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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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外伝~クロウの脱獄~中篇

~クロスベル市・オルキスタワー~



「―――失礼します、ヴァイス様。ノックス拘置所より救援の要請が来ています。」

「救援の要請だと……?―――何があった。」

ノックス拘置所で騒動が起きている中、オルキスタワー内の一室で執務を行っていたヴァイスは部屋に入って来た黒髪の女性―――リセル・ザイルードの報告を聞いて目を細めた。

「ハッ。何でも”D∴G教団事件”の際に現れた悪魔達が突如拘置所内に現れ、暴れているとの事です。」

「何?……―――!亡霊となったヨアヒム・ギュンターの仕業か!しかし何故ノックス拘置所を襲撃した……?―――いや、今はそれよりも悪魔共の掃討が先だな。状況はどうなっている?」

「………襲撃当初は圧されていたとの事ですが、警察学校に詰めていた元国防軍の兵士達の応援と戦闘の最中にどんな手段で出たかわかりませんが、拘置所の部屋から出て来た囚人の一人―――ガルシア・ロッシが加勢してから徐々に持ち直しているとの事です。」

「”キリングベア”が加勢だと……?―――フッ、ロイド達の影響を受けたのかもしれんな。――――ベルガード門にいるミレイユに連絡し、直ちにノックス拘置所に援軍に向かい、悪魔共の掃討をせよと伝えろ!それとクロスベル警察にも準備ができ次第、ノックス拘置所の応援に行くように伝えろ!」

予想外の人物が協力している事を知ったヴァイスは静かな笑みを浮かべた後指示をした。

「御意!………ヴァイス様、ロイドさん達には知らせますか?」

「………………ようやく悲願を果たしたばかりのあいつらを今働かせるのは正直気が進まないのだが、あいつらと色々と因縁があるヨアヒムが関係しているかもしれんから黙っている訳にもいかんな……―――セルゲイには既にベルガード門の援軍やクロスベル警察の応援が向かう事が決定している為”特務支援課”は待機していても構わないが、ノックス拘置所の援軍に行くかどうかの判断はそちらに任せると伝えてくれ。ただし、今回の襲撃が”囮”で”本命”は奪還したばかりのキーアの可能性もあるから、ノックス拘置所の援軍に行くのであればくれぐれも用心して置く事も伝えてくれ。」

「ハッ!」

10分後、ノックス拘置所での騒動がセルゲイにも伝えられた。



~特務支援課~



「………了解しました。……………………」

「課長、何かあったんスか?」

通信を終えて厳しい表情で黙り込んでいるセルゲイが気になったランディは不思議そうな表情で尋ね

「―――先程オルキスタワーのリセル皇妃から直通の連絡が来た。」

「え……リ、リセルさんからですか?」

「一体何の連絡でしょうか?」

セルゲイの答えを聞いたティオは戸惑い、ノエルは不思議そうな表情で尋ねた。



「ノックス拘置所が現在襲撃を受けているとの事だ。」

「なっ!?」

「今の状況で一体どこの勢力がノックス拘置所を襲撃しているのですか!?」

セルゲイの口から語られた驚愕の事実にロイドは驚き、エリィは厳しい表情で尋ねた。

「……かつてヨアヒム・ギュンターが召喚し、クロスベルを襲撃させた悪魔共との事だ。それを考えると恐らく今回の襲撃の件……お前らの話にあった亡霊となったヨアヒム自身が関わっていると思われる。」

「!!」

「あの野郎の仕業か!」

「ですが何故ノックス拘置所を襲撃したのでしょう?ヨアヒムの狙いはキーアなのですから、襲撃をするとすれば間違いなくクロスベルだと思うのですが……」

「フム……何か目的がある事は間違いないだろうな。」

セルゲイの説明を聞いたロイドは目を見開き、ランディは厳しい表情で声をあげ、ティオとツァイトはそれぞれ真剣な表情で考え込んでいた。



「課長、現在はどうなっているのですか?」

「確か拘置所の守備は解放された元国防軍の兵士達だよね?」

「”六銃士派”程ではないとはいえ、彼らもそれなりの経験を積んでいるのですから、そう簡単にやられないと思うのですが……」

かつて特務支援課に所属し、ロイド達に協力する為に再びクロスベル戻って来たウィルの娘達―――セティはセルゲイに尋ね、セティの妹であるシャマーラとエリナはそれぞれ考え込んでいた。

「襲撃当初は圧されていたそうだが、今は何とか持ちこたえているとの事だ。それと”キリングベア”が悪魔共の掃討に手を貸しているらしい。」

「ハアッ!?」

「ええっ!?」

「あの人が…………」

セルゲイの答えを聞いたランディとエリィは驚き、ティオは目を丸くし

「フフ、ロイドの脱獄を手伝った影響で更生したのかもしれないねぇ?」

「ハハ…………――それで課長、俺達も行っても構いませんか?」

静かな笑みを浮かべるワジに視線を向けられたロイドは苦笑した後すぐに表情を戻して尋ねた。



「やっぱりそう言うと思ったぜ……キーアを取り戻したばかりなのに、大丈夫か?リセル皇妃からはノックス拘置所への応援に行くかどうかは自由と言われているし、既にベルガード門や一課の連中がノックス拘置所への救援に向けて動いているから、”碧の大樹”での決戦による疲労を抱えているお前らが無理して行く必要はないんだぜ?」

ロイドの質問を聞いたセルゲイは疲れた表情で溜息を吐いた後真剣な表情で尋ねた。

「―――それでもクロスベル警察に所属している者達として、救援に行くべきです。ノックス拘置所襲撃事件の”真実”を掴む為に。」

「ロイド…………」

「……ですね。それにヨアヒムが関わっている可能性が高いんですから、行かないという選択肢はありえません。」

「当然あたしも元国防軍に所属していた者として、元国防軍である彼らを救う為にも行きます!」

「それに休憩なら十分取ったし、以前のヨアヒムの野郎のクロスベル襲撃によるIBCでの攻防や”太陽の砦”での戦いと比べたら、天と地の差だぜ!」

「悪魔が関わっているんだから、”専門家”の僕が行かない訳にはいかないよ。それに”メルカバ”を使えばすぐに着けるだろう?」

ロイドの答えを聞いたエリィは微笑み、ティオは静かな表情で頷き、ノエルは決意の表情で答え、ランディとワジは口元に笑みを浮かべて答えた。



「ったく、しゃあねぇな……――ただし、全員で行くのはやめておけ。下手したら今回の襲撃事件を知ったお前らが出張っている隙を狙ったヨアヒムがキーアを攫うかもしれねぇと局長―――いや、ヴァイスハイト陛下が推測していたとリセル皇妃から忠告があった。」

「あ……」

「確かにその可能性は高そうですね……」

「もしかしたらその為に今回の襲撃事件を起こしたのかもしれないな……」

「……………………」

セルゲイの指摘を聞いたエリィは呆け、ティオは心配そうな表情で、ロイドは真剣な表情で考え込みながら複雑そうな表情で黙り込んでいるキーアを見つめた。

「―――でしたら私達が残ってキーアを守ります。」

「後でリーシャさんにも事情を説明して、こちらに来て貰ってキーアの守りに一緒についてもらいますので安心してください。」

「ロイドさんはあたし達の代わりに拘置所の人達を助けてあげて!」

「ならば念の為に私も残っておこう。」

「……わかった。キーアの事は頼む。」

セティ達とツァイトの申し出を聞いたロイドは静かな表情で頷いたが

「ロイド……みんな……キーアも手伝わせて……!キーアのせいで傷ついた人達を治してあげたいの……!」

「キーア…………」

未来のキーアが申し出ると複雑そうな表情で考え込んでいた。



「ロイド……お願い……未来のキーアをキーアの代わりに連れて行ってあげて……!」

「…………―――わかった。だけど決して無茶はしない事と絶対に俺達の傍を離れない事を約束してもらうぞ?」

子供の方のキーアに嘆願されたロイドは頷いた後未来のキーアを見つめた。

「うん……!」

「よし―――急いで”メルカバ”に乗って、ノックス拘置所に向かうぞ!」

「おおっ!!」

そしてロイドの号令に頷いた仲間達は急いでビルを出てクロスベル郊外に停泊している”メルカバ”に向かって行った!



~ノックス拘置所~



「なっ!?だ、脱走者だ!」

「絶対に逃がすな……ッ!」

「邪魔なんだよ!」

「「グアッ!?」」

ロイド達が行動を開始している頃、拘置所の出入り口まで来たクロウは襲い掛かって来た兵士達を一撃で気絶させた。

「チッ、せめて押収された俺の武器を取り戻したかったんだがな……」

「フフ、君の武器と戦術オーブメントはこれでいいのだろう?」

クロウが少しの間考え込んでいるとヨアヒムが現れ、クロウにダブルセイバーとARCUSを手渡した。

「…………ああ。一応礼を言っておくぜ。」

「礼ならこの拘置所を出た後にしたまえ。そうそう少々面倒な相手が待ち構えているから、気を付けたまえ。」

クロウに忠告したヨアヒムは再び転移魔術で消え

「チッ、だったら、手伝えっつーの。」

ヨアヒムが消えるとクロウは舌打ちをして拘置所から出た。そして拘置所から出るとガルシアが待ち構えていた!



「フン、まさかこんなクソガキが今回の騒動の原因とはな……」

「お前は確か…………―――ハッ、囚人にまで騒動の鎮圧を手伝わせるとか、クロスベルはよっぽど人手不足のようだな?」

自分を睨んで拳を構えているガルシアを見たクロウは嘲笑し

「………………テメェ。俺達”ルバーチェ”が破滅した原因のあの忌々しいヤクに手を出しやがったな?一体どこでそれを手に入れた?」

ガルシアはクロウの周囲を纏う瘴気や真紅の瞳を妖しく輝かせているクロウを見てクロウがかつての自分達のように”グノーシス”を投与した事を察した後、厳しい表情でクロウを睨みつけて問いかけた。



「……さあな。そんな事、俺を制圧した時に尋問や拷問で聞けばいいんじゃねぇのか?―――最も、出来立ての部署である”特務支援課”に敗北したお前如きじゃ俺を制圧できねぇだろうがな。」

「クックックッ……まさかこんなクソガキにまで舐められるとはな……”キリングベア”も落ちたもんだぜ。オォォォォォォ―――――ッ!!」

クロウの言葉を聞いて不敵な笑みを浮かべたガルシアは気功技――――絶倫功で全身に膨大な闘気を纏うと共に身体能力を上昇させた!

「クク、幾らあの忌々しいヤクをやっている奴とは言え、今回の騒動の原因のテメェを警察に突き出して俺達”ルバーチェ”の罪状が少しでも軽くする為にも、命までは取るつもりはねえ……だが、”キリングベア”を舐めたんだ……手足が折られる事は覚悟してもらうぜ!」

「ハッ、やれるものならやってみな!”鉄血”に尻尾を切られた三下が!」

そしてクロウはガルシアとの戦闘を開始した! 
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