと魅音が楽しそうに話す。
魅音の口はニッシッシ、と笑っていた。

「そこで二人三脚をしていた息子の幸助君が梨を4個食べてしまいました」

「ふむふむ・・・」

「さて、この問題で私は「に」と何回言ったでしょう?」

「なっ!?」

「そら逃げろ!!!」

蒔風が走り、大笑いしながら他のメンバーも走り出す。

「えっと・・・一回、二回・・・問題が思い出せませんわぁ~~~!!!!」

後ろの方で沙都子の叫びが聞こえる。

「あっひゃっひゃっひゃ!!!あんたサイコーだね!!!」

「同感!!沙都子の悔しそうな顔がたまんね~~!!!」

「はぅ~~!!!泣き顔の沙都子ちゃんかぁいいよ~~。でも部活中だから、罰ゲームでお持ち帰りぃ!!」

そんな中梨花と羽入は走りながらもポカンと眺めていた。

「凄いわ・・・すぐにみんなの輪に打ち解けた・・・」

「あぅあぅあぅ。それだけいい人、ということなのかもしれませんのです。あぅ!!」

こうして始まった部活

勝者は誰だ!?





to be continued
 
 

 
後書き


アリス
「「ひぐらし」の世界です!!」

いや~~
そういえばああいう鬼ごっこて地方ごとに違うよね
作者の方は蒔風と同じですけど

アリス
「にしてもいきなり部活ですか」

それがひぐらしの醍醐味

アリス
「ほかの最主要人物候補とは?」

圭一は鬼隠し・綿流し・祟殺しで、レナは罪滅しで、沙都子は原作じゃないけど厄醒しで主人公でしたから。
正直圭一か梨花か、どちらを主人公にするか悩んだんですけど

アリス
「結局梨花ちゃんに?」

そう
それしかないと思ったね。祭囃しの後だし。


アリス
「次回、壮絶、鬼ごっこ」

ではまた次回





なら、その運命とやらを俺がブチ壊してやろうじゃねぇか 
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