英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第72話
~ジュライロッジ~
「やー、以外に早かったなぁ。」
「作戦効率も悪くない。」
リィン達が先へと進んでいくと聞き覚えのある二人の男性の声が聞こえて来た!
「で、出た……」
「あれ、あの二人って確か……」
「……やはりあの二人もいたか。」
声が聞こえた方向―――目の前にいるユミルで討ち取られた”西風の旅団”の猟兵―――ゼノとレオニダスを見たマキアスは不安そうな表情をし、エヴリーヌは目を丸くし、ラウラは表情を引き締め
「………ゼノ…………レオ………」
「…………フィー。」
辛そうな表情でゼノとレオニダスを見つめるフィーをリィンは心配そうな表情で見つめた。
「ゼノ、レオ。ユミルで討ち取られた”怪盗紳士”がいたからまさかとは思ったけど、やっぱり二人もいたね。」
「うふふ、もしかしてレン達に殺されたのが悔しくて化けて出たのかしら♪それとも未練があったのかしら♪」
フィーは真剣な表情で、レンはからかいの表情でそれぞれゼノとレオニダスを見つめた。
「いやいや、俺達は”猟兵”やから”戦場”で負けたら死ぬのは当たり前やし、フィーにも看取ってもらえたんやから、俺らに未練なんかあらへんで。」
「……だが、それでも俺達はこうして”亡霊”になってまでこの世に留まっている。恐らく心のどこかでは未練を残していたのであろうな。」
「…………そっか。」
「フィー……」
ゼノとレオニダスの答えを聞いて複雑そうな表情をしているフィーをリィンは心配そうな表情で見つめたが
「……大丈夫、わたしは二人の”死”は受け入れているから。」
フィーは静かな表情で答えた後前に出た。
「……団長が死んだ後ゼノ達がわたしを一人にして、サラにわたしを保護させた話を聞いた時からずっと思っていた。わたしは……今まで守ってもらうだけだった。故郷を失くして戦場でさ迷って、団長に拾われた時も……ゼノやレオ達に生き延びる術を教えてもらった時も……サラに拾われて士官学院に連れて来られた時も……―――でも、みんなと出会えてわたしは少しずつ変われたと思う。ただ、守られるだけじゃなく流されるだけでもなく―――仲間や家族を守るっていうことを本当の意味で知る事ができた。みんなと離れ離れになって……それでも力を合わせて色々なものを取り戻す事で。」
「フィー……」
(フフ、少し見ない内にとっても成長したわね……)
「……その気持ち、エヴリーヌも何となくわかる。」
ゼノ達に向けて言ったフィーの言葉を聞いたエーデルは微笑み、エヴリーヌは静かな表情で呟いた。
「わたしはもう、守られるだけの、流されるだけの子供じゃない。学院にしても、団にしても―――”大切なもの”を守るためならどこまでも強くなってみせる。」
ゼノ達に自分の気持ちを静かな表情で伝えたフィーは武器を静かに構え
「ただ報酬を掴み取るだけの猟兵としての流儀じゃなく……フィー・クラウゼル――――”わたし自身の流儀として”!」
「……よくぞ申した。」
そして決意の表情になってゼノ達を見つめ、ラウラは静かな様子を纏ってフィーを見つめて呟いた。
「はは、まったく……あのガリガリのチビスケがよくぞそこまで育ったもんや。この世に留まっていた甲斐はあったな。」
「これも団長の望み通り……―――いや、さすがに斜め上を行っていただろう。」
一方ゼノとレオはそれぞれ苦笑した後膨大な闘気を纏って武器を構えた!
「ッ……!」
「ひっ……」
「なんて闘気……」
「これが”西風の旅団”の部隊長の”本気”と言う訳ですか……」
二人の闘気に呑み込まれたエリスとセリーヌは息を呑み、サラ教官とシャロンは真剣な表情で呟いた。
「おっと、そうや……そっちにもとんでもない強さの”協力者”がおんねんから、このくらいの助っ人は許してや?」
リィン達を見つめて呟いたゼノが呟くとレオニダスは口笛を吹いた。するとその時真紅の巨大な幻獣――――ヴァ―ミリオンがゼノ達の背後から現れた!
「―――――――!!」
「”幻獣”!?しかも相当高位の幻獣よ………!」
「あの”幻獣”は確かクロスベルの湿地帯の”真の主”の……――何故本来クロスベルにいたはずの幻獣がこの場にいるのですか?」
ヴァ―ミリオンを見たクロチルダは驚き、リアンヌは目を細めてゼノ達に問いかけた。
「フフッ、大した事ではない。お前達が討とうとしている人物がわざわざ魔導でこの場に移動させただけの話だ。」
「!という事はヨアヒムがクロスベルにいた幻獣を転移魔術でここまで移動させたのか……!」
「またあの亡霊の仕業か……!」
「わざわざクロスベルに行って、そんな事をしていたなんて呆れを通り越してある意味感心するわねぇ。」
レオニダスの話を聞いたリィンは驚き、ユーシスは厳しい表情をし、レンは呆れた表情をしていた。
「―――クロチルダ殿。後方からの援護を頼みます。彼らは”西風の旅団”の猟兵達も相手をしなければならないのですが、あの幻獣相手に戦力をあまり割く訳にはいきません。」
「……わかったわ。ま、正直貴女に私の援護なんて必要ないと思うけどね。」
リアンヌの言葉に頷いたクロチルダは苦笑しながらリアンヌと共にヴァ―ミリオンと対峙した!
「おっと、言っておくけど俺らの助っ人はまだいるで?」
そしてゼノが呟いて指を鳴らすとゼノ達の背後から”帝国解放戦線”の幹部”V”――――ヴァルカンが現れた!
「あの男は……!」
「”帝国解放戦線”幹部”V”―――ヴァルカン!」
「やっぱり奴もここにいたのね……!って事は奴も部下の連中同様――――」
ヴァルカンの登場にラウラとリィンは厳しい表情で声をあげ、サラ教官がヴァルカンの行動を警戒していた。
「ウゥゥゥゥ………オオオオオオオ――――――――ッ!!」
するとヴァルカンは咆哮をあげた後全身に膨大な瘴気を纏った!
「あ、あれ……?さっき戦ったテロリスト達のように化物に変身しないぞ……?」
「どうやら魔人化する気配はなさそうですけど……手の抜ける相手ではありませんわね。」
ヴァルカンの様子を見たマキアスは戸惑い、シャロンは真剣な表情でヴァルカンを見つめながら呟き
「……………………」
リィンは目を伏せて”パンダグリュエル”で再会したヴァルカンの言葉をふと思い出していた。
クク、せいぜいゆっくり考えな。その上で、改めて敵同士になったら存分にやり合おうじゃねえか。―――今度は戦場でな。
「みんな、ヴァルカンの相手は俺がする!神気―――合一!!」
「―――私も手伝うわ、リィン君。私のように色んな薬物を投与されてあんな風になってしまったあの人を助ける為にも…………えいっ!!」
そしてリィンは”力”を解放した状態で自分から現れ、”力”を解放したエーデルと共にヴァルカンと対峙し
「ったく、二人とも無茶するんじゃないわよ!―――来なさい、バルディエル!」
二人の行動を見て呆れたサラ教官はバルディエルを召喚してリィン達と共にヴァルカンと対峙した!
「さてと……これで戦力は拮抗したやろ。フィー、オレらに証明してみせろや。守られていただけの雛鳥が自分の翼で羽ばたけるかどうかをな!」
「それ以外の者にも示してもらうぞ。”西風”が守りし鉄壁の要所―――越えられるだけの力があるかを!」
「望む所だ……!」
「戦闘開始――――全力で目標を撃破する!」
そしてレオニダスの言葉に対してラウラが答え、フィーは仲間達に号令をかけ
「おおっ……!」
仲間達は号令に力強く頷いた後ゼノ達との戦闘を開始した!
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