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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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第100話

~フェミリンス神殿~



「風の力よ!ウィンディング!!」

グラザとの戦闘を開始したリウイは魔法剣技で先制攻撃を仕掛けた!

「…………」

しかしグラザは片手で簡易結界を展開して防ぎ

「ハアッ!!」

闘気を込めた剣で斬撃を放った!

「!!」

攻撃に気づいたリウイは回避し

「まだだっ!!」

回避したリウイにグラザは闘気を込めた剣を薙ぎ払う事によって山をも容易に貫く広範囲の衝撃波を発生させて放つクラフト―――オメガブラッシュを放った!

「フッ!」

自分に襲い掛かる衝撃波を見たリウイはオーブメントを駆動させた後、跳躍して回避した。そして回避された衝撃波は結界にぶつかると轟音を立て、さらに一瞬だけ強烈な揺れを起こした!

「出でよ!烈輝の陣!レイ=ルーン!!」

「セアッ!!」

さらにグラザは魔術―――レイ=ルーンを空中にいるリウイに放ち、自分に襲い掛かる純粋のエネルギーをリウイは闘気や魔力を込めた剣で真っ二つにして霧散させ

「ラストディザスター!!」

地面に着地すると同時に高火力のアーツを放ち、グラザに走って向かった!

「甘い!」

自分に襲い掛かる高威力が込められたエネルギーをグラザは魔力を込めた剣を一振りして薙ぎ払い

「フェヒテンアルザ!!」

「その程度!!」

アーツを放った後走って近づき、放ったリウイのクラフトに対し、グラザも同じクラフトを放って相殺し

「ハアッ!!」

「フッ!!」

洗練された連続攻撃から連携して放ったリウイのクラフト―――フェヒテンケニヒに対し、グラザはまたもや同じクラフト―――フェヒテンケニヒを放って相殺した!2人の強烈な一撃が相殺された時、2人の周囲にすざましい衝撃波が起こった!



「オォォォォォ………!!」

そしてグラザは剣にすざましい闘気を込めて激しい連撃を放ち

「ハァァァァァ………!!」

対するリウイも細剣にすざましい闘気を込めて激しい連撃を放って、グラザの放つ連撃を一撃、一撃、自分達の周囲に衝撃波を発生させながら捌いていた。

「燃え尽きろ!フレインバル!!」

連撃の最中、リウイは一端下がって魔法剣技を放った。

「効かん!!」

しかしグラザは膨大な魔力が込められた剣を一振りして炎を消すと共に、リウイに放ち

「!?」

グラザが放った一撃を細剣で受け止めたリウイはグラザが放つ一撃の威力があまりにもありすぎた為、身体ごと吹っ飛ばされた!

「無数の流星よ………降り注げ!!」

リウイと距離を離したグラザは空気を震わせるほどの魔力を片手に込めて、天へと上げた。するとグラザの頭上の空間が歪み、無数の隕石がリウイに襲い掛かった!

「…………!ハアッ!」

自分に襲い掛かる隕石達を見たリウイは隕石をオーブメントを駆動させた後次々と回避し、時には闘気や魔力を込めた武器を振るって隕石を真っ二つにして攻撃を防ぎ

「そこだ!サンダーシクリオン!!」

隕石達を全て防ぎきった後、アーツを放った。するとグラザの周りに竜巻と雷が発生し、風の刃と雷がグラザを襲った!

「………………」

リウイが放ったアーツをその身に受け、傷ついていくグラザだったが表情を歪める事なく、力を溜めながら剣を構えていた。

「……………」

一方リウイは細剣に地属性を宿らせて再びグラザに向かい

「メーテアルザ!!」

魔法剣技を放った!

「フン!!」

しかしグラザは剣を振るって自分の周囲に発生していた竜巻と雷を霧散させると共に、リウイの細剣に命中させ、リウイを吹っ飛ばした!

「何!?……グッ!?」

自分の攻撃が防がれ、さらに吹っ飛ばされた事にリウイが驚いた瞬間、リウイは壁にぶつかってしまい呻いた。

「イオ=ルーン!!」

その隙を逃さないかのようにグラザは魔術を放ち

「!!」

自分の周囲の空間が歪み始めた事に気づいたリウイはすぐに前に跳躍した。するとリウイがいた場所に辺りを響き渡らせるほどの轟音と共に大爆発が起こった!

「フ………ハハ………これが父上の本気か。エヴリーヌやディアーネの序列の上を行っているだけはある…………」

自分の背後に一瞬視線を向け、グラザの魔力のすざましさを見た後、先程のグラザの反撃を思い出したリウイは不敵な笑みを浮かべて呟き

「それでこそ、父上………!」

再びグラザに向かって、攻撃を再開した。2人の攻防は一進一退で互いに傷ついていたが決定打に欠け、双方傷ついてはいたが、余力を残しており、互いの次の攻撃を警戒していた。



「………やはり………か。剣や戦の腕は成長したが………肝心な所が成長していないな………」

リウイと距離を取り、次の攻撃を警戒していたグラザは一瞬両目を伏せた後、静かな表情でリウイを見つめて呟き

「何………?一体それはどういう意味ですか、父上。」

グラザの言葉を聞いたリウイは眉を顰めた後、真剣な表情でグラザを見つめて言ったが

「今、気づかせてやろう。オォォォォォォ…………!!」

グラザは明確な答えは言わず、全身に膨大な闘気や魔力を溜め始め

「!!オオオオオォ…………ッ!!」

グラザの行動を見たリウイも全身に膨大な闘気や魔力を溜め始めた。すると2人の周囲の空間が揺るぎ、さらに神殿内が大きく揺れた!

「わわっ!?」

「!?な、なんちゅう力や………!」

2人によって引き起こされた強い揺れにエステルは驚き、ケビンは2人がさらけ出す威圧に信じられない表情をし

「フフ………面白くなって来たわね!」

「ええ………グラザ様とリウイ様の真の力がぶつかり合う瞬間をこの目で見る事になるとはね………」

カーリアンとファーミシルスは不敵な笑みを浮かべ

「………凄い力だな………アスモデウスと対峙した時の事を思い出すよ………」

「………半分とはいえ、さすがは”魔神”の力を受け継いでいるだけはありますね………」

「あれが”闇王”に秘められる力………」

ウィルとセラウィは真剣な表情で2人を見つめ、エリザスレインは目を細めてリウイを見つめ

「あなた…………」

「リウイ様………」

イリーナは心配そうな表情でリウイを見つめ、ペテレーネは強く祈った。そして力を溜め終わった2人は同時に武器を振るって溜めた力を解き放った!

「「我が魔の力に呑まれよ!……魔血の目覚め!!」」

2人の放った魔の力が籠った衝撃波の津波はぶつかり合ったが、グラザが放った衝撃波が徐々に圧して行き、ついにリウイが放った衝撃波を呑みこんでリウイを襲った!

「グッ!………カハッ!?」

衝撃波に呑みこまれたリウイは大ダメージを受けると共に吹っ飛ばされ、壁にぶつかってしまい、呻いた後一瞬地面に跪きそうになったが

「ハア、ハア………まだ………だっ………!」

身体を震わせながら態勢を立て直し、武器を構え直した。



「………まだ気づかないか、リウイ。」

「………ッ……!…………………一体何に気づけというのですか、父上!」

自分を静かに見つめて問いかけるグラザにリウイは全身に伝わって来る痛みに顔を顰めた後、叫び

「………お前は誰の息子だ、リウイ!何故、その事に気づかない!?」

リウイの叫びに返すようにグラザは真剣な表情でリウイを見つめて叫んだ。

「何を今更な事を………俺は貴方と母さんの……………!!そういう事………か。」

グラザの言葉を聞いたリウイは戸惑った表情をしたが、ある事に気づいて驚き

「――――我が深淵に眠りし光と闇の力よ………今こそ目覚めろっ!オォォォォ――――――――――ッ!!」

武器を構え直し、両目を閉じて静かに呟いた後、雄たけびを上げた!するとリウイの全身から膨大な闘気や魔力、そして”神気”がさらけ出し始めた!

「えっ!?まさかこの霊圧は………”神気”!!」

「なっ……何故魔の者があれほどの”神気”を出せるのよ!?」

リウイがさらけ出し始めた神気を感じたセラウィとエリザスレインは驚き

「そ、そんな………!この”力”は………”フェミリンス”の力………!」

自分にとって覚えがある”神気”を感じたエクリアは信じられない表情をし

「!そういう事か!リウイは”魔神”と”姫神”の力………両方の力を解放したのじゃ!」

「あ………!」

「うふふ。魔神と神の力を両方とも扱えるなんて、さすがパパね♪」

「………リウイお兄ちゃんが強くなるのはいいんだけど、フェミリンスの力なのがちょっと複雑………」

「あなた………!」

リウイの状態――――内に秘められし真の力である”魔神”と”姫神”の力を全て解放した事に気づいたリフィアは叫び、リフィアの言葉を聞いたプリネは声を上げ、レンは口元に笑みを浮かべ、エヴリーヌは複雑そうな表情でリウイを見つめ、イリーナは明るい表情になってリウイを見つめた。



「今こそ貴方を超えさせてもらう、父上っ!ハァァァァァァ………!!」

内に秘められし”魔神”と”姫神”の力を解放するクラフト――――神魔覚醒を習得すると共にその身に膨大な魔の力と神の力を宿らせたリウイは、武器を構え直して全身に膨大な闘気、魔力、神気を溜め始め

「フフ、ようやく気付いたか。オォォォォォォ…………!!」

グラザは口元に笑みを浮かべた後、再び全身に膨大な闘気や魔力を溜め始めた。そしてそれぞれの力を溜め終わった2人は同時に解き放った!

「お前の真の力を私に見せてみろ、リウイ!!」

グラザはSクラフト―――魔血の目覚めによる魔の力が籠った衝撃波の津波を放ち

「我に秘められし真の力………全てを呑みこめっ!神魔の目覚め!!」

リウイは自身の核から光と闇の力を極限まで解放し、膨大な闘気と共に解き放つ究極の奥義――――神魔の目覚めによって発生した神と魔の力が籠った衝撃波の津波を放った!するとリウイが放った衝撃波はグラザが放った衝撃波を一瞬で呑みこみ、グラザを襲った!

「それでいい………」

自分に襲い掛かる衝撃波の津波をグラザは満足げな笑みを浮かべながらその身に受け、そして地面に倒れた!



すると2人を閉じ込めるように展開されていた結界は解けた!


「結界が解けた………という事は………!」

「か、勝ったんだ!」

結界が消えて行く事を確認したケビンは信じられない表情をした後、明るい表情をしたエステルと共にリウイに視線を向け

「あなた………!」

イリーナは優しい微笑みを浮かべた後、仲間達と共にリウイに駆け寄った。

「………成長したな、リウイ………あの泣き虫だった男の子がよくぞ、ここまで立派になったものだ………」

一方地面に倒れていたグラザは立ち上がって、口元に笑みを浮かべてリウイを見つめ

「………俺一人ではここに来るまで生きて来こられなかった………今まで俺を支え続けた仲間達のお蔭です、父上………」

グラザに見つめられたリウイは自分に駆け寄った仲間達を見回して、口元に笑みを浮かべて言った。

「そうか………フッ。その中には顔見知りの者達もいるようだな………」

リウイの言葉を聞いたグラザは仲間達を見回して、口元に笑みを浮かべ

「久しいな、ファーミシルス、カーリアン。」

ファーミシルスとカーリアンに話しかけた。

「お久しぶりでございます…………それにしても先程の戦い………さすがはグラザ様でしたわ………お見事な戦いです。」

「お久しぶりです、グラザ様♪フフ………まさかこんな形で見る事になるとは思わなかったわ………グラザ様の本気を♪」

「フフ………リウイにどこか甘い所があるカーリアンはともかく、お前がリウイを支えてくれるとは思わなかったぞ、ファーミシルス。」

会釈をしたファーミシルスとウインクをしたカーリアンにグラザは苦笑し

「ア、アハハ………見抜かれちゃってたか………」

「フフ……私はリウイ様が持つ”器”が誇り高き”飛天魔”である私が仕えるべき方と気づいただけの事です。」

グラザの言葉を聞いたカーリアンは苦笑し、ファーミシルスは口元に笑みを浮かべたが

「よく言うわよ。最初は敵だった癖に。」

「フン。孤立して戦っていた所を助けてもらう者より力を示し、仲間になる者の方が力量や信頼の差は明らかよ。」

「なんですって~?」

いつものようにカーリアンと睨みあった。

「やれやれ………そういう所も相変わらずだな………」

「2人ともこんな時まで喧嘩はやめろ………」

2人の様子を見たグラザとリウイは呆れた様子で溜息を吐いた。

「………まあいい。これからもリウイの事を頼む。」

「ハッ!」

「フフ、任せて下さい♪」

グラザの言葉を聞いたファーミシルスは会釈をし、カーリアンは微笑んだ。そしてグラザは次にペテレーネに視線を向けた。



「ペテレーネ。お前と話すのも久しいな。どうやら隠していた顔をリウイ達の前にさらけ出すほど成長したようだな………」

「………はい。これも全て優しいリウイ様のお蔭です………」

懐かしそうな表情で話しかけたグラザにペテレーネは会釈をし、微笑んだ。

「そうか………”神格者”に到ってまでリウイを支え続けている事………感謝する。それに………成長して綺麗になったな。死んだお前の両親やプリゾアもお前を誇っているだろう。」

「………はい。ありがとうございます………グラザ様。」

「………これからも息子の事を頼む。」

「お任せを。私の一生の全てはリウイ様の為にあるのですから。」

グラザの言葉を聞いたペテレーネは会釈をし、優しい微笑みを浮かべた。

「グラザお兄ちゃん♪」

ペテレーネとの会話が終わるとエヴリーヌは微笑みながらグラザに話しかけた。

「エヴリーヌか。久しいな。………封印される前のお前と比べると随分見違えたな。」

エヴリーヌに話しかけられたグラザは微笑んだ後、エヴリーヌの頭をなでた。

「えへへ………そうだよ。エヴリーヌ、リウイお兄ちゃんの国に来てからいっぱい成長したんだよ♪今はディアーネやカファルーと一緒にリウイお兄ちゃんに力を貸しているんだ♪」

「ほう?まさかあの2柱がリウイに力を貸すとはな………」

「疑うのなら証拠を見せてあげるよ。リフィア、エステル。」

自分の言葉に驚いている様子のグラザに言ったエヴリーヌはリフィアとエステルに視線を向け

「うむ。出でよ、我が下僕!!」

「了~解!カファルー!!」

視線を向けられた2人はそれぞれ召喚した。

「貴様はいつも一言多いと言っているだろうが!?」

「………………」

召喚されたディアーネはリフィアを睨み、カファルーは静かな様子を纏ってグラザを見つめた。

「ディアーネ、カファルー。まさかお前達もリウイに力を貸しているとはな。お前達も変わったな。」

「フン!我は貴様の息子達に敗北し、従っているだけの事。ただ、それだけの事だ!」

グラザの言葉を聞いたディアーネはリウイとリフィアに忌々しそうに視線を向けた後、グラザを睨み

「グオ。」

カファルーはエステルに視線を向けた後、グラザに視線を向けた。

「フッ、そうか。………3柱とも力を貸す理由は違えど、達者に生きて行く事を願っている………」

「うん!ありがとう、グラザお兄ちゃん♪」

「フン!貴様に願われなくても、我は常に誇り高き”魔神”として生きて行く!」

「グオッ!」

そしてグラザの言葉を聞いたエヴリーヌは微笑み、ディアーネは鼻を鳴らしてグラザを睨み、カファルーは力強く頷いた。



「……また、お会いする事ができましたね、グラザ様。」

エヴリーヌ達が会話を終えるとラピスが静かに前に出て会釈をし、優しい微笑みを浮かべた。

「久しいな、ラピス姫………まさか互いが死人となって、再会する事になるとはな………私が逝ってから、セルノはどうなった?」

「はい。リウイ陛下のお蔭で長年争い続けたバルジアとの諍いは終わり、今はバルジアとセルノの民はかつてと同じように共になって生きています。そして私も………グラザ様のご子息―――リウイ陛下と結ばれ、幸せに逝く事ができました………」

グラザに微笑まれたラピスは静かな表情で答えた後、優しい微笑みを浮かべてリウイに視線を向けた後、グラザに視線を向け直した。

「そうか………貴女が新たに生を受けたそちらの娘とセルノの民達の幸せであることを心から願っている………」

「ありがとうございます、グラザ様。私もグラザ様の新たな生に幸せがある事を心から祈っています………」

グラザの言葉に頷いたラピスは会釈をした後、優しい微笑みを浮かべ、下がった。

「………グラザ様………」

ラピスが下がるとマーリオンが自分からリウイの身体から出てきて、グラザを見つめ

「お前は………マーリオンか。長年リウイを支え続けている事………感謝する。」

「私は………その為に………グラザ様に生み出され………生きています………それが………私の………役目………ですし………ご主人様の………幸せは………私にとっての………幸せに………なります………」

「そうか………ならば今から与えるこの力はリウイとお前の幸せの為に使ってくれ。」

マーリオンの答えに頷いたグラザは魔力を込めた片手をマーリオンにかざした。

「この………力………は………」

するとグラザの魔力を受け取ったマーリオンは光の中に包まれた!

「な、なんや!?一体何が起こるんや??」

「あれ?この光ってパズモ達が”昇格”した時の!じゃあ、マーリオンは………!」

マーリオンの様子を見たケビンは戸惑い、マーリオンの様子を見てある事を思い出したエステルは驚きの表情で見つめた。すると光は消えるとそこには少女だった姿を頭にヴェールが付いた花飾りをつけ、片手には魔力を放つ青い宝玉が収まった杖を持ち、そして澄んだ青い瞳と同じ髪を腰まで下ろし、美しくなびかせる女性になったマーリオンが現れた!

「あ、あれ?水那と同じ精霊が”昇格”するのだったら、”レニア・ヌイ”か”ラクス・レニア”だと思ったけど、違うようだね………?」

「あの精霊はまさか………最上位水精、”モリガン・モルガナ”………!」

「まさか途中の段階を飛ばして、最上位にするなんて………さすがは”魔神”の力といった所かしら。」

”昇格”した姿のマーリオン――――最上位水精、”モリガン・モルガナ”種へと姿を変えたマーリオンを見たウィルは戸惑い、セラウィとエリザスレインは驚きの表情でマーリオンを見つめた。

「私なんかが………これほどの力を……手に入れられる………なんて………グラザ様………ありがとう………ございます………」

「その力はリウイ達とお前の幸せの為に使うがいい。」

「はい………ご主人様………これからも………よろしく……お願い………します………」

グラザの言葉を聞いたマーリオンは頷いた後、リウイに振り向いて微笑み

「………ああ。今後の活躍を期待しているぞ。」

微笑まれたリウイは口元に笑みを浮かべて頷いた。



「イリーナ。」

「はい、あなた。」

そしてリウイはイリーナに視線を向け、視線を向けられたイリーナはリウイの隣に来た。

「父上。遅くなったが紹介する。俺の妻のイリーナだ。」

「………カルッシャ第一王妃リメルダ・テシュオスの三女、イリーナ・マーシルンと申します。初めまして、お養父様。」

リウイの言葉に続くようにイリーナは会釈をして、優しい微笑みを浮かべた。

「”姫神”の『呪い継ぎゆかぬ系譜の娘』か………なるほど。アリアの面影がわずかだが残っているな………しかし、親子そろって『呪い継ぎゆかぬ系譜の娘』を妻にするとは………これも血筋か。」

イリーナを見たグラザは考え込んだ後、苦笑した。

「………これからも息子の事を頼む、イリーナ姫。」

表情を戻したグラザは真剣な表情でイリーナを見つめて頭を下げ

「はい。この命続く限り、夫リウイを支え続けます。」

イリーナは頷き、微笑んだ。

「さて。余達も行くぞ、プリネ、レン。」

「はい、リフィアお姉様。」

「はーい。」

そして最後にリフィアとプリネ、レンが前に出てそれぞれグラザに会釈をし

「余の名はリフィア!リフィア・イリーナ・マーシルン!貴方のご子息リウイとカーリアン、そしてマーズテリアの聖騎士シルフィア様の孫です、グラザ様!」

「リウイとペテレーネの長女、プリネと申します。このような形とはいえ、貴方と出会えて光栄です、グラザ様。」

「うふふ。リウイとペテレーネの次女、レンと申します。レンは2人の養子ですが本当の娘のように可愛がってもらっています♪よろしくお願いします、グラザお祖父様♪」

「フフ………リウイは私と違って、子宝に恵まれているようだな。リウイ、他の女性達を大切にするのもいいがお前が最も愛する女性を優先して大切にするのだぞ。………決して私とアリアのようになるな。」

リフィア達を見回したグラザは微笑んだ後、リウイを真剣な表情で見つめ

「………はい、父上。」

「どんな事があろうと、決してリウイの傍を離れるつもりはありませんので、ご安心下さい、お養父様。」

グラザの言葉を聞いたリウイは重々しく頷き、イリーナは優しい微笑みを浮かべた。



「さて………別れの時が近づいているようだな………」

光を放ち始めた自分の身体を見たグラザは静かな表情でリウイを見つめ

「………父上。最後に教えて頂きたい。何故、貴方は本気を出す事なく、ガーランドに討ち取られたのです?」

見つめられたリウイは真剣な表情でグラザを見つめて尋ねた。

「………確かに私が本気を出せば退ける事もできただろう………だが………そこで………迷宮内のお前が見ている傍で私が本気を出せばどうなっていた?」

「あ………」

「………そっか。グラザ様が本気なんか出しちゃったら、迷宮は間違いなく崩落して、リウイは崩落に巻き込まれるわね………」

グラザの答えを聞いたペテレーネはある事を察してリウイに視線を向け、カーリアンは複雑そうな表情で呟き

「………俺を守る為に………貴方も母さんと同じ道を歩んだのですか、父上………!」

グラザの真実を知ったリウイは辛そうな表情でグラザを見つめ、叫んだ。

「………そんな顔をするな。自分の子の為に命を懸けても守る事は種族が違えど、皆同じであろう……………お前を守る為に死ぬのであれば、私の本望であった………」

そして辛そうな表情のリウイにグラザは微笑んだ。

「………父上………」

「………”闇夜の眷属”達の未来はお前に託す、リウイ。」

「………はい………!安らかにお眠りください、父上………!」

グラザの言葉を聞いたリウイは決意の表情でグラザを見つめた。

「ああ………そしてこれはイリーナ姫。リウイの妻となった貴女へのリウイの親としてできる私とアリアの餞別だ………」

リウイの言葉に頷いたグラザは両手を天へとかざした。するとイリーナの目の前に膨大な魔力が籠った光の球体が現れ

「なっ!?………まさかそれは父上の”神核”………!」

「”魔神”が人間に自分の”神核”を与えるなんて………!」

光の球体を見たリウイは驚き、エリザスレインは信じられない表情でグラザを見つめた。

「………本当に頂いてもよろしいのですか?」

一方自分の目の前にある球体を驚きの表情で見つめたイリーナはグラザに視線を変えて尋ね

「ああ………その代わり、寿命がないリウイを永遠に支え続けてほしい………”人間”の貴女にリウイを永遠に支え続ける事は不可能だろうしな………それにこの身は”想念”によって創られた存在。どうせ消える運命ならば息子の為に何か力になってやるのが親の努め。」

「父上………感謝致します。」

「………わかりました………ありがたく受け取らせて頂きます。永遠にリウイを愛し、支え続ける事を今ここで約束いたします。ですからどうか安らかにお眠り下さい、お養父様………」

グラザの答えを聞いたリウイは頷き、イリーナは頷いて微笑んだ後、目の前にある”神核”を両手で包み込み、自分の身体に押し当てた。すると”神核”はイリーナの身体と同化し、イリーナの身体を決して老いず、永遠の命の身体―――”神格者”の身体へと変えると共に膨大な魔力を宿らせた!



「さらばだ、我が息子達よ………」

そしてグラザは満足げな笑みを浮かべ、光と共に消滅し、消滅する瞬間グラザの隣にイリーナやエクリアの容姿によく似た女性が一瞬現れてリウイとイリーナに微笑んだ後、グラザと共に消滅した!

「あなた………今の女性はもしかして………」

2人が消滅した後、イリーナはリウイに視線を向け

「………ああ………俺の母………アリア・フェミリンス・マーシルンだ………」

リウイは驚きの表情で2人が消滅した場所を見つめて呟いた。

「イ、イリーナ様。本当に貴女も”神格者”に到ったのですか……?」

その時、驚きの表情のペテレーネが遠慮気味にイリーナに尋ね

「ええ………まさかこんな形で”神格者”に到れるとは思わなかったわ………フフ、好きな人と早く結婚したいプリネにはちょっと申し訳ないわね………」

尋ねられたイリーナは微笑んだ後、プリネに視線を向け

「そんな………どうか私の事はお気遣いなく。レーヴェもいつか必ず”神格位”に到ると信じていますから。」

「うんうん!結婚式には必ずあたし達を呼んでね、プリネ!」

視線を向けられたプリネは微笑んだ後、レーヴェに視線を向け、エステルは頷いた後プリネに微笑み

「やれやれ………そんな簡単に到れるものではないのだがな……………だが………必ずヨシュア達が生きている内に到ってみせるから、待っててくれ。」

プリネとエステルの言葉を聞いたレーヴェは苦笑した後、プリネに微笑み

「フン!そんなの絶対無理だね!」

エヴリーヌは鼻を鳴らした後レーヴェを睨み

「やれやれ。少しは応援してやってもいいだろうに………」

「クスクス。女の嫉妬は怖いから仕方ないわよ、リフィアお姉様♪」

エヴリーヌの態度にリフィアは呆れてため息を吐き、レンは口元に笑みを浮かべていた。



「………イリーナ、おめでとう………リウイ様と永遠に幸せに生きて行く事……離れていてもずっと願っているわ………」

その時エクリアはイリーナに近づき、微笑んだ。

「はい。でも、たまにはメンフィルを訪ねて顔を見せて下さいね、姉様。リウイや私達と姉様は”家族”なのですから。」

「それは………」

自分の言葉を聞いて嬉しそうな表情で頷いて言ったイリーナの言葉を聞いたエクリアは辛そうな表情でリウイに視線を向けたその時

「……………………そうだな………繋がり続ける”家族”の”絆”を再確認する事は”家族”を失った俺達には必要だろうしな………」

両目を伏して考え込んでいたリウイは両目を見開いて静かな表情でエクリアを見つめて予想外な言葉を言った。

「え………」

「あなた………!」

「わあ……!じゃあエクリアさんの事、許すのよね、リウイ!?」

リウイの言葉を聞いたエクリアは呆け、イリーナは嬉しそうな表情をし、エステルは嬉しそうな表情をした後、リウイに尋ねた。

「………ああ………”姫将軍”は充分自分の罪と向き合い、自らを犠牲にしてまで自分を恨み続ける俺を何度も守った………もう、充分だ。…………今ここにいるのはイリーナの”姉”―――”エクリア”だ。………だからもう罪を償う事を考えなくていい……エクリア。」

エステルに尋ねられたリウイは静かな表情でエクリアを見つめて言った後、微笑んだ。

「リ………ウ………イ……様………う…………うっ………うあああああああ………………!」

「よかった………これで………ようやく3人で笑い合えますね、姉様………」

そしてリウイに微笑まれたエクリアは涙を流して大声で泣き始め、泣いているエクリアにイリーナは優しく抱きしめた。

「よかった……本当によかった………イーリュンよ………感謝いたします………」

リウイ達の様子を見守っていたティナは嬉しさによって出て来た涙をぬぐって祈った。



その後探索を再開したリウイ達はついに”フェミリンス神殿”の最奥に到着し、最奥に到着するとイリーナやエクリアと同じ金の瞳と腰までなびかせる美しい金色の髪を持ち、さらに全身から膨大な魔力や神気をさらけ出し、性別を問わず、誰もが振り向くような美しい容姿を持つ女性が待ち構えていた…………!









 
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