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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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ずっと友達で

 
前書き
接収(テイクオーバー)したディマリアと日蝕星霊の時のライブラって似てるよね?髪の毛がすごいことになってるのとか。 

 
第三者side

右肩に刻まれた仲間の印、背中に生えた白い天使のような羽根、藍色から桃色へと変化した髪の毛と瞳。全身に風を纏ったその少女は、傷だらけの体で宙に浮く強大な敵へと向かい合う。

(ドラゴン・・・フォース・・・)
「なんじゃこりゃあ!?」

生まれた頃からずっと一緒だった少女の成長を遂げた姿に、涙を流しているシャルル。そして、先程までの姿とは変貌を遂げた天竜の姿に、エゼルは驚き絶叫していた。

(風の声が聞こえる。大気の鼓動を感じる)

彼女の高まった魔力によって無風状態だった洞窟は嵐のごとき風が吹き寄せている。彼女はその空間で、溢れる力を感じていた。

(この空間は今・・・私が支配しているんだ!!)

一瞬風が強くなったかと思うと、突然エゼルの視界から変貌を遂げた少女が消えてしまう。

「消え・・・」

どこにウェンディがいったのかわからず唖然としているエゼル。少女は彼女の後ろにある岩肌を目にも止まらぬ速度でかけ上がっていた。

「ふっ!!」
「がっ!!」

壁を登り敵の背後、さらには空を飛んでいる彼の上を取ったウェンディは、拳を固めて背中を殴る。エゼルは反応しようがないその攻撃を受ける。

「うおおおっ!!この・・・ガキ!!」

背後に敵がいることを今の攻撃で悟ったエゼルは、少女を掴もうと後ろを振り向きながら腕を振るう。しかし、彼女は捕まらない。それどころか、彼の腕を踏み台にし、再び彼の背後の壁を高速移動していく。

「ふぅぅぅぅ!!」

歯を強く噛み、渾身の力でエゼルに拳を叩き込むウェンディ。

「ぐおおおおお!!」

それを受けたエゼルは小さな少女の強すぎるパンチに悲痛の叫びをあげると、彼女の魔法の特性である回転をしながら壁へと吹き飛ばされ、激突した。

「すごい・・・」

今まで見てきた中で最高の力を見せつけるウェンディ。彼女の成長ぶりにシャルルは驚き、頬を緩ませていた。

「ぐおっ!!」

地面に降り立ち、鋭い視線で敵が埋まる瓦礫を見据えていた天竜。その瓦礫から、エゼルは姿を現すと猛獣のような姿勢でウェンディに突進していく。

「おもしれぇ!!」

か弱い少女を相手にしなければならないと苛立っていたエゼル。だが、今はウェンディのドラゴンフォースを見て、その考えを改めていた。

「ん?」

二人の方に視線を向けようとしたシャルル。その彼女の目に、フェイスに浮かんでいるタイマーが入ってきた。

4分27秒

「あ・・・」

すでに五分を切っているフェイス発動までのタイムリミット。それを見たシャルルの顔に焦りの色が見えている。

「砕け散れぇ!!天下五剣・・・鬼丸!!」

クロスした両手から×字の衝撃波を打ち出すエゼル。しかし、その攻撃はウェンディには当たらない。速度を増した天竜は容易くそれを回避すると、彼の背後の壁をかけ上っていく。

「甘い!!数珠丸!!」

その彼女の行動パターンを読みきっていたエゼル。彼は振り向き様に衝撃波を打ち出し彼女を切り裂こうとする。

「はっ!!」
「ぐっ!!」

だが、ウェンディはさらにその上を行っていた。エゼルの攻撃をすり抜け、蹴りを打ち出し地面に叩きつける。
そのすぐあと、エゼルが長い足でウェンディを蹴り落とし、反撃を見せる。

「ぐおおおおおっ!!」

叫びながら拳をウェンディに向けるエゼルと、真剣な表情で敵に突撃するウェンディ。

4分07秒

二人の戦いが熱を帯びているその頃、フェイスの発動時間まで四分を切ろうとしていた。
それと共に、周囲を照らしていたフェイスがさらに輝き始める。それは、周囲のエーテルナノを吸い込み始めている証拠だ。

「ウェンディ・・・もう・・・時間が・・・」
「わかってる。これで決める!!」

ウェンディの手には白い風が大量に集まっている。すると、エゼルの周りに変化が起きていた。

「ああ?なんだこれは・・・風?」

エゼルを囲むように吹き荒れる風の壁。それは、彼の動きを封じ、ウェンディの必殺技を繰り出すためのものだった。

「滅竜奥義!!照破!!天空穿!!」

彼女の腕が放出された巨大な風の渦。それは、風の檻に閉じ込められたエゼルを飲み込んだ。

「俺の呪法はすべてのものを切り裂く。妖刀!!三日月!!」

ウェンディの滅竜奥義を、両手を振るうことによって粉々に粉砕するエゼル。

「うわああああああ!!」

彼に魔法を斬られたウェンディは、その衝撃で吹き飛ばされる。

「ウェンディ!!」
「ハハハハハッ!!」

地面に叩きつけられるウェンディ。それを見たエゼルは高笑いをすると、腕を剣へと変えていく。

「斬撃モード!!」

先程までの姿から大きく変わり、腕が黒い剣になり、顔を仮面で覆わせたエゼル。

「俺の妖刀の切れ味は、さらに増すぜ!!」

パワーアップしたエゼルは倒れているウェンディに接近していく。

3分43秒

「ウェンディ!!時間が・・・」

みるみるなくなっていくタイムリミット。まもなく起動するフェイスなの目に、光が点り始める。

「ハハハハハッ!!」

剣へと変化した腕を振るって目の前の竜を切り刻もうとするエゼル。

(私は・・・)
「!!」

容赦なく繰り返される攻撃。ウェンディはそれをすべて見切って交わすと、一度距離を開けて敵を見据える。

(この空間を・・・支配してるんだ!!)

鋭い目付きでエゼルを睨む天竜。彼女がさらに魔力を解放すると、さっきの奥義の時のような風の幕がエゼルを覆っていく。

「無駄なことを。俺の妖刀に斬れないものは・・・!!」

周囲を囲んでいる風を切り裂こうとしたエゼル。だが・・・

(もっと・・・もっと風を集めて・・・)

斬っても斬っても、外の様子が見えてこない。その理由は、ウェンディが魔力をどんどん高めていき、彼の周りに集めていたからだった。

「何!?次から次へと・・・風がまとわりついて・・・」

右も左も上も後ろも、全方向を風に覆われたエゼル。剣の使い手として、必死に抵抗してみせるが、それも無意味。

(ほんの少しでいいから・・・シリルみたいな力を・・・)
「うおっ!!」

渾身の力でようやく風の檻から抜け出したエゼル。彼は前方で魔力を溜める少女に剣を構えて突進していく。

「うおおおおおおおっ!!」
「ウェンディ!!」

すぐ目の前までやって来ているエゼル。危険を感じたシャルルが彼女の名前を叫ぶ。

(私に!!)

しかし、ウェンディは冷静だった。今ある力を最大限に活かし、敵を滅するためにはどうすればいいのか、彼女にはわかっていたのだ。
天竜の頭部に降り下ろされる剣。彼女はそれを、魔力を帯びた腕で受け止める。

「うおっ!!うあああああああ!!」

それと同時に、エゼルの悲鳴が洞窟の中に響き渡る。彼女に魔法を受け止められたエゼルは、少女の操る風に押し返された。
強烈な竜巻を巻き起こして飛ばされていく悪魔、彼は、白く光輝くフェイスに激突し、それは粉々に崩れ落ちた。

崩れ落ちるフェイス。それを見てシャルルは喜びに浸る。そしてそれを達成したウェンディはドラゴンフォースを解除すると、ニッコリと笑みを浮かべた。

「やった・・・」

ついにフェイスを破壊し、大陸から魔力がなくなるのを防いだウェンディ。しかし・・・

3分07秒

「え?」

3分06秒

フェイスを囲むように時を刻んでいたタイマー。それは、本体がなくなったのにも関わらず、依然としてカウントダウンを減らし続けていたのだ。

「なんで・・・」

フェイスが崩れ落ちた衝撃で周囲に立ち込めていた煙。それが晴れると、わずかに残っているフェイスの下部と、それを取り囲む魔法陣が姿を見せる。

「フェイスを壊したのに・・・カウントダウンが止まらない」

いまだに動き続けるフェイスに歩み寄ろうとしたウェンディ。しかし、エゼルとの戦闘で魔力を使い果たした彼女は、フラフラとその場に倒れ込んだ。

「あれ・・・体が・・・」

崩れ落ちていく洞窟。その中でフェイスのカウントダウンはついに、三分を切ってしまった。

「あれ・・・こんなはずじゃ・・・」

目にうっすらと涙を浮かべるウェンディ。敵も倒し、フェイスも破壊したはずだった。すべてはうまくいくはずだったのに、なぜかカウントダウンが動き続けている。

「ごめんなさい・・・」

顔を上げて光を増していくフェイスを見るウェンディ。彼女の目からは、涙が流れ落ちていた。






















シリルside

ゴゴゴゴゴゴ

「うわっ!!」
「何~!?」

突然の大きな揺れに倒れそうになる俺とセシリー。ラクサスさんとカミューニさんは、近くの壁に手をつきなんとか耐えていた。

「んだよ、この振動は」
「知るか」

血が収まってきた目から手を離し、イライラしているカミューニさんと、同様な態度のラクサスさん。そんな彼らの疑問に、ノーランがニヤリと笑いながら答える。

「フェイスに反応しているんだ」
「「「「!!」」」」

彼の言葉に俺たち全員の表情が強張る。まさかもうそんな時間なのか!?

「あと三分くらいかな?大陸中の魔法が消えるんだ」
「あと三分で!?」
「魔法が使えなくなっちゃうの~!?」

40分あった時間がもう残すところ片手で足りるほどの時間しかない。ウェンディとシャルルが向かったみたいだったけど、大丈夫なのかな?

「落ち着け、シリル、セシリー」
「誰か止めに向かってんだろ?なら大丈夫だ」

慌てている俺たちにそう声をかけるラクサスさんとカミューニさ。二人とも、万全じゃない状態で戦ってることがあり、かなり息が上がっている。

「そういう俺もか・・・」

天空の滅悪魔法を体内に入れられたせいで魔法がうまく機能していない俺。魔障粒子のせいで体調に問題のあるラクサスさん。そして、目を潰されてまともに戦えないカミューニさん。今はこの三人でノーランに向き合っているのだが、状況は悪くなるばかりでなんともならない。

「ルーシィって奴かウェンディって奴のどっちかだろ?フェイスに向かってるのは。なら止めるのは無理だぜ」
「無理なもんか!!」

三人を相手に余裕綽々のノーランに声を荒らげる。さっき目を使って二人が逃げ切れたか見てたけど、ルーシィさんは変なのに捕まってた。だからウェンディしかいけてないけど、あいつも強くなったし、シャルルだっている。無理なんかじゃ絶対ないんだよ。

「それがわかるんだ、俺には。あいつらじゃフェイスを壊せないってな」

一向に意見を曲げるつもりのないノーラン。何か策があるのか知らないけど、ウェンディなら絶対何とかしてくれるはず。

(ウェンディ・・・シャルル)

強く拳を握りしめ、祈るように少女たちの名前を心で呼ぶ。俺は信じてるから。二人なら絶対止められるって。






















第三者side

光が外へと漏れ出ている大空洞の入り口。その中は、天竜と悪魔の激しい戦いで崩れつつあり、敗者は大きく口を開けて地面に沈んでいる。
だが、勝者である少女には一切の笑顔はない。その理由は、音を立ててカウントダウンを刻むフェイスにあった。

「間に合わなかった・・・」

大陸すべての魔力を消し去るフェイス。それの発動に待ったをかけるためにドクゼリ渓谷の大空洞にやって来たウェンディとシャルル。しかし、その目的を果たすことができず、二人は絶望にうちひしがれている。

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

涙を流しながら自分にすべてを委ねてくれた仲間たちに謝罪をするウェンディ。すると、彼女から離れたところで、力を使いきり休んでいたシャルルが、ゆっくりと立ち上がる。

「方法がないわけじゃ・・・ないわ」
「え・・・」

諦めかけていたウェンディの耳に届いた彼女の言葉。シャルルはおぼつかない足で立ち上がり、わずかに残るフェイスの残骸へと歩を進める。

「フェイスは今、大量のエーテルナノを吸収してる。そのエネルギーを別の属性に変換できれば、自律崩壊魔法陣が発動して、フェイスは自爆するはず」
「そんなこと・・・どこで知ったの?」

なぜ彼女がそのような知識を持っているのか、ウェンディはわからずに質問する。それに対し、シャルルは振り向かずに答える。

「未来・・・私の予知能力」

シャルルは彼女の親であるシャゴットと同じように未来を見る能力がある。彼女はその能力を使い、今話した知識を手に入れたのであった。

「フェイスの発動しない未来を予知・・・ううん。正確には検索したの。いくつも存在する未来の可能性の中から、フェイスの発動しない未来を見つけ出した」
「すごい・・・」

以前までたまに見える、もしくは無意識にしか見ることができなかったシャルルの未来。しかし、彼女は今、己の力で好きな未来を見つけ出すことができるようになった。それを聞いたウェンディは、感心してそう呟く。

「確か、未来の私はここの魔法陣をこうやって動かして・・・」
「シャルル・・・本当にすごい」

何度も目を閉じ、未来の自分の動きを確認しながら魔法陣を操作していくシャルル。

「こうやって、文字を入力」

カタカタと文字を打ち込むと、中心の円に周りの円が集まり、×印が浮かび上がる。

「エネルギーを変換させる準備ができたわ」
「これで・・・私たち・・・」
「ここまでなの」
「え?」

見えてきた希望に頬を緩ませていたウェンディ。しかし、シャルルのその言葉に、表情が固まる。

「この先の未来は真白・・・もう・・・ないの」
「どういうこと?」

シャルルが何を言いたいのかわからないウェンディは、不思議そうな顔をして彼女の背中をじっと見つめている。

「誤解しないで、フェイスは止まる。この文字に触れば・・・」
「じゃあ・・・」
「触ったら、フェイスは自爆する。つまりね・・・私たちも助からない」

非情なシャルルの検索した未来に、ウェンディは呆然とし、口を半開きにして硬直してしまう。

「私思うんだけど、魔法がなくても生きていけると思う。ほら、エドラスみたいに」

こことは違う平行世界。大人な姿のウェンディやシリルがいるその世界では、新たな王となったミストガンことジェラールの判断により、すべての魔力が失われた。でも、彼らは強く生きている。そう信じている彼女は、フェイスを破壊しなかった場合の話を振ってみる。

「ダメだよ・・・みんな・・・戦ってる最中・・・今、急に魔法が使えなくなったら・・・」

しかし、エドラスの時とは状況が違う。あの時は王国との戦いも終わり、区切りがついていた。そのため、魔法がなくなっても死者が出ることはなかった。だが今は、彼女の仲間たちは敵と戦っている。しかもその敵が使う力は魔法ではない。もしその力を失った状態で戦うことになれば、一溜りもない。

「そうよね。ウェンディ、爆発の範囲が予想、予知もできない。できるだけ遠くに逃げて。ここは、私がやっておくから」
「何言ってるのよシャルル!!ダメだよ!!」

ウェンディに遠くに避難するように言ったシャルル。しかし、言われた彼女は首を縦に振ることはない。立ち上がったウェンディは、フェイスの前に立つシャルルのもとへと駆けていこうとするが、足が動かずその場に倒れる。

「お願い・・・生きて、ウェンディ」

涙声でこちらに向かってきている少女に最後のお願いをするシャルル。だが・・・

「ダメ!!シャルルを一人にはさせない!!」
「早く逃げなさいよ!!起爆できないじゃない!!」
「やだ!!」

地面を叩き声を張り上げたウェンディ。

「私たちは、ずっと一緒なんだ!!」

這いつくばりながら、大好きな友達のもとへと一歩、また一歩と近づいていくウェンディ。それを受け、シャルルは目から涙をこぼしつつ、ゆっくりと振り返る。

「ずっと・・・」
「ウェンディ。もう飛ぶ力も残ってない。逃げられないのよ・・・」
「わかってる。私だって、もう動けない。遠くは・・・いけないよ」

傷だらけでやって来たウェンディから、シャルルは目を反らし、涙がこぼれるのをぐっと堪える。ウェンディはそんなシャルルを、強く抱き締めた。

「どこにも行かない」

彼女たちの横に落ちていく崩れた天井。二人の少女を照らす巨大な搭は、さらに強い光を放っていく。

「私たちの冒険もここまでだね。でも楽しかったよ。ずっとシャルルとシリルと、セシリーがそばにいてくれたから」
「うん・・・」

互いを強く抱き締め、大粒の涙を流すウェンディとシャルル。二人は互いの体温を感じた後、フェイスの起爆ボタンの前に並ぶ。

「ここを触ればいいんだね?」
「うん」
「一緒にやろ!」
「ずっと一緒だったもんね」

二人が初めてあったのは、化猫の宿(ケットシェルター)のギルドの中。シリルとウェンディが森の中で見つけてきた卵から、シャルルとセシリーは生まれた。
その時から、四人はいつでも一緒に行動をしていた。ギルドの中で遊ぶ時も、買い物にいく時も、プールで水遊びをしていた時も。そして・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ってからも。
ニルヴァーナを破壊した後、ギルドの仲間たちとの辛い別れを一緒に乗り越え、マグノリアがエドラスに吸収された時は、その世界に一緒に飛び込んで、S級魔導士昇格試験ではケンカして、でもすぐに仲直りをして・・・たくさんの思い出が、彼女たちの胸の中に浮かんできた。

「また、友達になってね」
「当たり前じゃない」

二人が最後に言葉を交わすと、彼女たちは一度瞳を閉じ、ある人物たちを思い浮かべる。

(シリル・・・)
(セシリー・・・)

ウェンディはずっと一緒に暮らしてきた、大好きな少年を。シャルルは始めは仲が悪かったけど、今では何にも変えられないものとなった友達を。

(せっかく恋人になれたのに、ごめんね)
(私がいなくても、あんた、ちゃんと起きられるのかしら)

ウェンディは、付き合って日の浅いこともあり、まだまだやりたいことがたくさんあった。シャルルはどこか抜けていて、自分がいないと危なかったしい友人が少し心配だった。
だが、彼らが生きていくためには、自分たちが犠牲にならなければならない。

((私たちの分まで、生きて))

同時に同じことを考えた二人の妖精。彼女たちは息を合わせ、光る魔法陣に手を伸ばす。そして、







フェイスは爆発した。























フェイスが爆発したことにより、洞窟は倒壊し、辺りの荒れ地には大きな振動が走る。そんな中、そこから離れた場所に、一人の男が瞬間移動で現れる。

「間に合った」

そう言ったのは、評議院の生き残りであるドランバルト。彼の腕の中には、意識を失っているウェンディとシャルルが抱えられている。

「ふーっ。無茶しやがって」

怒ったようにそう言った後、ドランバルトは笑みを浮かべ、フェイスがあった方角に視線を向ける。

「まさかフェイスを破壊してくれるとはな。こんなに小さな勇者たちが」

小さな少女たちの大きな勇気。二人の活躍により、フェイスの発動は阻止されたのであった。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
これにてウェンディの大活躍シーンはひとまず終了です。
次からはシリルたちの方に戻っていきます。 
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