Three Roses
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第四話 新王の即位その六
「叔父上もですね」
「はい、ですから」
「お話は聞いても」
「その硬さがですね」
「どうしても気になり」
それで、というのだ。
「マリー姉様、マリア姉様のお言葉そして」
「セーラ嬢ですね」
「お三方のお言葉を」
どうしてもというのだ。
「聞いてしまいます」
「柔らかさ、慈しみがあり」
「中庸があります」
マリー達の方がというのだ。
「マリア姉様は純粋でセーラ嬢は聡明で」
「そしてですね」
「マリー姉様が最もです」
三人の中でというのだ。
「特に聞くべきものがあるとです」
「王は思われますね」
「はい、純粋で聡明であり」
しかもというのだ、マリーの政治での言葉は。
「お優しく」
「それでいて押さえるべきところはですね」
「押さえておられるので」
「私もそう思います、マリー様はです」
「政治のことにおいて」
「間違いはありません」
「人を見る目も」
マリーはそちらもというのだ、彼女自身の識見が優れているだけでなく。
「備えられています」
「マリー様が推挙される方は」
「ロドネイ公、グラッドソン大司教」
マリーが推挙する具体的な者の名をだ、王は挙げていった。
「キャスリング侯、そしてデューダー伯」
「四人共です」
「見事な人物ですね」
「マリー様の勧められたこの者達は」
大公も確かな声で言う。
「王の手足となってくれます」
「内政に外交に」
「そして軍事に宗教に」
どれでもというのだ。
「ですから」
「あの四人をですね」
「用いて下さい」
それも重くとだ、大公は言った。
「是非共」
「わかりました、マリー姉様なら」
王は大公の言葉に頷いた、そして。
そのうえでだ、大公にこうも言った。
「私に何かあろうとも」
「国をですか」
「はい、任せられますね」
「王よ、そうしたお言葉は」
大公は王のその言葉に不吉なものを感じ謹言した。
「言われぬ方が」
「いいですね」
「はい」
くれぐれもというのだ。
「ご注意下さい」
「不吉なことは言わぬもの」
「左様です」
「それが事実になるからですね」
「言葉には不思議な力があります」
このこともだ、大公は王に言った。
「それが現実になることもです」
「あるのですね」
「そうです」
「わかりました、それでなのですが」
「それでとは」
「マリー姉様の王位は」
「第二位です」
大公ははっきりと答えた。
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