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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  146 特典選び

 
前書き

サブタイの通りです。

 

 
SIDE 升田 真人

(……確か【満足亭】で寝てたはずだよな。……それにしてもここは…)

〝【SAO】な世界線〟で役目を終えて更に100年近くが──乃愛を看取ってから早100余年が経過していて、今日も今日とて【満足亭】で儲けにならない商いをテキトーにして布団に入って意識を夢へと旅立たせたら、どこかふわふわしている様な──〝超常〟の感覚に見舞われる。

……慌てず目を開けてみれば、そこは〝白と灰色が混じり合った様な〟──見覚えのある空間だった。

「……〝神(ミネルヴァさん)が居る〟世界…」

――「ご名答」

そんな風に洩らしてみれば、後方から鈴の音の様な声が聞こえた。

「……お久しぶりです」

「うむ」

振り返ってみれば、やはりと云うべきで、そこには──比喩表現無しな女神が居た。

「……〝ここ〟に呼ばれたと云うことは〝再々転生〟の時が来たんですね」

「左様じゃ。確か──」

ミネルヴァさんが俺が出した〝特典〟の数を思い出そうとしている。俺もそれに(なら)って俺もあの賽子(さいころ)を振った時の事を──和人の手に依って魔王・ヒースクリフが討たれ、〝【ソードアート・オンライン】がクリアされた後〟の事を思い起こしていく。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「訊きたい事があります。その〝報酬(とくてん)〟を貰ったら“有言実行(ネクストオネスト)”が消えたり──なんかはしませんよね?」

「……“有言実行(ネクストオネスト)”はお主の魂に──〝赤いドラゴン〟と同様に、癒着が如く引っ付いておるから大丈夫じゃよ」

(あ、そういう事か。……〝神器(セイクリッド・ギア)〟自体が〝幻想郷〟の方にあるからか…)

ミネルヴァさんのその言葉を聞いた時、〝〝神器(セイクリッド・ギア)〟が何故使えなかったのか〟が判った気がした。……そして、そこまで考えるともう1つ推論も浮上してくる。“魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)”は使えないが、〝似たナニか〟が使えるのは…

(……【幻想郷縁起】か…)

〝幻想郷〟に〝俺〟が居た時、阿求に〝能力(できること)〟を聞かれた時〝イメージした魔獣を創造出来る〟と答えた事がある。……今の状況は、そこに起因していると想像するのは難くない。

……【Fate】シリーズをイメージとして説明するなら、〝宝具〟が〝スキル〟になった感じに近く、“赤龍皇帝の双籠手(ブーステッド・ディバイディング・ツインギア)”──〝双籠手〟が使えないのは阿求に〝ドライグの能力〟である〝倍加〟やらの件を話していないからだろう。

(少なくとも1つの〝報酬(とくてん)〟が貰えるとして──決まってきたな、〝特典(ほうしゅう)〟の件については)

「……さて以前と同じく賽子(さいころ)を振ってくれ」

「〝これ〟ですね? ……せいっ」

……賽子(さいころ)が示したのは〝3〟。斜めに並べられた3つの点を見た時、〝多くもなければ少なくもない〟──と、どうにも形容しがたい気持ちになってしまったのは仕方ない事だろう。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「左様じゃ。確か──特典の数は3つじゃったな。……さて、お主の望む特典は?」

「はい」

一つだけ頷き、ずっと──〝サブカル知識〟の造詣(ぞうけい)が深い乃愛と相談しながら考えていた事を口にする。選考する時間は有り余っていたので、ここで迷う事はない。

「まず1つは──少々複雑かもしれませんが“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”と“白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)”を完璧に融合させて〝単体の〝神器(セイクリッド・ギア)〟〟にしてもらうってところかな」

「むぅ…。……お主が持っている──〝中途半端〟に混ざっている〝神器(セイクリッド・ギア)〟を完全に混ぜる事くらいなら、まぁ可能だろうのう」

これはドライグの〝器〟を用意したい俺からしたらどうしても頼みたかった事なので、1つ目はこれにした。……それにしても、ドライグの協力下の融合とだったがその融合具合はミネルヴァさんからしたら〝中途半端〟だった模様。

……ちなみに、俺と一心同体と云っても差し支えがない──俺と一緒に居るはずのドライグがノーリアクションで静かなのは、ミネルヴァさんが一時的にドライグとのリンクをあやふやにしているからだそうだ。

閑話休題。

「2つ目は、【Fate/Zero】のバーサーカーが使用していた宝具で」

「ほう、中々に〝(うま)い〟頼み方じゃな。……伊達に長生きしてないと云うわけか」

さっきの難しそうな顔から一転。ミネルヴァさんは〝感心した〟とでも言いたげに頷く。

ぶっちゃければ“騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)”だけでもよかったのだが、そこは〝ついで〟と云うべきで──“己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)”と“無毀なる湖光(アロンダイト)”を纏めて望んでみる。

……ちなみに、態々(わざわざ)【Fate/Zero】と限定したのは、〝【Fate/】〟としただけでは不明瞭で──数多(あまた)存在している二次創作にすら引っ掛かりそうなので、こんな頼み方にしてみた。……ミネルヴァさんの反応を見る限り、〝好ましい頼み方〟だったらしい。

「3つ目は【Fate/Stay Night】のキャスターの、〝クラススキル〟を含めたスキル」

「了解じゃ」

「……もちろん、これについてはスキルのランク変更とかは無しの方向でお願いしますね」

註釈として述べておく。

「………了解しておる」

面倒な事になりそうだったので、黙りこんでいた間はスルーしておいた。“高速神言:A”“陣地作成:A”と“道具作成:A”はそれくらいに美味しい。……“金羊の皮:EX”がどうなるかは判らないが。

……最善としては応用が可能となり──ドライグが召喚可能になることだが──最悪〝死にスキル〟となるだけでも御の字だ。

「……さて、お主が望む3つの特典は、〝“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”と“白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)”の完全融合〟〝【Fate/Zero】のバーサーカーの宝具〟〝【Fate/Stay Night】のキャスターの、〝クラスも含めたスキル〟を含めたスキル〟──以上の3つじゃな」

「はい」

「〝能力(とくてん)〟の使い方は、以前お主に与えた“有言実行(ネクストオネスト)”と同様に、意識──いやこの場合なら記憶か。……〝能力(とくてん)〟はお主に記憶が戻った際に使える様にしておこう」

「重ね重ね、ありがとうございます」

至れり尽くせりな状況に礼を言う。……(むし)ろ〝至れり尽くせり〟過ぎて、何かあった時のリターンが怖いまである。

――ガコンッ

「っ!?」

……そんなイヤな予感は的中していた様で、ミネルヴァさんはいつぞやの様に指を鳴らすと、またもやいつぞやの様に足元が左右に両開きとなり──一瞬の浮遊感に見舞われて、当たり前の様に重力に引かれ…

「……まぁ、気楽にいってくるがいい。お主からしたら二回目かもしれんが──何、これも〝お約束(テンプレート)〟と云うものじゃよ」

「油断してたぁぁぁああ…」

ポケモンバトルに負けた訳ではないが俺の目の前はどんどん真っ暗になっていった。

SIDE END

………。

……。

…。

SIDE OTHER

「ふむ…」

真人の残響が消えたのを確認してミネルヴァはあまり(かんば)しくない表情で1つ頷く。……その理由は真人の頼んだ〝特典(スキル)〟にあった。

1.〝“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”と“白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)”の完全融合〟

これについてはミネルヴァは真人の事を随時観察していたので、真人がこう望む事はミネルヴァにとって予想の範疇だった。

……掛ける手間にしても真人の〝分神〟──〝升田 真人が行った幻想郷〟に居る真人から“赤龍皇帝の双籠手(ブーステッド・ディバイディング・ツインギア)”を徴収して、融合率をちょちょいと弄って真人に宿っているドライグの魂とのラインを繋ぎ直せば、それで終わりである。

2.〝【Fate/Zero】のバーサーカーの宝具〟

この〝特典〟の頼み方では“騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)”と“己が栄光の為でなく(フォーサムワンズグローリー)”、“無毀なる湖光(アロンダイト)”の──3つの宝具に細分化されるのだが、これについては──ミネルヴァも言った様に真人の頼み方が巧かった。

3.〝【Fate/Stay Night】のキャスターの、〝クラススキル〟を含めたスキル〟

これがミネルヴァの頭を悩ませる〝特典〟だった。

【Fate/Stay Night】のキャスター──メディアの所有スキルを細分化すれば“高速神言:A”“陣地作成:A”と“道具作成:A”“金羊の皮:EX”となる。

……“高速神言:A”“陣地作成:A”と“道具作成:A”の3つはまだ良い。破格も破格だが、ミネルヴァの〝神格〟的に不可能ではなかったので、良しとした。……問題はあと1つの──“金羊の皮:EX”だった。

「……そのまま突っ込んで〝制御〟と〝召喚〟は、ヤツの修練認識次第にしておくか…」

やがてミネルヴァは考えるのを止めて、真人にもろもろをぶん投げた。

SIDE END 
 

 
後書き

何〝編〟かは次話から設定します。

……【SAO】の方の方が良かったかも…。 
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