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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第87話

~ジュライロッジ・最奥~



「……あ…………」

「ぼ、僕達、勝ったの……?」

ヨアヒムが消滅した所を見たアリサとエリオットは呆け

「ああ。―――文句なしの君達の勝利だ。」

パントが笑顔を浮かべてリィン達の勝利である事を伝えた。



「やったぁぁぁ~~っ!!」

「わたくし達、勝ったのですね……!」

「これでようやくエレボニアに平和が訪れるな……」

「ミッションコンプリート、だね。」

「ああ……!そしてこれでようやく”かけがえのない毎日”を取り戻す事ができる……!」

「最後まで皆さんの足をひっぱらずにお役に立てて本当によかったです……」

「はあああああ~……”神”を相手に本当によく勝てたよ……」

「フン、”神”と言っても偽物だろうが。」

「やれやれ……さすがに今回ばかりは肝が冷えたわよ。」

パントの言葉を聞いたミリアムは無邪気な笑顔を浮かべ、セレーネとラウラ、フィーとリィンはそれぞれ嬉しそうな表情をし、エリスと共に安堵の表情で溜息を吐いているマキアスにユーシスは鼻を鳴らして口元に笑みを浮かべて答え、セリーヌは疲れた表情で溜息を吐き

「”影の国”以来の大規模戦闘による勝利でしたね。」

「フフ、言われてみればそうね。」

「リフィアがこの事を知れば羨ましがるだろうね、キャハッ♪」

「ふふっ、リフィアなら間違いなく自分も混ぜてくれなかった事に文句を言うでしょうね。」

ツーヤの言葉にプリネは微笑み、無邪気な笑顔を浮かべているエヴリーヌの予想を聞いたエリゼは苦笑しながら同意した。



「フフ、それにしてもまさかエマどころか”蛇の使徒”であった私が”星杯騎士”と共闘するなんてね。”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”は七耀教会からしたら異端の存在で、”蛇の使徒”であった私は七耀教会にとっては天敵のような存在なんだけどねぇ。」

「ア、アハハ……そんなの今更よ、姉さん。」

「何せその七耀教会が崇めている”空の女神”自身も一緒に戦ったからねぇ。」

クロチルダの言葉を聞いたエマとサラ教官はそれぞれ苦笑し

「うふふ、それにしてもこうして改めて見ると”結社”出身の方達が随分と集まりましたわね♪」

「シャロン……”結社”の”執行者”だった貴女がそれを言うの?」

「”死線”、”漆黒の牙”、”剣帝”、”蒼の深淵”、そして”鋼の聖女”。フッ、少なくても”福音計画”のメンバーよりは確実に上だろうな。」

「レ、レーヴェ。」

「それ、冗談になっていないんですけど?」

「ア、アハハ……」

微笑みながら呟いたシャロンの言葉を聞いたアリサは疲れた表情で指摘し、静かな笑みを浮かべているレーヴェの言葉を聞いたヨシュアは冷や汗をかき、エステルはジト目で指摘し、ミントは苦笑していた。



「フフ、向こうの言う通り”執行者”どころか”蛇の使徒”とも共闘するなんておかしな縁ね。」

「いや~、そんなのオレらにとったら今更やで、姉さん。」

「”結社”より更に上の私達にとっては天敵のような存在とも既に共闘しているのだから、本当に”今更”。」

「確かに神を殺した存在やソロモン72柱の魔王達が相手だとさすがの”結社”も霞むよねぇ?」

「ワ、ワジ君!」

クロチルダ達を見つめて呟いたルフィナにケビンとリースはそれぞれ苦笑しながら指摘し、口元に笑みを浮かべて呟いたワジの言葉を聞いたノエルは慌てた様子で声を上げた。



「うふふ、”影の国”以来のとっても賑やかで楽しい”お茶会”だったわ♪ティオもそう思わない?」

「それについては同感です。……わたしをあの滅茶苦茶な面子と関わらせたキーアには感謝していますよ。」

「フフ、そう言う意味では私も彼女には感謝すべきでしょうね。貴女のお蔭であの忌々しい呪いが解かれたのですから。」

「アハハ……正確に言えば”今のキーア”じゃないけどね。」

レンの意見に同意したティオと共にフェミリンスに微笑まれたキーアは苦笑し

「フフ、気付けば随分と様々な組織の方々が集まりましたね。」

「それも彼らが持つ”絆”の力なのでしょうね。」

「フフ、彼らもリウイ陛下達のように良き”縁”に恵まれましたね。」

「ええ……エレボニアは今後苦しい立場に立たされることになるでしょうが、彼らのような存在がいればいつか必ず持ち直せるでしょうね。」

ルイーズやシグルーン、リアンヌとパントは微笑ましそうにリィン達を見つめていた。



「フウ。さっきは空気を読んで猫を被って久々の”女神モード”になりましたけど、やっぱり”女神モード”は疲れますね。」

疲れた表情で溜息を吐いて呟いたエイドスの発言を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力し

「く、空気を読んでって……」

「しかも女神が猫を被る”女神モード”で何なのですか……」

「ううっ、私の時代のエイドスは真面目な娘なのに、一体何があってあんな娘になったのよ……」

「というか途中から既に”本性”をさらけ出していたわよ……」

「いい加減自分が”女神”である事を自覚しろなの~!」

「ア、アハハ……本当に一体誰に似たんだろうね、あの性格は。」

アドルは表情を引き攣らせ、エレナとフィーナ、クレハはそれぞれ疲れた表情になり、ノイはエイドスを睨み、ナユタは苦笑していた。



「あ。そうだ、ミントちゃんに頼む事があったんだった…………!」

「ほえ?ミントに頼む事??」

その時ある事を思い出して声を上げたツーヤの言葉を聞いたミントは首を傾げ

「あ……!クロウの治療の事だね……!」

「色々な事が起こってすっかり忘れていたね。」

「フィ、フィーちゃん。さすがにそれは酷いと思うわよ?」

「まあ、フィーさんのお気持ちはわかりますが……」

ツーヤの言葉にエリオットは反応し、フィーが呟いた言葉を聞いたエーデルとセレーネは冷や汗をかいた。

「ミントさん、お願いします!どうかミントさんの力―――時空を操る”真竜”の力でクロウを元に戻してください……!」

「え…………」

「ええっ!?な、何でリィン君達がミントの力や正体を知っているのよ!?」

「もしかして姉さん達が……?」

リィンの嘆願を聞いたミントが呆けている中エステルは驚き、ある事を察したヨシュアはプリネ達に視線を向け

「ええ……実は――――」

そしてプリネ達はエステル達に事情を説明した。



「そんな事が……」

「ま、さすがに仲間の命の危機なんだから、ミントちゃんの事を話したのも仕方ねぇかもしれねぇな。」

「はい………もし話さなかったあたしだったらきっと一生後悔しています。」

「………………」

「―――ですが話を聞く限りその者がそうなってしまったのもその者自身の責任だと思うのですが。」

「……そうですね。ヨアヒムの甘言に乗せられたとはいえ、彼も自分がどうなるかわかった上で”グノーシス”を服用したのだから、厳しい事を言うようだけど彼がそうなってしまったのも彼自身の”自業自得”よ。」

事情を聞き終えたティオは辛そうな表情をし、ランディとノエルは重々しい様子を纏って呟き、キーアは複雑そうな表情で黙り込み、フェミリンスとルフィナはそれぞれ厳しい意見を口にした。

「それでも俺達はクロウを助けたいのです!お願いします!俺達でよければミントさんの望む事を何でもしますのでどうかクロウを助けてください……!」

「お願いします!!」

「はわわわわっ!?み、みんな、頭を上げてよ~!」

リィンがミントを見つめて頭を下げて嘆願するとアリサ達もそれぞれ頭を下げ、それを見たミントは慌て

「……あたしからも頼むわ、ミント。―――この通りよ。」

「”黄金の百合”――――いえ、”真竜”殿。どうか御身の御力でクロウの寿命を戻してあげてください……!」

「ミント殿。人の生きた”時の流れ”を無暗に捻じ曲げる事を戒めている事は存じていますが、どうかフェミリンス殿の時のように彼らに対しても一度だけ慈悲をお願いします……」

「サラさんやクロチルダさん、それにシルフィアさんまで…………」

サラ教官やクロチルダ、リアンヌも頭を下げてミントに嘆願し、それを見たミントは困った表情をして考え込んでいたがふとキーアと目が合った。



「……………………」

ミントに視線を向けられたキーアは真剣な表情でコクリと頷き

「(キーアちゃんが頷いたって事はこれも”改変された歴史の正しい流れ”って事なんだ……)……フウ……今回だけだからね。」

キーアの意志を理解したミントは疲れた表情で溜息を吐いて答えた。

「ほ、本当ですか!?」

「その代わり2度とミントの――――”真竜”の力に頼らない事を約束してね?本来”人の時の流れ”は歪めてはいけないんだから。」

(そう言っているわりにはフェミリンスの時は出し惜しみもせず使っていたよね。)

(エ、エヴリーヌお姉様!)

(うふふ、それは言わないお約束よ、エヴリーヌお姉様♪)

(え、え~と……フェミリンスさんの場合は事情が特殊でしたし……)

答えを聞いて仲間達と共に明るい表情になったリィンの問いかけを聞いた後リィン達に念押しするミントの言葉を聞いて小声で呟いたエヴリーヌの言葉を聞いたプリネは慌て、レンは小悪魔な笑みを浮かべ、ツーヤは苦笑していた。



「……ねえ。どうせならついでにその力で部長も元通りにできないの?」

「あ……っ!そうでしたわ……!ミントさんの力でしたら部長も人間に戻れますわ……!」

フィーの言葉を聞いてある事を思い出したセレーネは声を上げてエーデルを見つめ

「へ……」

「まさか彼女も”C”のように……」

二人の話を聞いたエステルは呆け、ある事を察したヨシュアは真剣な表情をした。

「……ああ。ブルーメはヨアヒムがこのジュライロッジ内に幽閉されていた人質達に手を出さない代わりにブルーメ自身が奴の”実験”に協力する事を申し出て、その結果ブルーメは人体実験をされた事や奴が開発した”新型のグノーシス”によって純粋な魔族と化した。」

「なっ!?それじゃあそちらの方もティオちゃん達と同じ……!」

「あの外道!こんな将来が楽しみなお嬢さんにそんな事をしていやがったのか!?」

「…………確かに彼女はティオや”殲滅天使”と違って純粋な魔族だね。」

「………………」

(ごめんね……エーデル……)

「ティオちゃん達と違って純粋な魔族になったのも”新型のグノーシス”のせいかしら……?」

「ああ……恐らくそうだろう。」

レーヴェの話を聞いたノエルは驚き、ランディは厳しい表情をし、ワジは真剣な表情でエーデルを見つめ、ティオとキーアは辛そうな表情でエーデルを見つめ、不安そうな表情をしているエリィの疑問にロイドは静かな表情で頷いた。



「ミント。」

「うん、そう言う事情ならエーデルさんの時間も戻すよ。エーデルさん、今から何日前までは普通の人間だったか、覚えているかな?」

そしてエステルに視線を向けられたミントは静かな表情で頷いた後エーデルに問いかけたが

「えっと……その……ミントさんのお気持ちは嬉しいのだけど、私は元通りになりたいとは思っていないから必要ないわ。」

エーデルはその場にいる誰もが予想していなかった答えを口にした。

「ええっ!?」

「エーデル!この機会を逃したら2度と人間に戻れないかもしれないとわかっていて言っているの!?」

「はい。」

エーデルの予想外の答えを聞いたエリオットは驚き、血相を変えたサラ教官の問いかけにエーデルは静かな表情で頷いた。

「そ、その……どうして人間に戻りたくないのですか?」

「何か理由があるのですか?」

「えっと……ミントさん、聞きたい事があるからちょっと耳を貸してもらってもいいかしら?」

「?うん、いいよ。」

「その……もし私の時間を戻したらやっぱり…………(性行為の際に女性の体内に出された男性の体液によってできた赤ちゃんも消えるのよね?)」

マキアスとガイウスの疑問を聞いて言葉を濁していたエーデルはミントにある事を小声で耳打ちした。



「!!??はわわわわわわわっ!?そ、そんな事を聞くって事はもしかして……!」

エーデルにある事を耳打ちされたミントは顔を真っ赤にして慌て始め

(ええ。もしかしたら性行為によって私のお腹の中に赤ちゃんができているかもしれないから、ミントさんの力によって赤ちゃんまで消えてしまうかどうかを一番知りたいの。)

エーデルは頬を赤らめて小声で答えた。

「えっと……その…………その人の身体の”時間を戻す”事になるから当然エーデルさんの予想通りなんだけど……(それって、双方合意の上なんだよね?)」

(ええ。……他にも理由はあるけど、もしその時の性行為によって赤ちゃんができちゃっていたら、私とリィン君の赤ちゃんを消す―――殺す事になるから、それだけは絶対にしたくないの。)

((相手はリィンさんなんだ……)その……だったら、その時にできた赤ちゃんを産んでからエーデルさんの時間を戻して人間に戻してもいいんだよ?)

エーデルの話を聞いて大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせてリィンに視線を向けたミントはすぐに気を取り直してエーデルに問いかけた。

(いいの。赤ちゃんの件を抜きにしても私は”今の自分”を受け入れて生きて行くって決めたから。)

「(エーデルさん……)……うん、わかった。でももし気が変わったらいつでも言ってね?」

「ええ。」

「……その様子だと人間に戻るつもりはないのか?」

ミントとの会話を終えたエーデルを見たユーシスは眉を顰めて尋ねた。



「うん。でも理由は言えないから、ごめんね?」

「部長……」

「……部長がそう決めたのでしたら仕方ありませんわね……」

「え~、そんな言われ方をしたら逆に滅茶苦茶気になるよ~!」

「ミ、ミリアムちゃん。きっとエーデル先輩にも何か深い事情があるのですから――――」

エーデルの答えを聞いたフィーとセレーネは複雑そうな表情をし、エーデルに催促するミリアムを見たエマは諌めようとしたが

(……まあ、ある意味深い事情ヨ。)

(ヴァレフォルさん?もしかしてお二人の会話が聞こえていたのですか?)

ヴァレフォルに耳打ちされると不思議そうな表情でヴァレフォルに尋ねた。

(ええ、あの娘が人間に戻りたがらない一番の理由は―――)

「うふふ、アリサとセレーネ、後はエリゼとエリスもちょっといいかしら♪」

「へ……」

「ハ、ハア……?」

「わ、私達もですか?」

「一体何でしょうか……?」

(うふふ、エーデルが人間に戻りたがらない理由はね―――)

ヴァレフォルがエマに耳打ちしている間にベルフェゴールはアリサ達にある事を耳打ちをした。



「ベ、ベルフェゴール様……」

「ふふふ、この後の展開は既にわかりきったようなものですね。」

「……よくわかりませんが、間違いなくマスターの不埒な事でしょうね。」

「ア、アハハ……」

ベルフェゴール達の様子を見ていたメサイアは呆れ、リザイラは静かな笑みを浮かべ、アルティナはジト目になり、アイドスは苦笑していた。



「リ・ィ・ン~~~~~??」

「「に・い・さ・ま~~~??」」

「……リィンさん?」

「お兄様……」

「フフ、よくわからないけど私も何となくわかったわ。さすがはこの私もハーレムの一員にしたリィン君ね♪」

「ええっ!?な、何でそこで俺を見るんだ!?」

アリサ達がそれぞれ膨大な威圧を纏ってリィンに微笑んでいる中、セレーネは疲れた表情でリィンを見つめ、その様子を見てある事を察したクロチルダはからかいの表情になり、アリサ達に微笑まれたリィンは慌て始め、その様子に周囲の人物達は脱力した。

「え、えっと、彼女達ってもしかして……」

「アハハハハハッ!しかも結社の”蛇の使徒”までハーレムの一員にするなんて凄すぎるよ!ロイドですらそんな偉業は成し遂げていないよ!」

「ちょっ!?何でそこで俺が出て来るんだよ!?」

「しかもエリゼさんから聞いていた時よりも明らかに数人程増えていますよね?」

「向こうの方が私達より大変かもしれないわね……」

「”蛇の使徒”まで落とすなんて、幾ら何でもありえなさ過ぎよ……」

「ハハ……やり方はともかく彼女を味方にした事に関しては驚嘆に値するだろうね。(というか確か彼女はレーヴェに熱中していたはずなんだけどな……)」

「……”神殺し”達よりもあの男の方が双界一の女の敵かもしれませんわね。」

「畜生―――――ッ!このリア充野郎が――――ッ!”空の女神”とその一族様!ちょうどいい機会だし、このリア充野郎共に纏めて天罰を与えてやってくれ!!」

我に返ったノエルは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、腹を抱えて大声で笑っているワジの言葉を聞いたロイドは慌てた様子で指摘し、ティオはジト目になり、エリィとエステルは疲れた表情になり、ヨシュアは苦笑した後レーヴェに視線を向け、フェミリンスは呆れた表情でリィンを見つめ、ランディは咆哮を上げた後エイドス達に視線を向けてロイドとリィンに指を指した。



「ランディ!?何でそこで俺まで指さすんだよ!?」

「え、えーと…………」

「まあ、女性としては自覚のない二人には罰があってもおかしくないとは思っていますけど……」

「フフ、そうですね。取りあえずまずは、クロウさんを異次元から呼び戻しますね。」

ランディに指差されたロイドが慌てている中クレハと共に苦笑しているフィーナの言葉に頷いたエイドスは異空間からクロウを呼び戻し

「!これは………」

「以前会った時と違って髪がまるで老人のようね……」

「……わたしと同じ”ロッジ”にいた子供達の中にもいました。クロウさんのように髪が老人のようになって最後は……」

「ティオ……」

「外道共が……」

変わり果てた姿のクロウを見たロイドは目を見開き、エリィは不安そうな表情をし、辛そうな表情で語るティオをキーアは心配そうな表情で見つめ、ランディは目を細めて呟いた。



「えっと……どのくらい前の状態に戻せばいいのかな?」

「クロウが”グノーシス”を投与する前だから……今から2――いえ、念の為に3日前の状態にお願いしたいのだけど……可能かしら?」

ミントの疑問を聞いたクロチルダは考え込みながら呟いた後ミントに問いかけた。

「うん。え~と、3日前だから72時間分戻すんだね。―――彼の者の時の流れよ、”真竜”の名の元に戻れ――――タイムリバース!!」

クロチルダの問いかけに頷いたミントが両手から神秘的な光を放つと白髪だったクロウの髪の色は元の銀髪に戻った。

「あ……!」

「クロウの髪の色が……!」

「元に戻りましたわ……!」

元に戻ったクロウを見て仲間達と共に血相を変えたアリサとエリオット、セレーネは明るい表情で声をあげ

「まるで”奇蹟”ですね……」

「フフ、まるでも何も人の時の流れを操るなんてどう考えても”奇蹟”よ。」

呆けた様子で呟いたエリスの言葉を聞いたエリゼは苦笑しながら答えた。



「それで肝心の寿命の問題の方は大丈夫なのでしょうか?」

「……ええ、心配しなくても大丈夫よ。さっき失った命の焔もちゃんと戻っているわ。これならクロウも人並みの寿命で生きられるわ。」

シャロンに視線を向けられたアイドスはクロウの状態を確かめて答え

「そうか……!」

「人の時の流れを自由自在に操る魔法……まさに”奇蹟”のような魔法ね……」

「というか普通に考えて”禁呪”扱いされるとんでもない魔法よ。それを代償や反動もなく、普通に使えるなんて正直彼女も”神”と言われてもおかしくないわよ。」

アイドスの答えを聞いたリィンは明るい表情をし、セリーヌは信じられない表情をしているエマと共に真剣な表情でミントを見つめ

「ん。……というかそっちの自称”ただの新妻”よりもよっぽど神様っぽい。」

「全くだな。そこのエセ女神も見習ってほしいものだな。」

「お、おい。エイドスさんは本物の女神なんだから、さすがにエセ女神は言いすぎだぞ。」

「フィーも言い過ぎだぞ。」

それぞれジト目でエイドスを見つめるフィーとユーシスの言葉を聞いたマキアスは冷や汗をかき、ラウラは真剣な表情で指摘した。



「……フフ、私のどこが”エセ女神”なのですか~~~~??私は”元”とは言え、”本物の女神”なのですが~~~??」

するとエイドスは膨大な威圧を纏って微笑み始め、それを見たその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「ハハ……エイドスの事だからてっきり笑って流すかと思っていたけど、一応気にしているみたいだね。」

「というか自分が”元本物の女神”って指摘もおかしすぎですよ……」

「ハア……普段から女神らしい所を見せていなかったのだから、そんな風に言われても仕方がないわよ。」

「そんな事で怒るくらいなら、普段からまともに”女神”らしい行動と言動をしろなの~!」

アドルは苦笑し、エレナとフィーナは疲れた表情で呟き、ノイはエイドスを睨んで指摘し

「ううっ、私達まであんなハチャメチャな人と同列扱いされないといいのだけど……」

「エイドスさんは僕達の先祖だから、本当にそうなる可能性もあるからね……」

クレハとナユタは疲れた表情で頭を抱え込んだ。



「ハハ……それにしても時間を操る魔術か。こうして直に見てわかったが、確かに彼女の力を絶対に公にする訳にはいかないね。」

「ええ……下手をすれば彼女の力を巡って戦争が起きるかもしれませんしね。」

「そのような事が起こらないようにする事がミント殿の後ろ盾となっている我々メンフィルの義務ですわね。」

リィン達の様子を微笑ましく見守った後真剣な表情になったパントの意見にルイーズは頷き、シグルーンは静かな表情でミントを見つめて呟いた。

「フフ、何処に行ってもエイドス様は相変わらずね…………」

「ああ。………………」

エリィの言葉に頷いたロイドは真剣な表情で考え込み

「ロイド?」

「何か気になる事があるの?」

ロイドの様子に気付いたエリィは首を傾げ、キーアは不思議そうな表情で尋ねた。



「ああ……ヨアヒムが消滅間際に叫んだ言葉が気になっていて、それが何なのかずっと考えていたんだ。」

「え……ヨアヒムが消滅間際に叫んだ言葉ですか?」

「確か……”このままで終わると思うな”と言っていたね。」

「もしかしてマリアベルのお嬢さんの時みたいに、死に際に”何か仕掛けた”と思っているのかい?」

ロイドの話を聞いたノエルは首を傾げ、ヨシュアは真剣な表情で考え込みながら呟き、ワジはロイドに尋ねた。

「ああ。その可能性が一番高いと思う。ヨアヒムは一部とは言え、”零の至宝”の力を持っていたんだ。”何か”仕掛けていてもおかしくないと思っている。」

「それは……」

「さすがに考えすぎじゃねぇのか?それよりもう終わった事だし――――――」

ロイドの推測を聞いたティオが真剣な表情をしている中、ランディが疲れた表情で否定した後提案仕掛けたその時、その場にいる全員はゾクリと今まで感じた事のない悪寒と共に凄まじい霊圧を感じた!



「な、何、今の……!?」

「一瞬今までとは比べ物にならない凄まじい”風”を感じたが……」

「エンド・オブ・ヴァ―ミリオン―――いえ、アレすらも比べものにならない霊圧でしたが……」

我に返ったアリサは不安そうな表情で周囲を見回し、ガイウスとリアンヌは真剣な表情で考え込み

「!まさか――――”封印”が解けたのですか!?」

エイドスは厳しい表情で声を上げた。するとリィン達の目の前に膨大な瘴気と共に黒い球体のような物が現れた! 
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