Blue Rose
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第十三話 人間だからその二
「出ます」
「噂として」
「人の目を塞ぐことは出来ませんね」
「隠すことはですね」
「はい、ですから」
それで、というのだ。
「こうした噂が出て」
「そしてですね」
「それを嗅ぎ付けた輩が来ます」
「弟のところに」
「そうなりますので」
それ故にというのだ。
「お気をつけ下さい」
「はい、タブロイド紙等ですね」
「それ以上にテレビですね」
「その媒体ですか」
「我が国のマスメディアの質は非常に劣悪です」
院長は俯き難しい顔で優子に述べた。
「手段を選びません」
「どの様な記事も売れるのならですね」
「そして自分達の権力を維持する為には」
「個人のプライバシーも」
「はい、平気で踏み躙ります」
この現実を言うのだった。
「それが問題です」
「だからですね」
「はい、お気をつけ下さい」
「嗅ぎ付けたイエロージャーナリズムが動きますか」
「その危険があります」
「安心は出来ないのですね」
「そうです」
その通りという返事だった。
「彼等は権力を持ったならず者です」
「マスメディアという権力です」
「第四の権力と言われていますが」
「その実はですね」
「第一の権力です」
そう言うまでのものというのだ。
「立法、行政、司法の三権以上に」
「さらにですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「情報を手に入れそれを自由に報道出来るという権力があります」
「一口に言えばそれまでですが」
「はい、この権力は非常に大きいです」
それこそ三権以上にというのだ。
「まさに第一の権力です」
「長い間そうでしたね」
「今はインターネットというチェックする存在が出来かなり抑えられていますが」
「インターネットが登場するまでは」
「まさに三権の上に立つ絶対の権力で」
そしてというのだ。
「やりたい放題でした」
「捏造報道もしていましたね」
「それを繰り返してもです」
「誰も止めていませんでしたね」
「真実を知りそれを告発する声はありました」
例えば某大手新聞による度重なる捏造記事に対する事実の指摘だ、この声は長い間存在していたが新聞という巨大な媒体の前には小さな声であった。
「しかしそれはあまりにも小さく」
「止めるまでには至っていませんでしたね」
「そうでした」
「その意識が彼等にはまだありますね」
「それも強く」
「自分達は絶対の権力者だという」
「人はそう思うとです」
それこそともだ、院長は優子に話した。
「まさに何をしても平気になります」
「だからこそ弟にも」
「そうです、今はまだ噂は出ていませんね」
「おそらく」
ネットの隅をだ、優子はここで意識した。しかしそこまでは知らないので院長に対してこう答えたのである。
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