英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)
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第37話
~ミシェラム~
ロイド達が入口付近まで来るとランディ達がロイド達に走って近づいてきた。
「ロイドさん………!」
「よかった………無事、合流できたか!」
ティオ達と合流したロイドは安堵の表情をした。
「はあ………ヒヤヒヤさせやがるな―――って、なんだその子は!?」
「通信で伝えたでしょう?女の子を一人保護したって。」
キーアの存在に驚いているランディにエリィは呆れた表情で指摘した。
「ねえねえ、ロイド。このヒトたち、ミカタなの?」
「ああ、信頼できる仲間さ。時間がない。早くここから―――」
キーアの疑問ににロイドが頷いたその時!
「ハッ、そうは行くかよ!」
マフィア達がランディ達の背後から現れて道を阻んだ!
「くっ…………」
「やれやれ……読まれていたみたいだね。」
「まあ、このくらいは読んでもらわないと張り合いがないものねぇ?」
マフィア達の登場ロイドは警戒し、ワジは溜息を吐き、レンは不敵な笑みを浮かべた。
「クク、若頭の指示通り、張っておいて正解だったぜ。」
「なるほど……警察の小僧どもだったか。」
「ハッ、さすがにオイタが過ぎたみてぇだなァ………?」
マフィア達はロイド達を睨んだ後大型の銃を構えた!
「なっ……!?」
「導力式の重機関銃―――なんて物を持ち出しやがる!」
「しかも帝国製の最新式みたいですね………」
マフィア達が持つ武器を見たロイドは驚き、ランディは目を細め、ティオは真剣な表情で武器の正体を口にした。
「クク……抵抗してもいいんだぜ?」
「ハハ、この間合いだったらあっという間にミンチだろうがな。」
「くっ………」
凶悪な笑みを浮かべて語るマフィア達の言葉を聞いたエリィは表情を歪め
「ねえねえ、ロイド……もしかしてこれが”ぴんち”っていうやつ?」
キーアは真剣な表情でロイドに尋ねた。
「ああ……どうやらそうみたいだ。」
そしてキーアの疑問にロイドが答えたその時
「いや………まだみたいだね。」
「うふふ、まさかここで手助けしてくれるなんてレンも驚いたわ。」
「え――――」
何かに気づいたワジとレンが意味深な言葉を口にし、それを聞いたロイドが呆けたその時!
「がっ………!?」
「うぐっ………!?」
ロイド達の背後から偃月輪が飛んできて、マフィア達に命中し、偃月輪が命中したマフィア達は気絶した!
「なっ………!?」
「なんだ……!?」
それを見たマフィア達が驚いたその時、再び偃月輪が飛んできてマフィア達に命中した!
「ぎゃっ!?」
「ぐはっ!?」
「うおっ!?」
偃月輪に命中したマフィア達は湖に落ちたり、気絶した!
「ほえ~………黒いヒトたち、やられたよ!?」
「い、今のは……!?」
気絶したマフィア達を見たキーアとロイドは驚き、ランディは振り向いて議長邸を見つめた。
「屋敷の方から飛んできたみたいだが…………」
「フフ、どうやら他にも助っ人がいたみたいだね。詮索は後にして逃げた方がいいんじゃない?」
「ああ……!」
ワジの提案にロイドは頷き
「今なら丁度、水上バスが来ています……!」
「とにかく波止場に向かうぞ!」
ティオの言葉に続くようにランディが提案して言った。そしてロイド達は波止場に向かって走って行くと、なんと街区で軍用犬達が現れ、ロイド達の道を阻んだ!
「まさか………街区に犬を!?」
「なんかいっぱいいるね~。」
「来るぞ………!」
軍用犬達の登場にロイドは驚き、キーアは呑気に呟き、ランディが警告したその時!
「―――させません!オールザウェイ!!」
「「「「ガッ!?」」」」
フローラが軍用犬達の背後から現れて両手に持つ銃から凍結効果がある特殊な弾丸を連射して軍用犬達の足元を凍結させて動きを封じ込め
「行け――――フレイムバード!!」
そこにジョーカーが騎士剣を振るって炎の鳥の形をした闘気を放って追撃し
「これで終わりです~!奥義――――洸刃乱舞―――――ッ!!」
更に可憐な見た目とは裏腹の身の丈程ある大剣を両手に持ったフェリシアが大剣に闘気を収束させた光を纏わせて回転斬りを放って止めを刺した!
「へ………」
「ヒュ~♪まさかここでも助太刀してくれる人達が現れるなんてね。」
「わ~、メイドさんにシツジさんだ~♪」
「貴方達は一体………」
予想外の助太刀の登場にロイドは呆け、ワジは感心し、キーアは興味ありげな表情でジョーカー達を見つめ、ティオは戸惑いの表情をした。
「―――救援が遅れてしまい、誠に申し訳ございません、レン様。」
「お怪我はありませんか?」
するとその時フェリシアと共にロイド達に近づいてきたジョーカーとフローラがレンに一礼をして声をかけ
「ハアッ!?もしかして小嬢の関係者か!?」
二人の言葉を聞いたランディは信じられない表情でレンを見つめた。
「うふふ、3人ともグッドタイミングだったわよ♪―――状況はどうなっているのかしら?」
「ハッ。私達を含めたミシェラムに待機していた者達は手分けして港までの道を阻む”ルバーチェ”の構成員及び軍用犬は一通り無力化しておきました。他の者達は現在敵を攪乱する為にルバーチェの構成員や軍用犬を見つけ次第それぞれ戦闘を仕掛けています。」
「それとご指示通り観光客や一般人の人達の避難誘導も完了しました~。」
「ええっ!?レ、レンちゃん。今の話は一体どういう事なの……?」
ジョーカーとフェリシアのレンへの報告を聞いて驚いたエリィは信じられない表情でレンに訊ねた。
「後で説明するわ。―――ジョーカーお兄さん達はこのまま攪乱を続けて、適当に機を見計らって別荘に撤退して。ただし”キリングベア”が出てきた場合は全員即座に撤退する事。それと絶対に無茶はせず、全員必ず無事に帰還する事。―――以上よ。」
「「「仰せのままに(イエス)、我が主!!」」」
レンの指示にそれぞれ会釈をして答えたジョーカー達はその場から去って行った!
「ほえ~……今のメイドさん達、カッコよかったね~♪」
「うふふ、後でジョーカーお兄さん達に伝えておいてあげるわ♪」
レンとジョーカー達との一連のやり取りを見たロイド達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中呆けた後無邪気な笑顔を浮かべたキーアの評価を聞いたレンは微笑み
「というかメイド達にあんなに慕われている君って、一体何者なワケ?」
「クスクス、ホストなのにレディには秘密があった方が魅力的なのを知らないのかしら?」
口元に笑みを浮かべるワジの問いかけに対してレンは意味ありげな笑みを浮かべて答えを誤魔化した。
「改めてレンちゃんの凄さを思い知らされたわよね……」
「つーか、それ以前に何で執事やメイドが戦えるんだよ……しかもマフィア達相手に。」
「あんな短時間でミシェラムに散開しているルバーチェの構成員や軍用犬を無力化できる程の戦力を保有しているレンさんがその気になれば、レンさんが保有している戦力だけでルバーチェや”黒月”を壊滅に陥らせる事ができる気がするのですが。」
「ハ、ハハ……とにかく港へ急ごう。」
エリィとランディは疲れた表情で溜息を吐き、ティオはジト目で呟き、ロイドは乾いた声で苦笑した後仲間達を促した。その後ロイド達は街区とアーケードを抜けて波止場に到着した。しかしその時、水上バスの汽笛が聞こえて来た!
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