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新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~

作者:黒鐡
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2巻
  買い物の続きと戦闘準備×対パワーバカ戦

「さてと、とりあえず深雪らが合流してきたのならショッピング再開とするか。柚希の分は買ったが、他の店に行けばまた新鮮な服があるぞ」

「そうですね、お兄様には尾行してきた私達にも買ってもらわないと損しますから」

俺が選んだ服は悩殺まではいかないが、男子高校生に対してのみだろう。デートの仕方からショッピングの仕方までを教え込んだ事で、次またデートする時は二人っきりになれるからだ。色んな店を回って、澪や深雪の力を借りて今回購入する服を決定した。俺は柚希や深雪らと遠くにいるが、自分達用の服を選び始めては競い合うようにして試着してる。

『一真様、今よろしいでしょうか』

「こちら織斑、何か用か?」

『何やら勇者の里からの者らが、一真様達を見ています』

「なるほど、もう少しでパワーバカ三兄弟が来るのか。了解した、だが柚希に関しては知らせなくてもいい」

『畏まりました』

柚希の考えを見ると、今まで知らなかったファッション用語と考えた事の無かったコーディネートはどれも新鮮のようで。まだ理解はしてないが、俺と一緒に休日を過ごす事が出来て楽しかった。欲を言えば二人っきりになりたかったが、デート後半になると深雪らが合流したのでずっと二人きりになれなくとも良かったと思った。

「今回は柚希が買ってこいよ、たまには一人で買えないとマズイからな」

「うん、そうする。買い終わったら連絡する」

受け答えすると俺らは店の外へ移動するが、俺と深雪だけはそろそろ里の連中が来るだろうと思った。多くの店を回ったのか、腕時計を見ると夕方から夜へなりそうな時間帯。俺らの周辺には一般客と混ざって行動する護衛ら、それでも護衛にとっても楽しめたのでこれはこれでいいとね。電車で帰る前に俺と柚希の二人だけで、夕食をしたいと思っているのは柚希もそうだった。

『こちらを見ているが、俺らを見ているな。それも家族との話題なのか、俺らは自然と笑みが出ていると言う事を』

『そうですわね、お父様。勇者の一族であったが、実は神族の上位神としてだけど新たな場所で新たな家族と暮らして二人の為に戦う事を決めた』

『それが現在の俺達であり、柚希は過去の象徴でしかないと考えているのだろう。俺と共に五年前に《里》を襲った悲劇の当事者である柚希だけど、既に俺の心に苦しめ続ける過去であり柚希も未来永劫一緒にいたいよな』

『難しいですね、澪との未来を見ると柚希はお父様にとって邪魔なのかもしれない。だからなのでしょうが、視線がこちらから背を向けてますもんね』

俺らの視線を感じたのか、柚希は俯き会計の列で自分の順番が来るのを待ち続けていた。そんで自分の番が来たから、レジ前に行こうとすると横から腕を取られたように見えた。やっと里の奴らが動き始めたのか、柚希は驚愕と共に相手を見て息を呑んだ。

「っ・・・・?」

そこには自分の知っている顔であり、自分と同じ冷たい瞳をした少女が。

「胡桃・・・・」

「《里》が正式な決定を下したの。新しい指令も下りている・・・・来て。馴れ合いの時間は終わりだよ・・・・お姉」

呆然とその名を呼ぶと少女は淡々とした声で告げてから、柚希の気配と共に消えた事を知るとここら辺にいた俺らの部下達が配置に着く。俺と深雪も感じ取れたが、澪と万理亜だけはそのまま帰ったのでは?と聞かれる。

「帰ったのなら帰ったで連絡があるはず、なのに突然気配が消えた事について疑問に思いたい」

「ですので、私達に付いて来たお兄様の部下達が配置に着きました。そろそろ監視側の魔族らが動く予感と共にね」

「と言う事はここでバトルすると言う事ですか?」

「人払いの結界さえ張れば、大丈夫だけど私はまだ深雪姉さんより劣っている」

俺と深雪は大丈夫と言いながら通信機を付けて、何時動くのか予測してもらい電話を掛ける俺。電源を切っていると言う事はGPSも使えないが、俺らの予感により何時戦闘態勢になっても可笑しくないよう神経を高ぶらせていた。そんで俺らは地元である蒼翼町に戻ると、部下らを遠くからの護衛をさせて柚希のマンションへ向かう俺。

「ダメだな。戻っていないと言う事は、一つだけ考えられる事がある。それは《里》の連中と合流したかだ」

「その可能性が高いですね。《里》の連中は一体何を考えているのやら」

「もしかして私狙いなの?」

「恐らくですが・・・・それ以外ならば一真さん狙いかと思います。何せあちら側では謎の剣術使いとされていますからね」

澪狙いなら分かるが、その予感は当たるかもしれないな。謎の剣術使いが一緒に行動をしてるなら、ここで潰すチャンスだと言うのに襲ってこない。するとケータイが鳴った事で出ると電話ではなくメールで、相手を確認するが柚希ではない事だったので横に首を振ったら頷いた。

差出人名が空欄でメルアドも表示されるはずが表示されないとなれば、考えは一つだけとなって通信機を念話モードとして部下に通告。

『全員聞け、恐らくそろそろ戦闘するだろう』

『こちら蒼翼本部、出来るだけ援護はしますが結界内に入れると援護は難しいかと』

『援護はいらん、戦闘後は何も無かったかのように行動しとけ』

『お兄様、澪は私が守りますからお気になさらず』

そう言うとメール画面には秘密裏に手を結び、極秘裏のやり取りをする相手には通常とは別登録をしている。その相手からのメールだが、そろそろ戦闘をする事でケータイを空間に入れて周囲から音が遮断された。

「空間がずらされた・・・・澪に万理亜、どうやらお客さんが来たようだ。それも三体、深雪は澪を頼む。万理亜はその内の一体を頼みたい」

「分かりました、お兄様」

「では例の力を使うのですね、任せて下さい」

「分かった、私は深雪姉さんの側にいるわ」

周囲の空間との繋がりを強制的に隔絶された事で、俺は深雪達に指示を言ってから戦闘態勢へ取った。一般人の意識を逸らす『人除け』よりも高度な魔法ではなく結界だろうと考える。すると真上から衝撃が来た事で、すぐに警告を発してから攻撃を受け止めた俺である。

「ふんっ!」

事前警告したお陰で、深雪は澪を抱えて避けて万理亜も何とか着地したけどな。俺はと言うと衝撃と言う轟音の元である拳を受け止めた事で、地面が凹んだようだが拳を受け流しながら蹴りを一発放った。近接戦闘を得意とする肉弾(ハード)格闘士(ストライカー)の万理亜は体捌きが得意でもコイツ相手にはどうだろうか。

「ほお・・・・思ったよりは反応良いじゃねえか」

「兄貴の一撃を受け止めたとはなぁ~。兄貴、コイツの相手は俺にやらせてくれ」

「いや俺だ、監視が任務つってもよ。まずは目標を直に見て状況を俺達三兄弟が確認しねえとな」

何やらパワーバカ三兄弟が話していたが、全員野太い声なので巨漢野郎が空に浮かんでいた。禍々しい黒いオーラから察するに現魔王派の魔族、すると少し離れた場所から怒りの声を発した。

「・・・・どう言うつもりです?今の一撃・・・・私や一真さんと深雪さんを狙うだけならまだしも、下手をすれば澪様を巻き込んでいました。それが貴方達、現魔王派の考えと言う事ですか?」

「あァ?別に巻き込もう何て思っちゃいねえよ。下手に殺しちまって、ウィルベルトの力が失われちまったらマズイんでな。だが現場ってのは生き物、だったらたまには起こる事もあるだろうよ・・・・不測の事態って奴がよ」

「兄貴の言う通りだ。上の思惑はウィルベルトの力らしいが、今の攻撃で死んじまうような間抜けが受け継いだ力だったら大した役には立たねえ」

「お付きのサキュバスはともかくとして、そちらが謎の剣術士か?兄貴の一撃を防いでしまう力を持っているとは、あのラースが手こずるようなレベルと俺は見るな。兄貴、次はどうする?」

あちら側にとってはどうでも良い事だが、澪以外は殺しても良さそうらしいじゃねえか。相手が考えている間に、俺は三兄弟の中で一番下であるヴォルガと言ったか。ソイツの懐に入り込んでから拳を体にめり込ませた事で、一気に吹っ飛びながら消滅していったけど正直言って弱すぎて話にならん。

「ヴォルガ!テメエ、よくもやりやがったな!」

「ヴィルガ!そっちは罠だ!」

万理亜に向かって行くが既に譲渡した事で、拳にて戦った結果としては五分五分と言った所だろう。ヴァルガ相手だと深雪と澪による魔法攻撃、炎攻撃を受けても黒焦げになる程度なので防御力はあるな。

「兄貴相手よりもこの俺との相手をしてやるぜ、剣術使い!」

「私との相手なのに無視しないで下さいよ!」

「くっ・・・・何なんだこの炎は。並大抵の魔力じゃない・・・・どう言う事だ?」

「俺との相手をするなら、まずは深雪らを倒してから俺の元へ来いよ。パワーバカ」

炎をブラインドにして前へと回り込んだ万理亜の拳が、ヴィルガの胴に叩き込まれた事で重い衝撃音と共に三回鳴った事で吹っ飛びながら内なる衝撃で滅んで行った。残りはヴァルガだけであり、深雪と澪相手に遠距離攻撃をしていた。パワータイプってのは、一極集中だけでも戦闘が行われるが力を大きく扱える肉体は頑強な防御力も備えている。

「さてと、残りはお前だけか。ヴァルガさんよ、ちょっとだけ俺に面を貸せよ。パワーバカしか扱えない脳無しが」

「貴様!ヴィルガとヴォルガの仇だ、テメエだけは俺の拳で葬ってやるよ!」

すると深雪と澪の攻撃が止んだ事で、俺とヴァルガの拳同士と言う打ち合いとなる。万理亜と同じパワータイプでもランクは上で、衝撃波による攻撃可能な中距離(シューティング)拳闘士(ファイター)だろう。

万理亜の拳は通常なら通用しないが、赤龍帝の譲渡によりそれ以上の力を発揮出来たと言う証拠だな。普通なら魔力タイプだが俺は何でも対処可能な万能タイプだ、なので拳じゃなくてお望み通り剣で葬ってやるか。

「オメエだけはこの剣で葬ってやるよ」

「上等じゃねえか、俺の拳で剣を叩き折ってやる!」

衝撃波を軽く避けながら拳から剣を空間から出して鞘から抜いた金色の刃、それは敵の衝撃波が放射状に広がってこちらへ襲い掛かろうと一刀両断で防いで見せた。そんで剣から槍へと変化させてから、一気に奴の体へと突き刺したと同時に魔族が嫌う光を中から放った事で音を立てて凍り始めた。 
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