転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1353話
「おわぁっ!」
影のゲートから姿を現したアカツキは、当然のように大きな悲鳴を上げていた。
いきなり身体が影に沈み込んだりすれば、それは悲鳴を上げるか。
前もって説明してもよかったんだが、そうすると無駄に時間が掛かるだけだし、何より習うより慣れろ、百聞は一見にしかずと言うしな。
……いや、一見じゃなくて体験しているのを考えると、少し違うのか。
ともあれ、俺とアカツキがネルガル本社から姿を現したのは、広いドーム状の建物の中だ。
具体的には、プロ野球の試合とかをやるようなドーム。
政治班を通して借り切った場所であり、一応マリューに手を貸して貰って可能な限り人の目が届かないようにしてある。
「ここは……僕はさっきまで会長室にいたと思うんだけど、一体何が?」
「影のゲート。いわゆる転移魔法だな。体験して貰った通り、影を通して他の場所に転移出来るという代物だ」
その言葉に、アカツキの目は大きく見開かれる。
「これは……転移だって? だとすれば、この魔法を使えるようになれば……」
「言っておくが、影に限らず転移魔法というのはかなり高難易度の魔法だから、習得するのは難しいぞ。他にも色々と制約があるしな」
「制約?」
「ああ」
具体的には、転移の距離に比例するようにして魔力が必要とされるとか、影のない場所に転移は出来ないとか、その辺だ。
後は、今アカツキが経験したように、影に身体を沈める時の違和感が慣れないと気分が良くないって事か。
それでも個人で使える転移魔法というのは、アカツキにとってもかなり興味があるのだろう。
珍しく興奮した様子を隠しもせず、俺の方へと近づいてくる。
「アクセル、この魔法を習得する為には具体的にどのくらいの時間が掛かるのか聞いてもいいかい? それと、出来ればどうすればこの転移魔法を使えるようになるのかも」
「……俺の話を聞いてたか? 魔法ってのは一定以上のラインの上からは才能が全てとなる。その才能がどのくらい必要なのかは……まぁ、実際に魔法を習得してからでないと分からないだろうな」
「つまり?」
「今の魔法に限らず、転移魔法を使いたいのなら、まずは異世界間貿易の条約を締結する必要があるって事だ」
「なるほど。そうなると、僕としても動きを早める必要が……」
今の転移魔法で色々と思うところがあったのか、何かを呟くアカツキ。
そんなアカツキに対し、溜息を吐いてから口を開く。
「いいから、聞け。別に今はお前に影のゲートを体験させる為だけにこんな真似をした訳じゃない。お前に聞きたい事があったって話をしただろ?」
少し窘めるような言葉が出ると、アカツキが我に返ったように慌ててこちらに走ってくる。
「いやぁ、ごめんごめん。転移なんて生まれて初めて経験したからね。どうしても気になってしまったんだよ」
「それは分かるけど、少しはしゃぎ過ぎだ」
「だからごめんって言ってるだろう? それで……こんなドームに僕を連れてきて、どうするつもりなんだい?」
「お前に見て貰いたい物があってな。……いいか? 念の為に俺から少し離れてろ」
「……危ない真似をしたりしはしないよね?」
俺の言葉に何らかの危険を感じたのだろう。少し距離を取りながら告げてくるアカツキに、肩を竦めてから口を開く。
「危ないかどうかで言えば、恐らく危ないだろうな」
クロッカスの情報秘匿的な、そして何より木星蜥蜴の転移に時間移動の可能性が含まれているという重要性としての意味では、このナデシコ世界ではこの上なく危険な代物だろう。
「……本当に何をするつもりなのさ」
「ま、黙って見てれば分かる。俺がこんな場所を借り切って、お前だけにこれを見せる理由もな」
脳裏に空間倉庫のリストを展開し、クロッカスを選択。
すると次の瞬間には、ドームの中には連合軍の駆逐艦クロッカスが姿を現していた。
俺が火星で見つけた時には雪や氷がいたる所に付着し、氷柱が生えていたりもしたクロッカスだったが、ニヴルヘイムの中でマリュー達が調べた事により時間が経過し、既に雪や氷の類は全て解けてしまっている。
それ故、今ここにあるのは素のクロッカスだ。
「え? これは連合軍の駆逐艦?」
「正解。さすがネルガルの会長だな。見ただけで理解出来たか」
この近距離からクロッカスを見て、即座に駆逐艦だと判断するのは軍艦に対しての知識があるからこそだろう。
これもネルガルの会長として必要な事なのかもしれないが。
「やっぱり。……けど、何でアクセルが連合軍の駆逐艦を? いや、それよりどこからこんな巨大な駆逐艦を持ってきたのさ。まさか、これもさっきみたいな転移魔法って奴かい?」
「残念。これは俺の能力の1つ、空間倉庫って能力だ。その名の通り、異空間に好きなだけ物を収納出来るって能力がある……な」
「なっ!?」
空間倉庫の能力に、アカツキが驚愕の声を上げる。
当然だろう。企業を経営している者として、空間倉庫のような能力というのは喉から手が出るほどに欲しいものなのだろうから。
だが、今回重要なのは空間倉庫ではない。
「まぁ、空間倉庫に関してはどうでもいい……とまでは言わないが、取りあえず置いておけ。それよりもこの駆逐艦、どこで拾ったと思う?」
その言葉で、ようやくアカツキは空間倉庫ではなく目の前にあるクロッカスに意識を向けたのだろう。
その艦体を眺めながら、やがて首を横に振る。
「ちょっと分からないね。……もしかして、連合軍がシャドウミラーに攻撃を仕掛けたとか、そういう事だったりしない……といいなぁ」
しみじみと呟くアカツキ。
まぁ、シャドウミラーの実力を一番分かっている組織がどこかと言われれば、それはやっぱりネルガルなんだから当然だろう。
俺がナデシコに所属して最大戦力として木星蜥蜴を相手に無双し、同時にナデシコもシャドウミラーと少なからず行動を共にしている。
ミナトやエリナにいたっては、シャドウミラーの本拠地でもあるホワイトスターにすら来てるしな。
連合軍やクリムゾングループを始めとした他の組織に比べると、明らかに数歩は先を進んでいる。
それだけに、シャドウミラーが連合軍やクリムゾングループとぶつかるような事になったりしたら、ネルガルとしてはどちらに付けばいいのか迷うということもある。
戦力的にはシャドウミラーだが、ナデシコ世界の現時点での影響力では連合軍といった具合に。
ともあれ、まずは難しい表情をしているアカツキを安心させてやるとしよう。
「安心しろ。別に連合軍やクリムゾングループがどうこうした訳じゃないから」
「じゃあ、この駆逐艦はどこで? こうして見た限り、特に酷い損傷があるようにも見えないけど……まさか、盗んだとかは言わないよね?」
「ああ」
……まぁ、クロッカスではないけど転移魔法を使って最新鋭機を盗み出すというのは、俺の得意分野でもあるけどな。
それでも、このクロッカスに関してはそんな真似はしていない。
というか、このクロッカスにそこまでする価値はないだろ。
いや、このクロッカスに限って言えば価値はあるかもしれないけどな。
「じゃあ、どこで?」
「俺達シャドウミラーが、現在火星にいる木星蜥蜴に対して殲滅戦を仕掛けているというのは知ってるだろ?」
「ああ、実効支配をする……まさか……」
言葉の途中で俺の言いたいことを理解したのか、アカツキは驚愕の表情をクロッカスへと向ける。
「正解。この駆逐艦は、火星に放置されていた代物だ。シャドウミラーの部隊が発見した」
「いや、だが……この艦はどこも損傷しているようには見えないけど? 火星上空で木星蜥蜴と戦って落下した艦だとすれば、どこかしらに何か損傷があってもおかしくないと思うんだけど」
「そうだよな。俺も最初にこの艦を見つけた時にはそれを疑問に思った。中を調べたけど、誰も生存者の類はいなかったしな」
正確には空間倉庫に収納する事によって、中に生きている人間とかがいないというのが判明したんだが、その辺はわざわざ教える必要もないだろう。
「で、その後見ての通り色々と不審なところが多かったから、技術班に調べて貰ったんだが……色々と面白い事が分かった」
「面白い事? ……それが本当に面白い事なら、僕としても嬉しいんだけどね。今のアクセルの表情を見てる限り、僕にとってはあまり面白いものだとは思えないんだけど」
「どうだろうな。その辺はお前の受け取り方次第によるだろ。さて、まぁ、ここであまり勿体ぶっても意味はないだろうし、さっさと本題に行くか。……そうだな、まずこの駆逐艦、名前をクロッカスって言うんだけど、聞き覚えはあるか?」
その名前に訝しげな表情をしたアカツキだったが、数秒程考えると、目を驚愕に見開く事になる。
「クロッカスだって!? いや、ちょっと待ってくれ。クロッカスと言えば……」
クロッカスという名前を思い出したのだろう。信じられないと言いたげに叫ぶアカツキに、俺は頷きを返す。
「どうやら知ってるらしいな。そうだ、クロッカスというのは、連合軍がナデシコに……正確にはミロンガ改を奪う為に襲ってきた時、木星蜥蜴のチューリップに呑み込まれた艦だ。いや、それはいい。チューリップってのが輸送ポッドとかそういうのではないというのは既に判明している以上、今ならどこかに転移させられたってのが分かる。けど……」
そこで一旦言葉を止めると、アカツキの方へと改めて視線を向ける。
その少し軽めだが端整な顔には、数秒前に浮かんでいた驚愕に変わって焦燥が浮かんでいた。
どうやら何か思い当たる事があるらしいな。
そう考えながら、俺は言葉を続ける。
「だが、不思議なものでな。このクロッカスがチューリップに呑み込まれたのは、去年の末だ。けど、火星で見つかったこのクロッカスは艦体のいたる場所に氷や雪が付着して凍り付き、巨大な氷柱まで生えていた。うちの技術班が調べたところ、数年……あるいはもっと昔から火星にあったらしい。おかしいと思わないか? しかも、何故かは分からないがクロッカスの乗員の姿はどこにもなかったらしいし。さて、乗員はどこにいって、このクロッカスはいつから火星にあったんだろうな? ……どう思う?」
俺が話し続けていると、次第にアカツキの表情が厳しく引き締まっていくのが分かった。
見るからに何かを知っていて隠していますといった風な態度。
これも見せ掛けか? ……いや、ここでそんな真似をして、俺を騙してもアカツキに、そしてネルガルにはメリットよりもデメリットの方が多いだろう。
となると、恐らくこれは素の表情で間違いないんだろうが……ここは、更に追撃の手を放つか。
「知っての通り、俺達シャドウミラーは転移に関しては高い技術を持っている。それこそ、全長15mの俺の機体にも詰め込めるくらいにな」
正確にはニーズヘッグに詰め込まれているのはシステムXNと呼ばれていても、アギュイエウスの方……オリジナルの方なんだから、こちらは小型化云々とかはあまり関係ないんだが。
まぁ、一応ハッタリって事で勘弁して貰おう。
それにシロガネやニヴルヘイムに量産型システムXNを搭載しているのは事実だし、何よりファブニールには普通に全機搭載される事になっているのだから。
「だからこそ、木星蜥蜴が使っている転移技術にも興味があったんだが……さて、これはどういう事なんだろうな? このクロッカスの件を考えれば、俺と一緒にいる時にこのクロッカスはチューリップに呑み込まれ、その結果火星に……それも過去の火星に転移したという事になる。つまり、俺達が連合軍と戦っていた時には、このナデシコ世界にクロッカスという駆逐艦は2隻存在した事になる訳だが……どう思う?」
「それは……」
言葉に詰まるアカツキ。
まだ白状しないか。
なら、もう少し突かせて貰おう。
「そう言えば、ネルガルの火星にある研究所の地下にはチューリップに似た物があったな。つまり、ナデシコと木星蜥蜴は同じ技術を基にして作られた訳だけど……改めて聞くぞ? アカツキ、お前は木星蜥蜴の転移技術が時間移動の要素を含んでいるという事を知っていたのか? 同時に木星蜥蜴に関してまだ俺達に隠している事があるな?」
「それは……」
数秒前と同じ呟きを口にするアカツキだったが、そこに宿っている感情の色はより追い詰められた風になっていると言ってもいい。
「言っておくが、何かを隠しているのなら今のうちに大人しく言った方がいい。シャドウミラーと協力関係を結ぶというのに、それを隠していたりしたら……どうなるか分かるな? それこそ、お前達よりも信用出来る企業とかは他にもある訳だしな。……クリムゾンとか」
その一言が最後の一押しとなったのだろう。アカツキは、渋々ながら口を開く。
「木星蜥蜴の転移技術……ボソンジャンプに時間移動が関わっているというのは、僕も初耳だよ。ただ、隠していたのはそっちじゃない。木星蜥蜴の正体だ」
「……正体?」
「ああ。木星蜥蜴……彼等の正式な名称は、木星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ及び他衛星小惑星国家間反地球共同連合体。通称木連。その正体は、100年前に月を追放された独立派の生き残りだよ」
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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