英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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最終話~若獅子達の門出~(後日譚終了、if篇完結)
3月25日―――――
~トリスタ駅前~
「―――それじゃあ、これでお別れだな。」
「みんな、元気でね。」
「皆さんに手紙……書きますね。」
「勿論わたくしも書きますわ……!」
それぞれの私服に着替えたマキアスやエリオットは仲間達を見回し、エマの言葉に続くようにセレーネは答えた。
「フフ、私達とリィンさんやセレーネの場合はお別れになりませんけどね。」
「アハハ、そうですね。あたし達は今後毎日顔を合わす事になるでしょうし。」
「ハハ……そうだな。それに他のみんなともすぐに会えそうな気がするしな。」
プリネとツーヤ、リィンはそれぞれ苦笑していた。
「ふふっ……そうね。」
「双界は広いとはいえ、我らにとって然程ではなかろう。」
「うんうん、ボクなんかガーちゃんでひとっ飛びだし。」
「エヴリーヌは転移魔術で一瞬だね。」
「あくまで一時の別れ……そう信じている。」
「今はそれぞれ、為すべき事を果たすのみだ。」
アリサやラウラはそれぞれ微笑み、ミリアムとエヴリーヌはそれぞれ自慢気に答え、ガイウスとユーシスはそれぞれ静かな笑みを浮かべて答えた。
「……まあ、それ以前にあの自称”ただの新妻”が出した”最後の特別実習の依頼”のせいでエレボニアでのコンサートが始まるまで来月からコンサートの練習の為に1週間に1回の感覚で会う事になるけどね。」
ジト目で呟いたフィーの指摘を聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「それを言わないで下さいよ、フィーさん……今の言葉で全部台無しになったじゃないですか……」
「君もミリアムやエヴリーヌ同様いい加減空気を読んで発言する事を覚えてくれ……」
セレーネとマキアスは疲れた表情で指摘した。
「アハハ……全部クロウに任せる事になって申し訳ないけど、よろしくね。」
「おう、任せとけ!”空の女神”のお蔭でコンサートが始まるまでの間だけ監視付きだが一時釈放されたお蔭で、時間は有り余っているからな。”空の女神”より拍手喝采にできるように綿密に計画や準備をしておいてやるぜ。」
エリオットに視線を向けられたクロウは力強く頷き
「さ、さすがに色々な意味で有名過ぎるエイドスさんを越えるのは厳しいと思うのですが………しかもメンフィルからは姉さんも参加する事になっているとの事ですし。」
「まあ、歌はヴィータの数少ない取り柄の上、実際”歌姫”としての実績もエレボニアで残しているしね。まずはヴィータを超える事を考えないと、エイドスを超える事なんて到底無理だと思うわよ?」
クロウの言葉を聞いたエマは冷や汗をかき、セリーヌは呆れた表情で指摘した。
「チッ、確かにああ言う事に関しては奴も強敵だったな……おい、リィン。ヴィータをもっと骨抜きにして、本番の時に手を抜くように説得しろ。」
「いや、何でだよ!?」
「いきなり不正を促さないで下さいよ……しかもクロチルダさんはメンフィル代表の歌姫の一人なのですから……」
セリーヌの指摘を聞いて舌打ちをしたクロウはリィンに視線を向けて指示をし、クロウの指示を聞いたリィンとプリネはそれぞれ疲れた表情で反論した。
「やれやれ……最後の最後までいつもの調子とは奴等らしいな。」
「うんうん、ライノの花もいい感じで咲いてくれたし。」
「門出の季節、ですわね。」
「フフ、ですがこの風景は少々名残惜しいですね。」
一方リィン達の様子をレーヴェとサラ教官、シャロンとクレア少佐はそれぞれ微笑ましく見守っていた。するとその時黙り込んで互いの顔を見合わせて頷いたリィン達はサラ教官とレーヴェに視線を向けた。
「え、え、何?」
「……?」
リィン達に一斉に視線を向けられたサラ教官は戸惑い、レーヴェは不思議そうな表情をした。
「―――サラ教官、レオンハルト教官。」
「この一年間……」
「どうもお世話になりました!」
するとその時リィン達は一斉に頭を下げて二人に感謝の言葉を送った!
「……ぁ…………」
「…………………」
リィン達の行動に二人は呆けた表情をしていた。
「我らがこうして、新たな門出を迎えられたのも教官達のおかげです。」
「無茶苦茶な指導だったがまあ、色々とためにはなった。」
「ふふっ、最後にみんなで一言お礼を言おうと思って。」
「こうして……不意打ちをさせてもらいました。」
「また機会があれば、よろしく指導をお願いする。」
「わたくし達にとっての担任教官はお二人だけですもの。」
「アンタたち……グス……もう、冗談じゃないわよ……最後までカッコよく……素敵なお姉さんで……決めようと思ったのに……」
「フッ、最後の最後に不意打ちとはやるな。さすがは俺直々に鍛えられただけはある。」
教え子達の行動の理由を知ったサラ教官は感動のあまり、涙を流し始め、レーヴェは静かな笑みを浮かべてリィン達を見回した。
「サラ、ムシが良すぎ。」
「全くだな。つーか俺達は最初からサラをそんな風に見た事はない所か、むしろその真逆のイメージで見ていたしな。」
「ドッキリ大成功だね。」
「ちょ、ちょっとやりすぎたかも……」
「というか肝心のレーヴェが泣いていないから大成功じゃないし。せっかくレーヴェの泣き顔を見る為に嫌々頭を下げてあげたのに。」
「ま、まあまあ……レーヴェは強がって顔に出さないだけだと思いますよ、エヴリーヌお姉様?」
「ア、アハハ……(エヴリーヌさんには悪いですけど、あたしはそんな光景、全然想像できなかったですから、最初からレーヴェさんは泣かないと思っていましたけどね……)」
フィーの言葉にクロウは頷き、ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべ、エリオットは苦笑し、ジト目でレーヴェを見つめるエヴリーヌにプリネは苦笑しながら諌め、その様子をツーヤは苦笑しながら見守り
「……エマ君、さすがにあざとすぎたんじゃないか?」
「そ、そうみたいですね……クラス委員長として最後に何か提案できればと思ったんですけど……」
マキアスとエマは互いの顔を見合わせて困った表情をしていた。
「って……アンタたちの発案かい……!?」
「まあ、そんな事だろうとは思っていたがな。」
するとその時サラ教官がフィー達を睨んで声をあげ、レーヴェは呆れた表情でフィー達を見つめた。
「やれやれ。」
「フフ……いいオチが付きましたね。」
「クスクス、そうですね。」
一方その様子をセリーヌとシャロン、クレア少佐は微笑ましく見守っていた。そしてリィン達は駅に入り、駅に到着した列車に乗ってトリスタから去って行った――――
こうして……数多くの困難を乗り越えた若き獅子達はそれぞれの未来に向かって歩み始めた…………………!
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