英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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外伝~クロウの脱獄~後篇
~ノックス拘置所~
「オラアッ!!」
戦闘開始早々ガルシアは全身に闘気を纏ったタックル―――ベアタックルでクロウに襲い掛かった。
「!へへっ、甘いんだよ!これでも喰らえ!」
ガルシアの突進攻撃を側面に跳躍して回避したクロウはクラフト――――ブレードスローをガルシアの背後目掛けて放った。クロウが放ったダブルセイバーはガルシアを襲ったが
「フン!!」
ガルシアは高速回転の蹴り技――――大回転旋風脚で襲い掛かるダブルセイバーを蹴り飛ばした!
「空破――――」
「グッ!?」
蹴り飛ばされたダブルセイバーをすぐに回収したクロウはまるで消えたかのような動きでガルシアに一気に詰め寄って突きを叩きこみ
「絶掌撃!!」
更に背後に回って強烈な一撃を放った。
「……ッ!!」
しかし猟兵時代の実戦で得た勘でクロウの次の攻撃がわかったガルシアは咄嗟に振り向いて手甲でガードし、その際に発生した衝撃によって吹っ飛ばされた。
「まだ終わらないぜ!?虎牙破斬!!」
クロウは反撃を許さないかのように吹っ飛ばされ、受け身を取って着地したガルシアに詰め寄って斬り上げから斬り下ろしの2回攻撃を放ち
「……!そこだっ!!」
「ガッ!?」
クロウの攻撃を手甲で受け流したガルシアは闘気を纏ったアッパー攻撃―――ベアアッパーを叩きこんでダメージを与えた。
「チッ、拘置所にぶち込まれても”グノーシス”の力を得た俺について来られるなんて腐っても”西風の旅団”の腕利きの猟兵か………!アークス駆動――――」
ガルシアから距離を取ったクロウはアーツを放つ為にオーブメントを駆動させたが
「させるかぁ!フンッ!!」
ガルシアは跳躍してクロウ目掛けて渾身の一撃を放った!
「!グッ!?」
ガルシアの攻撃に気付いたすぐに後ろに跳躍したクロウだったがガルシアが渾身の一撃を地面に叩きつけた際に発生した広範囲の衝撃波を受けて怯むと共に、戦術オーブメントの駆動を止められた。
「オラアッ!!」
大地をも破壊する程の渾身の一撃を放つクラフト――――ベア・インパクトを放ったガルシアは続けてクラフト――――ベアタックルに連携してクロウに追撃を叩きこもうとした。
「!!オォォォォ……シャアッ!!」
「グアッ!?」
しかしクロウは襲い掛かるガルシアの突撃を回避した後突撃を終えた事で一瞬だけ無防備になったガルシアの背中にクラフト――――クリミナルエッジを叩きこんでダメージを与えた。
「やってくれるじゃねぇか……!フン!!」
「!甘いぜ!」
反撃代わりに放ったガルシアのクラフト――――大回転旋風脚をバックステップで回避したクロウはすぐに反撃をしたが
「クク、甘いのはテメェだぜ!」
「なっ!?」
何とガルシアは両手でクロウのダブルセイバーを白羽どりをし
「フン!!」
「ガハッ!?」
クロウの武器を両手で封じ込めながら頭突きをしてクロウを怯ませた!
「オォォォォォ………フン!!」
クロウが怯んでいる隙を逃さないガルシアはクラフト――――バーストキックで追撃したが
「!!そらっ!」
「グッ!?」
怯みからすぐに立ち直ったクロウは側面に跳躍して回避した後クラフト――――ブレードスローで反撃をしてガルシアにダメージを与えて怯ませた。
「こいつで終わりだ!受けてみよ、終焉の一撃!!オォォォォォ――――ッ!!」
そしてクロウはガルシアにX状に斬り込んでガルシアの背後へと回り
「デッドリー――――エンド!!」
「ガハッ!?」
ガルシアの背後からダブルセイバーによる突きを放ち、ダブルセイバーで腹を貫かれたガルシアは口から大量の血を吐き、クロウがダブルセイバーを抜くと地面に跪いた!
「―――急所は外しているから安心しな。」
そしてクロウはガルシアに背を向けて去ろうとしたが何とガルシアは立ち上がってクロウを背後から拘束した!
「な―――――」
「クク、腹の立つ話だがムショにぶち込まれた事で腕が落ちている俺が”グノーシス”を投与したテメェに決定的な一撃を叩き込む為にはこの方法しか取れなかったんでな……!だが、もう逃がさねぇぜ!でいっ!!」
クロウを拘束したガルシアはクロウを空高くへと放り投げ
「捕まえたぜ……!落ちろ――――ッ!!」
「カハッ!?」
更に自身が跳躍して落下して来るクロウを捕まえて地面に叩きこんだ!
「グッ……!?腹を貫かれてあんな大技ができるとか、どんだけタフなんだよ……ッ!」
かつて多くの敵兵を屠った、軍用格闘技の奥義であり、ガルシアのSクラフト――――キリングドライバーを受けたクロウは頭から血を流しながら身体を震わせて立ち上がったが
「フン!!」
「ガッ!?」
ガルシアに殴り飛ばされて地面に叩きつけられた!
「ぺッ!大人を舐めんじゃねぇ、クソガキが。」
起き上がって来ない様子のクロウを見たガルシアは口から血が混じった唾を吐いた後クロウを睨んだ。
「まだ………だ……こんな所で終わる訳にはいかねぇ……ッ!」
「チッ、意識はまだあったか。化物にならねぇ内にとっとと気絶させるか。」
クロウが未だ意識を持っている事を見て、かつて”グノーシス”を投与した部下達が”魔人化”し、自分も危うく”魔人化”する事を覚えていたガルシアはクロウが”魔人化”しないようにクロウを気絶させる為に近づいたが
「俺は……今度こそ”約束”を絶対に守るんダァァァァァァァ―――――――ッ!!」
「な――――――」
何とクロウはオルディーネそっくりな魔人へと魔人化した!
「コレハ…………?」
「フフ、やはり君はヴァルド・ヴァレスと同じように”グノーシス”に秘められた”力”を最大限に引き出せるようだね!蒼い”グノーシス”でそれなのだから、紅いグノーシスや新型のグノーシスなら更に”力”を得るだろうね……!」
魔人化したクロウが自身に戸惑っているとヨアヒムが転移魔術でクロウの目の前に現れた。
「なっ!?テメェは……ヨアヒム!!何でテメェが生きていやがる!?」
「フフ、まだやり残したことがあるので、こうして現世に蘇ったのさ。――――それよりも君とこんな所で再会する事になるとは思わなかったよ!どうだい?僕達と一緒について来てくれるなら、君の可愛い部下達やマルコーニ会長の脱獄を手伝うよ?」
「ざけんじゃねぇ!俺達”ルバーチェ”を利用し、壊滅する事になった”元凶”の言う事を信じる訳ねぇし、テメェにだけは死んでも力を借りねぇ!」
ヨアヒムの誘いを聞いたガルシアは声をあげて否定した後怒りの表情で滞空しているヨアヒムを睨みつけた。
「やれやれ、嫌われたものだね。―――さてと興味深い実験データも取れた事だし、厄介な連中が来る前に僕達はそろそろ失礼させてもらうよ。」
「待ちやがれ―――――ッ!!」
ヨアヒムは転移魔術で魔人化したクロウと共にその場から消えた!
「……………………」
その様子を木の枝に止まって見守っていたグリアノスはどこかへと飛び立った。するとその時ガルシアの目の前にいくつもの魔法陣が現れ、魔法陣から悪魔達が次々と召喚された!
「―――――!」
召喚された悪魔の内の一体がガルシアに攻撃を叩き込んだ!
「グアッ!?」
クロウとの戦闘によるダメージが回復し切れていないガルシアは攻撃をまともに受けてしまい、地面に叩きつけられた!
「――――――」
そして悪魔達は手負いのガルシアに止めを刺す為にガルシアに近づいた。
「ここまで……か…………だが、”キリングベア”がただで死ぬと思ったら大間違いだぜ……!」
そして絶体絶命の状況に陥ったガルシアが覚悟を決めたその時!
「やれやれ……そんな殊勝な言葉を言うなんてらしくねぇぜ?」
「!」
何と聞き覚えのある青年の声が聞こえ、その瞬間怒涛の銃撃が悪魔達に叩きこまれ
「喰らえ―――ベルゼルガー!!」
「―――――!!??」
悪魔達に一気に詰め寄ったランディがブレードライフルの刃の部分で無数の斬撃を叩きこんで悪魔達を滅した!
「無事か、ガルシア!?」
ランディがガルシアに止めを刺そうとした悪魔達を滅するとロイド達が駆け付けてガルシアを守るかのようにガルシアの前でそれぞれの武器を構えた!
「お前ら…………」
「……どうやら間に合ったようですね。」
「キーアちゃん!ガルシアの治療をお願い!」
「うん……!ガルシア、今治すからね……!」
自分達の様子を呆けて見つめているガルシアの状態を見たティオは安堵の表情で呟き、エリィの指示に頷いたキーアは魔術でガルシアの治療を始め
「――――!」
「……感じる霊圧からして、”碧の大樹”に徘徊していた悪魔達とほぼ同等と言った所か。」
まだ残っている悪魔達の強さを感じ取ったワジは真剣な表情で呟いた。
「まずはガルシアを治療するキーアを守りながら悪魔達を殲滅する!」
「イエス・サー!」
そしてロイドの号令にノエルは頷き、仲間達と共にその場にいる悪魔達を殲滅した!
「………何とか殲滅できましたね。」
戦闘を終えたノエルは安堵の溜息を吐き
「クク、まさかこの俺がお前らに命を助けられる羽目になるとはな……俺もヤキが回ったもんだぜ。」
ガルシアは口元に笑みを浮かべてロイド達を見つめていた。
「随分と追い詰められていたみたいだが……一体何があってああなったんだ?」
「もしかして悪魔達にやられたのですか?」
「………………その前に一つ聞きたい事がある。ヨアヒムの野郎は本当に死んだのか?」
ランディとティオに尋ねられたガルシアは黙り込んだ後真剣な表情でロイド達を見つめて尋ねた。
「それは………………」
「…………―――確かにヨアヒム・ギュンターは”太陽の砦”で死んでいるし、彼と直接戦った俺達が彼が消滅する瞬間を見ていた。だけどヨアヒムは”亡霊”となってこの世に留まり続けているんだ。」
ガルシアの問いかけに対する答えにエリィが判断に迷っている中、ロイドは静かな表情で答えた。
「フン、そんなヨタ話、普通なら笑い飛ばす所だが悪魔が存在しているから亡霊がいてもおかしくないな。…………という事は俺は幻覚を見た訳じゃないという事だな。」
「そこで彼の名前が出て来るという事はやはり今回の騒動の元凶はヨアヒム・ギュンターなのかい?」
ロイドの答えを聞いたガルシアが納得している中、ワジが質問を続けた。
「ああ。で、俺があんな傷を負っていたのはあの忌々しいヤク―――”グノーシス”を使った野郎の仕業だ。」
「なっ!?ヨアヒム以外の人物が今回の騒動に関わっていたんですか!?」
「……ちなみに”グノーシス”を投与したその人物はどんな特徴だったんだ?」
ガルシアの話を聞いたノエルは驚き、真剣な表情で考え込んでいたロイドはガルシアに尋ねた。
「……銀髪で漆黒のコートで、頭にバンダナを巻いたガキだったな。得物は随分と珍しい物を使っていたぜ。」
「銀髪に漆黒のコート、頭にバンダナですか…………」
「何かごく最近に見た記憶がある特徴だよな……?」
「…………………」
ヨアヒムの協力者の特徴を聞いたティオとランディが考え込んでいる中、キーアは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「珍しい武器を使っていたって言っていたけど……どんな武器だったのかしら?」
「双刃剣―――ダブルセイバーだ。」
「ダブルセイバー…………暗黒時代に創られたという古の武器か。そう言えばミシェラムでエリゼと一騎打ちをした例のテロリストのリーダーもダブルセイバー使いだったよね?」
エリィの質問に答えたガルシアの話を聞いて何かに気付いたワジはロイド達に尋ねた。
「あ……じゃあガルシアさんと戦った人というのはまさか……!」
「”Ⅶ組”のバンダナ野郎か!」
「ああ……という事は彼が脱獄した可能性は高いな……ただ何故ヨアヒムと何の接点もない彼がヨアヒムと手を組んだのかがわからないな……―――とにかくまずは拘置所にいる悪魔達の掃討と拘置所で戦い続けている元国防軍の兵士達の救援が先だ。―――ガルシア、事情は課長たちから聞いている。俺達が来るまでの間悪魔達の掃討に手を貸してくれた事……感謝する。」
「フン、今回の件を盾に俺達の罪を軽くしてもらう為に手を貸してやっただけだ。礼を言われる筋合いはないぜ。」
ロイドに感謝の言葉を送られたガルシアは鼻を鳴らして答えた。
「という事は”ルバーチェ”の”減刑”の為に協力してくれたのですね。」
「局長達なら”特別措置”として減刑する可能性は高いだろうねぇ?」
「そうね……実際”リベールの異変”の時、クーデターを起こしたリシャール大佐を始めとした”情報部”がリベールの窮地に駆け付けてリベールを救援し、その事によって減刑されて釈放されたという例があるから、それを考えたら”ルバーチェ”の減刑もありえるでしょうね……」
「ううっ、微妙に複雑な気分です……」
「ったく、相変わらず図体のわりに抜け目がない野郎だな。」
ガルシアの答えを聞いたティオは目を丸くし、口元に笑みを浮かべて呟いたワジの推測を聞いたエリィとノエルは疲れた表情をし、ランディは呆れた表情で溜息を吐き
「―――それでも悪魔達の掃討に協力してくれた事は事実だ。―――ありがとう。ここからは俺達の仕事だ。今まで手伝って貰っておいて悪いとは思うけど、あんたがいる部屋まで同行してもらうぞ。」
「フン、好きにしな。」
その後ロイド達はベルガード門やクロスベル市からの援軍のクロスベル帝国軍やクロスベル警察と連携して拘置所内の悪魔達を掃討した。
こうしてクロウはヨアヒムと手を組む事でノックス拘置所からの脱獄を成功させた。なおロイド達が来るまで元国防軍の兵士達と共に悪魔達を掃討したガルシアの功績によって、後に”ルバーチェ”全体の”減刑”が認められ、その結果本来の懲役に課せられた年数が数年縮まったという………………
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