英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第53話
~バリアハート・クロイツェン州統括領主の城館・執務室~
「―――お待たせしました。先程の件を説明した所お父様からもクロチルダさんの一時釈放の許可が下りました。」
「そうか……!」
プリネの答えを聞いたリィンは明るい表情をし
「本当にありがとうございます、ベルフェゴールさん……!」
「フフッ、大した事はしていないわよ♪」
エマに感謝されたベルフェゴールはウインクをした。
「それでベルフェゴールさん。いつクロチルダさんを”使徒”にするのですか?」
「それについてだけど、彼女は今夜”使徒”にする事になるから、ちょっと待っててくれないかしら?」
「え……何故今すぐしないのですか?」
プリネの問いかけに答えたベルフェゴールの答えが気になったツーヤは不思議そうな表情で尋ねた。
「私がヴィータを”使徒”にする対価をヴィータが実行する為よ。」
「た、”対価”ですか……?」
「ベルフェゴール、一体クロチルダさんに何を求めたんだ?」
ベルフェゴールの答えを聞いたエリスは戸惑い、リィンは不思議そうな表情で尋ねた。
「うふふ、今夜になればわかるわ♪そうでしょう?」
「ええ。対価と言っても私にとっては簡単な事だから、リィン君達がその件について心配する必要はないし、結果的にはメンフィルも私が裏切らないという保証を手に入れる事になるだろうから、一石二鳥の対価になると思うわ。」
ベルフェゴールの視線を向けられたクロチルダは苦笑しながら答え
「え…………―――ベルフェゴールさん、一体何を”対価”にしたのですか?さすがに今の話はメンフィル皇女として聞き逃せないのですが。」
クロチルダの答えにプリネは呆けた後真剣な表情でベルフェゴールを見つめた。
「仕方ないわね~……ちょっと、耳を貸しなさい。……………………」
プリネの様子を見たベルフェゴールは溜息を吐いた後プリネに耳打ちをし、そこにレンがさりげなく近づいて耳を傾けた。
「…………え”。」
「マスター?」
「へえ♪」
「?」
「(ま、睡魔らしい対価だね。……あれ?あの女がリィンとそんな関係になって、それをエリゼ達が知れば………)ヒッ!?ガタガタブルブル……!」
ベルフェゴールに耳打ちをされて表情を引き攣らせたプリネをツーヤは不思議そうな表情で見つめ、興味ありげな表情をしたレンに視線を向けられたリィンは不思議そうな表情をし、ベルフェゴールの小声が聞こえていたエヴリーヌは興味なさげな様子をしていたがある事に気付くと表情を青褪めさせて悲鳴を上げて身体を震わせ始めた。
「うふふ、これなら誰もが得するとってもいい方法でしょう♪」
「た、確かにそうなのですが………………」
「うふふ、そんなに難しく考える必要はないんじゃないかしら、お姉様♪”蒼の深淵”本人も嫌がってはいないみたいだし♪」
(一体どんな対価なんだろうな……?)
(ベルフェゴールが提案している時点で絶対まともな内容じゃないと思うね。)
(同感だ。あの女がまともな内容を対価として提示する等、天地がひっくり返ってもありえんだろう。)
(ええ。しかも”殲滅天使”のあの顔から推測すると、どうせ面白おかしな内容なんでしょうね……)
ベルフェゴールに微笑まれたプリネが表情を引き攣らせ、レンがからかいの表情をしている中、その様子を見守っていたマキアスは首を傾げ、呆れた表情をしたフィーとユーシスの推測にサラ教官は頷いた。
「アンタ……ベルフェゴールに一体何を差し出せって言われたのよ?」
「フフッ、明日になればわかるわ♪」
「ね、姉さん……?」
セリーヌの疑問にウインクをして答えたクロチルダをエマは戸惑いの表情で見つめていた。
「クスクス、エリゼお姉さんには後で教えてあげるからね♪その方が面白い事になるし♪」
「ハ、ハア……?―――ありがとうございます。」
レンの言葉にエリゼは戸惑いの表情をしたがすぐに会釈をした。
(ふふふ、もうこれで対価の内容が大体わかりましたね。)
(間違いなくマスターとクロチルダ様が不埒な関係になる事でしょうね。)
(フフ、ヴィータの様子を見る限りリィンと”そういう関係”になる事についていやがっている様子はないから、もしかしたらリィンの優しさに心を打たれたかもしれないわね。)
(リィン様……昨日エマさん達とまで”そういう関係”になったばかりだと言うのに、もう新しい女性と”そういう関係”になって更に増やすなんて、幾ら何でも節操がなさすぎると思いますわよ……)
その様子を見守り、察したリザイラは静かな笑みを浮かべ、アルティナはジト目になり、アイドスは微笑み、メサイアは呆れた表情をしていた。
(レ、レン!そんな事をしたらエリゼ達が……!)
(うふふ、だからこそ面白いんじゃない♪)
一方自分に詰め寄って必死の表情になったエヴリーヌの小声にレンはからかいの表情で答え
(……エリゼさんに教えたら面白い事になる……?しかも何でエヴリーヌさんがあんなにも慌てているんだろう……?――――!?まさか……!ハア……スカーレットさんがリィンさんに惚れたのもベルフェゴールさんが関係しているような気がしてきた……)
(―――そう言う事か。フッ、これで厄介払いができるな。)
レンやエヴリーヌの様子を見てレンがエリゼに教える理由を考えて察したツーヤは疲れた表情をし、レーヴェは静かな笑みを浮かべてリィンを見つめていた。
「え、えっと……それでどうしますか?ベルフェゴールさんの話ですとクロチルダさんがベルフェゴールさんの”使徒”になってもらう為にも今夜はバリアハートに泊まってもらう必要がありますが。勿論皆さんやカレイジャスに待機しているセドリック殿下達が泊まる部屋もすぐに用意させます。」
「滞在しているユーゲント皇帝夫妻とこれからどうするか話し合うちょうどいい機会にもなるから、今夜はここに泊まった方がいいと思うわよ。」
「そうだな……ヨアヒムやカイエン公達の行方についてまだわかっていないから現状俺達ができる事と言ったら端末に来ている依頼の消化くらいだけど確か今日は依頼は来ていないからやる事も特にないし、いざという時に備えて早めの休息を取っておくべきかもしれないな。」
「ああ。殿下達もようやく陛下達とゆっくりと話し合える機会にもなるだろうし、ここはプリネ達の好意を受けるべきだな。」
プリネとレンの提案を聞いたリィンとユーシスはそれぞれ頷いた。
こうして……リィン達はプリネ達の好意を受けてクロイツェン州統括領主の城館に泊まる事になった。城館での夕食はクロウ以外の”Ⅶ組”のメンバーがようやく揃った事やエリゼとレンの加入等さまざまな事に花を咲かせながら夕食を取り、そしてそれぞれ用意された客室で休み始めた。
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