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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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お前の相手は俺だ

 
前書き
今朝起きていつものように暁開いたら前日PVが5000越えてて一瞬で目が覚めた(笑)
寝惚けてて「お、2000越えてる」と思ったら、よく見たら5000でした。
一日での最大PV数一気に更新です。たぶん二度とこんな数字出ないだろうなぁ・・・ 

 
女の人を突いたエルザさんはそのまま地上へと落ちていきそうになっています。しかし、この重力場の効果で落ちかけていた体が戻ってきています。

「くっ!!」

うまく着地して地面への衝突を避けたエルザさん。彼女の元に、皆さん集まっていきます。

「エルザ!!」
「無事だったのね!!」

サラシと袴に換装したエルザさん。彼女が無事だったことに私たちはホッとひと安心です。

「重力?・・・みんな!!」

逆さまになっていることに少々戸惑っていたエルザさん。ですが、周囲にいる私たちの顔を見てパッと笑顔になっていました。

「よくぞ突破口を開いてくれた」
「マスター。これは・・・どうなっているんです?」

マグノリアの街を見上げてマスターに疑問を投げ掛けます。ですが、それに答えている時間はありません。

「悪ぃが説明してる暇はねぇ。エルザの作った穴を通って、中にいく!!」
「「「「「オオッ!!」」」」」

グレイさんの言葉に拳を掲げる皆さんを見て、エルザさんも気持ちを切り替えます。

「ナツとリサーナは無事だ。後は、シリルとミラとエルフマンを・・・」
「俺なら大丈夫」

どうやらナツさんとリサーナさんとはエルザさんは城内であっていたみたいです。彼女の後ろからエルフマンさんがそう言うと、彼女は笑みをこぼします。

「必ず姉ちゃんを助け出す!!」

力の入った拳を見つめ、決意を新たにしたエルフマンさん。彼はよほど思うことがあるらしく、他の人よりもやる気に満ちています。

「よーし!!突入する!!」
「いくぞ!!」
「はい!!」

グレイさんとジュビアさんを先頭に穴の中に突入していきます。

「魔障粒子を扱う奴の血液も、忘れるんじゃないよ!!」
「忘れるわけがなかろう。お前さんこそ、負傷者の手当てを頼むぞ」
「それが仕事だよ」

ラクサスさんたちを助けるためには、以前シリルが戦ったことのあるノーランさんの血液が必要です。グランディーネにそれを言われたマスターはうなずくと、先をいった皆さんの後を追うように中に飛び込みます。

「手当て・・・は、いらないね」
「私なら―――」

大丈夫と答えようとしたエルザさん。ですが、答えるよりも早く、彼女はどこからか飛んできたムチによって引っ張られていきます。

「エルザ!!」
「構わん!!いけ!!フェイスの封印が解かれた!!止める方法を見つけるんだ!!」

フェイスの封印が解けてしまったということで、ルーシィさんの表情から焦りの色が見えます。彼女は私たちの方を見て口を開きます。

「みんな!!いくわよ!!」
「はい!!」
「「「うん!!」」」

彼女の言葉に私とシャルル、セシリー、そしてハッピーがうなずき、ラクサスさんたちを守る皆さんを残して穴の中に飛び込みます。

「待っててね、シリル」

冥府の門(タルタロス)に捕らえられた大切な恋人。彼のことを考えながら、私は四角い島の中へと突入しました。





















シリルside

「あったぁ!!」

たくさんのガラス張りの円柱ケースがある部屋の中。その部屋の隅で、俺とミラさんはようやく自分たちの服を見つけ出した。

「あら、よかったわね」
「早く着ましょう!!恥ずかしいんで」

隠そうともせずそんなことを言っているミラさんに、彼女が着ていたチャイナドレスを投げ渡すと、俺は俺で自分の服を着直していきます。

「あらシリル。そんなに慌てなくても・・・」

そこまで言ってミラさんは頬に手を当て首を傾げます。そして、何かに気付いたように話し出しました。

「そういえばシリル、男の子だったもんね。私がいるから恥ずかしかったんだ」
「むしろあなたが恥ずかしがってくださいよ!!」

ようやく俺がなんでこんなに取り乱しているのか気付いたミラさん。だけど普通、慌てるのはあなたなんだ。近くに男がいる時点で、そんなのほほ~んとしてられないんですよ。

「よし!!準備完了!!」

ミラさんに突っ込みを入れながら着替えを手早く済ませる。後ろでミラさんも服を着終わったようなので、二人で周囲を警戒しながら、この部屋の中央にある通路へと出る。

「ミラ姉!!シリル!!」

通路に出ると、不意に名前を呼ばれそちらを見る。そこには、猫耳姿のリサーナさんがいた。

「リサーナ?」
「なんで動物魂(アニマルソウル)?」

予想外の人物の登場に驚いているミラさんと俺。彼女は姉を見つけたことで嬉しくなり、ミラさんの胸に飛び込んだ。

「よかった!!」

嬉し涙を流しているリサーナさん。その姿を見て、ミラさんは少し笑顔になっている。

「なんでここに?」
「私もナツも・・・エルフ兄ちゃんも捕まっちゃって・・・アニマルソウルは服の代わりに」
「「えぇ!?」」

俺たちだけでなく、ナツさんたちまで捕まってたのか。後はエルザさんも捕まってるはずなんだけど、どこにいるのかな?

「ナツとエルザは無事。後はエルフ兄ちゃん」
「その者は、捕まえてませんわ」

どうやら他の捕らえられていた人たちもみんな逃げ出すことができたらしくホッとする。俺たちが話していると、リサーナさんがやって来た方から、角が這えた女性がやって来る。

「気を付けて!!こいつ、人を操る!!私もエルフ兄ちゃんもこいつに・・・」
「下がって、リサーナ、シリル」
「俺も戦えますよ」

リサーナさんたちをここまで連れてきたのは、どうやらこの女の人らしい。かなり強い人物なのだと悟ったミラさんと俺は、リサーナさんを後ろに隠すように立ち並ぶ。

「エルフマンというものには、ギルド爆破の命令を出しました」
「「「!!」」」

彼女の口からいい放たれた言葉を聞いて、三人とも目を見開く。

「見事にギルドを粉々にしてくださいました。しかし、誰一人殺せなかった。私の失態・・・」

顔をうつ向け明らかに苛立っている彼女を見て、俺たちは逆に安心する。ギルドを爆破されたと聞いた時は、最悪の事態が頭をよぎったが、どうやらそれは避けられたようだ。

「キョウカ様の前で、恥をかきましたわ。あの男のせいで・・・私の物語が破れていく・・・この恨み、姉の命で償わせよう」
「あなたが私のきょうだいを?へぇ・・・」

怒りを覚え、互いに暗黒面に落ちたのではないかと思えるほどの表情を浮かべている二人。だが、悪魔の女性は、一度、目の前の敵から視線を外す。

「その前に、私とキョウカ様の楽しみを壊した、その少年を殺して差し上げましょう」

突然怒りの矛先がこちらに向く。彼女は歯軋りをさせながら、こちらを睨んでいる。

「その容姿で少女ではないなんて・・・信じられませんわ。あんなものを私たちに見せて・・・」
「なっ/////」

その発言を聞いてすぐに体を隠すように行動する。まさか俺裸だったのって・・・この人のせいか!?

「次はちゃんと女の子に生まれてきてくださいな」
「いや!!それはおかしいだろ!!」

勝手に服を脱がしておいてその理屈はおかしい。むしろ謝罪しろ!!謝罪を!!

「問答無用!!」

地面を蹴ってこちらに突撃してくる女性。俺はそれを弾こうとしたが、目の前で攻撃がカットされてしまう。

「あら、ずいぶんとご挨拶じゃないの?」
「おのれ・・・」

いつの間にか接収(テイクオーバー)したミラさんが俺の前に立っていたのだ。彼女は掴んだ相手の腕を投げるようにし、敵との距離を広げる。

「シリル、この人は私に任せて」
「でも・・・」

売られたケンカを買わないのは、正直気が引ける。しかし、反論しようと口を開いたところで、ミラさんの横顔が視界に入り、言葉を失った。

「私の大切なきょうだいを傷つけた。それが私は許せない」

魔法を使っているせいもあるのだろうが、ミラさんの顔はいつもの彼女のそれはと明らかに違っていた。親の仇を見ているかのような、そんな鋭い視線で敵を見据えている。

「あなたはエルザやナツと合流して」
「わかりました」

有無を言わせぬ強い口調でそう言った彼女に素直に従う。彼女が怖いのも理由の一つだが、ここにこれ以上いると彼女を見る目が今後変わってしまいそうなので、俺は何も見ていないと心に言い聞かせながら、その場を後にした。























しばらく敵の本拠地の中を走っていると、どこかから知っている匂いが流れ込んでくる。

「こっちか?」

鼻をヒクヒクさせながら、匂いの主を探していく。すると、角を曲がった辺りで、二人の少女と三匹の猫が見えてきた。

「ウェンディ!!」

こちらに気付いていないようだったので、もっとも親しい少女の名前を叫ぶ。名前を呼ばれた少女はこちらを振り向くと、笑顔になってこちらに駆けてくる。

「シリル!!無事だったんだ!!」

衝突気味になりながら抱き合う水竜と天竜。その二人の元に、ルーシィさんとセシリー、シャルルとハッピーなやって来る。

「シリル!!よかったぁ!!」
「あんた、心配したんだからね」
「全然元気じゃ~ん!!」
「あい!!」

俺が捕まっていたことを知っていたらしく、心配してくれていた様子の皆さん。まさか睡眠薬を飲まされて捕まるとは、お恥ずかしい限りですね。

「ミラさんはわかる?」
「ミラさんも無事。だけど、敵に絡まれて戦ってるよ」

俺と一緒に捕まったミラさんのことを伝えると、安心した後、少し心配そうに顔を伏せるウェンディとルーシィさん。でも、二人は首を振ると、すぐに気持ちを切り替える。

「今フェイスが発動しちゃったらしいのよ」
「それを止める方法がないか、探してるところだったの」

ルーシィさんとシャルルから事情を聞いて驚く。もうそこまで事態が進行しているのか・・・まずいな・・・

「とりあえずさ~、みんなで中を探そうよ~」
「あい!!早くフェイスを止めないと!!」
「うん!!」
「そうね」
「わかった」

このままここで立ち止まっているわけにもいかない。セシリーとハッピーに言われた俺たちは、すぐにその場から駆け出す。

「どっちに行ってみる?」
「部屋の中でも探索してみよっか」

敵と遭遇する確率は上がるけど、フェイスを止める方法はどこかの部屋にあるような気がする。なので、目についた部屋に飛び込んで何か手がかりを探すということで決定した。
決定した直後、すぐ目の前に扉があったため、その中に入ってみる。

「何?この部屋」

入った部屋を見て、忙しなく動かしていた足を緩める。その部屋には、至るところにモニターが浮いており、怪しい匂いがプンプンする。

「たくさん文字が浮いてる」
「あ!!あの大きい球体、地図みたいですよ?」
魔水晶(ラクリマ)地図・・・みたいな感じ?」

部屋の中央に宙吊りのような形で存在している巨大な球体を見てウェンディと俺がそう言う。

「制御室・・・かしら」
「いきなり当たりキタ~!!」

やみくもに探すことも想定していただけに、あっさりと当たりの部屋に飛び込めたことに喜んでいるセシリー。俺たちはそのまま、巨大魔水晶(ラクリマ)の下にある、操作盤の前に立つ。

「見て!!ここ」
「「・・・あ」」

操作盤の前に立つと、ルーシィさんがすぐにあるものを見つける。

「エルザの言ってた通り、フェイスの封印が解かれたみたい」
「そんな・・・」
「ど・・・どうしよう・・・」

モニター部分にある文字を見て、他のモニターには何が書いてあるのかを確認しながら、止める方法を探す。

「ね~、シャルル~」
「この魔法陣使って、また封印できないのかな?」
「ダメね。完全にロックされてるわ。動かせない」

セシリーたちがフェイスの再封印ができないものかと動いてくれてるが、それもどうやらダメみたいだ。

「あれ?ここには現地での手動操作じゃなきゃ起動できないってあるのに・・・起動してる・・・?」

つまりすでに冥府の門(タルタロス)のメンバーがフェイスの元に行っているということか。ずいぶんと速いな、奴等の動きは。

「これ・・・」

ウェンディが自身の目の前のモニターに書かれているものを見て、ゾッとしていた。

「フェイス発動まで・・・あと41分」
「「「「「!!」」」」」

チクタクと音を立ててカウントダウンされていくタイマー。その時間は、すでに、40分強しか残されていなかった。

「41分!?あとたった41分で大陸中の魔力が!?」
「時間が全然ないよ~!!」
「どうしよどうしよ!!みんなに知らせなきゃうわぁ!!」
「落ち着きなさい、セシリー、ハッピー」

大慌てでジタバタしているセシリーとハッピーを見て、シャルルがそう言う。だけど、彼らのおかげでなんだか逆に落ち着けた気がする。

「ここを壊してもダメ!?」
「無理みたいです」
「起動も解除も、現地のみです」

この場所からではフェイスを止める手立てがない。つまり、やることはすでに決まっている。

「みんなに知らせてる時間はないわね。私たちだけでいきましょ」
「あい!!」
「オッケ~!!」

この事を知っている俺たちでフェイスの元に行き、起動を解除する。フェイスの在処を確認していると、後ろから鈴の音のようなものが聞こえてくる。

「灰暗き、己の祈りは地獄に響く鈴の音か。照らす魔煌は大地を回復せし明星の息吹。
冥界に落ちた妖精の乙女よ、骸となりて煉獄をさまよえ」

そこにいたのは杖をついた、がいこつのような顔をした男。彼は俺たちの進路を塞ぐように仁王立ちする。

「が・・・がいこつ?」
「お面ですよ、きっと」
「二人とも!!そこは驚くところじゃないです!!」

ガクガクと震えている二人・・・いや、よく見たらセシリーたちもビビってるみたいだ。でも、相手はゼレフ書の悪魔って話だし、こんな奴いてもおかしくないんじゃないかな?

「・・・」

チラッと現段階での残り時間を確認する。残り40分31秒か。

「時間がないですね」
「隙を作って脱出しよ」
「はい」

小声でこれからの動きを確認する。とてもじゃないが倒している時間はない。なので、こいつを出し抜いてこの中から脱出することにした。

「早くフェイスを止めないと」
「大変なことになるわ」
「急がないと~!!」

臆していたハッピーたちも気を取り直し準備万端。いつでも飛び立てるようになっている。

「もう大変なことになってるんですよー!!お嬢さん方ー!!ゲヘヘヘヘヘ」
「な・・・」
「一人増えた!!」

がいこつの後ろから、一つ目のオバケみたいな奴が気色悪い笑い声を発しながら現れる。二人に増えた敵、それを止めるべく、ルーシィさんが鍵を取り出す。

「あたしに任せて!!開け!!金牛宮の扉!!白羊宮の扉!!タウロス!!アリエス!!」
「MOぉ!!出番ですかな!?」
「頑張りますぅ!!すみません!!」

巨大な斧を構えたタウロスさんと胸を揺らしながら召喚されたアリエスさん。二人を見た敵は、驚愕しているように見える。

「頼むわよ、二人とも」
「はい!!」
「MO!!」

ルーシィさんに鼓舞され、最初に動き出したのはアリエスさん。

「モコモコウール!!100%!!」
「ぶほぉ!!」

アリエスさんの手からピンクのモコモコが放出され、目の前の敵二人を瞬く間に飲み込んでいく。

「MOぉ!!ウールタイフーン!!」
「ぶほほほほほ!!」

それをタウロスさんが回転しながら斧を振り回すことにより、綿毛を一気に巻き上げながら相手を強襲する。

「今のうちよ」
「あい!!」
「私たちも」
「うん!!」
「頼むぞセシリー」
「まっかせて~!!」

エクシードたちに掴んでもらい、宙に舞い上がる三人。敵はモコモコのおかげでこちらに気付いても動けないみたいだし、今がチャンスだ。

「フェイスの場所わかる?」
「ドクゼリ渓谷の大空洞よ」
「道順は?」
「バッチリオッケ~」

シャルルとセシリーはフェイスの場所をしっかり頭にインプットしてくれていたらしい。これなら道に迷いましたなんてことは起こり得ないだろう。

「アリエス!!タウロス!!あいつらの足止め、お願いね」
「はい!!わかりました」
「MO!!ルーシィさんいい眺めです!!」
「あ!!見るな!!」

ルーシィさんを見上げて目をハートにしているタウロスさん。彼女はスカートの裾を押さえ、顔を赤くしている。

「飛ばすよ」

ハッピーのその言葉と同時に、全員が制御室から一斉に飛び出る。

「みんな!!付いてきてる?」
「はい!!」
「大丈夫です」

通路を高速で飛びながらフェイスを目指す。しかし、そんな俺たちの前に、またしても立ち塞がるものが現れる。

「何?」

その人物を見て全員が目を疑う。そいつは、制御室でアリエスさんたちが足止めしてくれているはずのがいこつだったのだ。

「そんな・・・さっきの部屋にいたはずなのに」
「なんで俺たちよりも先に?」
「先回りされたんでしょうか?」

ここは奴等の本拠地。向こうしか知らない抜け道や近道もあるだろう。だけど、それにしても動きが早すぎる。

「突破するわよ、ハッピー!!」
「あいさー!!」

勢いで敵の間を抜けようと加速していく。それに対し相手は杖をつき、攻撃しようとする。

「見やれ、凶星の――――」
「どっけぇ!!」

攻撃体勢に入っていたがいこつ。しかし、その後ろから彼を殴る一人の青年が現れた。

「グレイさん!!」
「いいところに!!」
「助かります!!」

彼のおかげで相手は半身が無くなり、その場から動けない。今のうちに突破する!!

「ルーシィ!?ウェンディ!?てかシリル、無事だったのか!?」
「ミラさんも無事です!!」

彼の問いに答えながら、その脇を猛スピードですり抜ける。突撃されそうになったグレイさんは、上体を反らせ必死にそれを避けていた。

「ごめん!!急いでるの!!」
「ありがとうございます!!」
「そいつお願いします!!」

いいタイミングで現れた彼にそれだけ言って先にいく。しかしあいつ、なんであんなところにいたんだ?

「待ちな」
「え?うおっ!!」
「ひゃ~!!」

前を見据えて先を急いでいると、横からロープが体に巻き付き引き寄せられる。

「シリル!!」
「セシリー!!」

隣に並んでいた二人が驚いてこちらを振り返る。だけど、今はそんな時間はない。

「二人とも早く!!俺のことはいいから!!」
「シャルル!!ハッピー!!二人をお願い~!!」
「わかったわ」
「ごめんね!!」

先にいくように手を振りながらそう言う。彼女たちも俺たちの考えを理解したらしく、すぐに前を向いて先をいく。

「逃がすか!!」

俺の捕まえた正体。それは、ラクサスさんたちを魔障粒子に感染させたノーランだった。彼はロープを数本作成すると、ウェンディたちめがけて投じる。

「やらせない!!」
「ぶはっ!!」

ウェンディの足に届きそうになったロープ。彼女を助けるため、ノーランの顔面に口から水を噴射させる。息苦しくなった緑の髪をした男は、顔を背け、その結果ロープが少女たちに届くことはなかった。

「クソガキ・・・」

顔を拭きながら睨んでくるノーラン。こいつを見て、ポーリュシカさんから言われたことを思い出した。

「お前の相手は俺だ」

ラクサスさんたちを治す抗体。それを作るためにはこいつの血液が必要。フェイスのこともあるけど、こっちも十分に重要だ。

「頼むぞウェンディ、ルーシィさん」

希望の光の名前を呟き、目の前の敵に構える。大魔闘演武の借りも返す。ラクサスさんたちも助ける。フェイスも止める。全部総取りだ!!










 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルvs.ノーランの構図にうまく合わせられた気がする。
この二人が戦うのはかなり前から決まってましたから、大分戦闘への入り方は考えました。
バトルも大まかには決まっていますが、細かくは相変わらずの勢いです。
さてさて、うまくできるかな? 
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