英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第59話
~オーロックス峡谷~
「………………」
「―――――」
貴族連合の兵士達や小型の人形兵器達は次々と銃撃を放ってリィン達を攻撃し
「エマ、また防ぐわよ!」
「わかっているわ、姉さん!」
クロチルダとエマはそれぞれ協力して仲間達全員を覆うドーム型の結界を展開して銃撃を防いだ。
「総員、反撃開始!そこッ!!」
「イエス・マム!!」
クレア大尉や鉄道憲兵隊は銃やライフルで怒涛の銃撃で反撃して兵士達や人形兵器達を怯ませ
「お返しよ!―――メルトストーム!!」
「キャハッ♪逃げられるものなら逃げてみればぁ!?」
「石化弾―――発射!!」
「悪魔の矢をたっぷりと受けなさい!」
クレア大尉達に続くようにアリサやエヴリーヌ、マキアスとエンネアはそれぞれ広範囲のクラフトを放ち、遠距離専用武器を持つ生徒達も続くように広範囲のクラフトを放って追撃した。
「怯んだぞ!一気に攻めろ!二の型―――疾風!!」
「秘技―――裏疾風!―――斬!!」
「聖なる光よ、我が剣に力を―――エクステンケニヒ!!」
「十六夜―――”斬”!!」
「竜巻よ―――薙ぎ払え!!」
「ガーちゃん、ハンマー!!」
「消えろ!デッドトライアングル!!」
「逃さぬ―――洸閃牙!!」
「せーの……―――これで止めッ!!」
「喰らえ―――地雷撃!!」
「うふふ、避けられるものなら避けてみなさい♪―――旋風大魔刃!!」
仲間達の攻撃によって敵による銃撃の嵐が止むと近距離攻撃を得意とするリィン達は広範囲のクラフトで次々と多くの敵を沈め
「常世に響け―――ノクターンベル!!アークス駆動―――グランシュトローム!!」
「氷の槍よ、全てを貫け!―――フリーズランサー!!アークス駆動―――サウザントノヴァ!!」
「聖なる水よ……奔流となり、我が仇名す者達に裁きを!――――リ・カルナシオン!!アークス駆動―――アルテアカノン!!」
「漆黒の闇よ……全てを飲みこめ!―――ティルワンの闇界!!アークス駆動―――シャドーアポクリフ!!」
仲間達が攻撃している間に詠唱や駆動時間を終えたエリオットとエマ、そしてセレーネとエリスを始めとしたアーツや魔術を得意とする学生達が高火力かつ広範囲のアーツや魔術で止めを刺した。
「久々に行くわよ……っ!ハァァァァァッ!!ハッ!セイッ!ハァァァァァッ!!ノーザン――――イクシードッ!!」
「燃え盛る業火であろうと砕き散らすのみ…………はぁぁぁぁぁぁぁ、滅!!」
「これで終わりですわ!オォォォォォ……!プリズム―――キャリバー―――――ッ!!」
「”死線”の奥義、とくとご覧あれー―――ハッ!失礼――――ですが、もう逃げられませんわ!秘技――――死縛葬送!!」
「”蒼の深淵”の真髄、見せてあげるわ――――氷霧に彷徨え!紅き業火に悔悟せよ!我が霊力の前にひれ伏しなさい――――氷炎地獄!!」
一部を除いた多くの学生達が手間取る相手である大型の軍用魔獣や人形兵器にはサラ教官やレーヴェ、そしてデュバリィとシャロン、クロチルダが大技で次々と沈めていた!
「ハァ、ハァ……何とか退けられたわね……!」
「さすがにボク達もヤバくなってきたね~……!」
「これ程の連戦は初めてだからな……」
連戦続きで蓄積した疲労によってフェリスを始めとした士官学院生達どころか激戦を潜り抜けた”Ⅶ組”も疲れを見せ始め
「―――前衛は我々が受け持ちます!皆さんは一端後方に下がって私達が撃ち漏らした敵の無力化をお願いします!総員、速やかに――――」
疲労している士官学院生達の様子を見たクレア大尉が鉄道憲兵隊に指示をしかけたその時地響きがし始め、更に機関音が聞こえ始めた!
「こ、この機関音は……!」
「ま、まさか……!?」
機関音を聞いたガイウスは驚き、ある事を察したマキアスが表情を青褪めさせたその時戦車と機甲兵による軍団が姿を現した!
「”アハツェン”と”機甲兵”の部隊か……!」
「……現れたタイミングからするとわたし達が疲弊するのを待って、そこに止めを刺すつもりのようだったようだね。」
「チッ、操られている癖にそんな知能があるとは生意気な……!」
「キャハッ♪やっとちょっとだけ本気を出せる相手が来たね♪」
援軍の登場にラウラとフィーは厳しい表情をし、ユーシスは舌打ちをして援軍を睨み、エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべた。
「フフ……なかなか頑張ったようだが、もうこれでおしまいだよ。」
するとその時貴族連合の部隊から不気味な笑みを浮かべているセレスタンが姿を現した!
「ええっ!?あ、あの人って確かパトリックの……!」
「あなたは―――セレスタンさん!?どうしてパトリックと一緒に貴族連合に誘拐された貴方がここに―――」
セレスタンの登場にエリオットは驚き、リィンは信じられない表情で声を上げた。
「ああ、勘違いしないでほしいね。”僕”は君達が知る執事ではない。彼の身体を借りてこうして話しかけているだけさ。」
するとセレスタンは普段の口調とはかけ離れた口調でリィン達を見つめて答えた。
「か、”身体を借りて”……?じゃあ貴方は一体どなたなのですか……?」
セレスタンの言葉を聞いたエリスが戸惑ったその時
「!まさかアンタは……!?」
「”D∴G教団”司祭ヨアヒム・ギュンター!!」
目の前のセレスタンの正体を察したクレア大尉がサラ教官と共にセレスタンを睨んで声を上げた。
「ええっ!?セレスタンさんが……!?一体どういう事なのですか……!?」
クレア大尉の口から語られたセレスタンに乗り移っている人物の正体――――ヨアヒムの名を聞いたセレーネは驚いた後困惑の表情でセレスタンを見つめ
「かつてヨアヒム・ギュンターは”グノーシス”を服用した人物達を自由自在に操った事があるのは既にお前達も聞いていると思うが…………奴は離れた場所から操った人物から見える光景を見る事ができるどころか、その人物で自身の意思を伝える事もある。」
「何だと!?」
「薬物で暗示どころか、人を完全に自身の傀儡にする事までできるのですか!?」
「ひ、非常識にも程があるぞ!?」
「という事は今まで無力化した兵士達も全て彼一人が操っていたのか……」
「……ま、その点で言えばアンタも得意の”子守唄”で似たような事はできるんじゃないかしら?」
「あのね……幾ら私でも”教授”やヨアヒムのような趣味の悪い事はした事はないし、これからもするつもりもないわよ。」
レーヴェの説明を聞いたユーシスとエマは驚き、マキアスは疲れた表情で声をあげ、ガイウスは真剣な表情でヨアヒムを見つめ、セリーヌに視線を向けられたクロチルダは呆れた表情で答えた。
「フフ、正解だ。既に顔を会わせた事もある者達もいるが改めて自己紹介をしよう。―――僕の名はヨアヒム・ギュンター。大いなる叡智を崇める”D∴G教団”の司祭だ。」
「……………………」
「レン…………」
「レンさん、わかっているとは思いますけど今のヨアヒムはヨアヒム自身ではありませんから間違っても――――」
殺気も何も纏わずただ静かにヨアヒムを見つめるレンをプリネと共に心配そうな表情で見つめているツーヤはレンに忠告し
「そのくらいの事は言われなくてもわかっているわよ。ただ改めてヨアヒムがまだこの世にいる事を自分の目で確認しただけよ。」
レンは静かな表情で答えた。
「……あんたがみんながカレル離宮で出会った”D∴G教団”司祭の亡霊―――ヨアヒム・ギュンターか。一体何の為にこんな事をした……!?」
「それにその身体はセレスタン殿のものだ。早急にセレスタン殿から出て行きセレスタン殿を解放しろ、外道!」
リィンとラウラはそれぞれヨアヒムを睨み
「クク、僕の悲願が叶えばちゃんと彼を含めた貴族連合に囚われた君達の知り合いも解放するつもりだから安心するといい。」
「という事は貴族連合に誘拐された士官学院生を含めた人質達は貴方の元にいるのですか……!?」
ヨアヒムの答えを聞いてある事を察したエリゼは厳しい表情でヨアヒムを睨んで問いかけた。
「フフ、察しがいいね。さすがはかの”剣聖”カシウス・ブライトから直々に教わっているだけはあるね。」
「そ、そんな!?じゃあ貴族連合に誘拐された人質達はヨアヒムの元にいるって事になるじゃない!?」
「やはりそうでしたか……という事は恐らくカイエン公も……」
「マルコーニの時のように人質達と同じ場所か、近い場所に閉じ込められているんだろうね~。」
「……カイエン公や貴族連合の残党の安否もそうですが一番心配なのは貴族連合に誘拐された人質達ですわ。かの”教団”の司祭の元に彼らがいるという事は最悪”太陽の砦”で”特務支援課”やエステル様達が対峙した”グノーシス”を服用した”ルバーチェ”の構成員達のように”グノーシス”を投与されて異形の化物と化している可能性も考えられますわ。」
「……ッ!アンタ……まさかとは思うけど人質にされた貴族の家族たちもそうだけどウチの生徒達に手を出していないでしょうね!?」
ヨアヒムの答えを聞いたアリサは表情を青褪めさせ、クレア大尉とミリアムはそれぞれ真剣な表情で呟き、厳しい表情で推測したシャロンの推測を聞いたサラ教官は怒りの表情でヨアヒムを睨みつけた。
「クク、クロウ君との”契約”で”彼と取引して以降”は彼らには一切手を出していないから安心するといい。」
「ええっ!?じゃ、じゃあやっぱりクロウは自分の意志で……」
「クロウと取引をしたですって!?一体どんな取引をしたのよ!?」
ヨアヒムの口から語られた驚愕の事実を知ったエリオットは驚いた後複雑そうな表情をし、クロチルダは血相を変えて尋ねた。
「フフ、獄中の彼に貴族連合や彼の同級生達の状況を教えたら、僕の”協力者”になる事を申し出たと言えばわかるだろう?」
「!!」
「ま、まさかクロウさんはパトリックさん達の為に…………」
「この外道が!」
「……さすがはゼムリア史上最低最悪の組織に属している外道のやり方と言った所かしら。」
「我が剣で今すぐ目の前の外道を成敗できないのが悔しいですわ……!」
ヨアヒムの答えを聞いたリィンは目を見開き、セレーネは不安そうな表情で推測し、アイネスやエンネア、デュバリィはそれぞれ怒りの表情でヨアヒムを睨んでいた。
「……―――!ヨアヒム・ギュンター。人質達について質問がある。」
一方ある事に気付いたレーヴェは目を細めてヨアヒムを見つめて問いかけ
「レ、レーヴェ……?一体何を聞くつもりなの……?」
レーヴェの問いかけを聞いたプリネは戸惑いの表情でレーヴェを見つめた。
「フフ、一体何を聞きたいのだい?」
「先程”アームブラストと取引して以降は人質達に一切手を出していない”と言っていたが……―――”アームブラストと取引をする以前”はどうなっている?」
「あ…………」
レーヴェの質問の内容を聞いたエリスは不安そうな表情をし
「クク……中々鋭いね。実はクロウ君と取引をする前に一人だけ真の”真なる叡智”を創りだす為に僕の実験に付き合ってもらったのだよ。―――他の学生達や貴族連合に誘拐された人質達に手を出さない事を条件にね。」
「何だって!?」
「一体誰を人体実験したのですか!?――――答えなさい!」
ヨアヒムの答えを聞いたリィンは驚き、クレア大尉は怒りの表情で銃口をヨアヒムに向けて問いかけた。
「クク、かつての”検体”のデータ―――ティオ・プラトーや”楽園”の検体であるそちらの”殲滅天使”の件を考えれば女性の方が検体としていいデータが取れると思ってね。その結果人質の中で一番若い年齢である一人の女子生徒に協力してもらう事になったのさ!」
そしてヨアヒムはリィン達にとって凶報となる情報を凶悪な笑みを浮かべて答えた!
「女子生徒って事は士官学院の人だね。」
「ええっ!?ちょっと待ってください!確か貴族連合に誘拐された士官学院の女子生徒は一人だけという話ですよね!?という事は人体実験された人物は……!」
「……間違いなくエーデル部長だね。」
「そ、そんな……部長が…………」
「……どうやら亡霊になって、狂気に更に磨きがかかったようね。」
ヨアヒムの答えを聞いたエヴリーヌは真剣な表情で呟き、誰が人体実験されたのか察したツーヤは驚いた後その人物と親しい間柄であるフィーとセレーネに視線を向け、フィーは心配そうな表情で呟き、セレーネは表情を青褪めさせ、レンは膨大な殺気を纏ってヨアヒムを睨んでいた。
「貴ッ様……ッ!」
「よくもエーデル先輩を……ッ!」
「アンタ……ッ!」
「クロウを騙した所かエーデル先輩を人体実験に使うなんて……!クロウとエーデル先輩は今どうなっているんだ!?」
ユーシスとラウラ、サラ教官はそれぞれ怒りの表情でヨアヒムを睨んでいる中、リィンは怒りの表情で問いかけた。
「フフ、二人とも今は僕の優秀な手駒として僕の元にいるよ。クロウ君もそうだが、協力してくれた女子生徒は素晴らしい検体になったよ!何せ今の彼女はあのティオ・プラトーをも超える可能性を秘める検体になったのだからね!」
「ひ、酷い…………」
「何てことを……!」
「……外道が。貴様もあの”教授”と同類―――いや、それ以上の”外道”だな。」
「その意見には同感ね。それどころか下手をすればクロウもその娘同様ヨアヒムに……」
「…………ッ……!」
「エーデル部長……」
「セレーネ……フィーさん……」
「やめろ………!」
「いい加減にしなさい!この人でなし……!」
「どうして……どうして同じ”人”であったのにそのような”禁忌”を平気で犯せるのですか……!?」
(…………下手をすればその娘は”半魔人”のティオやレンと違って、完全な”魔人”になって”人間ではなくなっている”のかもしれないわね……)
ヨアヒムの話を聞いたエリスは悲痛そうな表情をし、プリネとレーヴェ、クロチルダは厳しい表情をし、フィーとセレーネはそれぞれ辛そうな表情をし、ツーヤは心配そうな表情でセレーネとフィーに視線を向け、リィンとアリサ、エマはそれぞれ怒りの表情でヨアヒムを睨み、レンは複雑そうな表情で推測していた。
「……それで結局アンタは何でわざわざ自分の手駒を減らすような意味不明な真似をしたのよ?この子達が迎撃をせずそのまま進軍させていたら、メンフィル軍に殲滅されていたわよ?」
「フフ、できる限り双方共に犠牲者を出さずに内戦を終結させようとした君達なら必ず出てくると思ったからに決まっているじゃないか!」
「という事は最初からオレ達を誘いだす為の罠だったのか……!」
セリーヌの質問に答えたヨアヒムの話を聞いたガイウスは驚きの表情で声を上げた。
「クク、さてと……―――取引だ。僕の要求はただ一つ。クロスベルに交渉してあの方を―――キーア様を僕に返すように手配したまえ。そうすれば貴族連合に誘拐された人質達もそうだがカイエン公を含めた貴族連合の残党の身柄も君達に引き渡そう。確かメンフィルと結んだ”戦争回避条約”を守る為にカイエン公の身柄が必要なのだろう?」
「やはり”そう来ました”か……!」
「……そもそも”碧の大樹”が消えた事で”今の彼女”にはもはや”零の至宝”の力は失われているだろうから、利用価値も無くなっているわよ。」
「ふざけるのも大概にしろ!そんな事、絶対に不可能だろうが!?」
「そもそもクロスベルがそんな交渉に応じてくれるなんて、絶対にありえないよね~。」
「ええ……第一例えクロスベルがその交渉に応じたとしてもロイドさん達が絶対にキーアさんを渡しません。」
「それに貴様のような外道の要求を我らは決して呑まないし、貴様如きに屈しはしない!」
「そだね。お前みたいな三下の言う事をエヴリーヌ達が聞く訳ないでしょう?キャハッ♪」
「ホント、全然進歩していないわねぇ……クロスベル襲撃事件の時のやり方と全く同じじゃない。」
ヨアヒムの要求を聞いたシャロンとクロチルダはそれぞれ厳しい表情をし、マキアスは怒りの表情で反論し、ミリアムとエリゼは真剣な表情で呟き、ラウラの言葉に頷いたエヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべ、レンは呆れた表情でヨアヒムを見つめていた。
「クク、ならどうすると言うんだい?そんな貧相な装備でエレボニアの最新兵器の部隊と戦えると思っているのかい?正規軍が近づいてきているようだけど……間違いなく正規軍が到着するまでに君達は全員女神の元に向かっているだろうね!ハハハハハハハッ!!」
自分の要求を呑まない様子でいるリィン達を見たヨアヒムは凶悪な笑みを浮かべて説明をした後大声で笑ったが
「…………―――ヨアヒム・ギュンター。あんたは俺達を舐めすぎだ。”その程度の戦力”で”今の俺達”に勝てると思っていたのか?」
「何……?」
静かな表情で呟いたリィンの言葉を聞くと眉を顰めてリィンを見つめた。
「―――エリゼ、レン姫。二人の力を今こそ貸してもらってもいいですか?」
「はい……!私はいつでも大丈夫です!」
「うふふ、見せてあげましょう?レン達の”力”を。」
リィンに視線を向けられたエリゼとレンはそれぞれ答え
「来い――――」
「「来て――――」」
「”灰の騎神”ヴァリマール!!」
「”白の神機”ヴァイスリッター!!」
「パテル=マテル!!」
それぞれ心強き相棒の名を大声で叫んだ!
「「応―――――!!」」
「――――――!!」
それぞれの”主”達の言葉に答えたヴァリマール達はそれぞれ自動で歩行して外に出た後飛び上がって空を飛行して、”主”達の元にかけつけた!
「おおっ!?」
「あ、あれが”灰色の騎士人形”……!」
「しかもレン皇女が所持している巨大人形兵器まで……!」
「なっ!?あれはガレリア要塞を消滅させた人形……!」
「まさか”紅き翼”はあの人形をも従えているのか……!?」
次々とそれぞれの主達の元に着地するヴァリマールを見た鉄道憲兵隊はそれぞれ驚愕や明るい表情で見守っていた。そしてリィンはセリーヌと共にヴァリマールに、エリゼはヴァイスリッターに乗り込んでそれぞれ”ゼムリアストーン製の太刀”を構え、パテル=マテルはレンの操作によって異空間から巨大な銃を召喚して両手に銃を持って構えた!
「あれが”白の神機”―――ヴァイスリッターか………!」
「えへへ……ヴァリマールに負けないくらい心強い存在だね。」
「しかもヴァイスリッターにはヴァリマールにない兵装もある事に加えてパテル=マテルは遠距離攻撃による援護もできるから、バランスもちょうどよくなったね。」
ヴァイスリッターを見たガイウスは目を見開き、エリオットは明るい表情で呟き、フィーは冷静に分析し
「な、ななななななななっ!?何で”守護の剣聖”が神機アイオーンを操っていますの!?」
「デュバリィ……彼女がアイオーンの”起動者”になった情報をもう忘れたのか?」
「しかもその情報は私達が”Ⅶ組”と決戦する前に手に入れていたのに、何で忘れているのよ……」
エリゼがヴァイスリッターの”起動者”である事に混乱しているデュバリィを見たアイネスとエンネアはそれぞれ呆れた表情をしていた。
「ほ、本当にエリゼお姉様があの白い人形を操っていますね……」
「え、ええ。前もって知らされていたとはいえ、それでもこうして自分の目で見ると驚いてしまうわ。」
セレーネとエリスはそれぞれ驚きの表情でヴァイスリッターを見つめ
「フッ、中々壮観な眺めだな。」
「フフ、そうね。」
「ヴァリマールとヴァイスリッターはともかく、パテル=マテルまで一緒に戦う時が来るなんて……これも”空の女神”による導きでしょうか?」
レーヴェとプリネは静かな笑みを浮かべ、ツーヤは苦笑していた。
「話には聞いていたけどまさか本当に彼女が神機アイオーンの”起動者”になるなんて……ノバルティスが生きて目の前の光景を見たら狂喜乱舞していたでしょうね。」
「確かにあの方でしたら、周囲の状況を考えずに嬉々とデータ取りに専念するでしょうね。」
一方クロチルダとシャロンはそれぞれ苦笑しながらヴァイスリッターを見つめていた。
「な、な、な……!?フ、フン!たった三体で何ができる!幾らそんな物があろうと数の差は絶対だ!数の差を思い知るがいい!!」
ヴァリマール達の登場に狼狽していたヨアヒムだったがすぐに立ち直って声を上げた。
「今回はリィン達ばかりに任せずあたし達も手伝うわよ!――――手伝いなさい、バルディエル!」
「はい!―――今こそ力を貸してください、ヴァレフォルさん!」
「来て―――ミルモ!!」
「力を貸して―――ペルル、フィニリィ、アムドシアス、パラスケヴァス!!」
「来い、アルバレア号!!ハッ!!」
サラ教官達がそれぞれ使い魔を召喚している中、アルバレア号を召喚したユーシスはアルバレア号に騎乗した。
「―――ベルフェゴール、リザイラ、メサイア、アイドス、アルティナ!みんなもアリサ達を手伝ってくれ!ただし兵士達は殺さないように手加減してくれ!」
そしてヴァリマールの中にいるリィンはベルフェゴール達を外に召喚し
「総員、これより”灰の騎神”達の援護を!機甲兵には脚部関節に、戦車は砲口並びに車輪に弾幕を集中させて動きを止めさせるように!但し学生達に危険が訪れた際、彼らの援護を最優先に!」
「イエス・マム!!」
クレア大尉は鉄道憲兵隊に指示をした。
「エヴリーヌさん!中にいる操縦者を殺さないように手加減をして下さいよ!」
「ん。でも屑鉄はバラバラにしていいんだよね?キャハッ♪」
ツーヤの言葉に頷いたエヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべた。
「よし―――行くぞ、みんなっ!!」
「おおっ!!」
そしてヴァリマールの中にいるリィンの号令を合図にヴァリマール達はヨアヒムが操る貴族連合の兵器の部隊との戦闘を開始し、そして協力して全ての兵器を無力化し、兵達を気絶させた!
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