ランス ~another story~
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第3章 リーザス陥落
第91話 サウスの戦い
サウスへと向かう道中。
空気を悪くした、と言う事の謝罪をユーリはして回り、皆快く許してくれた。気持ちはわかる。皆同じ気持ちだと、特に志津香には諭された。
『1人で気張るんじゃないわよ』
そう言って、志津香から軽くデコピンを額に受ける。このときばかりは、誰も茶化さず、皆 笑顔で見ていた。
色んな意味で頭の中に響く思いだった。
「……オレもまだまだ 青いってこと、だな……。これじゃガキ、って言われても こんな様じゃ否定できない、か。……んっ!」
もう一度、ユーリは頬を叩いた。
気を持ち直す為に。
これから向かう相手を思い描く。
相手の性質を何度も頭の中で再確認をする。
カラー達の誘拐事件でも、大体想像をしていたが、今回は更に極まる。
云わば何でも有り。性質は残虐極まりなく、己以外の命をごみ同然にしか思っていないであろう冷血、酷薄な人物。これまでの ヘルマン軍を相手にしてきて、トーマの部隊、と言う大例外を除けば お世辞にも 敬意を示せる様な相手、愛国心は除いたとしても、それでも、騎士道精神を、捕虜の扱いを考えれば、それらを持っていた様な相手は、殆どいないと思える。
だが、それでも 苦渋の選択ではなく、本当に初めから仲間の命を使った特攻をさせる様な手合いはいなかった。リーザス、自由都市の者達を見下してはいても、同じ祖国の騎士達の命を道具とする様な相手はいなかった。
そんな相手だ。感情の昂りを、その隙を付いてくるとも思える。……恐怖、と言う行為を筆頭に、植え付け、更に人心把握にも長けているとも分析できる。
「……よし」
サウスの町は、もう直ぐだ。目の前の山をもうひとつ超えた先にある中腹に建てられた町だ。故に、同じような手をしてくる可能性も多いにあるだろう。
ユーリは、清十郎とリックに問いかけた。
「以前の様な真似をしてくる可能性は高い。崩落させられた時、町は、町の住人を助ける事は出来るか?」
リックは、それを訊いて少し考える仕草をした。
清十郎は即断。
「崩落とは言え、岩程度であれば、防ぐ事は出来る。……無論、広範囲は無理だ。町そのものを破壊する勢いの崩落を起こされたら……厳しいな」
あくまで、自分達はリーザス解放軍だ。ヘルマンを倒す為に戦いを続けているのに、町を破壊されてしまっては、本末転倒だともいえる。
「ユーリ殿」
「ん」
リックは、考えが纏まった様で、一歩前に出てユーリに言った。
「我々は、問題ありません。……軍のメンバーには、戦況を見て、迅速に退避させるタイミングを見誤らなければ。清十郎殿と同じく、落石を破壊するのは容易く」
そう、力量を考えれば、如何に崩落とは言え 相手は大小の無数の岩。個人技で防ぐ事は出来ない訳ではない。こちらには、チューリップ3号と言う戦車もあるから、手段は沢山ある……が、一般人はそうはいかないのだ。
「ご安心を。サウスの町は、以前の大規模な地震があり、山が一部崩れ、崩落してしまった1件がありました。……記憶が正しければ、その安全策として、町には地下シェルターが各数備え付けられています。町の住人全員の人数を収容できる規模です。なので――」
「戦闘を始める前に、町の住人にそれとなく避難を促せば良い――と言う事か」
「はい。その通りです」
リックの話を聞いて、懸念が1つ解消された、と言えるだろう。
だが、問題点はまだある。
「……問題は、町には 油断ならぬ相手が駐留しているのだろう。把握されずに、住人に伝えれるかどうか、それだな」
清十郎は腕を組んで呟いた。
確かに町が今 どの様になっているのか、どういう状況なのか、それらが把握しきれていないのだ。真知子や優希も細部までは把握出来ておらず、不確定要素が多いのが現状なのだ。
戦闘が始まれば否応なく住人には伝わるだろう。自発的に避難をしてもらうのが良いか、少人数で侵入して伝達するのが良いか。
限られた手段を模索している時だ。
「ユーリさん」
ユーリの傍に、足音小さく、そして素早く近づいてきた。
かなみ、である。
「――私なら、敵に気づかれる事なく、町のみなさんに危険を知らせる事が出来ます」
かなみは、ユーリの目をまっすぐに見て、そう伝えた。だが、安易に首を縦には振れない。――町にいる相手が相手だから。
「まだ、不安要素が多すぎる。……かなみ1人じゃ、危険過ぎるだろう」
「いえ――」
かなみは、ユーリの言葉を訊いて、首を左右に振った。
「私は、普段より リーザス領内の情報を得る為に――、それなりの侵入経路を持っています。……あまり、誇れない過去の事です。……ですが、それを 今回に活かしたい。……私の過去の罪を――少しでも、少しでも償う為にも」
かなみは、俯き気味になるものの、最後は必死にユーリの目を見た。
そう、リアに命じられて、様々な悪事に加担した過去がある。情報収集も リアの願いから、命令から、と言うのが目的だった。町の女の子の情報収集……それが目的だった。時には、誘拐もしていたのだ。――それは、決して許されぬ過去の罪だった。
許されないのは間違いない。だけど――今は未来を。
かなみが、そう強く思ったその時だ。優しい感触が頭にあった。いつの間にか、ユーリは彼女の頭をなでていた様だ。
「―――よろしく頼む。かなみ。だが、決して無理はするなよ。……まだ、まだ リーザスがあるんだからな?」
「は、はいっ!」
かなみは、僅かに滴が溜まった目元を軽く拭うと、リックの方を見た。
「リック将軍――」
「……判りました。宜しく頼みます。かなみさん」
「気を付けろよ。……何かあれば、直ぐに合図なりで呼べ」
「ありがとうございます。清十郎さん」
その後 正確な日時。ここからサウスに付くまでの時間を逆算しつつ、決行時を入念に確認、やり取りをした。
それらのやり取りは――、かなみが何をするのか、今からどうするのか、それが皆に伝わるのは仕方がない事だ。足並みを乱す訳にはいかないから、黙秘する訳にもいかない。
「コラコラコラ! ユーリ! 何勝手に仕切っておるのだ。総大将を差し置いて!」
ランスが、文句を言うのも当然、と言うか 想定内だった。
「この中で 隠密行動をするのは、かなみが最適だろ? 他に案はあるか?」
「ちゃっちゃと、あの筋肉ババアを殺す。それだけだ!」
「だから、それを成功させる為にも、だ。――それに」
ユーリは、いつも通り、マニュアルを頭の中で開いて実行に移す。マニュアルと言ってるが、非常にページ数が少なく、単純明快である。
「サウスにも助けを待つ女性たちが。婦人たちが多いと聞くからな。オレとしては、これ以上、傷ついて欲しくはないんだ。―――んー、なんなら、オレが行っても良いな。気付かれない様に、は 少々無理だが、それでも 色んな意味でヤル価値は――」
と、ここまで言えば後は全自動だ。
なのだが……、ここでマニュアルにない事が、――トラブルが起きてしまう事は想像すらしていなかった。
「だぁぁぁぁぁ!!!!!! おい! へっぽこ忍者!! さっさと行って避難させて来い!! おお、そうだ。更にこの写真を広めろ!!」
どこからか、取り出したのは、ユーリの写真。当然ながら、そんなもんが出てくるとは夢にも思っていないわけで。………ランスの懐から、と言えば尚更だ。
「――んなもん、いったいどっから!!!」
と、ユーリは、想定外だった事に驚きがあったが、ランスはさっさとかなみに渡した。
水性ペンで顔の上に、『凶悪人物!! 見つけたら直ぐに通報!!』と素早く書いて。
「さっさと行ってこい!! 失敗したら罰ゲームだからな。裸で阿波踊りをさせてやる!」
「誰がよ! それに、へっぽこって言うなっ!!」
かなみは、顔を少々赤くさせて怒りつつ―――、しれーっと、ゆっくりと ランスからもらった写真を、ブロマイドを――懐に仕舞った。顔に落書きはランスは出来なかった。要注意人物にする為には、正確な顔写真でないと、ダメだから 苦渋?の決断である。
写真の空白のスペースの文字は納得しかねるが、懐に仕舞いながら、親指でぐいぐい、と消したから、ノー問題。
「こらぁぁ! んな、あほなもんを――って、あいつか!! キースか!!」
「知らん知らん。依頼料やアイテムを貰った時に、ついてきていたのだ! 誰が男もんの写真を持つか! だが、こういう時に役に立つのだ。がはははは」
ランスは、盛大に笑っていて―――、ユーリが怒ると言う、本当にユーリにとっては、全くの想定外、だった。いつものランス取扱説明書に則っていただけなのに。まさかの展開である
そんな賑やか、騒がしい場面の傍らでは―――。
「かなみさーーん……、見たですかねー」
「っっ!?」
忍者顔負けで忍び寄ってきたのは、トマトである。
そして、その後ろには、いつものメンバー
「お願いですかねっ!! 写真、焼き回しを宜しくですっっ!! トマトの写真、割れちゃったんですかねーーっ!」
「あの……、できれば わ、わたしも―――」
「楽しそうだな。何なら、オレにも頼むわ。それって、確か非売品っぽいし、アイツが撮らせるなんて、思えねぇもん。 薬屋にかざっときゃ、客寄せになるかもだな」
「あははー、トマトは絶対だねー。んん? それを言ったら、志津香やランも同じかな?? ぜ~~ったい、来てくれそうだねー」
「だ、誰がよ! この馬鹿!!」
本当に沢山沢山集まってきた。
賑やかになった。ユーリは、写真の件もあって、ぷんぷんと怒っていて、、ちゃんと周りが見えてなかったけれど、良い具合に緊迫した空気が霧散出来た様だった。
そんな中、かなみは、赤くなりつつも――、こんな自分には勿体ない人たちに囲まれて、これまでの全てを償う為に。皆の役に立つ為にも。
「行ってきます。……みんなっ」
笑顔で向かう事が出来た。
危険地帯だという事は判っている。あれだけの規模の解放軍を撃退する程の者達。――悪意の塊とも言っていい相手がいる事も判っている。冷静なユーリが あれ程怒る相手がいる事だって判ってる。
だからこそ、必ずやり遂げる。
決してユーリだけじゃない。
これまでのリーザスの痛みを――。
リーザスを――、自分の大切な人達を。……仕えるべき主を。全ての痛みを胸に抱えている。部下達を守る為に 身を張って傷つき、倒れているバレス将軍、エクス将軍……、そして 軍の皆。
怒りを覚えているのは、かなみ自身も同じなのだから。
そして、一行はサウスの町手前の山を越えた。後は山を下り……そして もう見えている町に向かって上るだけだ。
「むぅぅ……、ここはやたら上り坂ばかりでムカつくぞ」
「ひんひん……、叩かないでください、ランス様ぁ……」
同じ道を2度目、と言う事もあるだろう。険しい山道を歩くのも必然。鉱山都市とも呼ばれているサウスの町は、山の中腹に存在している為、越えなければ入る事さえできないのだ。
だが、地形を利用すれば、姿を隠しつつ 伺う事も出来る為、他の町よりも 情報は入りやすい。敵影の姿の確認も日が昇っている今であれば、問題ないだろう。
それに、こちら側は 空から偵察する事が出来る。
「フェリス――、どうだった?」
「ん。ユーリの言った通りだ。町の外には一兵たりとも出てない。……完全に市街戦の構えだ。町中だったら、あのデカい図体だからか、ちらちらと見えてた」
空からの目――それは、当然フェリスである。
今はまだ日も高い故、極論にはなるが、空に飛ぶ、つまり日の光に近づく行為は無理はさせられないと思えるが、フェリスは快く引き受けてくれていた。その事に、全員から感謝された。――悪魔なのに、人間からここまでの感謝をされた事など一度もない彼女は、やはり まだまだ戸惑いもあったが、それ以上に頬が熱くなる思いなのは言うまでも無く。
もう次第に当然の様に 受け答えしている自分がいたりする。
そして、ユーリが怒る理由も、はっきりと理解出来ていた。
レイラもそのフェリスの報告を訊いて、歯ぎしりをしていた。
「間違いない……、相変わらず 町を盾にするつもりよ。……そのせいもあって、大規模な攻撃は出来なかったから……」
確かに、火力を誇るチューリップ部隊はノースの町へと向かったが、リーザスの魔法部隊である紫の軍は サウス側へと向かっているのだ。遠隔戦において、有利なのは言うまでも無い布陣と言えるが、相手は 一般市民を盾にしている、と言っていい戦術をとってきており、大規模な攻撃魔法は大幅に制限され、白兵戦になった。
それでも、数では勝っている為、次第に圧倒していったのだが……結果は見ての通りだ。
「町の事はかなみを信じよう。……撃退した後、体勢を整える前に直行、っていうのがランスの案だ。敵さん側も――手段を選ばない手で来たんだ。もう一度攻めるとしても、慎重になってるだろう、と思う可能性が高い」
「………そうね」
淀みなく答えるユーリと頷くレイラ。
確かに、その線が濃厚だと言える。手痛い敗戦だった、攻撃の手段が読めなかった。まさか、自軍ごと潰す、などとは思えなかった。考えが甘かったと言わざるをえないが、それでも考えたくない事でもある。考えが交わる事はなけれど、互いに国の為に戦っている部分においては同じ筈だったから。(魔人と言う例外は除いてだが)
そんな時だった。
「え、ええ――――――っっっっ!!? そ、そんな事、出来る訳ないじゃないっっっ!!」
マリアの叫び声が響く。
まだ、町をはっきりと目視できる様になって、それに町の外に敵影が無い事もあるが、それでも、町に近いと言う事実は変わりない為、少しは自重してもらいたいものだ。……と、言ったところで変わらないと言える。マリアは兎も角、話し相手がランスだから。
「……いったい何を騒いでるんだ?」
一応 相手側に聞こえるハズもない距離だからとりあえず ユーリは注意する事なく近づいた。ランスは 色々とアレだが、引き寄せたトラブルを自力で対処するだけの力は持っているから、更に複雑。
ランスをよく知っているいつものメンバーは勿論、日が浅くとも、リーザス側で、よくわかっているのは ハウレーンだったりする。
「あ、ユーリさんっ! 訊いてよ、ランスってば、無茶な事を……!」
「そうよ! そんな真似して、折角かなみが町の人達を避難させようとしてるのに!」
志津香も聞いていたらしく、憤怒していた。
ランスが無茶を言うのは通常運転だ、と思えるが、状況が状況だから一応聞くユーリ。奇抜な発想で、潜り抜けてきた実績もあるのだから。
「がははは。オレ様の作戦は完璧なのだ」
「はいはい。判ったから、訊かせろって。マリアと志津香の2人だけにだったら、心許いだろ? ランスが言う《完璧》な作戦」
ため息を吐きつつそういうと、ランスは高らかな説明、作戦のすべてを訊いた。
―――――。
「…………」
通常であれば、確かに無茶だ。無茶を通り越している。
かなみに任せた住人の誘導が上手くいけば――住人の皆は 大丈夫かもしれないが、町そのものが危険を被る可能性が高い、と言うか めちゃくちゃ危険だ。
「ユーリも何とか言ってよ! 相手も倒せるかもしれないけど、私達だって同じ運命辿るかもしれないわ!」
志津香がそう言う。
それを訊いてもランスは曲げない。
「馬鹿者。必ずやるとは言ってないわ。する必要がなければしない。あくまで合図をしたら、だ」
「………ふむ」
ユーリは考える仕草をする。そして 町の地形、形状、構造、説明されたすべてを頭の中で再確認した。
「ちょっと! 何が、『ふむ』よ! まさか、これで行くっていうんじゃ……「少し落ち着け、志津香」っ……」
興奮状態にある志津香を諫めるユーリ。話を聞いてくれそうにないのは 見た通りなので。
「確かに、ランスらしい強引極まりない手、だが。相手の上を行く策でも。……間違いなく」
「がははは! 流石はオレ様の下僕。素晴らしさがよく分かったな?」
「ってかランス、……それ、自分がやられっ放しが嫌だからだろ、絶対」
「ふんっ!!」
図星だったのだろうか、一気に鼻息を荒くするランス。
それを見たユーリは、頭を軽く掻くと――。
「マリア。とりあえず ランスの指示については、注視していてくれ。タイミングを見誤ると、こちら側の損害がデカくなる可能性が高い。ハイリスク・ハイリターンだ」
「ゆ、ゆぅ!! 本気でやるっていうの!?」
ユーリの言葉を訊いて、思わず声を上げるのは志津香だ。
「志津香。……相手側もしてくるぞ」
「っ……」
「ランスの策は確かに無茶だ。……だが、狙い所によるし、難しいが、相殺できる可能性がある。それに――こちらとしても、黙ってみてるだけじゃない」
ユーリがそういって意味深に笑みを見せると同時に、志津香の表情が変わる。険しいものに。
「……また、無茶するつもりじゃないでしょうね……?」
怒気を強める志津香。
『今の現状じゃ仕様がない』と言う部分は確かにある。
ユーリがいなければ――志津香の言う《無茶》をしていなければ、自分達が全滅していたかもしれない、と言う事実も勿論あるだろう。だが、全てを負担させる、させていい理由には決してならない。
「大丈夫だ。……1人でするつもりはない。後、ランスの案を訊いて、志津香に頼みたい事がある」
「………」
『1人でするつもりはない』
その言葉を訊いて、志津香の胸には温かい気持ちになるのは気のせいではない。
―――ずっとずっと、前を走って、走って――、待って! と声をかけても、なかなか止まってくれない。直ぐに離していってしまう。
志津香は、思い起こせば、ユーリとはそうだった気がしていた。幼き日のころから、思い出したあの日からずっと。待っていてくれているけれど、それでも 前に、前に進み続けている。……自分よりも、自分達よりも。
志津香はゆっくりと頷き、訊く姿勢を取り、説明を訊いた後。
「ユーリ。―――かなみからの合図だ」
ふわふわと、飛んできたフェリスがユーリに言った。
空高くから見ていたからこそ、家々の影から 炎……まではいかず、小さな火が上がっていた。単純な火事やヘルマン側の破壊工作ではない。確信できた理由があるのだ。
「無事で良かった。……フェリス、間違いないのか?」
「あの火の字……私は辞めといた方が良い」
「………ああ。成る程。間違いないみたいだな」
フェリスの言葉1つで、間違ってない事が判り苦笑いしたユーリ。
かなみが放つ忍術の1つについては、赤裸々に語っていた事がある。間違えて覚えてしまった事は悔やまれる様だが、それでも 見てくれは兎も角、業のスペックが向上していった事から、業の追及・向上に力を注いだ為にあの形になっているのである。
「ゆぅ。……さっきのだけど、本気で? まだ 一度も試した事、無いけど」
「ああ。試した事は確かにない――が、何度も見てるからな。それに、信頼もしてる。……出来る想像しかないよ」
ユーリの真剣な表情の中に垣間見ている笑み。
そして、何よりも 自分だけが無茶をするのではなく、頼ってくれている事に、やっぱり嬉しいさがある。肩を並べて戦えるから。だから、自然に力も入るというものだ。
「―――あのバカをしっかり見ておけよ。志津香」
「っ……!?」
志津香の隣で、そう呟くのはフェリスだ。
ユーリは、もう これからの事を確認、そして ランスの作戦を伝える為に、皆の方へ 主に接近戦を主体とするメンバー、リックや清十郎を中心としたアタッカー達の方へと向かっている。
気を抜いてると、また 置いて行かれる気分になってしまうのは、今の戦時中だけの話、だろうか?
「志津香は、なんだかんだで、人間の中で、無茶な渦中に飛び込める内の1人。……アイツは、目を離してると、際限がない。力量は一線を超えてる――どころか、10は飛び越えてる、って思うが、人間である以上、心臓1つの人間の男1人なんだからな」
フェリスの言葉を訊いて……重く伝わるのは、彼女もまた アイツの事を――ユーリの事を、見ている。色々と口で言ってはいても、内心ではしっかりと思っている。
つまり、似た所があると言う事。つまり、素直になれない所が似ている。
「……任せて。だから、フェリスも、宜しく頼むわよ。あなたも、見てるハズだから。……アイツの事。それに、間違いなく私達の中じゃ最強クラスだしね」
「……………ん。 いや、お前たちも十分過ぎる程、凄いぞ。……悪魔の私も太鼓判だ」
フェリスは、そう言い残した後、身を翻し、 大鎌を担ぎ直して、再び空へと戻っていった。
場にも徐々に緊張感が増してゆく。カスタム組の面々も同じく。ミリはいても、更に火種っぽいロゼがいないから、やはり 緊張感が増してゆくのだろう。
ロゼはロゼで、軽口を言うものの、結果として緊張を解してくれている、と言うプラス面で見れば、やはり 戦場では不可欠なのかもしれない……。普段の行いは目をつむれないが。
「さーて、さっさと突入して、あの筋肉ババアを成敗するぞ。オレ様の女に手を出しやがって、もう手加減は無用だ!」
「ランス様は、あの時手加減をなされたのですか?」
「当たり前なのだ。次は本気中の本気、ハイパーオレ様だ。そのオレ様にかかれば、ちょちょいのちょいなのだ!」
「えと……、でも みなさんは、大変な被害にあってランス様も“ぽかっ!!”ひんっっ!!」
最後まで言い切る事は出来ずに、シィルにげんこつが飛ぶ。
そのやり取りを見て、いつも通りだ。と言う認識が出来たのだろうか、硬さが取れてきた。
「さぁて、かなみのヤツを迎えに行ってやらねぇとな」
「頑張るよー! 幻獣さんもいつも以上に出すからね!」
ヨークス姉妹も臨戦態勢。
「トマトもですかねー! レンゴク、トマトすぺしゃるが、今回も火を噴くですかねーー!」
「私も……。頑張ります」
「回復は任せてください」
トマトとランの部隊、そして クルック―も彼女達のフォローに回る。
「……さて、清、リック。……危険な相手だが、任せる。皆を頼む。連中の攻撃手段を考慮したら、最適か? と言われれば、100%とは言えない。不安要素はまだ残っている。……だが、オレを、オレ達を信じてくれ」
ユーリは、ランスの後ろに控えている部隊、リックと清十郎に声をかけた。
打ち合わせ、段取りに関しては、事前に確認済みであり、今回はユーリは前線から外れる。ランス辺りが、色々文句を言ったが、いつも通りの操縦でOK、である。
「ああ。任せた。……オレがお前たちを信じない訳がないだろう。それに、最前線は常に危険が付き物だ。これが初ではない。強敵相手に死合える……礼を言いたいものだ」
「戦場で、ユーリ殿に出会いった今日まで、自分は、ユーリ殿を疑った事などありません。勿論、戦友達全員同じです。……宜しくお願いします」
其々が武器の柄を強く握りしめ、そして答えた。
ユーリも2人に拳を当てて――少し離れた。 レイラも、そんな3人を見て、安心感も強く持てたが、更に気合を入れ直した。
「……もう、2度目はないわ」
一度は敗けている相手なのだから。
そして、上で町の様子をぎりぎりまで確認していたフェリスを下し。
「フェリスも頼む。ランスに関しては、これまで通り戦闘に、戦争に関係のある範囲で、助けてやってくれ。抜けてる部分はあるだろうからな。勿論、今はまだ日の昇ってる時間帯だ。フェリス自身が無理ない範囲で構わない」
「――ああ。任せろユーリ。そっちも、気を付けろよ。 ……結構な試みをするんだろ?」
「……ん。志津香から聞いたか」
「まぁ、な。……本当に、私の主人は、両極端みたいだな」
フェリスはそういうと、手を振って 前衛部隊の方へと歩を進める。
「頼む」
フェリスの肩に軽く手を触れると、ユーリは マリアと志津香が待機している、後衛部隊へと向かっていった。
「………日が昇ってても、もう関係ない。――日の光なんかより、よっぽど……あったかいの、貰ったから。悪魔の私には、勿体ないよ……」
フェリスは、誰も、誰にも聞こえないであろう小声で呟き……両頬を軽くたたいて気合を入れ直すのだった。
ランスの号令で、皆がサウスの町へと進んでいく。
最終的には、適当に話を打ち切って、殆ど強引にランスが突入していった。
「ち……、周りに人っ子一人いないのも相変わらずだな。……オレ様の女を殺してないだろうな……、もしも、殺してたら 3回は殺すぞ、あの筋肉ババア」
サウスの町に入り、一切の妨害がなかった。それは前回も同じであり、全てが同じなのであれば、これからサウスの中心部へと進めば、乱戦が始まる。かなみが成功をしているのであれば、隙を見て 市民を誘導する事が出来ているだろうけれど、それも100%成功した、と絶対の保証はないのだ。
「(何処まで行っても、へっぽこ属性と言うのは付いて回るものだからな。もし、失敗してたら、エロエロ罰ゲーム開催決定だ)」
と、色々と画策している間に、レイラがある事に気づいた。
「……あれだけの崩落、山崩れだったのに、山そのものは無傷って感じね……」
中腹に位置するサウスの上部に広がる鉱山。恐らくプチハニーの類を使用し、崩落させたのだろうが、見た感じでは 崩れたのかどうかは判らない。実際に 町に直撃した岩石類は 町の一部は崩壊させていたが、規模自体はそこまででも無さそうだった。かなり近くにいたからこそ、大規模な山崩れ、と錯覚したのかもしれない。
「つまりは、虚仮脅しだった、と言う事か。オレ様をだますとは、万死に値するぞ! あのゴリラババア!」
うがぁ! と叫んだその時だ。
「やれやれ、ピーチクパーチク五月蠅い連中だね。それも敵地で。一回ヤラれりゃ、動物でも警戒するってのに、ボーヤは学習能力ってのがないのかい?」
町角から、隆々たる巨躯を持つ、凡そ、女とは思えぬ程の戦士が現れた。
そう―――。
「ミネバ・マーガレットぉぉ!!!」
相対した瞬間、レイラが叫んだ。
怒りの意志を、剣に宿しながら。
「また、やられに来たって訳かい? ま、あの不幸な事故の中でも、助かったのは 大した運気だとは思うがねぇ……」
ミネバは、にやり、と笑うと続けた。
「また、同じ様な事故が起こるかもしれないってのに、馬鹿正直に正面から。やっぱり、お頭はまだまだ坊やって事かね」
「やかましいわ! ババアが! 手加減してやったからって付け上がりやがって!」
「はぁ、そう言うのをなんて言うか知ってるかい?」
ぶんっ、と2つの戦斧を振り上げると 呆れた表情をし、言った。
「敗けわんわんの遠吠え、ってねぇ。リーザスの将ってのも、ただのチンピラかい。話が通じない上に、馬鹿ってんだから、始末に負えないってもんだ」
「おうおう、今生の言葉はそれで終わりか? さっさとぶち殺して、ユラン達も奪い返す。オレ様の女に手を出したんだからな。五体満足でいられると思うなよ!!」
明確なランスの殺意は、並大抵のものではないのは、全員が知っている。
シィルがサテラに攫われた時に、垣間見ているからだ。その時程の殺気か? と聞かれれば、判らないが、表情の強さから、強者が放つオーラから、大体の力量を図る事が出来る。……図る事が出来るのも、強者であればこそなのだ。
「(ふーん……、確かに口だけじゃないってことかい。中々の気迫と殺気じゃないかい)」
修羅場を、死線を潜り抜け続けたミネバだからこそ、持ち得る感性だった。
ミネバの合図で、周囲に囲まれた家屋に隠れていたヘルマン兵たちが姿を現した。
「前衛部隊、さっさと狩っちまいな。……坊や。あの負けわんわん共を救いたきゃ、こいつらを打ち破ってみせるんだねぇ」
影に隠れる様に、後退していくミネバ。
「こんの、卑怯もんがぁぁ! とっとと首を差し出せ!!」
ランスの剛剣が、ヘルマン兵士の1人をとらえるが……、それでも 数は多い。
「まぁ……精々頑張るんだねぇ……っっ!!」
意気揚々と、ミネバは戦場を離れていこうとしたその時だ。
「犠血。――ヤツを斬り裂け」
ミネバの元へと伸びる、伸縮自在の真紅の槍。
ヘルマン兵士の1人1人の間を縫って、ミネバの元へと辿りつき、その体を掠めた。
清十郎の血刀は、伸縮自在は勿論、まるで蛇のようにうねり、更に速いのは言うまでも無い。……だからこそ、直撃する事なかったのは、清十郎のミスではなく、……ミネバ自身の恐ろしいまでの反射神経と危機回避能力あっての芸当だった。
それは、清十郎自身も感じていた。
「……(犠血を)初見で躱すか。成る程。外道である事は違いないが……、強者だ」
清十郎は、犠血を操るが、一度回避し、その軌道を確認したミネバは、受け流し、時には 兵士を盾にして、躱した。
「―――部下を盾に………。騎士の風上にも置けぬ」
清十郎の隣にいたリックは、柄を握りしめて、力強く 必殺の剣を撃ち放った。
それでも、黒鉄の壁が ミネバへの攻撃を許さなかった。
「ぐぅぅぅぅぅ……がぁぁぁ!!!!」
ヘルマンの騎士達は、致命傷と言っていい傷を受けても、決して倒れなかった。
「ヘルマンに……、栄光あれ……!!!」
その気迫は――トーマの部隊と何ら遜色ない。
あの外道の部下とは思えない程のものだ。
だからこそ――、真の騎士である。……武士である事を、清十郎もリックも認めた。
「……いざ!」
「……行くぞ!」
全身全霊をもって、ぶつかっていったのだった。
「ちぃ、この雑魚どもが!」
ランスも、胴体を狙っていたのだが それでも止まらない故に、狙いを喉笛、鎧の隙間を狙って 急所に当て続けた。それで、何とか黙らせる事は出来たのだが……それでも まだ数は多い。1人1人が同等の強さを誇っているとすれば、厄介極まりない事はランスも重々承知だった様だ。
「ちぃ、トーマの部隊とおんなじじゃねぇか。厄介この上ねぇうえに、止まる奴らじゃない」
「げ、幻獣さんっっ! お姉ちゃんを援護して!」
ヨークス姉妹は、前回の戦いを活かし、機動性をフルに利用した立ち回りで、攻撃を当て続けた。ミリの早業、ミルの物理無効の幻獣攻撃。全て急所を狙った攻撃である。
「皆のいたいのいたいのとんでけー」
クルック―も、常に戦況を把握し、無駄のない回復に努めた。
勿論、接近が全くない訳ではない。
「ヘルマンの為に!!!」
迫るヘルマン軍の規模はやはり 多いからだ。
「えい」
だが、クルック―も機動性を活かし、懐に潜り込むと――相手の力を利用しつつ、投げ飛ばし続けた。
「ちっ…… しつこい! 死爆!」
フェリスは空から魔法で攻撃するが……、控えているのはアタッカーだけじゃなく、弓兵や魔法兵も多い為、隙の多い強魔法を放つ事が出来ない。その上、あたっても構わず突っ込んでくるのだ。
「あんな女に、それだけ命を懸ける価値があるのか……? こいつらは」
フェリスは、その部分も疑問に思っていた。
辺りを見渡せば、よく判る。
ランスの為に、戦う者も中にはいるが……、代表的なメンバー達は大体が、もう一人の主人にベクトルが向いている。
今戦場で戦い続けている皆が……。
トマトがアイテム攻撃と剣攻撃を複合させた業を振るうのも……。
ランが、魔法と剣を合わせた魔法剣を放つのも……。
クルック―やここにはいない 志津香もそうだ。大部分が最も信頼しているあの男についていく為に、戦っているのだ。……命を懸けている、懸けるに足る男だから。
だが、あの女――ミネバには、どう見てもそういった気概は見えない。嘗て、フェリスは、ランスにも言ったが……、悪魔よりも、悪魔に見える。また、別の種類の。……殺戮の悪魔に見えるのだ。
「前衛!! 後ろに行かせないで! 後、成るべく、散って! 回避行動は、しっかりと見極めるの!!」
前回の敗戦を思い返しつつ、指示を出す。
「狙った場所に落石を当てるなんて、不可能だ! 我々は2度の過ちは犯さない!」
「数で相手を攻め落とせ! 隙を見せるな!! 接近を制すれば、あの女も出来ない!!」
リーザスの進撃は、明らかに前回よりも強く、制圧速度も速かった。
だからこそ、早く制圧すれば、……如何にミネバであっても、己にも危険が及ぶ様ほど接近すれば、崩落など起こさない筈だ。……あの手の手合いの性質がどうなのか、仲間の命を使う様な者が己の命を懸ける様な相手じゃない。安全地帯で 罠に嵌った相手を見下し、下衆びた笑みを見せる姿は、焼き付いている。
「(ぐ……、もう、我々の部隊しかいないか。……当然、背後のミネバ隊は、我々も狙っている筈だ……、ここは何としても、トーマ様の為にも、危機を脱し 国許に訴えるしかない。――人の皮を被った悪魔を罰する為にも)」
中隊長の男は、並々ならぬ覚悟をもって、戦闘をしている。
それを全員が知っているのだ。負けられない戦いだという事を。トーマの部隊と言う高い誇りも持っている。
だが――――皮肉にも、誇りの高さが、思いの強さ故に、ミネバの最後の指示を仰ぐ事になるのだ。
「さぁて……、そろそろいいかね。リーザスの死神に、更にアレが噂の鬼かい……。死神の名は兎も角、全く無名の戦士が大袈裟な大層な名だと油断してたが、間違いないみたいだ」
身体を掠めた攻撃、それは纏わりついてくる刃。まるで蛇の様だ。乱戦故に、他者を利用する事で、回避する事は容易にできた様だが、明らかに異常な能力を目の当たりにしたミネバが更に警戒を強めたのは言うまでも無い。
「あんな化け物相手に、正面から行くってのは、馬鹿がするもんさね。その上死神もいると来てる。……纏めて始末しない手はないさ。邪魔なものはまとめて大掃除、ってなぁ!」
ミネバは、勢いよく手を上にあげた。
それを見た側近が、後方に控えた兵士が大きく旗を振った。
それが合図だった。
軈て、見上げた先の鉱山から、あの時の再来。……始めは小さく、地響きのようなものが伝わり始めた。それは徐々に大きく、広がりつつある。
「おっ……!?」
「く……、こ、これは……!!」
地震の様な振動、そして 大地の鳴動。足下、と言うよりは頭上から、山から聞こえてくる。
「あの時と同じ……! あの外道……っ!」
ぎり、と歯を食いしばるレイラ。
だが、再び惨劇を繰り返す訳にはいかない。何よりも今回は――ただでやられる訳ではないのだから。
「ふん………、悪魔より、悪魔っぽい女は初めてだ。……まぁ ある意味ではロゼも似たようなとこはあるが、種類が違う」
空から、鉱山を見たフェリスは そう呟く。
おそらくはプチハニー。着火に炎系の魔法を使ったのだろう。岩雪崩、と言うよりは、一際大きな1つの岩。……部隊を全員押しつぶす事が可能な程の大きさの岩が、今にも崩れ落ちそうになる。
いや、崩れ落ちるのも時間の問題だ。アレが落ちれば、鉱山の斜面を削りながら、迫ってくるだろう。山を削り、町を押しつぶす 天災と言っていい巨岩だった。
だが、この展開を待っていたのは、ミネバだけではない。ランスも同じだった。
「来た様だな! よーし、シィル。ユーリとマリアに合図だ。やれ!」
「あ、は、はいっ!」
シィルも 驚きを隠せられない様子だったが、ランスの言葉で 気をしっかり持つ事ができ、慌てて 上空に向かって炎の矢を放った。
それは、かなみとのやり取りと同じ方法。まだ日も明るい日中だが、まるで問題ない様だ。
ランスの合図は――しっかりと届いたのだから。
「……合図、来たわよ。ユーリ。マリア」
「ああ。……見せてやろう。オレ達は、簡単に潰されない、と言う所をな」
にらみつける様に、鉱山を見上げるユーリ。自軍に迫るまで、まだ猶予はある。……間違いなく、こちら側の狙いの方が、あの岩が味方に直撃するよりも早い。
「まったく……、無茶苦茶な事、させるんだから……。でも、志津香とユーリさんなら、ランスの無茶も、しっかりとフォローしてくれる、って思うんだよね。息ぴったりで」
にこやかに 並んで立つ2人を見て、そういうマリア。
「―――馬鹿な事言う前に、しっかりと働きなさい!」
「はーいっ、志津香先生っ!!」
びしっ! と敬礼をしつつ、マリアは チューリップ3号の中に入った。
「……マリアは、ランスに言われた通りに連中が潜伏している中腹部あたりを狙え。あの場所を崩落させ、無傷でいる為には、位置的にあの場所以外他にはない。…移動時間を考えてもな。あの落ちてくる岩は、オレ達に任せろ」
「んっ、任せたわよっ! ユーリさん! それに、志津香っ!」
「……任せて」
志津香は、両足を左右に開き――そして 両手を前に出して構えた。
白光が、志津香の両の手に集中していくのがよく判る。輝く光は、あたりを眩く照らす。
そんな志津香の隣で、剣を構えているのはユーリだ。刀身に手を充てがい……ゆっくりと根元から切っ先へと、動かし……やがて、刀身が光出す。
志津香の光にも負けない程のもの―――。
《リ・ラーニング》
発動させるは、己の技能。
2人が放つは――下衆びた笑みを浮かべているであろう外道に向けての裁きの鉄槌。
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