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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第2話

~ジオフロントA区画~



ジオフロントに入ったロイド達がしばらく探索を続けると数体の魔獣が現れ、襲い掛かって来た!

「えい!!」

その時ティオは魔導杖から数個の導力エネルギーで出来た弾を放ってダメージを与えると共に怯ませ

「隙あり!シュート!!」

それを見たエリィは導力銃で3連射して攻撃するクラフト――――3点バーストを放って一体の敵に止めを刺し

「せいっ、はっ、たぁっ!!」

ロイドは衝撃波を纏ったトンファーによる連続攻撃を放つクラフト―――アクセルラッシュを放って、数体の敵達に止めを刺すと共に生き残った敵達は吹っ飛ばした、

「はぁああっ…………喰らいなっ!!」

吹っ飛ばされた敵達にランディは振りかぶって放つ渾身の一撃を放つクラフト――――パワースマッシュを放って止めを刺した!するとその時、戦いの音に気付いたのか霧状の魔獣達が現れた!

「!新手です!」

新手に現れた敵達を見たティオは警告し

「なら………もう一丁!!」

ランディは再びクラフト――――パワースマッシュを放った!しかし、ランディの攻撃はすり抜けた。

「なっ!?攻撃がすり抜け……うあっ!?」

攻撃がすり抜けた事に驚いたランディは霧状の敵達の攻撃を受け、傷を負い

「そこっ!…………!?導力銃も効かないわ!」

エリィも導力銃で攻撃したが攻撃はすり抜け、驚いた。

「分析を開始します……情報を入手しました。物理攻撃は効きにくく、魔法攻撃が効きやすいです!………闇の息吹!!エニグマ起動…………」

ティオはクラフト――――アナライザーで敵の特性を入手し、ロイド達に助言した後治癒魔術をランディに放って、ランディの傷を回復した後、オーブメントを駆動させ始め、さらに次の魔術の詠唱を始めた。

「サンクス!しかしそうなると攻撃がアーツが魔術頼りだから、俺にとっては不利な相手だな………」

ティオの助言を聞いたランディは霧状の敵達から離れ、敵達の行動を警戒していると

(やれやれ………何、情けない事言ってんだよ。以前あたいがあんたに教えた魔力を使った攻撃をもう忘れたのかい?それなら武器を使った攻撃でもいけるよ!)

ランディの身体の中にいるエルンストが呆れた後、念話で助言をし

「(あれか!)ハァァァァ………!!」

助言を聞いたランディはスタンハルバードの切っ先に魔力を溜めた。するとスタンハルバードの切っ先に炎が宿った!

(ロイド。私が貴方に渡した銃なら霊体や悪魔達だけでなく、霧のような形を持たない不定形の魔獣にも効果はあるわ。)

「(わかった。ありがとう、ルファ姉!)………逃がさない!!」

一方ルファディエルの念話での助言を聞いたロイドはトンファーから2丁の銃に持ち替え、気絶する魔力弾を範囲内の敵達に放つクラフト―――スタンブリッツを放ち、光の魔力エネルギーによる弾丸を受けた敵達は怯んだ!

「光よ!光霞!!」

「やあ!アイシクルエッジ!!………そこです、連続魔水弾!!」

そしてエリィとティオは魔術とアーツをそれぞれ放って敵達を弱らせたり、消滅させ

「燃え尽きちまいなっ!!」

スタンハルバードの切っ先に炎を宿らせたランディが魔力によって発生した炎を纏った渾身の一撃を放つクラフト――――ヒートスマッシュを放って、霧状の敵達を燃やし尽くすと同時に倒した!

「フウ………ようやく終わったわね。………それにしても凄いわね、ロイドの銃。私の銃では効かなかったのに………」

戦闘が終了し、安堵の溜息を吐いたエリィは銃を収めた後、ロイドが持つ双銃に視線を向け

「まあ、この銃は他の銃とは色々違うからね。………それよりさっきのランディの武器での攻撃、最初は通らなかったのに次の攻撃はなんで簡単に通ったんだ?」

視線を向けられたロイドは2丁の銃を見つめながら答えて腰に付けているホルダーに収めた後、ランディに視線を向けた。

「おー、よくぞ聞いてくれた。今のはちょいと秘密があってな………」

「秘密?一体何なんだい?」

「それはな………」

ロイドの疑問にランディが得意げな笑みを浮かべて説明しようとしたその時

「………魔力を武器に纏わせて攻撃する事で物理と魔法、両方を同時に放つ攻撃ですよね?」

「………そうだけど、よく知ってるな………」

ティオが先に説明をし、肩を落とした後ティオに視線を向けた。

「………知り合いの方達で”魔法剣”を使っている方達の戦い方を見た事あり、その時に原理を知りましたので。………最も、その人達の方がランディさんの技より圧倒的な威力がありましたが。その人達の”魔法剣”は一瞬で魔獣の軍勢を薙ぎ払うほどの威力でしたし。」

ランディの疑問を聞いたティオはかつて”影の国”で共に戦った仲間達――――リウイやセリカの”魔法剣技”を思いだしながら答え

「そこまで言わなくてもいいだろうが………つーか、魔獣の軍勢を一瞬で薙ぎ払うってどんな化物だよ………」

「それに、魔獣の軍勢と出会ったという経験とか凄く気になるんだけどな………」

ティオの答えを聞いたランディは疲れた表情で溜息を吐き、ロイドは苦笑しながらティオを見つめ

「……………………(”魔法剣”の使い手で魔獣の軍勢を一瞬で薙ぎ払うほどの実力を持つ人…………まさかね…………)……………」

ティオの話から心当たりのある人物―――――凄腕の”魔法剣”の使い手であり、自分に同じ剣術を使う娘と共に剣術を教えてくれた人物にして、自分にとって義兄の存在――――リウイを思い浮かべたエリィだったが、すぐにその考えを消した。その後ロイド達は時折襲って来る魔獣たちを倒しながら進み、ある部屋に入ると誰かの声が聞こえて来た。



………ヒック………ヒック……



「この声は………!?」

「こ、子供の泣き声………!?」

「おいおい、どういう事だよ!?確かジオフロント内部は封鎖されてるんじゃないのか?」

子供の泣き声を聞いたロイドとエリィは驚き、ランディは戸惑った様子でティオに尋ね

「………わたしに言われても。あくまで公式的にそうなっているだけの話です。」

尋ねられたティオは静かに答えた。

「話は後だ!とにかく一刻も早く泣き声の主を探してみよう!」

「ええ…………!」

そしてロイド達は泣き声の主を探して探索を続けると、ダクトの中の通路の角で男の子が蹲って泣いていた。

「ヒック………ううう……どうしよう………このままじゃ………ヒック………」

「おーい、誰かいるのか!」

「!!!だ、だれ~!?」

泣いていた男の子はロイドの声を聞いて驚き、振り向くとロイド達が走りながら駆け付けた。

「よかった。こんな所にいたのか。大丈夫かい?どこか怪我をしていないかい?」

「ううううっ………ふえええええええええっ………!」

ロイドに尋ねられた男の子は大声で泣きはじめた。

「わわっ………」

「あらら………」

「安心したとたん、気が緩んじゃったのね。ロイド、私が代わるわ。」

「あ、ああ………」

そしてエリィは男の子に近づき、微笑みながら男の子の頭を撫でた。

「………よしよし、恐かったね。もう大丈夫だから………お姉さんたちが付いてるからね。」

「………うううっ………ヒック………う、うんっ………!」

エリィに頭を撫でられた男の子は泣き止んで頷いた。

「外にいた恐い魔獣はお姉さんたちが退治したわ。ここは暗くて狭いからいったん外に出ましょう。さ、抱っこしてあげるからしっかりと捕まっていてね。」

「だ、だいじょうぶです………!ボク………もう立てますから!」

「そっか………ふふっ、男の子だもんね。名前はなんていうのかしら?」

「えとえと………アンリっていいます!」

(うーん………)

(はは、鮮やかなもんだねぇ。)

エリィと男の子―――アンリとの遣り取りを見守っていたロイドとランディは感心した。その後ロイド達はアンリを連れて広い場所に来て事情を聞いた。

「――――それで、アンリ君。どうしてこんな場所に?鍵がかかってたはずだけどどこから入ってきたの?」

「えと、その………ボクたち、中央広場の鐘のある場所で遊んでて………そこにあった蓋を開いたらハシゴがあるのを見つけて………そ、それで………」

エリィに尋ねられたアンリは気まずそうな様子で答え

「なるほど、あのマンホールから入って来ちまったわけか。」

「………あの入口はデータベースに追記する必要がありそうですね。」

アンリの答えを聞いたランディとティオはそれぞれ頷いた。

「ちょ、ちょっと待った!『ボクたち』っていうことは………他の子も一緒に入ったのか!?」

一方アンリのある言葉を聞いたロイドは真剣な表情で尋ねた。

「あ………!」

そしてロイドの疑問を聞いたエリィは驚きの声をあげ

「は、はい………友達のリュウが一緒に冒険してみようって………で、でも………途中でコワイ魔獣が見つかって逃げてるうちにはぐれちゃって…………うううっ………」

アンリは頷いて説明した後、再び涙を流し始めた。

「そうだったの………―――ねえロイド、どうする?」

アンリの話を聞いて頷いたエリィは真剣な表情でロイドに指示を仰ぎ

「そうだな………――――時間がない。この子と一緒に奥まで行こう。」

指示を仰がれたロイドは結論を出した。

「………いいんですか?その子を先に脱出させなくて。」

「いったん二手にわかれて捜索を続けるって手もあるぜ?」

ロイドの結論を聞いたティオとランディはそれぞれ尋ねた。

「とにかく一刻も争う。いきなり戦力分散するのもあまり得策じゃないだろう。………エリィ。この子の守りを頼んでいいか?」

尋ねられたロイドは答えた後、エリィを見つめて尋ね

「ええ、任せておいて。もし魔獣と戦闘になっても私がこの子に近づかせないわ。」

尋ねれたエリィは頷いて答えた。

「―――アンリ。こらからお兄さんたちは君の友達を捜しに行く。ここにいたら君も危ないからできれば付いてきて欲しいんだ。……どうだい?」

「う、うん………ボク、リュウのことが心配だし、一緒にいきます………!」

「よし、いい子だ。」

アンリに確認して頷いたロイドはエリィ達に言った。

「護衛対象を守りながらの捜索だ。今まで以上に慎重に進んでいくことにしよう。(……いざとなったらルファ姉達に頼むか………)」

「ええ………!」

「………了解です。」

「そんじゃ、もう一人のワンパク小僧を捜すとしますか。」

その後アンリを連れたロイド達は探索を続け、最下層に到着した。



「く、くるなよ~っ!うわあん、助けてえぇっ!女神(エイドス)さま~っ!」

最下層の広い部屋に入ると子供の悲鳴が聞こえ、悲鳴が聞こえた方向を見ると魔獣に囲まれた子供がいた。

「あっ………!」

「リュウ………!」

魔獣に囲まれている子供―――リュウを見たエリィとアンリは声を上げ

「(くっ………!)――――エリィ!奴らの注意を引きつけてくれ!」

ロイドは咄嗟に判断をしてエリィに指示をし

「!わかった………!」

ロイドの指示に頷いたエリィは導力銃で魔獣達を攻撃し、魔獣達の注意を自分達に向けた。

「………何とか注意を逸らせたみたいです。」

「よし、片付けるぞ!」

魔獣たちの様子を見たティオは呟き、ロイドは号令をかけて仲間達と共に戦闘を開始した!

「「「「「……………」」」」」

戦闘が開始されると魔獣たちがロイドに襲い掛かって来たが

「………眠りに包まれなさい!昏睡の霧!!」

ティオが放った魔術によって発生した特殊な霧に包まれた魔獣達は傷つくと同時に眠りに落ち

「よし!敵の動きが止まっている内に一気に叩くぞ!せいっ、はっ、たぁっ!!」

敵達の様子を見たロイドは号令をかけた後、クラフト―――アクセルラッシュを放って一部の敵達にダメージを与え

「風の刃よ!旋刃!!」

ティオとロイドが攻撃している間に詠唱を終えて放ったエリィの魔術によって発生した風の刃で敵達の一部を切り裂くと同時に倒し

「コイツで………止めだっ!!」

ランディはクラフト―――パワースマッシュを放って残りの敵達に止めを刺した!



「ふう………」

「何とか子供達を傷つけずに済んだわね………」

「ハハ。今の戦闘はティオ助のお蔭で、楽に済んだな。………やるじゃねえか。」

「(………”影の国”での戦いと比べれば、非常に楽ですね………)………別に。大した事はしていません。……というか何ですか、その”ティオ助”という呼び方は。」

戦闘が終了するとロイドとエリィは安堵の溜息を吐き、ランディは口元に笑みを浮かべてティオに視線を向け、ティオは静かに答えた後ジト目でランディを見つめた。

「び、びっくりしたぁ………!」

一方リュウは驚きの表情で呟き

「リュウ、大丈夫!?ケガとかしてない!?」

アンリは心配そうな表情でリュウを見つめた。

「う、うん………ぜんぜんヘーキだぜ。それよりお前も無事でホントーによかったな!オマエ、どんくらさいからな~。オレが助けてやんないと魔獣に喰われちまうと思ってさぁ。」

「よ、よく言うよ。自分だって魔獣に食べられそうになってたくせに………だいたい今度だってリュウが入ろうって強引に………」

「な、なに言ってんだよ!最初に「じおふろんと」の話をし始めたのはオマエの方だろー!?」

「だ、だからって本当に入るとか言い出すなんて………!」

そしてリュウとアンチは言い争いを始めたが

「はいはい。言い争いはそこまでだ。」

見かねたロイドが2人の言い争いを中断させた。

「ご、ごめんなさい………」

ロイドの言葉にアンリは素直に謝ったが

「へ~、兄ちゃんたち、初めて見るカオだね。けっこう強いみたいだけど新人のヒト?」

リュウは謝らず、感心した様子でロイド達に尋ねた。

「へ………」

「ったく………調子のいいガキンチョだな。助けられたんだったらまずはお礼を言うのが先だろ?」

尋ねられたロイドは呆けた声を出し、ランディは呆れた後注意をした。

「へへっ、まあ助かったよ。オレ達を無傷で助けたし………ま、一応合格だな。」

「はは………精進させてもらうよ。」

「ふふ、でも無事でよかった。とにかく一度、外に出るとしましょうか。」

リュウの言葉を聞いたロイドは苦笑し、エリィは微笑んだ後提案をし

「……そうですね。どうやら終点みたいですし。一応、セルゲイ課長の課題もクリアしたことになりますね。」

エリィの提案にティオは周囲を見回しながら頷いた。

「そうか………」

「ま、こんなハプニングがあるとは思ってもなかったけどな。そんじゃ、ガキどもを送ったら警察本部に戻るとするか。」

「「……………」」

ロイドとランディの会話を聞いていたアンリとリュウは顔を見合わせて黙り込み

「ん、どうしたんだ?」

2人の様子に気づいたロイドは尋ねた。

「あのさ………兄ちゃんたち。兄ちゃんたちってやっぱり新人なんだよな?」

「あ、ああ………そうだけど。しかしよくわかるな?制服だって着てないのに………」

「せ、制服………?」

「あ、あのー、ひょっとして。お兄さんたち………ギルドの人じゃないんですか?」

ロイドの答えを聞いたリュウは首を傾げ、アンリは恐る恐る尋ねた。



「えっ………」

「ギルドって………”遊撃士協会(ブレイサーギルド)”のこと?」

アンリの質問を聞いたロイドは驚き、エリィは尋ね

「ギルドっていったら他にあるわけないじゃん。え、なに!?本当に遊撃士(ブレイサー)じゃないの!?」

エリィの質問を聞いたリュウは答えた後、信じられない表情でロイド達を見つめた。

「い、いや………俺たちは、クロスベル警察に入ったばかりの新人だけど………」

「ええっ!?」

「ケーサツの人間っ!?」

そしてロイドの話を聞いたアンリとリュウは信じられない表情で叫び

「うっそだぁ!どうしてケーサツのお巡りがこんなところにいるんだよ!?」

リュウは驚きの表情で言った。

「あ、ああ……ちょっと事情あってさ。任務の途中で君達を見つけたって訳なんだけど。………でも、そんなに不思議なことか?」

「だってさあ!ケーサツのお巡りっていったら腰抜けで見栄っ張りって有名じゃんか!」

「え”。」

リュウの話を聞いたロイドは仲間達と共に驚くと同時に信じられない表情で呟いた。

「態度もオーヘイなわりに何の手助けもしてくれない上、ミエを貼る為に罪のない”闇夜の眷属”を傷つけるって父ちゃんが言ってたぞ。いざという時は、遊撃士の方が何十倍も頼りになるって。後は”ブレイサーロード”や”黄金の百合”っていう遊撃士(ブレイサー)がクロスベルに来れば、どんな悪い奴らもビビッて悪い事ができなくなるって言ってたぜ!」

「……………………」

「……やっぱり……………」

(………確かに多くのメンフィルの私兵達を持つあの人達がいれば、抑止力になるかもしれませんね………)

リュウの話を聞いたロイドは口をパクパクさせ、エリィは複雑そうな表情で呟き、ティオは静かな表情で考え込んでいた。

「リ、リュウ、失礼だよ。いくら警察のヒトだってボクたちを助けてくれたんだし。」

「そ、そうだけどさ~。せっかくギルドの新人に助けてもらったと思ったのに………」

自分の態度に見かねたアンリに注意されたリュウは不満げな様子で答え

「ふーん?色々とあるみたいだな。」

2人の様子を見たランディは呟いたが

「……って………おい、マズイぞ!?」

何かの気配に気づいたランディは警告し

「えっ!?」

「………っ………!」

「上………!?」

警告を聞いたロイド達は上を見上げた。すると同じ姿の大型の魔獣が4体、ロイド達を囲むように天上から落下し、現れた!

「ひっ………」

「うわあっ!?」

魔獣を見たアンリは悲鳴を上げ、リュウは驚き

「くっ………!?」

「なんだコイツらは………!?」

「な、なんて大きさ………」

ロイドは唇を噛み、ランディとエリィは驚きの表情で敵達を見回し

「………まずいです。囲まれていて逃げ場がありません。」

ティオは状況を見て不安げな表情をした。

(………仕方ない。ここはルファ姉達に頼るしかない………!)

(………最初からメヒーシャに頼るのは止めておこうと思ったけど、そうも言ってられないわね………)

(……さすがにこの状況では私一人で切り抜ける事はできても、皆さんや子供達を守りながらというのは正直、厳しいです。………仕方ありません。ラグタスに手伝ってもらいましょう。………いざとなればラテンニールにも手伝ってもらいましょう………)

(………しゃあねえ。奴の力を借りるか。)

そしてロイド達はそれぞれ真剣な表情で子供達を守るように円陣になって、魔獣達を警戒しながら考え込んだ後

「頼む――――ルファ姉!!ギレゼル!!」

「お願い―――メヒーシャ!!」

「お願いします―――ラグタス!!」

「出番だぜ―――エルンスト!!」

それぞれが契約している人物達の名前を呼んだ!



「へっ!?」

「えっ!?」

「……え………」

「はあっ!?」

それぞれの行動に気づいたロイド達は互いの顔を見回して驚き

「………どうやら私の力が必要なようね。」

「来た、来た、来た――――――――ッ!我輩の出番!」

「天使メヒーシャ――――参る!」

「”懲罰部隊”の長、ラグタス―――参る!」

「雑魚とはいえ、久しぶりの本物の戦だ!楽しませてもらうよ!」

召喚されたルファディエル、ギレゼル、メヒーシャ、ラグタス、エルンストはそれぞれ戦いの構えをしたが

「「「「「なっ!?」」」」」

それぞれの姿に気づいて、顔を見回して驚いた後

「メヒーシャ!?それにラグタス将軍まで………!」

ルファディエルはメヒーシャとラグタスを驚きの表情で見つめ

「ルファディエル様とラグタス将軍もこの世界におられたのですか!?」

メヒーシャは驚きの表情でルファディエルとラグタスを見つめ

「……………やはり、お前達もこの世界にいたのか………メヒーシャはわかっていたが、まさかルファディエル。お前まで異世界に飛ばされていたとはな………あの人間が持つ銃を見て、まさかとは思っていたが……………」

ラグタスは落ち着いた様子でルファディエルとメヒーシャを見つめた後

「それに………やはり貴様も生きていたか!エルンスト――――――ッ!」

全身にすざましい闘気を纏って咆哮を上げてエルンストを睨み

「ハハハハッ!ようやく見つけたよ………ラグタ―――――――スッ!!」

睨まれたエルンストは好戦的な笑みを浮かべて叫んだ後全身にすざましい魔力を纏ってラグタスを睨んだ!

「かかかっ!まさか俺と一緒にクリエイターに殺されたはずのあんたが生きてたあげく、人間嫌いのあんたが人間と契約していたとはな………メヒーシャちゃん♪」

一方ギレゼルは笑いながらメヒーシャを見つめ

「貴様……ギレゼル!貴様も生きていたのか!!忌々しい………!」

見つめられたメヒーシャは殺気を纏うと同時に斧槍を構えてギレゼルを睨んだ!



「ス、スッゲー―――ッ!!」

「て、天使様………!」

一方召喚されたルファディエル達を見た子供たちは興奮し

「オ、オイオイオイッ!?これは一体どういう事だよ!?」

「ロ、ロイド達も私のように異種族と契約していたなんて………」

「驚きです。……しかも見た感じ、知り合い同士のようですし………」

ランディとエリィは混乱し、ティオは驚きの表情でロイド達を見回した後、ルファディエル達に視線を向け

「…………………………」

ロイドは口をパクパクさせて固まっていたが

「――――ロイド!今は驚いている場合じゃないわよ!この場合の”最良の策”は、どうすればいいのか教えたでしょう!?」

「!!そうだった………!(予想外の味方の登場………この場合はまず戦力の分析………!)」

すぐに状況を思いだし、気を引き締めたルファディエルの叫びに我に返った後、かつて教わったルファディエルの戦術や策と現在の状況を照らし合わせながらメヒーシャ達を見回して、ルファディエルから常日頃教えられた”最良の策”を実行する為に考え込んだ後

「―――ルファ姉、ギレゼル!そちらの3人はどのぐらい強いんだ!?」

ルファディエルとギレゼルに視線を向けて尋ね

「メヒーシャとラグタス将軍はかつて私と共に天使の軍勢を率いた将で2人は最前線で戦っていた実力者よ!それこそ目の前にいる魔獣達の撃破は容易に可能よ!」

「当然、エルンストも我輩と同じ悪魔達を率いていた将で、あのラグタスといつも引き分けている実力者だぜ!」

尋ねられた2人はそれぞれ答えた。

「………エリィ、ティオ、ランディ!3人はそれぞれが召喚した相手を主力に一人一体の撃破を狙ってくれ!俺もギレゼルと共に残りの一体の撃破を狙う!」

そして2人の答えを聞いて少しの間考え、答えを出したロイドはエリィ達に指示をし

「!わかったわ!」

「了解しました………!」

「アイサー!」

ロイドの指示に3人は頷き

「メヒーシャ!行くわよ!」

「ラグタス、行きますよ。」

「エルンスト、お前もだ!正直言って目の前の魔獣に俺達の装備じゃたちうちできねえ。お前の力に頼らせてもらうぜ!」

エリィ、ティオ、ランディはそれぞれが契約している者達に呼びかけた後、

「ああ!」

「………うむ。……どうやら貴様とは再び共闘だ、エルンスト。」

「ハハハハハハッ!そのようだね!あんたがどこにいるのかもようやくわかった………これでいつでもあんたと戦える!ランディ!感謝するよ!あんたが警備隊をクビになって、この『特務支援課』に来たお蔭でラグタスと会えたんだからね!」

「どさくさに紛れて余計な事を言うんじゃねえ、エルンスト!とっとと片付けるぞ!」

エリィはメヒーシャと、ティオはラグタスと、ランディはエルンストと組んで大型の魔獣に一体ずつ向い

「ルファ姉は子供達の守りと後方からの援護を頼む!ギレゼル、行くぞ!!」

「(フフ………ちゃんと”最良の答え”を導き出せたわね………)わかったわ!」

「おう!行くぜ、ロイド!」

ロイドはルファディエルとギレゼルに指示をした後、ギレゼルと共に残りの一体に向かった!



「…………フッ………驚いたな…………まさか彼ら全員もエステルのような切り札がいるとは……」

ロイド達が戦闘を開始する少し前、上の通路から一連の流れを見ていた黒髪の長髪で刀を鞘に収めている男性は驚きの表情で黙ってルファディエル達を見回した後、口元に笑みを浮かべ

「それにしても………”その姿”がお前の”本当の姿”か………只者ではないとは思っていたがまさか”天使”だとは………それも奴の弟と共にいたとは………奴が死んで、音沙汰もなくなった事はそういう事だったのか………」

興味深そうな様子で”天使”の姿のルファディエルを見つめた。

「!……………………(敵意はないようだから、ほおっておいてもよさそうね………)……2人とも、私から離れては駄目よ?」

一方男性の視線を感じたルファディエルは少しの間考え込んだが気を取り直して、子供達に話しかけ

「う、うん………!」

「はい!」

話しかけられた子供たちは緊張した様子で頷いた。

「さあさあさあ!楽しい楽しい戦の始まりだよ!」

そしてエルンストの言葉を合図にロイド達は戦闘を開始した!



こうして4組による巨大魔獣撃破の戦闘が始まった……………!


 
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