英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第36話
~オルキスタワー・屋上~
「焼エロ!!」
戦闘が始まるとディーターは片手の炎を宿らせて敵を攻撃するクラフト―――炎刃掌をヴァイスリッター目掛けて放ったが
「させません!そこっ!!」
「グッ!?」
クラフト―――残月で回避されると共に反撃されて怯んだ。
「隙は見逃しません!たあっ!!」
「ガアッ!?」
ヴァイスリッターの追撃によって頭を攻撃されたディーターは更に怯んだ。
「滅ビヨ!!」
しかしすぐに立ち直ったディーターは大地の衝撃波を身体から放つクラフト―――地陣弾で反撃し
「ヴァイスリッター、パトリオットフィールド展開!!」
「承知――――」
ヴァイスリッターは結界を展開して襲い掛かって来た衝撃波を防御した。
「オオオオオオッ!!」
ヴァイスリッターが防御態勢に入っている間にディーターは攻撃の手を休めず片手に霊力を溜め込んで電撃を発生させた。
「追撃をさせるな!」
「クロスミラージュ!!」
「行け!!」
「ガアッ!?」
「デミガンナー起動………ホーリーバースト!!」
しかしダドリー、エリィの銃撃、ロカの魔導鎧から放たれた砲撃、ティオの魔導杖から放たれた魔法弾を受けて怯んだ事によって追撃を中断した。
「みんな、頑張って!―――クロノドライブ改!!」
「敵が怯んでいる内に追撃するぞ!ロードアルザ!!」
「はい!ブレイブスマッシュ!!」
「グウッ!?」
そしてオーブメント無しで放ったキーアのアーツによって身体能力が上昇したヴァイスとロイドはそれぞれの武器で強烈な一撃をディーターに叩きつけ
「クク、まだ終わらないぜぇっ!!」
「追撃、貰ったぜ!!」
「ガアッ!?」
二人とそれぞれの戦術リンクを結んでいるギュランドロスとランディは二人の攻撃によって怯んだディーターに追撃した。
「邪魔ダ!!」
ロイド達の攻撃を受けたディーターは反撃代わりに無数の雷をロイド達に落とし
「クッ……!」
「一端下がれ!!」
反撃に気付いたロイド達は自分達に攻撃が命中するギリギリで後ろに跳躍して退避した。
「オォォオオォォ――――ッ!!」
ディーターは続けて後方にいるエリィ達に無数の雷を落としたが
「お願い、イーリュン!キーア達を守って……!」
キーアが展開したドーム型の結界に阻まれてしまい、エリィ達にダメージを与えられなかった。ディーターが放った雷はヴァイスリッターにも襲ったがヴァイスリッターが展開した結界には魔法反射の効果もあった為ヴァイスリッターに命中した雷はディーターに反射した。
「ガアッ!?」
「無の型―――落葉!ハアッ!!」
「グッ!?」
反射した攻撃を受けて怯んだディーターの隙を逃さないかのようにヴァイスリッターはボディにアッパーを叩き込んだ後続けて跳躍して頭を叩きこんでディーターを怯ませた。
「我ガ刃ヲ受ケヨ……!」
度重なるダメージを受けたディーターは巨大な腕を刃と化させて振り下ろしの構えをした。
「奴の動きを少しでも封じ込めろ!アークス駆動―――カラミティクロウ!!」
「はい!アークス駆動―――クロノダウン!!」
「アークス駆動―――ダークマター!!」
「エニグマ駆動―――カラミティクロウ!!」
「ハァァァァァ……!!」
「ディーター、もう止めて!」
「オォォォォォォオオォォォ……!?」
その時ヴァイスの号令を合図にロイド、エリィ、ダドリーが次々と敵の動きを制限するアーツを発動し、ティオはクラフト―――魔眼で、そしてキーアはクラフト―――叱咤でディーターの動きを封じ込めようとしていた。
「こいつはどうだ!?」
「ガアッ!?」
そしてランディが投擲したスタングレネードがディーターの頭で炸裂するとディーターは目が眩んだ事によって更に怯み
「こいつで沈めぇっ!延髄砕き!!」
「壊山槍!!」
「ガアッ!?」
ギュランドロスとロカは強烈な一撃をボディに叩きつけてディーターをのけ反らせ
「ハアッ!!」
「グッ!?」
そこにヴァイスリッターが追撃をしてディーターを更に仰け反らせた。
「―――お待たせしました、皆さん!」
「私達も加勢に来ました!」
するとその時ルフィナがホールで待機していたメンバーであるリーシャ達と共に現れ
「なっ!?ほ、本当にあの魔人がディーター大統領なんですか!?」
「ああ……!―――ワジ!ディーターさんを元に戻せるように頼めるか!?」
変わり果てた姿に驚いているノエルの言葉に答えたロイドはワジに視線を向け
「魔人化の解呪なんてやった事がないから、正直成功するかわからないけど、全力でやらせてもらうよ。だけどその前にもう少し弱らせる必要があるな。」
ワジは疲れた表情で答えた後真剣な表情でディーターを見つめた。
「わかった!みんな!まずはディーターさんを弱らせるぞ!」
「おおっ!!」
その後ロイド達は戦闘を再開し、協力してディーターを弱らせ続けた。
「メテオ……ブレイカー―――――ッ!!」
「ガアッ!?」
「今です、エリゼさん!」
戦いの最中強烈な一撃をディーターに叩きつけてディーターを怯ませたロイドはヴァイスリッターに視線を向けた。
「はい!ハァァァァァ……!破甲拳――――――ッ!!」
「ガアアアアアアア――――ッ!?」
そしてヴァイスリッターは強烈な一撃をディーターに叩きつけた。すると魔人化したディーターの身体は赤紫色へと変化した!
「オオオオオオッ…………!」
全身が赤紫色になったディーターは両手を上げて叫び
「―――来るぞ!全員、後方に退避!!」
ディーターの行動がわかっていたロイドの警告を聞いたその場にいる全員はディーターが両手を地面に叩きつけたと同時に後方へと退避した。ロイド達が行動を開始した瞬間、ロイド達がいた場所にディーターの両手の一部が生え、それを見たロイド達はそれぞれが持つ遠距離手段の攻撃で両手の一部を破壊した!
「オオオオンン………!」
するとその時ディーターは全身から赤紫色の光を放って暴れ出し
「こ、これはあの時と同じ……!」
「ヨアヒム死亡時の報告にあったやつか……!」
「気をしっかり持ってください、おじさま!」
その様子を見ていたノエルは目を見開き、ダドリーは厳しい表情で声をあげ、エリィは悲痛そうな表情で声を上げた。
「ワジ!」
「了解。」
そしてロイドに視線を向けられたワジは背中に”聖痕”を顕させて祈りの動作を始め
「私もお手伝いします、ヘミスフィア卿。」
「勿論私も。」
「キーアも!」
ワジに続くようにルフィナ、ロカ、キーアはそれぞれ祈りの動作を始めた。
「『天にいます我らが主よ。魔に引かれし哀れな迷い子を御身の光で呼び戻さんことを……我が深淵にて煌めく蒼金の刻印よ……光となって昏き瘴気を払い、迷い子の道を指し示せ―――!』」
「『天にいます我らが主よ。魔に引かれし哀れな迷い子を御身の光で呼び戻さんことを……女神よ、哀れなる迷い子の昏き瘴気を払い、迷い子の道を指し示したまえ―――』」
「『”軍神”よ、魔に誘われし哀れなる者に御身の光で正しき道を示したまえ――――』」
「『”癒しの女神”よ、御身の愛にて哀れなる迷い子に救いを――――』」
4人の祈りによって、魔人化したディーターは淡い光に包みこまれ、そして光が消えるとそこには人間に戻ったディーターが倒れているかと思われていたが――――
「アアアアアアアア―――――ッ!?」
何とディーターは人間の姿に戻っておらず、未だ魔人の姿のまま苦しみ続けていた!
「なっ!?」
「そ、そんな……条件はアーネストの時と同じ……いえ、あの時と違ってキーアちゃん達も手伝っているのに、どうして元の姿に戻らないのですか!?」
予想外の出来事にロイドは驚き、ノエルは信じられない表情をし
「……もしかして新型の”グノーシス”のせいでしょうか?」
「!!そう言えば、ヨアヒムやアーネストの時と違い、紅い光を放っているのではなく赤紫色の光を放っているな……!」
ティオの推測を聞いたダドリーは目を見開いてディーターを見つめた。
「後は彼がアーネストのように踏み止まっていない事も原因の一つだろうね。確かケビンの報告ではロイドの言葉が無かったら自分の力でもアーネストは助けられなかったって書いてあったよ?」
「わかった……!―――ディーターさん!気をしっかり持ってください!マリアベルさん達に利用されて裏切られた事はショックだと思いますが、それでも貴方は生きるべきです!」
ワジの推測を聞いたロイドはディーターを見つめて声をあげ
「おじさま!おじさまは絶対に助かります!だから絶対に諦めないで下さい!」
エリィも続くようにロイドと肩を並べて声を上げた。
「ググ……ガガガ…………」
ロイドとエリィの叫びを聞いたディーターは何も答えず唸り
「よし、その調子だ!」
その様子を見たダドリーは明るい表情をした。
「アアアアアアアアアアアッ!」
しかしその瞬間ディーターは再び苦しみだし、収まっていた赤紫色の光が再び出始め、さらに激しい赤紫色の光を放ち始めた!
「そ、そんな!?どうして二人の声が届いていないんですか!?」
「クッ、これも新型の”グノーシス”によるものなのか……!?」
ディーターの様子を見たノエルは悲痛そうな表情をし、ダドリーは唇を噛みしめ
「聖職者で駄目なら本物の女神に頼るしかないんじゃねえのか!?」
「エイドスさんですか……確かにエイドスさんやその母親であるフィーナさんでしたら可能かもしれませんが……」
「―――問題は空の女神やフィーナがここに到着するまでにディーターが身体を保っていられるかだぞ。」
「ああ。今から呼んだとしても、間に合わねぇぞ。」
ランディの提案を聞いたティオが複雑そうな表情をしている中、ヴァイスとギュランドロスは重々しい様子を纏って呟いた。
「!―――いえ、どうやら間に合ったようです。」
「え……」
一方何かに気付いて空を見上げて呟いたルフィナの言葉を聞いたロイドが呆けたその時、何とロイド達の頭上に”メルカバ”の伍号機が滞空し、そしてエイドスが甲板から跳躍して着地する瞬間風の魔力を纏って落下の勢いを殺し、ロイド達の前に着地した!
「―――お待たせしました。ルフィナさんから通信で事情を聞いたケビンさん達が急がせてくれたお蔭で何とか間に合ったようですね。」
「貴女は……!」
「女神様……!どうか御身の御力で、おじさまを救ってあげてください……!」
エイドスの登場にロイドが驚いている中、エリィはエイドスに懇願するかのように頭を深く下げた。
「………………”正義”を求めるあまり、”真の正義”を忘れた挙句娘や信頼していた仲間に裏切られ、あのような姿になってしまうとはもはや哀れとしか言いようがありませんね…………貴方が犯した”罪”は決して許されるものではありませんが、それでも貴方は貴方を裏切った娘達と違い、まだ戻って来れる”領域”にいます。かつて荒れ果てた世界を希望溢れる世界にする事を夢見た貴方の先祖に免じて、貴方が生きて己の罪を償う事を”空の女神”であるこの私が許します。」
エイドスは前に出て静かな表情でディーターを見つめた後全身から膨大な神気を解放して祈りを捧げた。
「イースよ……魔に墜ちし哀れなる迷い子に御慈悲を……七耀の光よ、昏き瘴気を払い、迷い子に道を指し示せ。卑しき闇よ、退け――――!」
エイドスが詠唱を終えるとディーターは虹色の光に包みこまれ
「こ、これは……!」
「に、虹色の光……?」
光に包まれたディーターの様子を見たロカが驚き、ティオが戸惑っていたその時、光に包まれたディーターは人間の姿で倒れていた!
「あ……」
「も、戻った……!」
「”奇跡”……」
「これが”空の女神”の”力”…………」
人間の姿に戻ったディーターを見たノエルとロイドは明るい表情をし、リーシャといつの間にかヴァイスリッターから降りていたエリゼは呆け
「喜ぶのはまだ早いぞ!生きてるかどうか確かめろ!」
「!はい!」
そしてヴァイスの言葉に我に返ったロイドはディーターの状態を確かめた。
「よかった……衰弱はしているけど、命に別状はないみたいだ。」
「そうか……!」
「ハハ、さすがは”空の女神”だぜ!」
「フフッ、言葉通り”女神の御慈悲”になったね。」
「言われてみればそうですね。」
ロイドの答えを聞いたダドリーとランディは明るい表情をし、静かな笑みを浮かべるワジの言葉を聞いたルフィナは苦笑した。
「ううっ……よかった………女神様、本当にありがとうございました……!このご恩は一生忘れません……!」
「フフ、気にしないで下さい。というか本来ならこの時代の私は既に天に召されていますし、そんな細かい事を忘れても私は責めませんよ♪」
涙を流すエリィに感謝されたエイドスは苦笑した後親しみのある笑顔を浮かべ、エイドスの答えを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。
「え、え~と……」
「少しは空気を読んでから発言してください。」
「さすがはエステルちゃんの先祖だけあって、とんでもない天然だよな……」
ロイドは困った表情をし、ティオはジト目で指摘し、ランディは苦笑していた。
「ねえねえ~……キョクチョーとシレイはディーターの事、許してくれる~?」
「あ…………」
その時キーアがヴァイスとギュランドロスを見つめて問いかけるとエリィは二人がディーターを処刑するつもりであった事を思い出して不安そうな表情で仲間達と共に二人を見つめた。
「本来ならこの場で処刑するつもりであったが……―――ディーターがヨアヒムによって魔人化した時点でその気は失せた。」
「せっかく助かったそいつを処刑したら俺達の”皇としての器”が小さく見られちまう事もそうだが、お前らが苦労してその男を助けようとしたんだ。お前らのその努力に免じて、その男には生きて償いをさせるつもりだぜ。」
「そうですか……!」
「本当にありがとうございます……!お二人の寛大な御心に心から感謝致します……!」
ヴァイスとギュランドロスの答えを聞いたロイドは明るい表情をし、エリィは頭を深く下げた。
(フフ、どうやら私の嘆願は必要なかったようですね……)
それぞれが喜び合っている中その様子をエイドスは微笑ましく見守っていたがすぐに表情を引き締め
(彼は許しましたが、貴女方は許しませんよ?マリアベル・クロイス並びに”D∴G教団”―――!)
厳しい表情で”碧の大樹”を睨んでいた。
その後リセル達やパテル=マテルの片手に乗ったレンがその場に現れた後ヴァイスとギュランドロスは”クロスベル帝国”を建国した事を宣言し……それぞれに指示を与えたギュランドロスは仲間達と共にその場から去り、ヴァイスやレン、そしてマルギレッタ達はその場に残った。
そしてロイド達はキーアを奪還する為に”碧の大樹”に向かう事にし……クロスベル帝国が建国された事で任務を終えたエリゼはロイド達に別れを告げてヴァイスリッターでその場から去った。
こうして……ディーター大統領の独裁によって支配されていたクロスベルは解放され……”六銃士”とその仲間達によって”クロスベル帝国”が建国された……!
ページ上へ戻る