英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第35話
~オルキスタワー・屋上~
「ど、どういう事だ!?どうして”至宝”からの供給がいきなり止まるのだ……!?」
「まぁ。余計な事をしている暇がなくなったからだろうねぇ。」
ディーターが混乱していると”結社”の”蛇の使徒”の一人であり、”十三工房”の責任者でもあるF・ノバルティスが転移の光と共に現れた!
「”結社”の……!」
「”第六柱”F・ノバルティス……!」
「あの男が”十三工房”の……!」
ノバルティスを見たロイドとエリゼ、ルフィナは厳しい表情でノバルティスを睨んだ。
「ノバルティス博士……一体、どういうことだ!?まさか”結社”が機体に何かを仕掛けていたのか!?」
「フフ、前にも言ったようにあくまで今回は手伝いでね。良いデータも取れたことだし、そろそろ私も失礼させてもらうよ。契約通り、そちらの最終型と共にね。
「契約だと……!?馬鹿な、この機体はこちらが”結社”から買い上げたものだ!持って行かれる道理などない!」
自分の問いかけに対して答えたノバルティスの答えを聞いたディーター大統領は怒りの表情で叫んだ。
「いやいや、実は契約内容にちょっとした変更があってね。用済みになった機体をこちらに回収させてもらうよう、取り計らってくれたのだよ。――――閣下の令嬢、マリアベル・クロイス嬢がね。」
「な………」
ノバルティスの説明を聞いたディーター大統領が呆けたその時
「ウフフ……その通りですわ。」
ロイド達にとって聞き覚えのある娘の声が聞こえてきた!
「こ、この声は……」
「ベル……!?」
声を聞いたロイド達が驚いたその時、空間にディーター大統領の娘であり、”クロイス家”の”魔導”を受け継いだマリアベル・クロイスの顔が映った画面が現れた!
「ベル……これは一体……?それに一体、どこにいるんだ!?オルキスタワーではないのか!?」
「フフ、わたくしはとっくにそちらを後にしていますわ。キーアさんたちと一緒に。」
「な……!?」
「…………………」
マリアベルの話を聞いたロイドは驚き、キーアは複雑そうな表情で黙り込み
「た、確かにどのフロアにもいなかったみたいだけど……」
エリィは厳しい表情で言った。するとその時シグムント、シャーリィ、アリオス、そして不良集団”サーベルバイパー”の”頭”であり、自身のある事情によってマリアベル達に力を貸す事に決めたヴァルド・ヴァレスの顔が映った画面が次々と現れた!
「アリオスさん……!」
「マクレイン……!」
「叔父貴……!シャーリィ……!」
「ヴァルドさんまで………」
アリオス達を見たロイドやダドリー、ランディは声を上げ、ティオは厳しい表情をした。
「…………………」
アリオスは何も語らず黙り込み
「クク………」
「うーん!盛り上がってきたねぇ!」
「ケッ……」
シグムントは好戦的な笑みを浮かべ、シャーリィは嬉しそうな表情で叫び、ヴァルドは舌打ちをした。その時エニグマの音が鳴り始め、音に気付いたヴァイスは通信を開始した。
「俺だ……ああ……ああ……わかった。全員タワー屋上に来てくれるように指示を出してくれ。そこで”最初の指示”をだす。………”赤の戦鬼”、”血染め”。貴様らにとっては絶望的な情報をこの場で教えてやろう。」
通信を終えたヴァイスは不敵な笑みを浮かべ
「ほう……?」
「なになに~?」
シグムントとシャーリィは興味深そうな表情をした。
「―――俺達の仲間達や警備隊員達が既に市内の防衛に当たっていた”赤い星座”の猟兵達は一人残らず全て殲滅したそうだ。」
「何っ!?」
「ええっ!?」
「なっ!?」
不敵な笑みを浮かべて言ったヴァイスの話を聞いたシグムントやシャーリィ、ランディはそれぞれ驚きの表情で叫んだ。
「事実上貴様らが最後の”赤い星座”の猟兵になったようだな?」
「クク、これで”大陸最強”と謳われた”赤い星座”も終わりだなあ?」
ヴァイスとギュランドロスは不敵な笑みを浮かべ
「貴様ら……………!よくもガレスたちを…………!」
「そっか……………ガレスやみんなもザックス達のように逝っちゃったんだ…………」
シグムントは怒りの表情で呟き、シャーリィは静かな口調で呟き
「……………………」
「ランディ………」
複雑そうな表情で黙り込んでいるランディを見たロイドは複雑そうな表情をした。
「ど、どういう事だ……………君達は………私を裏切ったというのか!?」
「……大統領、申し訳ありません。しかし私は元々、貴方の計画に協力していたわけではありません。”先生”とマリアベル嬢の計画に協力していただけです。」
「”先生”………ま……まさか…………」
アリオスの説明を聞いたディーター大統領は呆けた後唇を噛みしめた。するとその時
「ああ―――――その通りだ。」
なんとイアンの顔が映った画面が現れた!
「…………ぁ…………………」
「……え……………」
「……う、嘘だろ……」
「イ、イアン先生……!?」
イアンの顔が映った画面を見たエリィやティオ、ランディは呆け、ダドリーは信じられない表情で声を上げ
「弁護士の方が何故……!」
(みんな……………)
エリゼは驚きの表情で声を上げ、キーアは心配そうな表情でロイド達を見つめた。
「ほう?まさかここで貴様が出てくるとはさすがの俺達も想定外だ。」
「どうやら処刑する必要がある愚か者が増えたみたいだなあ?」
一方ヴァイスとギュランドロスは厳しい表情をし
「………………………」
(やはりそうだったのね……)
ロイドは動じず厳しい表情で黙り込み、ルファディエルは目を細めてイアンを睨んでいた。
「ふむ、その様子ではロイド君は私の関与に気付いていたのかな……?」
「何……っ!?」
イアンの指摘を聞いたダドリーは驚きの表情でロイドを見つめ
「……ええ。ニールセンという記者の方がヒントをくれましたから。それとピート君や墓守のご老人……キリカさんやレクターさんの指摘……全ての断片が最終的に貴方の関与を指し示していました。」
「ふふ、どうやら完全にガイ君に追いついたようだね。」
ロイドの話を聞いたイアンは口元に笑みを浮かべて答えた。
「グリムウッド先生……これはどういう事ですか……!?た、確かに先生には色々と相談に乗ってもらいはしたが……」
「ああ……君は本当に教え甲斐のある生徒だったよ。経営者としては超一流だし、政治家としても悪くはなかった。”夢想家すぎる”という致命的な欠点を除けばね。」
「………!?」
イアンの話を聞いたディーター大統領は信じられない表情をし
「フフ、お父様はご自分の考えで全てが上手く進んだと思ってらっしゃるようですが………その実、先生の用意した筋書に誘導されていただけですわ。教団の扱い、通商会議の段取り、クロスベル市襲撃から独立宣言まで……そのアイデアの元を、最初にお父様に囁いたのはどなたでしたかしら?」
「………………ぁ…………………」
「なるほど……上手い具合に操られていたという事か。」
「フン、所詮は三下だな。」
マリアベルの説明を聞いたディーター大統領は呆け、ヴァイスは真剣な表情で、ギュランドロスは不愉快そうな表情でディーターを睨んだ。
「このまま君が上手くやれば表に出るつもりは無かったが……どうやら黒幕としてのみ、留まってはいられないようだ。『碧き零の計画』、このまま遂行させてもらうよ。」
「碧き………零…………?」
イアンの話を聞いたディーター大統領は呆け
「な、なんだそれは!?」
ロイドは厳しい表情で声を上げた。
「フフ、”零の至宝”の完成形……時空を支配し、因果律を組み替える”碧の大樹”…………その新たなる誕生ですわ……!」
そしてマリアベルが叫んだその時不思議な光が周りに漂い始めた。
「この光は……!?」
「碧い光……?」
「……南南西!湿地帯のあたりです!」
「あれは―――――」
「……………」
漂う光にランディやエリィは戸惑い、ティオはある方向に視線を向けて叫び、ロイドは厳しい表情をし、キーアは真剣な表情で黙り込んでいた。
ロイド達が見つめたその時湿地帯の辺りで神秘的な光を放ち続ける謎の巨大な大樹が地面から生えて行った!
「………………………」
「こ、これは……」
「馬鹿な……」
「大樹……?」
「あれも”至宝”の力だというの……?」
大樹を見たロイドは呆け、ロカやダドリーは信じられない表情をし、エリゼは不安そうな表情をし、ルフィナは厳しい表情で呟いた。
「クク――――素晴らしい!まさに特異点の産物……かの”塩の杭”を遥かに超える”予定外の奇蹟”と言うべきか!」
その時ノバルティスは興味深そうな表情で叫び
「…………………………」
ディーター大統領は呆け
「なるほど。全ては”アレ”の為だったのか。」
「フン、やり方といい、考え方といい、ユン・ガソルを滅ぼしたあの野郎――――ジルタニアに似てやがるなあ?」
ヴァイスは厳しい表情で呟き、ギュランドロスは怒りの表情で呟いた。
「ま、待ってくれ!あの巨大な樹が”零の至宝”の完成形って……」
「キーアちゃん…………貴女はどこに!?」
「……………あの”大樹”が”キーア自身”だよ…………」
「!!」
「そ、そんな…………」
静かな表情で答えたキーアの言葉を聞いたロイドは目を見開き、エリィは信じられない表情をした
「フフ、既に気付いているなんて一体どこのどなたかしら?キーアさんに非常に似ているようですが………おかしいですわねえ?”零の至宝”の”予備体”や”試験体”等を作った記録はありませんのに。」
「…………………」
妖しげな笑みを浮かべて言ったマリアベルの言葉を聞いたキーアは複雑そうな表情で黙り込み
「ベルッ!!」
「テメェ………それ以上言ってみろ!マジで殺すぞ!?」
エリィとランディは怒りの表情で叫んだ。
「まあ、殺すだなんて、さすがは私達を処刑すると宣言している野蛮な考えをしているヴァイスハイト局長の部下だけはありますねえ?一体どんな教育をしたのやら……」
ランディの言葉を聞いたマリアベルは目を丸くした後呆れた表情をしたが
「少なくとも下らん妄執に囚われた貴様らクロイス家の教育よりはずっとマシな教育である事はハッキリと言えるな。」
「何ですって……………!」
不敵な笑みを浮かべて言ったヴァイスの言葉を聞いて怒りの表情になった。
「………彼女の心と身体が失われたというわけではない。そのあたりは安心するがいい。」
その時アリオスはロイド達に助言し
「だが、これより彼女は全ての”調停者”となる―――彼女にとっても、君達にとっても悪い結果にはならないはずだ。できれば見守ってあげて欲しい。」
「”全ての調停者”ですって!?」
「そしてそんな彼女を貴方達が思い通りにして世界を好き放題にするという事ね……!ならば私は”軍神”の神官戦士として、マーズテリアの名のもとに貴方達を滅します!」
イアンはロイド達に説明し、説明を聞いたルフィナとロカは厳しい表情で声を上げ
(そんな事をしようとしてももう無駄だよ……キーアがそんな事、させないし……エイドスやフィーナ、ミントだっているからいくらやっても無駄だよ……)
イアンの話を聞いたキーアは目を伏せて黙り込んでいた。
「い、いったい何を…………」
「ワケ判らなさぎだろ……!」
一方ティオは戸惑い、ランディは目を細めて言った。
「ホントそうだよねー。でも楽しければそれでいいんじゃない?」
「クク、まあ邪魔するつもりなら遠慮なく相手をしてやろう。これも契約の内だからな。」
「……こいつらの企みは知ったこっちゃないが……来るんなら今度こそ徹底的に潰してやるぜ………」
「ウフフ……それでは皆さん、御機嫌よう。―――それとお父様。今までお世話になりましたわ。単純で、ロマンチストで愚かしくはありましたけれど…………わたくし、お父様のことが決して嫌いではありませんでした。」
そしてマリアベル達の画面は消えた!
「……………ベル…………」
画面が消えるとディーターは呆けた声で呟いて地面に膝をついて顔を伏せ
「娘にまで利用された挙句、捨てられたか…………」
「本当に愚かな親子だぜ……」
その様子を見たヴァイスとギュランドロスは不愉快そうな表情で呟いた。
「フフ、役目が無ければ私も最後まで付き合うんだが…………まあ、せいぜい遠くの地で続報を聞かせてもらうとしよう。」
その時ノバルティスは口元に笑みを浮かべて装置を操作して、アイオーンを動かし始めた。
「―――させません。二の型・改―――雷鳴剣!!」
「えー―――」
しかしエリゼの電光石火の奇襲によって呆け、エリゼがノバルティスの背後に現れると装置を持っているノバルティスの腕が斬り落とされた!
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――――ッ!?わ、私の腕が……!?」
斬りおとされた部分から大量の血を噴出させて悲鳴を上げ
「これで止めです。秘技―――裏疾風!―――斬!!」
再び電光石火の速さで残りの左腕を斬り落とした後に放った斬撃波によって首が刈り取られ、絶命した!
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