英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第84話
~ジュライロッジ・最奥~
「な―――――」
「……こ、こんな……」
「こ、これも魔人化なのですか……?」
「何という”風”だ……!?」
「”碧の大樹”で顕現したあの碧き存在程ではないけど、相当の力を秘めているわ……!」
「今までの”魔人化”とはけた違いです……!」
「あれ?でもあの姿……見覚えがあるような気が……」
「私も。というかあの姿って確か……」
変貌したヨアヒムを見たリィンは絶句し、エリスとセレーネは不安そうな表情をし、ガイウスとクレハ、エリゼは厳しい表情で声をあげ、ナユタの疑問に頷いたノイはキーアに視線を向け
「!!その”姿”は……!」
「ベルが死ぬ間際にキーアちゃんの力を暴走させた時に顕現した”碧の虚神”……!」
「………ッ……!」
「キーアちゃん……」
「ハッ、猿真似をしたところであのデカブツと同じ事ができる訳ねえだろうが!」
「”碧の虚神”の劣化コピーの姿になった所で”本物”と戦って勝利したわたし達に加えてリィンさん達もいる状況で勝てると本気で思っているのですか?」
一方見覚えがある姿にロイドとエリィは驚き、唇を噛みしめて辛そうな表情で俯くキーアをノエルは心配そうな表情で見つめ、ランディはヨアヒムを睨み、ティオは呆れた表情でヨアヒムを見つめていた。
クク……確カニきーあ様ト同ジ事ハデキナイガ、コノクライノ事ハデキル……
ヨアヒムの不気味な声が聞こえて来た後、オズボーン宰相の亡霊の傍にオズボーン宰相同様虚ろな目をしている眼鏡をかけている男性の亡霊が現れた。
「ま、また亡霊……?」
「フン、亡霊の一人や二人、増やした所で俺達にとっては大した問題ではない。」
新たな亡霊の登場にエリオットが不安そうな表情をしている中ユーシスは鼻を鳴らしたが
「あの方は……!」
「”教授”!?」
シャロンとクロチルダは血相を変え
「身喰らう蛇”蛇の使徒”――――第三柱”白面”ゲオルグ・ワイスマン……!」
ヨシュアは厳しい表情で声を上げた。
「何ですって!?」
「クロチルダさんやサンドロッド卿と同じ結社の……」
「彼がかの”白面”…………」
「確か”白面”はケビンに”狩られた”はずだけど……どうやら”白面”もこの世に未練を残して亡霊と化していたみたいだね。」
「し、しつこいわね~!”リベルアーク”で死んだ後”影の国”では”煉獄”で化けて出てケビンさん達にやられて、”碧の大樹”でも化けて出てあたし達にやられた癖に、また化けて出るとか何回やられたら懲りるのよ!?」
「アハハ……厳密に言えば”影の国”の”教授”もそうだけど”碧の大樹”で戦った”教授”は”本物の教授”じゃないから、ミント達が”本物の教授”と戦うのはこれで2回目だよ、ママ。」
「やれやれ……”煉獄”に続いてここでもまた会うとか、つくづく奴とは縁があるな……」
「ケビン……」
新たに現れた亡霊――――ワイスマンの正体を知ったサラ教官は血相を変え、ガイウスは真剣な表情になり、ルフィナは厳しい表情をし、真剣な表情になっているワジの推測を聞いてジト目になって呟いたエステルの言葉を聞いたミントは苦笑しながら指摘し、溜息を吐いた後冷徹な笑みを浮かべるケビンをリースは心配そうな表情で見つめ
「―――”白面”殿を貴方の戦力にしたところで、私達にとっては脅威ではありません。何をするつもりです?」
リアンヌは厳しい表情でヨアヒムに問いかけた。
ヒハハ……大イナル”D”ニ至レバコンナコトモデキルノサ……!
ヨアヒムの不気味な声が聞こえた後ヨアヒムは巨大な腕から不気味な真紅の光を放った。するとワイスマンの身体は変化して巨大な超越した存在へと変化した!
「なああああああああっ!?」
「て、”天使”……?」
「何て霊圧……!」
「上級―――いや、最上級天使と言っても過言ではない……!」
「彼は一体何をしたんだ……!?」
「光のようなものが発したようですが……」
変わり果てた姿のワイスマンを見たマキアスは驚き、エリスは不安そうな表情をし、エリゼとパントは厳しい表情をし、アドルは信じられない表情をし、ルイーズは考え込み
「……俺達の”記憶”を読み取ったのか。だが何故”空の至宝”―――”輝く環”を取りこんだ姿へと変化させる事ができた……?」
ある程度察しがついていたレーヴェは厳しい表情で考え込んでいた。
「……ロイド。フラン達が解析した”教団”の端末情報に目を通したロイド達なら、ヨアヒムがあんな事ができる理由もわかると思うよ。」
「え…………――――!!『グノーシスは、服用者の精神を”D”の御心に接続する為の薬』……『”D”は服用者の精神を統合することで知識を蓄え、成長する性質を持つ。いずれその知識が”叡智”に至ったとき、”D”は復活する』………―――自分自身をキーアの代用―――”依り代”にする事で仮初めの虚神となって、虚神が持つ”力”―――”因果の操作”の極一部を手に入れて、先程の”蛇の使徒”の因果を操作してあの姿に変化させたのか……!」
キーアに助言されたロイドはすぐにある事に気付いて自身の推測を口にし
「あ…………」
「チッ、そう言う事か!」
「ですが、ヨアヒムは”依り代”であったキーアとは違いますから、あの時戦った”虚神”程の脅威はないはずです。」
ロイドの推測を聞いたエリィは呆け、ランディは舌打ちをして厳しい表情をし、ティオは真剣な表情でヨアヒムを見つめた。
ハハハハ……!サスガハアノ忌々シイガイ・バニングスノ弟……!ダガ、僕ガ至ッタ”D”ノ力ハコレダケデハナイヨ……!?
その時ヨアヒムの不気味な笑いが聞こえた後、オズボーン宰相の背後に緋き”騎神”らしき存在が転移術によって現れた!
「に、人形兵器……?」
「レンさんの”パテル=マテル”とは全く異なる人形兵器みたいですが……」
「し、”神機”でもないですよね……?」
「そんな鉄屑を呼んだ所でエヴリーヌ達がすぐにぶっ壊してあげるよ、キャハッ♪」
「!!」
「あ、あの紅くて大きな存在ってまさか……!」
「”騎神”……!?」
緋き”騎神”らしき存在を見たフィーナとエレナは不思議そうな表情をし、ノエルは不安そうな表情をし、エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべ、リアンヌは目を見開き、アリサは不安そうな表情をし、フィーは厳しい表情をした。
「”緋い騎神”……―――!まさか!?」
「”緋の騎神”テスタ=ロッサ―――永きに渡り帝都に封印され、幾度も災厄をもたらした存在です……!」
「”千の武器を持つ魔人”とも伝えられているわ……!250年前、獅子心皇帝と槍の聖女に封じられたはずよ……!?」
「どうしてテスタ=ロッサがそこにあるのよ!?テスタ=ロッサはメンフィルの”グロリアス”の爆撃によってバルヘイム宮が瓦礫の山と化した事でバルヘイム宮地下の奥深くで眠っていたテスタ=ロッサも瓦礫によって封じ込められていたはずよ!?」
「何だって!?」
”緋の騎神”―――テスタ=ロッサの正体を察したエリゼは血相を変え、正体を知っていたエマとセリーヌ、クロチルダはそれぞれ信じられない表情で声をあげ、エマ達の話を聞いたリィンは驚き
「まさか……転移魔術でバルヘイム宮地下に埋まっていた”緋の騎神”を召喚したのでしょうか……?」
「だとしても、帝都の地下に封印されていたものをこの場に召喚するなんて、ありえないわ……!」
「―――ま、その辺は”真のグノーシス”とやらで手に入れた力のお蔭なんでしょうね。」
ツーヤの推測を聞いたプリネは信じられない表情で声をあげ、レンは冷静な様子で推測した。
「恐らくそうだろう。まさか神の力を一部とはいえ、手に入れるとは……」
「彼が手に入れた力の過程には多くの犠牲者達を”人体実験”に使った事によるものなのでしょうね……」
「その努力を世の為に使えば、世の中の人々から称される存在へとなったでしょうに……」
レンの推測に頷いたパントはルイーズと共に厳しい表情をし、シグルーンは呆れた表情でヨアヒムを見つめていた。
「あれ?でも確か”殲滅天使”が”緋の騎神”の”起動者”だけヴァリマール達と違って特殊みたいな事を言ってなかったっけ?」
「ああ。確か殿下達――――”アルノール家”の方々でないと動かせないという話だったな。」
「陛下達も皇太子殿下達もそなたに捕らわれておらず、万全の守りの中にいらっしゃる!”起動者”もいない”騎神”をどうやって動かすつもりだ!?」
一方ある事を思い出したミリアムの疑問にユーシスは頷いて答え、ラウラは厳しい表情でヨアヒムに問いかけた。
クク……ナケレバ作レバイイダケダジャナイカ……!
するとその時ヨアヒムは再び巨大な腕から怪しげな真紅の光をオズボーン宰相へと解き放ち、光に包まれたオズボーン宰相はテスタ=ロッサの核へと吸い込まれた!
「な――――」
「オ、オズボーン宰相が……!」
「吸い込まれた~!?」
それを見たリィンは絶句し、エリオットとミリアムは信じられない表情で声を上げた。するとテスタ=ロッサは起動し始めた後自身の姿を”紅き終焉の魔王”――――エンド・オブ・ヴァ―ミリオンへと変化した!
「ま、まさか……」
「”緋の騎神(テスタ=ロッサ)”を核に250年前にも現れた……」
「”緋き絶望”――――”紅き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァ―ミリオン)”!しかし何故”緋の騎神(テスタ=ロッサ)”の”起動者”としての資格もない”鉄血宰相”で起動が……」
「”鉄血宰相”を自身の力―――因果を操る力で”鉄血宰相”に”緋の騎神(テスタ=ロッサ)”の”起動者”としての資格を与える事で無理矢理起動させたのね……!何と愚かな事を……!」
エンド・オブ・ヴァ―ミリオンの顕現にエマは表情を青褪めさせ、セリーヌは厳しい表情をし、リアンヌの疑問を聞いてすぐに察したクロチルダは怒りの表情でヨアヒムを睨んだ。そしてエンド・オブ・ヴァ―ミリオンは咆哮を上げた。
~ジュライ特区~
一方その頃ジュライ特区内は紅いもやのようなものに包みこまれ、避難中の市民達が次々と倒れ始めた!
「うわああああ……っ!?」
「キャアアアア………っ!?」
「少佐!市民達が……!」
「落ち着け!まずは市民達をジュライ特区から離脱させる事を最優先に行え!」
次々と倒れる市民達を見て混乱している兵士達にナイトハルト少佐は指示を出していた。同じ頃市内で士官学院生や兵士達と戦闘をしていた魔煌兵や悪魔達は次々と崩れ落ちて消滅し始め、更に機甲兵も起動を停止して地面に跪いた。
「な、なんですの……!?」
「フェリスお嬢様、御下がりください!」
「これは……何かが吸い取られているのかしら……!?」
「クッ、こんなの剣じゃどうにもできやしねえぞ!」
「おい……!アンタなら、何とかできんだろう!?」
突然の出来事に士官学院生達が混乱している中トマス教官に背を預けて戦っていたマカロフ教官はトマス教官に尋ね
「そ、そう言われましても~と言いたい所ですが―――この紅き霊脈は霊気を奪うもの―――”気”を高めればある程度は凌げるはずです。」
尋ねられたトマス教官は答えを誤魔化しかけたがすぐに真剣な表情になって対策を答えた。
「そうか……!」
「なるほどな……!」
トマス教官の説明を聞いたナイトハルト少佐は目を見開き、マカロフ教官は納得し
「ならば―――腹の下―――丹田に力を込めるがいい!」
「ここが踏ん張り所だ!呑み込まれずに状況を見極めるぞ!」
「イエス・サー!」
アルゼイド子爵とカシウスは士官学院生達に視線を向けて指示をした。
「アイネス、エンネア!彼らより”気”が高い私達でフォローしますわよ!」
「ああ!」
「ええ!」
そしてデュバリィの指示にはアイネスとエンネアがそれぞれ力強く頷いた。
~カレイジャス・ブリッジ~
「あ、あれって……」
「……あ、緋い翼……?」
「くっ……機関最大!上空からジュライ特区各地の様子を確認して!」
「ああ……!」
「カレイジャス、機関全開―――!」
ジュライロッジ方面から顕現した緋の翼らしき存在に乗組員たちが呆けている中トワは冷静な様子で指示をし、トワの指示にアンゼリカやジョルジュが逸早く反応して動き始めた。
~アルセイユ・ブリッジ~
「な、何だあれは!?」
「それにジュライ特区内を覆っている紅いもやは一体……」
「まさか毒ガスの類か!?」
「――――まずは地上で救援活動を行っている正規軍に連絡!状況の把握が最優先だ!」
「イエス・マム!!」
カレイジャスと同じようにアルセイユの乗組員達も突然の出来事に驚いていたがユリア准佐の指示によって我に返ってそれぞれ動き始め
「皆さん……女神様、どうか彼らにご加護を……!」
(お兄様……エリスにリィンさん達も……どうかご無事で……)
ブリッジの中で状況を見ていたセドリック皇太子とアルフィン皇女はそれぞれ祈りを捧げた。
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