歌集「春雪花」
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
237
月影の
見えぬ闇夜の
鳥の音の
侘しく響く
初夏の風かな
外を見れば暗い闇夜…月明かりもなく、外へ出て眺めても山波さえ全く見えない…。
そんな闇に紛れ、何処からか鳥の鳴き声が響いてくる…。
連れ合いを求めているのか…どこか寂しげに聞こえるその鳴き声は、初夏の風に乗って…どこまでも響いているように思えた…。
私の心のように…寂しさに堪えられないと、鳴いているようにさえ思えた…。
見渡せど
花も紅葉も
なかりせば
歩みし道も
虚しけるかな
ふと見渡した時、桜も紅葉もないような風景ならば…きっと歩むことさえ嫌になってしまうだろう…。
私の人生…それこそ、桜も紅葉も何もない…ただただ歩くだけの細々とした道があるだけ…。
何とも虚しいものだ…。
ページ上へ戻る