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第三幕その三

「危ないんだよね」
「うん、そうなんだよね」
「石があっても」
「お昼なら見えているからね」
 だからというのです。
「避けるかどけることが出来るけれど」
「夜は見えていないから」
「そのせいで医師につまづいたりするよね」
「同じ道でもね」
 それこそとです、カルロスは言いました。
「昼と夜で全然違うんだよね」
「だから夜はだね」
「歩くべきじゃないよ」
 決してというのです。
「だから夕方までにね」
「あの宮殿にだね」
「着く様にしないと」
「幸い皆歩くの速いから」
 恵梨香はこのことから言いました。
「少し速くしたら」
「それでだね」
「着くことが出来るかしら」
「夕方までにね、じゃあ」
 カルロスは恵梨香とのお話を終えてでした。
 そしてです、こう言いました。
「少しだけ急ごう」
「よし、それじゃあ」
「皆で少しだけ急ごうね」
 神宝とジョージの男の子二人が応えてでした、そして。
 そのうえで、です。ボタンもでした。
「僕も急ぐよ」
「じゃあ私もね」
「私もそうするわ」
 ナターシャと恵梨香も言ってでした、六人で。
 足を少し速くしてでした、宮殿に向かいました。宮殿は少しずつです。皆の目には大きく見えてきてでした。
 夕方のすっかりお空が赤くなった時にでした、皆は。
 宮殿は皆の前に来ました、そのうえで。
 カルロスは門の前まで来てです、皆に言いました。
「何とか着くことが出来たね」
「そうだね」
「何とか夜までに着くことが出来たね」
「何とかね」
「到着したわね」
「よかったよ」 
 このことに素直に喜ぶカルロスでした。
「夜までに着くことは出来て」
「それじゃあだね」
「うん、これから門を開けてもらおう」
「坊や達お客さんかい?」
 門の兵隊さんがカルロス達に声をかけてきました。
「王様への」
「実は僕達は」 
 カルロスは兵隊さんに自分達の事情をお話しました、そのうえで兵隊さんにこうも言いました。
「それで王様にもです」
「会いに来たんだね」
「はい、そうです」
「わかったよ、そういえばね」
「そういえば?」
「ここは南門だけれどね」
 宮殿のです。
「北門にもお客さん来ていたそうだね」
「あっ、そうなんですか」
「そうみたいだよ、話を聞いたところ」
「そうですか」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。 
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