Three Roses
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第四話 新王の即位その三
「近頃ある方がマリア様を常に見られているそうです」
「私を」
「女官達の話を聞いたのですが」
噂話だった、このことは。
「どうもマリア様を邪な目で見られているとか」
「邪な」
「お気をつけ下さい」
くれぐれもという口調での忠告だった。
「世間には邪な方も多いです」
「そうね、確かに」
「ですから」
「それが誰かわかれば」
マリーも話を聞いて頷く。
「遠ざけるべきですね」
「私もそう思います」
ここでセーラも言う、再び。
「マリア様の為にも」
「父上も仰っていました」
崩御した父王もというのだ、マアリーにとっては。
「そうした方はです」
「遠ざける」
「そうあるべきだと」
「心正しき人をですね」
「君主は傍に置くべきだと」
「邪な者は置かない」
「まずは心正しきこと」
人として大事なものはというのだ。
「そしてその次に優れているか」
「まずは心で」
「その次に資質だと」
「そうなのね」
「心正しき方は必ず務めを果たしてくれ助けてくれるというので」
「心が正しいと」
「後はその方が何をすべきか」
つまりどの様な務めに向いているかというのだ。
「それを見極めるのは君主の務め」
「そして何よりも」
「人の正邪を見極める」
「それが重要だと聞いています」
「そうなのね」
「だからそうした者がマリアを見ているのなら」
「遠ざける」
マリアも言う。
「何があろうと」
「そうあるべきです」
まさにというのだ。
「私もそう思います」
「では」
「若しそうした人がいて」
セーラの言うマリアを見ている者がだ。
「邪な人物なら」
「遠ざけるべきなのね」
「そうです」
何があってもというのだ。
「私もそう思います」
「そうなのね」
「マリアも気をつけて下さい」
「わかったわ」
マリアはマリー、そしてセーラに対して頷いて答えた。
「くれぐれもね」
「貴女は私達の中で最も奇麗なのだから」
その整った顔立ちについてもだ、マリーは言った。
「おそらくこの国で最も」
「それは言い過ぎでは」
「いえ、言い過ぎでないわ」
隠すことなくだ、マリーはマリアに告げた。
「貴女は本当に奇麗だから」
「この国で最も」
「そう言っていい位に」
「マリア様よりお美しい方は」
セーラも言う。
「そうはおられないと思います」
「セーラもそう言うのね」
「ですから」
それ故にというのだ。
「お気をつけ下さい」
「そうした目に」
「くれぐれも」
「ええ、本当にね」
またマリーが言う。
「そうしていくべきです」
「では」
「はい、本当に」
こうしたこともだ、三人は話していた。三人はこの時も共にいた。
そしてマイラは司教と共にいた、父王の崩御を聞いてマイラも衝撃を受けたが泣かずだ。すぐに司教にこう言った。
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